Oracle Order Managementインプリメンテーション・マニュアル リリース11i B25742-01 | ![]() 目次 | ![]() 戻る | ![]() 次へ |
Oracle Order Managementの請求とは、受注および返品のデータをOracle Receivablesに渡し、請求書、クレジット・メモおよび対顧客勘定クレジットの作成、収益の確認、および販売実績の管理を行うプロセスです。
請求の統合は、Order Managementのワークフロー・アクティビティとして実装されています。このワークフロー・アクティビティを実行すると、数量、販売価格、支払条件および取引日などの出荷品目情報がOracle Receivablesに転送されます。Oracle Receivablesは、請求および収益に関する勘定科目を処理します。また、この処理を使用して、返品から作成されたクレジット・メモや対顧客勘定クレジットを処理できます。請求ワークフロー・アクティビティの完了時に、Oracle Receivablesから自動インボイスを発行し、請求データとクレジット・データをOracle Receivablesにインポートできます。請求の統合ワークフロー・アクティビティは、受注全体が一度にReceivablesとインタフェースする場合は受注ヘッダー・ワークフローの一部として、各明細または明細のセットが適格になるとインタフェースする場合は受注明細ワークフローの一部として実行できます。
参照: 『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』
『Oracle Manufacturing APIs and Open Interfaces Manual』
請求ワークフロー・アクティビティによって、受注明細、価格調整、販売実績および手数料のデータが含まれたReceivablesの自動インボイス・インタフェース表がロードされます。インタフェースされるデータの種類には、受注済品目識別子、摘要、在庫品目識別子、数量と価格、通貨、支払条件などの製品情報があります。請求ワークフロー・アクティビティは、出荷時に明細を請求するか、または受注全体が出荷されてから一度に請求するかに応じて、明細ワークフローまたはヘッダー・ワークフローから実行できます。
Order Managementにシードされているワークフローは、履行ワークフロー・アクティビティを完了すると、受注明細が請求インタフェース済として適格になるように設計されています。履行の概念および履行セットの使用によって、明細を請求対象としてグループ化できます。通常、出荷可能明細の場合は出荷によって履行が完了し、出荷不可明細の場合は記帳によって履行が完了します。関連する出荷可能明細が出荷されてから出荷不可明細を請求する場合は、これらの明細を履行セットにグループ化します。セット内の明細は、そのセット内の全明細が履行されるまで、履行後の請求処理に進みません。
Oracle Order Managementでは、シード済デフォルト・ルールを使用して必要なユーザー処理を最小限に抑えるように「履行セット」機能を拡張することで、エラーおよびキーストローク数を減らします。
機能は次のとおりです。
すべての受注明細を1つの履行セットに自動的に割り当てる機能
受注取引タイプからのヘッダー・レベルの履行セットのデフォルト設定
受注インポートおよび受注処理APIを使用した履行セットにおける明細の削除および追加
Order Managementでは、価格調整後の品目および価格を送信するか、または定価を送信してから値引ごとの調整明細を個別に送信するかを選択できます。これは、「OM: 請求書に値引詳細の表示」プロファイル・オプションで制御します。値引を表示する場合、値引は、マイナスの価格が付いた通常の請求明細としてReceivablesに送られ、その値引対象の品目と同様に処理されます。値引明細の「摘要」フィールドには、値引の名前が入力されます。この機能によって、値引は請求書に印刷されますが、個別に会計処理されることはありません。
Order Managementでは、保険料、取扱手数料、輸出手数料などの運送費と特別手数料は、すべて請求ヘッダー・レベルの手数料として個別にOracle Receivablesに渡されます。請求アクティビティによるグループ化はありません。ただし、Oracle Receivablesは、すべての運送費明細を1つの明細に統合して会計処理を行い、請求書に印刷します。今後、Receivablesがこの機能をサポートするようになったときに、様々な手数料の会計処理や印刷をサポートするために、Order Managementは詳細をReceivablesに渡します。
運送費はヘッダー・レベルで適用されます。ただし、顧客が明細レベル請求を使用する場合は、ヘッダー・レベルでの運送費の一部が請求に使用されることがありました。また、運送費を更新すると、この差異が請求インタフェースに渡されませんでした。機能拡張により、金額の差異が請求インタフェース表に挿入されるようになりました。これは、手数料をクレジットの対象とする必要があることを示し、請求は正確な金額に対して実行されます。
