Portal Server の管理者は、次の項目に関するタスクを中心に、さまざまな機能を管理します。
複数のポータルおよび Portal Server インスタンス
デスクトップ
検索サーバー
Secure Remote Access サーバー
シングルサインオン (SSO) アダプタ
この章では、Portal Server コンポーネント、およびポータルの管理方法について説明します。
Portal Server の配備には、ポータルの管理に影響を及ぼす多数のコンポーネントが含まれています。主なコンポーネントは次のとおりです。
共通エージェントコンテナ – Java 管理アプリケーションのコンテナを実装するスタンドアロン Java プログラム。詳しくは、『Solaris 10 の概要』を参照してください。
ポータル管理サーバー – Portal Server MBean にアクセスするユーザーの認証およびアクセス制御チェックを実行する管理アプリケーション。このサーバーは、JMXTM インタフェースを使用し、共通エージェントコンテナモジュールとして実装されます。ポータル管理サーバーインスタンスは、Portal Server 製品がインストールされているホストごとに実行されます。
ポータルドメインリポジトリ – Portal Server MBean の編成方法についての情報が格納される階層型データストア。このリポジトリには、一部の Portal Server MBean の設定データも保存されます。デフォルトのポータルドメインリポジトリは、Access Manager で使用される同じ LDAP サーバー内のサブツリーです。
スタンドアロンゲートウェイのインストールで、ゲートウェイから LDAP サーバーと通信することはできません。ローカルゲートウェイ MBean 情報のみを格納するために、ゲートウェイファイルシステム上の追加のポータルドメインリポジトリが使用されます。
ポータルデータストア – リレーショナルデータベース管理システム (RDBMS) や LDAP サーバーなどのバックエンド記憶領域またはファイルシステム内で、ポータルによるコンテンツ配信を容易にする設定データ、その他の Portal Server リソースが格納される場所。
ポータル管理 MBean – ポータル管理サーバーによって共通エージェントコンテナサーバーにロードされ、ポータル管理タスクを実行します。
ポータル管理コマンド行インタフェース (psadmin) – 各 Portal Server コンポーネントの管理ツールを提供します。詳しくは、「psadmin コマンド行インタフェースの使用」を参照してください。
ポータル管理コンソール ( psconsole) – 各種のポータルサーバーリソースを管理するためのブラウザインタフェースを提供します。詳しくは、「Portal Server 管理コンソールの使用」を参照してください。
監視 MBean – Portal Server の実行時リソース情報の収集をサポートします。詳しくは、第 7 章「Portal Server の動作の監視」を参照してください。
ローカルファイルシステムデータ – ローカルファイルシステムに格納されるポータルデータ。ポータルデータには、各種の設定ファイル、プロバイダベースのテンプレートと JSPTM 構文ファイル、リソースバンドルファイル、カスタマイズされたプロバイダベースの Java クラスなどがあります。
Portal Server コンポーネントの詳細については、『Sun JavaTM System Portal Server 7.2 配備計画ガイド』を参照してください。
さまざまなポータル管理タスクを容易にする Portal Server 管理コンソールは、次のような機能を持つ Java 2 Platform, Enterprise Edition (J2EETM) アプリケーションです。
Web ブラウザで使用できる
設定したデバッグレベルに従ってメッセージをデバッグログに記録する
名前と値のペアを含む設定の変更を記録する
JMX (Java Management Extensions) テクノロジを使用して、ポータル管理サーバー内のポータル管理 MBean と通信し、ポータルデータストアに接続する
ポータル管理者が管理コンソールを使用して実行できるタスクは、次のとおりです。
デスクトップおよびコンテンツ配信を管理する
ユーザーの操作を追跡し、ポータル管理者がその情報を利用して、エンドユーザーの活動に関連した問題、およびエンドユーザーと各 Portal Server コンポーネントとの対話状況を診断、トラブルシューティング、および分析する
Portal Server のデスクトップおよび Secure Remote Access コンポーネントに関連する実行時統計を取得する
Portal Server アプリケーションに関する情報を記録する
