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Oracle Applications開発者ガイド
リリース12
E06048-01
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標準要求発行

標準要求発行の概要

標準要求発行は、アプリケーションのレポートを実行およびモニタリングする標準インタフェースを提供します。これによって、レポートを発行するために特別にフォームを作成および管理する必要はなくなります。さらに、アプリケーションに新規レポートを追加する際、Oracle Formsで検証ロジックをプログラムする必要もありません。

標準要求発行は、レポートの進捗状況を確認したり、レポートをオンラインで検討する際に使用するフォームのみでなく、アプリケーションのレポートやコンカレント・プログラムの発行時に使用する1つのフォームを提供します。また、標準要求発行によって、ユーザーは一度にすべてのレポートを発行可能なレポート・セットを作成できます。標準要求発行は、新規レポートの追加やレポートに渡すパラメータの指定に便利なインタフェースを備えています。

標準要求発行は、レポートの発行およびモニターに必要なすべての機能を備えているため、ユーザーがコンカレント処理用語を使用することはありません。標準要求発行は、エンド・ユーザーのレポートを考慮して設計されていますが、出力のないコンカレント・プログラムの発行にも使用できます。

要求の実行、レポートの表示、要求セットの作成など、標準要求発行のエンド・ユーザー機能の詳細は、『Oracle Applicationsユーザーズ・ガイド』を参照してください。要求セットの管理、「要求の発行」ウィンドウのカスタマイズなど、標準要求発行のシステム管理者機能の詳細は、『Oracle Applications管理者ガイド』を参照してください。

アプリケーション開発の基本的な必要事項

Oracle Application Object Libraryには、次に述べるアプリケーション開発の基本的な必要事項を満たす機能が備わっています。

主要機能

「要求の発行」フォーム

「要求の発行」フォームは、レポートやプログラムの実行に使用する標準フォームです。レポートを実行する要求や、レポートのパラメータを検証するプログラム・トリガー・ロジックを発行するためのフォームを作成する必要はありません。

簡単に習得および使用できる1つのフォームのみでレポートや要求セットの発行を実行できるので、ユーザーは時間を節約できます。ユーザーは、必要なレポートや要求セットを迅速に発行できます。さらに、ポップアップ・ウィンドウによって、レポート内の参照情報を簡単に選択できます。

自動再発行

標準要求発行によって、レポートまたは要求セットの周期的な再発行を自動的に行うことができます。レポートまたは要求セットを発行するときに、開始日と開始時間、再発行する間隔、要求された再発行時間または要求完了の間隔を測定するかどうかを指定できます。

あるいは、毎日同じ時間に要求を再発行する場合は、その時間を指定することもできます。さらに、要求の再発行を中止する必要がある場合は、終了日と終了時間を指定できます。

要求セット

レポート・セットの定義によって、すべてのセットを1つのトランザクションで一度に発行できます。要求セットには「要求の発行」フォームから発行したすべてのレポートとプログラムが含まれています。要求セットを使用すると、毎回実行するセットのレポートやプログラムを指定しなくても、同じレポートを定期的に発行できます。

ユーザーは定義した要求セットを所有し、どの職責からでも所有している要求セットにアクセスできます。Oracleシステム管理者および所有者のみが要求セットを更新できます。ユーザーは、要求セットがレポート・セキュリティ・グループに含まれている場合には、所有していない要求セットも実行できます。

要求セットのオプション

要求セット内のレポートを、特定の順番で実行するかどうかを定義できます。セットのレポートに順次実行を指定した場合、要求セット内のレポートが異常終了した際にそのセットの実行を継続するか、実行を中止するかを制御できます。

セットの各レポートに対して、出力プリンタ、コピー部数、および出力をオペレーティング・システム・ファイルへ保存するかどうかを指定できます。標準要求発行はこれらのオプションを保存するため、要求セットを実行する度にオプションを指定する必要はありません。

要求セットのログ・ファイル

Oracle Application Object Libraryは、要求セット内のすべてのレポートの完了ステータスを記述したログ・ファイルを生成します。要求セット内のあるレポートが正常に実行されなかった場合、即座に対象のレポートを特定し、原因を確認するために詳細ログ・ファイルを参照できます。

要求の表示

「要求の表示」フォームを使用してレポートの進行状況をモニターできます。レポートが完了した後、すべてのレポートが印刷されるのを待つことなく、スクロール・ポップアップ・ウィンドウを使用してオンラインで参照できます。

