Oracle Warehouse Managementユーザー・ガイド リリース12.1 B70970-01 | 目次 | 前へ | 次へ |
ロジスティクス・サービス・プロバイダ管理は、サード・パーティに外注するロジスティクス業務です。会社(クライアント)は、ロジスティクス・サービス・プロバイダ(LSP)と呼ばれるサード・パーティを使用してロジスティクス・サービスを提供します。LSPは、特定の時点で1つ以上のクライアントにロジスティクス・サービスを提供できます。クライアントは、ロジスティクス・サービスの一部またはすべてを1つ以上のLSPに外注することを選択できます。クライアントは、LSPに情報を送信するときに受入または出荷を連絡し、LSPは、クライアントのかわりにその取引を実行します。したがって、クライアントは取引の購買者の場合と販売者の場合があります。
クライアントは通常、LSPに次のサービスを外注します。
倉庫管理
在庫管理
クロスドック
輸送
フレイト・フォワーディング
ロジスティクス・サービス・プロバイダ(LSP)のサービスの設定およびクライアント・パラメータの定義の詳細は、Oracle Inventoryインプリメンテーション・マニュアルのロジスティクス・サービス・プロバイダのサービスの設定に関する項を参照してください。
マルチテナンシ倉庫管理は、LSPがサード・パーティ・ロジスティクス(3PL)サービスを同じ倉庫内で同時に複数のクライアントに提供する仕組みです。マルチテナンシ倉庫管理に従事するLSPは、各クライアントの資材を区別し、同じ倉庫で異なるクライアントの同じ発注番号、受注番号および品目番号をサポートできる必要があります。
LSPサービスおよびマルチテナンシの例
次に、ロジスティクス・サービス・プロバイダが提供するサービスの例を示します。Warehouse社は、複数のクライアントに倉庫管理サービスを提供するサード・パーティ・ロジスティクス会社です。ABC Stores社とJmart社の2社は、Warehouse社とロジスティクス・サポートの契約を結んでいるクライアントです。ABC Stores社およびJmart社は、それぞれの仕入先から資材を調達します。Warehouse社は、それらの資材を自社の施設に受け入れて保管します。ABC Stores社およびJmart社は、最終的にWarehouse社に搬送情報を送信し、Warehouse社は、該当する資材をピックおよび梱包して、それぞれのクライアントが搬送詳細で指定した最終搬送先に出荷します。
一般的なサード・パーティ・ロジスティクス(3PL)のシナリオでは、クライアントは、インバウンドおよびアウトバウンドの外注活動を開始する前に、品目や単位などのマスター・データをLSPと同期化します。インバウンド・プロセスでは、クライアントは発注(PO)情報をLSPに連絡し、受け入れる供給品について事前連絡します。LSPはクライアント発注参照を作成し、資材が到着したときに、受入担当がこのクライアントの発注および品目情報を参照して資材を受け入れます。受入の完了後、LSPは受入確認をクライアントに送信して、クライアントが仕入先請求処理を進められるように連絡します。次の図に、3PLのインバウンド・プロセスを示します。
アウトバウンド・フローでも同様に、クライアントはLSPに出荷要求を送信して、資材を顧客に出荷します。LSPはピッキング、梱包および出荷取引を実行し、出荷確認をクライアントに送信します。発送伝票や荷受証などのアウトバウンド文書のすべてには、クライアント固有の情報が含まれていることに注意してください。クライアントはシステムの在庫を更新して請求書を作成し、顧客に請求します。次の図に、サード・パーティ・ロジスティクス(3PL)のアウトバウンド・プロセスを示します。
ロジスティクス・サービス・プロバイダは、仕入先に資材を返品したり、顧客の返品を処理することで、クライアントのかわりに返品を実行することもできます。仕入先への返品プロセスでは、LSPは、仕入先に商品を返品する必要性をクライアントに通知します。クライアントは返品要求をLSPに送信して、商品を仕入先に返品するようにLSPに要求します。