超過出荷は、「OM: 超過出荷請求書ベース」プロファイル・オプション、および顧客サイトと請求先サイトについて対応する属性の設定に基づいて請求されます。この属性の値は「受注済」または「出荷済」です。この値が「受注済」の場合は、実際には受注数量より多く出荷されていても、受注数量が請求されます。この値が「出荷済」の場合は、「超過出荷の許容範囲」の制限を超えないかぎり、実際の出荷数量が請求対象になります。不足出荷は、常に出荷済数量として請求されます。超過出荷を可能にするため、または不足出荷の明細を自動的にクローズするためには、超過出荷および不足出荷の許容範囲を設定する必要があります。プロファイル・オプションを使用すると、サイト・レベルで出荷許容範囲を設定できます。また、「顧客標準」フォームおよび「マスター品目」フォームを使用して、顧客、請求先サイト、品目または顧客/品目の組合せについて例外を指定できます。顧客/品目の例外は「受注管理」フォームでも指定できます。
受注または明細の支払タイプがクレジット・カードの場合は、クレジット・カード情報がReceivablesに送信されます。インタフェースされるデータには、iPayment受注番号(取引ID)、承認コード、銀行口座ID、クレジット・カード保有者名および主要支払方法が含まれます。Receivablesでは、この情報を使用してクレジット・カードに関する必要な取得処理を実行します。クレジット・カードで支払われた受注または明細が参照付きで戻された場合は、Receivablesにより、対顧客勘定クレジットではなくクレジット・カードに対する払戻が自動的に作成されます。
Order Managementでは、ノート・カテゴリを設定して、請求書にノートを印刷することを示すことができます。ノートは、「売掛管理取引」ウィンドウには表示されますが、シード済の標準の売掛請求書には印刷されません。ただし、印刷されるように請求書を変更できます。請求書の印刷をカスタマイズすると、請求書用のノートをフェッチして、使用している印刷手順でそのノートを印刷できます。
明細または受注の請求後、Order Managementから請求要約情報を表示できます。受注オーガナイザから「追加明細情報」または「追加受注情報」の「請求書/クレジット・メモ」を選択して、請求データを表示します。表示できるデータは、請求書番号、バッチ・ソース、請求書日付、金額および残高です。「請求詳細」ボタンを選択して、売掛管理取引要約ウィンドウで選択した請求書に関するすべての詳細を表示します。
ハード・コード化されたデフォルト・ルール(出荷先、請求先および販売先)は、デフォルティング・フレームワークを使用してシード済デフォルト・ルールに変換されたため、使用するルールの順序を柔軟に変更できるようになりました。受注タイプはシード済デフォルト・ルールとして追加され、履行セットのデフォルト・ルールの順序を定義するために使用できます。履行セットのデフォルト・ルールは、取引タイプに基づいて定義できます。
注意: ヘッダー・レベルのデフォルト・セットは、新規作成された明細にのみ影響し、既存の明細には影響しません。
「履行セット名」列がOE_ACTIONS_INTERFACE表に追加され、セット名を指定できます。
OE_ACTIONS_INTERFACE表を使用して、単一明細に複数の履行セット操作を実行できます。
処理ADD_FULFILLMENT_SETを使用して、履行セットに明細を追加できます。
処理REMOVE_FULFILLMENT_SETを使用して、履行セットから明細を削除できます。
追加と削除の組合せは、履行セット間での明細の移動に役立ちます。
例: 明細1.1を履行セットF1、F2に追加するには、2つのレコードをOMの処理インタフェース表に挿入します。
注意: 従来の機能をサポートするため、受注インポート中に明細を作成する場合は、明細インタフェース表で指定した履行セット名を使用して、明細を履行セットに追加します。「受注明細」にある既存の明細に対してUPDATE操作を実行する場合、明細インタフェース表で指定した履行セット名は無視されるため、履行セット名を処理インタフェース表に入力する必要があります。
「取引タイプの定義」フォーム: 「取引タイプ」フォームにはデフォルトの「履行セット」列があります。このフォームは、受注レベルの取引タイプでのみ使用可能です。「デフォルト履行セット」チェック・ボックスを配置するには、「設定」→「取引タイプ」→「定義」→「出荷」タブ→「履行セット」チェック・ボックスにナビゲートします。
注意: このフォームのデフォルトを「見積/受注パッド」に設定するためのシード済デフォルト・ルールが用意されています。
「受注」フォーム: 「デフォルト履行セット」は、見積/受注フォームのヘッダーに表示されます。これは、取引タイプに応じてデフォルト設定されます。「デフォルト履行セット」列の値は変更できます。「セット名」が使用可能な場合は、そのセット名がシステム定義セットの名前として使用されます。「セット名」が使用可能でない場合は、「1」で始まるセット名が生成されます。システム定義の履行セットを履行すると、新規明細をシステム定義セットに追加できません。セット名を変更できるのは、デフォルト・セットの一部に明細が含まれていない場合のみです。デフォルト・セットに1つ以上の明細がある場合は、その名前を変更できません。
受注インポート訂正フォーム: 「処理」フォームで「履行セット名」を指定します。履行セット名は編集できます。
請求処理の目的で受注ワークフローおよび明細ワークフローを設定するときは、適切な請求アクティビティに適合するために、ともに使用する明細ワークフローおよびヘッダー・ワークフローの選択は慎重に行ってください。
ヘッダー・レベル請求を使用する場合は、ヘッダー・アクティビティとの調整ポイントがある明細レベルのワークフローを使用する必要があります。シードされているOracle Workflowでは、これを簡単に行うことができます。たとえば、「受注フロー - ヘッダーレベル請求書インタフェース一般」というヘッダー・ワークフローがあるとします。このワークフローは、たとえば、「明細フロー - ヘッダーレベル請求書インタフェース一般」という明細フローとともに使用します。