アプリケーション間レポート

ユーザーは、現在使用中のアプリケーション以外のアプリケーションに属するレポートを実行するために、標準要求発行を使用できます。Oracle Applications製品はAPPSスキーマを使用しているため、アプリケーション間レポート機能は非常にシンプルになったといえます。ただし、カスタム・スキーマやカスタム・アプリケーションがある場合や、複数のAPPSスキーマを使用しているところでアプリケーション間レポート機能を有効にする場合は、ORACLE DBAにおいて、「要求の発行」フォームがレポート・パラメータを検証するために必要なレポート・アプリケーションの表に確実にアクセスできるよう設定する必要があります。コンカレント・マネージャは、自動的にレポート・アプリケーション関連のORACLEスキーマを使用して、レポートを実行します。

Oracle Applicationsシステム管理者は、各職責に対してデータ・グループを定義します。データ・グループは、アプリケーション名とORACLEスキーマの一覧を保持しています。職責のデータ・グループによって、あるアプリケーション名に対して使用されるORACLEスキーマが決定されます。

定義

子要求(サブ要求)

子要求(サブ要求)は、別のコンカレント要求(親要求)によって発行された要求です。標準要求発行の場合、要求セットは、要求セットを発行するときに、要求セットとそれに含まれるプログラムを発行します。要求セットがコンカレント処理のためにレポートを発行する場合は、要求セットに含まれるレポートは子要求になります。

パラメータ

レポートの実行時に指定する値です。たとえば、監査レポートを実行する場合、レポートの実行時にパラメータとして監査日を指定できます。

親要求

親要求は、別のコンカレント要求を発行するコンカレント要求です。標準要求発行の場合、要求セットが親になります。要求セットを発行するときに、要求セットは要求セット内のレポートやプログラムを発行します。親要求は、順次か並列か、すなわち発行する要求が一度に実行するのは1つかまたはすべてかを決定します。

プログラム・アプリケーション

「コンカレント・プログラム」ウィンドウで、レポートを登録したアプリケーションです。

職責アプリケーション

「職責」フォームで、職責を定義したアプリケーションです。

パラメータとして入力したものです。値には、日付、名前、テキストまたは数字があります。「要求の発行」フォームは、有効な値を確実に選択できるように、ほとんどのパラメータに対して値リストを提供します。

値セット

エンド・ユーザーがプログラムの実行時に入力した値に対してOracle Application Object Libraryが検証する値セットです。検証ルール、書式の制約、その他のプロパティを指定することによって値セットを定義します。たとえば、アプリケーションの表で検証される文字列を値とする値セットを定義できます。Oracle Application Object Libraryが別のレポート・パラメータを検証するときに、同じ値セットを使用するように指定することもできます。さらに、フレックスフィールドでレポート・パラメータを検証するために値セットを使用することもできます。

レポートおよびプログラムへのアクセスの制御

レポート発行セキュリティの定義

システム管理者は、アプリケーション内のレポートやプログラムにアクセス可能な職責を管理します。開発者およびシステム管理者は、最初にレポートと要求セットの関連グループを作成する必要があります。新規に職責を定義するときに、その職責に対してレポート・セキュリティ・グループを割り当てます。

メニューの定義

開発者およびシステム管理者が新規メニューを定義するときには、「標準要求発行」レポートにアクセスする各職責のメニューに、「要求の発行」、「要求の表示」、「要求セット」の定義の各ファンクションを加える必要があります。「要求の発行」フォームにアクセス可能な職責に対する要求グループを必ず定義してください。

関連項目: 『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - セキュリティ』の「メニュー」ウィンドウに関する項

標準要求発行の実装

標準要求発行を利用するには、次の作業が必要です。

次の項では、前述した項目を実装するための提案事項について述べます。

標準要求発行用レポートの開発

コンカレント・プログラムを記述し、これを標準発行レポートとして定義します。パラメータ・ウィンドウについて検討し、パラメータを検証するのに必要な値セットを特定します。標準要求発行がレポート・パラメータの検証に使用する新規値セットを定義します。標準要求発行はエンド・ユーザーによるレポート処理を考慮して設計されていますが、ユーザーは「要求の発行」フォームを使用してカスタム・コンカレント・プログラムを発行できることにも注意してください。

レポートまたはプログラムの記述

レポートがパラメータを要求する場合、ポップアップ・ウィンドウでユーザーが入力したのと同じ順序でレポートにパラメータを渡す必要があります。開発者は、Oracle Reportsのレポートを除く全でのレポート形式に対して、レポートとポップアップ・ウィンドウの両方でパラメータを同じ順序にしておく必要があります。レポートがOracle Reportsのレポートである場合は、順序は重要ではありません。これは、パラメータがパラメータ名(トークン)付きでレポートに渡されるためです。