LSPは仕入先に商品を返品するときに、クライアントの発注を参照します。LSPは仕入先への返品(RTV)取引を実行して、返品要求に基づいてクライアントの仕入先に資材を返品し、返品確認をクライアントに送信します。クライアントはLSPから返品確認を受信し、仕入先から資材受入確認およびクレジット・ノート情報を受信します。次にクライアントは、今後の支払で調整するためにデビット・ノートを作成します。
次の図に、サード・パーティ・ロジスティクスのRTVプロセスを示します。
顧客返品プロセス
顧客返品プロセスは、仕入先への返品プロセスに類似しています。
クライアントの顧客は、品質不良または再加工を理由に商品の返品をクライアントに連絡します。
クライアントは、商品をLSPに返品するように顧客に依頼し、同時に出荷返品要求をLSPに送信します。
LSPは連絡を受け取り、RMA受注を作成します。
顧客は、資材をLSPに発送します。
LSPは、資材を受け取り、その確認をクライアントに送信します。
クライアントは、連絡を受け取り、クレジット・ノートを作成して顧客に送信します。
デビット・ノートが顧客のシステムに登録されて、今後の支払で調整されます。
次の図に、サード・パーティ・ロジスティクスのRMAプロセスを示します。
ロジスティクス・サービス・プロバイダは、クライアントにロジスティクス・サービスを提供し、提供したサービスについて定期的にクライアントに請求します。LSPは、特定の時点で1つ以上のクライアントに対するロジスティクス・サービスを処理できます。LSPは、倉庫管理、提供するサービス、レートおよび請求頻度について、各クライアントと契約を結びます。Oracle Warehouse ManagementのLSPのサード・パーティ請求を使用すると、活動別に請求できます。WMSでは、サービス契約、ロジスティクス・サービスの価格設定および活動データを使用して、クライアントのかわりにLSPが実行した実際のサービスに基づいて項目化された請求を生成します。WMSには、商品の受入、棚入、保管、ステージングおよび出荷などの一般的なロジスティクス・サービスに対する請求ソースが用意されています。HAZMAT(危険資材)の除去や処理など、独自の請求ソースを識別することもできます。
次の図に、サード・パーティ・ロジスティクスのサービス基本契約および請求フローの概要を示します。
次の図に、請求ルールの定義から請求までの請求プロセスの概要を示します。
次に、基本的な3PL請求プロセスのステップを説明します。
「請求ルール」ウィンドウで、クライアントに対する請求ルールを定義します。
特定の外注クライアントに提供している取引と在庫データ、時間と作業の報告データ、作業指示、発注受入、受注出荷およびその他の倉庫管理サービスを取得します。
活動使用データに基づいてカウンタ値を更新することで、請求単位を生成します。
請求する該当サービスを選択して、請求書を作成します。
3PL請求書を生成してOracle Receivablesにインポートし、支払入金を処理します。
関連項目
Oracle Warehouse Managementでは、請求ソースを使用して活動の請求単位を計算します。請求ソースは、特定のクライアントに関連付ける請求ルールを作成するために使用します。WMSには、ビジネス・ルールの作成時に使用できる次の8つのシード請求ソースが用意されています。
実行された受入取引数を計算します
実行された受注出庫取引数を計算します
実行されたステージング移動取引数を計算します
実行された受入取引の数量を計算します
実行された棚入取引数を計算します
クライアントのために保管棚が占有された日数を計算します
クライアントが利用した合計容積を計算します
クライアントが利用した合計面積を計算します
PL/SQLを使用して独自の請求ソースを記述し、システムにインポートすることもできます。
請求ソースを作成する手順は、次のとおりです。
「請求ソース」ウィンドウにナビゲートします。
請求ソースの一意の名称と摘要を入力します。
関連プロシージャを選択します。
カスタム: 作成したカスタムPL/SQLプロシージャを使用する場合
シード: Oracle Warehouse Managementに用意されているシード・プロシージャを選択する場合
注意: 次の場合は請求ソースのプロシージャ名を変更できません。
シード・プロシージャがソースを作成するために使用された場合
カスタム・プロシージャがソースを作成するために使用され、そのソースが請求ルールのいずれかで参照されている場合
プロシージャ名を選択します。