管理コンソールのユーザーインタフェースでは、管理機能がページごとに分類されています。各ページの上部にはタブの列が表示されます。各タブは、分類された管理機能が収められているページを表します。タブをクリックすると、ページを切り替えることができます。表示されるタブは次のとおりです。
共通タスク – ポータル管理者が頻繁に実行するタスクを直接起動できるリンクが表示される
ポータル – ポータル管理者が特定のポータルを選択できるように、配備済みのポータルが Portal ID の順に一覧表示される
検索サーバー – 特定の検索サーバーを管理するページにポータル管理者がアクセスできるように、特定の検索サーバーの名前が一覧表示される
Secure Remote Access – ポータル管理者は、リモートユーザーがインターネットを経由してポータルおよびそのサービスを安全に利用する方法を管理できる
SSO アダプタ – ポータル管理者は、一度サインインしたエンドユーザーがアプリケーションの認証済みアクセス権を取得する方法を管理できる
委譲 — ポータル管理者は、さまざまなリソースを管理する責任を委任管理者と呼ばれるほかのユーザーに委任できる
Portal Server の管理者は、特定のエンドユーザーのアイデンティティーを定義して、ポータルのコンテンツの使用を許可および制限することができます。ポータルコンテンツを特定のエンティティーで使用可能にするため、ポータルページ、属性、およびアクセスポリシーを設定できます。このようなエンティティーは次のとおりです。
特定の組織
特定のサブ組織
ロール
個々のエンドユーザー
SuperAdmin アクセス権を持つ管理者および委任管理者のみが、Portal Server 管理コンソールを使用できます。ユーザーは、特別の URI (Uniform Resource Identifier) からブラウザクライアントを使用して Portal Server 管理コンソールにアクセスします。
ブラウザで次の URL を入力します: http:// hostname:port /psconsole
管理コンソールを実行しているシステムの名前。
インストール時に割り当てられた管理コンソールのポート番号。
テキストボックスに管理ユーザー名とパスワードを入力します。
管理ユーザーは、最上位管理者にしてください。通常、管理ユーザー名は amadmin です。
「ログイン」ボタンをクリックします。
管理コンソールの「共通タスク」ページが表示されます。
Portal Server の管理タグライブラリを使用して、管理コンソールの代わりにデスクトップからポータルを管理できるようにする、管理ポートレットを開発できます。このタグライブラリを使用して管理者が実行できるタスクは次のとおりです。
事前に設定された管理ポートレットの変更
新しい管理機能を持つポートレットの開発
プロバイダ管理タスク、およびポートレットとWSRP 管理タスクのサポート
JSPProvider に基づくチャネルの作成と管理
カスタムユーザーインタフェースを備えたカスタム管理ポートレットの記述
任意のカスタムチャネルを管理する管理ポートレットの記述
管理者は、管理ポートレットを使用して、委任管理者と呼ばれるほかのユーザーに委任管理ステータスを付与することができます。Portal Server には、委任管理者用の基本デスクトップの設計に使用できる管理ポートレットのサンプルセットがあります。
詳しくは、『Sun Java System Portal Server 7.1 Developer Sample Guide』および『Tag Library for Delegated Administration』を参照してください。
Portal Server ソフトウェアでは、コマンド行インタフェース (CLI) を使用できます。ポータル管理者は CLI で次の操作が可能です。
定期的に繰り返す管理タスクのスクリプトへの組み込みによる自動化
CLI には、ポータルタスクを管理するための多数の psadmin サブコマンドがあります。主なサブコマンドの機能は次のとおりです。
複数のポータルおよびポータルインスタンスの管理
ポータルおよびポートレット WAR ファイルの配備
検索サーバーの管理
Secure Remote Access サーバーの管理
監視の管理
ポータルログの管理
ほとんどのサブコマンドは、ブラウザインタフェースの対応する機能と同じ感覚で使えるようになっています。特別のコマンドがない管理機能については、標準 UNIX コマンドを使用します。
Portal Server を Sun Java System Application Server 9.1 または GlassFish V2 Web コンテナにインストールした場合は、psadmin コマンドを呼び出す前にこれらの Web コンテナ管理サーバーのどちらかと cacao を起動する必要があります。
すべての psadmin サブコマンドについては、『Sun Java System Portal Server 7.2 Command-Line Reference 』を参照してください。