レポートの記述が完了した後、レポートをプラットフォーム内の適切な場所に格納します。たとえば、Unixの場合、使用しているアプリケーションのトップ・ディレクトリ下のsqlまたはsrwディレクトリを使用します。

レポート・ファイルを実行ファイルとして定義するには、「コンカレント・プログラム実行ファイル」ウィンドウを使用します。この実行ファイルは、コンカレント・プログラムを定義するために使用します。

パラメータのポップアップ・ウィンドウの設計

レポートが要求するパラメータを決定します。次に、ユーザーが「要求の発行」フォーム上のポップアップ・ウィンドウで入力するパラメータの順序を決めます。ポップアップ・ウィンドウを定義するには、各パラメータに対して1つの値セットも定義する必要があります。ユーザーが有効な値を選択できるように、値セットを制限します。ユーザーが前述のパラメータに対して入力した値をもとに、表で検証されたパラメータに対する値一覧を制限するオプションがあります。値セットの定義時にカスケード従属の定義を使用して、これらの制限を設定します。

ポップアップ・ウィンドウではユーザーにわかりやすい値を使用する一方で、レポートには内部ID番号のようなユーザーに対して意味を持たないパラメータ値が望ましい場合もあります。わかりやすい意味、説明、使用する列のみでなく、使用するIDの列も選択できます。値セットに対して、独立、従属、表、スペシャル、ペアまたは検証なしを定義できます。

詳細は、『Oracle Applicationsフレックスフィールド・ガイド』を参照してください。

パラメータ検証の定義

レポートのポップアップ・ウィンドウのパラメータ検証とフレックスフィールドのセグメント検証は非常に似ています。値に対して値セットを作成し、ユーザーには値リストを提供するかどうかを決定します。さらに、値に対してセキュリティ・ルールを設定します。

値セットの定義

通常、レポートまたは他のコンカレント・プログラムを記述するときに、特定のデータ型や値を持つパラメータを渡します。Oracle Application Object Libraryを使用してレポートを定義および使用する前に、パラメータの値セットを指定する必要があります。「値セット」ウィンドウを使用して、レポートの各パラメータの値セットを定義します。値セットの定義時には、値が必須かどうかや、値の最大サイズなどの属性のみでなく書式オプションも指定します。値セットの検証タイプには、表、独立、依存、スペシャル、ペア、なし、があります。

参照表などのアプリケーションの表を使用して、値セットの検証を行うよう値セットを定義できます。値セットの最大サイズが、検証データの格納に十分なサイズであることを確認してください。Oracle Application Object Libraryは、定義した値セットを使用してレポートに渡すパラメータを検証します。

すでにキーや説明用フレックスフィールドに値セットを定義している場合は、これらの値セットをコンカレント・プログラム・パラメータの検証に使用できます。値セットがフレックスフィールドと共有されている場合、ユーザーが選択できるレポート・パラメータ値はフレックスフィールドの値セキュリティの影響を受けることがあります。各パラメータに対して、セキュリティを有効にするかどうかを指定する必要があります。

値セットが特別およびペアである場合は、レポートにパラメータとしてフレックスフィールドの組合せを渡すことができます。あるいは、特別値セットから他のユーザーの終了をコールできます。

詳細は、『Oracle Applicationsフレックスフィールド・ガイド』を参照してください。

値セットに対する値の定義

レポートのパラメータの登録後、各レポートのパラメータは値セットを参照します。独立または依存の値セットを使用している場合は、「セグメント値」フォームを使用して対応する値を入力できます。

「セグメント値」フォームを使用することによって、値セットを容易に識別できます。値を定義するプログラムやパラメータを選択するには、「検索」ウィンドウを使用します。

詳細は、『Oracle Applicationsフレックスフィールド・ガイド』を参照してください。

レポートまたは他のプログラムの定義

ユーザーが「要求の発行」フォームまたはアプリケーション・フォームからレポートを実行する前に、Oracle Application Object Libraryを使用してレポートをコンカレント・プログラムとして定義する必要があります。レポートを登録するには「コンカレント・プログラム」フォームを使用します。別のコンカレント・プログラムと同様にレポートを定義し、コンカレント・プログラム実行ファイルの定義も行います。ユーザーが「要求の発行」フォームを使用してプログラムを実行できるようにするには、「コンカレント・プログラム」フォームの「SRSで使用」チェック・ボックスを選択します。