重要: 実際の請求単位(UOM)が反映されるように、請求ソース・プロシージャで必要なUOM変換が実行されていることを確認してください。
定義した請求ソースは、「請求ルール」ウィンドウで既存のサービス基本契約(サービス契約)と関連付けます。
有効な請求ルールに関連付けられた請求ソースは削除できません。
関連項目
Oracle Warehouse Managementでは、サービス基本契約と提供したサービスを使用して、請求ルールを設定します。活動に対する請求ルールを設定すると、WMSは、その請求ルールを使用して、請求基準として使用する取引と手持残高を判断します。請求ルールは、請求の際に考慮する取引を判断するためのソース取引の問合せ基準として機能します。
スペース使用に基づいてクライアントに請求する請求ルールを作成することもできます。たとえば、固定スペース使用に対して請求するルールを作成し、月次ベースでクライアントに請求できます。クライアントに請求する最小使用エリアを設定し、追加で使用したスペースに対する追加料金をクライアントに請求することもできます。最終的には、実際に使用したスペースに基づいてクライアントに請求できます。
「請求ルール」ウィンドウで、既存のサービス基本契約を選択し、そのサービス基本契約に関連するサービス品目明細の請求ソースを入力します。使用/請求単位の計算コンカレント・プログラムが実行されると、各請求ルールについてサービス品目明細が識別され、請求ソース・ロジックに基づいて各サービス品目の使用が計算されます。
請求ルールを作成する手順は、次のとおりです。
「請求ルール」ページにナビゲートします。
「請求ルール」ページ(ヘッダーおよび「サービス基本契約」リージョン)で各値を選択します。
フィールド | 摘要 |
---|---|
ルール名 | 一意のルール名を入力します。 |
営業単位 | 営業単位の値は、次のソースのいずれかからデフォルト設定されます。
注意: 請求ルールを保存した後、このフィールドを更新することはできません。 |
サービス基本契約 | 有効なサービス基本契約を選択します。 |
開始日/終了日 | サービス基本契約の開始日と終了日(Oracle Service Contractsで定義)が表示されます。 |
「基本契約から明細をフェッチ」ボタンをクリックすると、サービス基本契約から新しい使用ベース・サービス品目明細が挿入されます。複数のカウンタが使用明細に添付されている場合、取得されるのは最初の使用可能なカウンタのみです。使用サービスごとに1つのカウンタのみが許可されます。
次の表では、「基本契約から明細をフェッチ」ボタンをクリックしたときに「請求ルール」ページに表示される主要なサービス明細情報について説明します。
フィールド | 摘要 |
---|---|
クライアント・コード | 契約明細の請求先アカウントに対応するクライアント・コードが表示されます。 |
クライアント | 契約明細の請求先アカウントに対応する連結したアカウント番号とクライアント名が表示されます。 |
サービス品目 | サービス品目名が表示されます。 |
開始日/終了日 | サービス品目の開始日と終了日が表示されます。 |
カウンタ名 | サービス基本契約のサービス品目に関連付けられたカウンタが表示されます。 |
請求ソース | サービス基本契約明細の請求ソースを選択します。この設定により、基本契約の各サービス明細が請求ソースに関連付けられ、必要に応じて各サービスの請求単位を計算できるようになります。(請求ソースは「請求ソース」ウィンドウで定義します。) |
最終算定日 | コンカレント・プログラムによってサービス品目の値が供給された日時が表示されます。 |
使用単位および請求単位を計算する必要がある場合は、請求単位の計算コンカレント・プログラムを実行します。
同じサービス基本契約に対して複数の請求ルールを作成することはできません。すでに別の請求ルールが存在するサービス基本契約に対して新しい請求ルールを作成しようとすると、警告メッセージが表示されます。
サービス品目明細を手動で追加したり削除することはできませんが、各明細の請求ソースを更新することは可能です。
サービス品目に関連付けることができるのは1つのカウンタのみです。
関連項目
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