ヘッダー・レベル請求を使用する受注フロー
ヘッダー・レベル請求を使用する明細フロー
同様に、明細レベル請求を使用する場合は、請求処理のないヘッダー・ワークフロー、および請求に関してヘッダーとの調整を行わない明細フローを使用します。
参照: 『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』
明細レベル請求を使用する受注フロー
明細レベル請求を使用する明細フロー
プロファイル・オプション
参照: 『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』の請求処理に関する項
請求する品目は、請求可能および請求可品目属性をオンにして設定する必要があります。また、自動会計の収益勘定を作成するときに使用できるGL勘定科目も品目を設定するフォームのこのタブで指定できます。
会計基準と請求ルールはOracle Receivablesに設定され、収益の確認方法と会計期間を参照します。ほとんどのアプリケーションに適用できるいくつかのルールがシードされています。Order Managementでは、受注タイプまたは明細タイプを定義するとき、および基本契約を定義するときに、会計基準および請求ルールを指定できます。継続期間が可変の会計基準を選択する場合は、収益の確認に使用する期間数の入力も必要になります。請求インタフェース・ワークフロー・アクティビティを実行すると、Receivablesに渡されるデータは表に基づいて取得されます。この表の詳細は、『Oracle Manufacturing APIs and Open Interfaces Manual, Release 11i』の「Oracle Order ManagementのOracle Receivablesおよび請求とのインタフェース」の章を参照してください。
Receivablesには、請求またはクレジット・メモなど様々な取引タイプがシードされています。これらの定義は異なるAR取引の処理方法を制御します。また、この取引タイプによって、自動会計時に使用できる様々なGL勘定科目を指定できます。自動インボイスで受注をインポートするためには、Order Managementの受注タイプおよび明細タイプを定義するときに、これらのタイプに売掛管理取引タイプを添付する必要があります。
取引ソースまたはバッチ・ソースとも呼ばれるこのエンティティによって、バッチに割り当てるデフォルトの取引タイプを指定し、Receivablesで取引とバッチに自動的に連番を付けるかどうかを決定できます。Order Managementで使用するには、タイプが「自動」の売掛請求書ソースを少なくとも1つ作成します。請求ソースとその使用方法の詳細は、『Oracle Manufacturing APIs and Open Interfaces Manual, Release 11i』の「Oracle Order ManagementのOracle Receivablesおよび請求とのインタフェース」の章を参照してください。
自動インボイスのインポート処理で処理される明細に対する会計処理の導出方法を制御します。設定の詳細は、『Oracle Receivablesユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Order Managementの受注タイプおよび明細タイプを定義するときは、請求アクティビティに影響を与える様々な情報を指定できます。これらの情報は、「取引タイプの定義」フォームの「財務」タブに入力します。ここでは、売掛管理取引タイプおよび請求ソースを選択します。会計基準および請求ルール、会計の与信方法および賦払の与信方法を選択できます。
Oracle Receivablesに設定されているこのルールによって、同じ請求書で同一に指定する属性を指定できます。明細によって異なる属性を指定すると、請求書は個別に生成されます。
Receivablesに設定されているこのルールによって、請求書の明細の印刷順序を指定できます。
「自動インボイス・インポート」要求発行ウィンドウに受注の値リストに受注が表示されない場合は、明細のワークフロー・ステータスをチェックし、請求インタフェース・アクティビティのステータスが「完了」になっていることを確認します。
明細に関する請求インタフェース・アクティビティのステータスが「未完了」、「請求インタフェース待ち - 保留中」や「請求インタフェース待ち - 未完了データ」などの「請求インタフェース待ち」の各ステータスを示している場合は、「プロセス・メッセージ」ウィンドウで、その明細について請求インタフェースで記録されたメッセージを検索します。通常、このプロセスでは、受注明細のデータ(バッチ・ソース名などのデータ、売掛管理取引タイプ、クレジット・メモ取引タイプ、サービス明細のサービス開始日と終了日など)の未完了または欠落によってエラーが発生します。
参照: 『Oracle Order Managementユーザーズ・ガイド』の請求処理の受注ステータス詳細に関する項
自動インボイス・インポートを実行しても請求書が作成されない場合は、コンカレント・ジョブによって作成されたログおよびレポートを確認します。これによって、データが処理されない事由が判明します。通常は、自動会計ルールの設定誤りまたは未設定によって問題が発生します。たとえば、受注に、営業担当の収益勘定に対して一般会計番号が入力されていることを確認します。通常は、設定を訂正して自動インボイス・インポートを再実行できます。訂正した受注データが正しく処理されると、請求書が作成されます。