パラメータの登録

レポートがパラメータを要求する場合は、「パラメータ」ボタンを押して、レポート・パラメータを定義する「パラメータ」ブロックを表示します。

レポート・パラメータの登録中に、ユーザーが「要求の発行」フォームでレポートを発行するときに現れるポップアップ・ウィンドウの構成も定義します。ポップアップ・ウィンドウで表示される順序およびレポートが要求する順序で、レポート・パラメータを入力します。標準要求発行は、指定した順序でレポートに引数を渡します。検証パラメータ表に対して異なる値列と意味列を指定した場合、ポップアップ・ウィンドウでユーザーが入力したパラメータと標準要求発行がレポートに渡したパラメータは異なる可能性があることに注意してください。

すべてのパラメータが有効であることを確認します。有効値、パラメータが値を要求するかどうか、セキュリティは有効かどうか、デフォルト値などがある場合はそれを識別する値セットを指定します。パラメータをユーザーに対して表示する必要があるかどうかを指定します。「高/低」の関連で2つの値をリンクする場合は、「範囲」フィールドで「高」または「低」を選択します。「低」の値は「高」の値の前に置く必要があります。

Oracleシステム管理者メニューからアクセス可能な「要求セット」ウィンドウによって、レポートのパラメータを選択して表示できます。

パラメータのデフォルト

ユーザーがパラメータを入力するか、あるいは「表示」チェック・ボックスを選択または選択を解除して背後でレポートに渡すのかを決定します。ユーザーがパラメータを入力する場合、パラメータ入力用のプロンプトを定義する必要があります。パラメータには、デフォルトの型と値を指定できます。

パラメータが表示される場合、ユーザーは設定されたデフォルト値に値を上書きできます。パラメータが表示されない場合は、デフォルト値として設定された値がレポートに渡されます。ユーザー環境からSET_OF_BOOKS_IDなどの表示されない値をレポートに渡すには、非表示パラメータを使用します。

関連項目: 『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - 構成』の「コンカレント・プログラム」ウィンドウに関する項

アプリケーション間レポート

標準要求発行のアプリケーション間レポート機能を使用して、現行ユーザーの職責に関連したアプリケーション以外のアプリケーションに属するレポートを実行できます。

使用するORACLE IDの決定方法

標準要求発行を使用してレポートを発行するときに、コンカレント・マネージャは要求処理のために使用するORACLEスキーマを決定しますが、この決定方法は前リリースの方法から変更されています。コンカレント・マネージャはRapid Installプロセスで記録された情報にアクセスして、サイトにある製品とその製品の内部依存性を検出します。

Rapid InstallおよびOracle Applicationsのシステム管理者は、アプリケーション名とORACLEスキーマのペアの一覧を含むデータ・グループを設定します。各職責に対してデータ・グループが割り当てられます。「要求の発行」フォームからコンカレント・プログラムを実行する場合、プログラムのアプリケーション名は職責のデータ・グループにおける関連ORACLEスキーマと一致しています。

他のアプリケーションの検証表へのアクセス

標準要求発行のアプリケーション間レポート機能によってレポートを実行する場合、「要求の発行」フォームはレポートのアプリケーションのORACLEスキーマを使用してレポートのパラメータを検証します。職責のデータ・グループにより、アプリケーション名とORACLEスキーマが一致します。データベース管理者は、「要求の発行」フォームがレポートのパラメータの検証に使用するORACLEスキーマが、レポートに使用される検証表にアクセスするのに必要な許可、シノニム、データベース権限をすべて持っていることを確認する必要があります。

Oracle Applications製品はAPPSスキーマを使用しているため、アプリケーション間レポート機能は非常にシンプルになりました。ただし、カスタム・スキーマやカスタム・アプリケーションがある場合や、複数のAPPSスキーマを使用しているところでアプリケーション間レポート機能を有効にする場合は、ORACLE DBAにおいて、「要求の発行」フォームがレポート・パラメータを検証するために必要なレポート・アプリケーションの表に確実にアクセスできるよう設定する必要があります。コンカレント・マネージャは、自動的にレポート・アプリケーション関連のORACLEスキーマを使用して、レポートを実行します。

たとえば、「要求の発行」フォームを使用してOracle Purchasing職責でOracle Payablesレポートを実行すると想定します。Oracle Payablesレポートのパラメータは、Oracle PayablesのORACLEスキーマにある表に対して検証されます。Oracle Purchasing職責に割り当てられたデータ・グループは、Oracle Payables(APPSの場合もある)に関連付けられたORACLEスキーマのリストを含んでいます。レポートはこのORACLEスキーマで実行します。

別のアプリケーションに関連する職責でカスタム・アプリケーション・レポートを発行する場合は、開発者およびシステム管理者は正しいORACLEスキーマを使用したコンカレント・マネージャを提供する必要があります。カスタム・レポートを使用してすべての職責のデータ・グループにカスタム・アプリケーションを含める必要があります。

関連項目: 『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド』