Oracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイド リリース12.2 E51768-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
パッチは、Oracle E-Business Suiteシステムのライフ・サイクル全体を通して適用されます。この保守は、次のような様々な理由で必要となる場合があります。
既存の問題の修正
新しい問題の原因の判断
新機能の追加
より高いメンテナンス・レベルへの更新
製品の最新拡張機能の適用
オンライン・ヘルプの適用
新規または変更されたテクノロジ・スタック・コンポーネントまたはバージョンに関する相互運用性の提供
パッチのタイプによっては、パッチにより、Oracle E-Business Suiteファイル・システム、データベースまたはその両方が更新される場合があります。
注意: Oracle E-Business Suiteのパッチは、My Oracle Supportで入手できます。
通常、パッチは、複数ファイルを含む可能性のある最上位ディレクトリおよび1つ以上のサブディレクトリで構成されます。最上位ディレクトリには<patchnum>という名前が付けられます。<patchnum>はそのパッチの番号を示します。最上位ディレクトリで最も重要なファイルは、README.txt、README.htmlおよび統合ドライバ・ファイル(u<patchnum>.drv)です。
README.txtまたはREADME.htmlファイルでは、パッチの動作内容について説明しています。パッチに手動ステップが含まれる場合、READMEファイルには、カスタマイズされたインストール手順を生成するためのOracle Patch Application Assistant(PAA)の使用に関する情報が含まれます。パッチに手動ステップが含まれない場合、READMEファイルでは、adopユーティリティを使用してパッチを適用する手順について説明しています。
統合ドライバ(u<patchnum>.drv)には、ファイルおよびデータベース・オブジェクトの変更や、新規オブジェクトの生成に必要なコマンドが含まれています。また、コピー、データベースおよび生成手順の順序リストが項に分けて含まれています。通常、統合ドライバはすべてのAPPL_TOPで実行します。adopユーティリティでは、現在のAPPL_TOPに必要な処理のみが実行されます。ただし、ドライバの適用可能な部分のみを実行する場合もあります。この場合は、PAAを実行して特定の手順を生成する指示がREADMEファイルで示されます。
パッチの形式では、パッチをパッケージ化して適用する方法について説明します。累積型と呼ばれるパッチの形式では、指定されたコードラインについて、リリースの初期から最新のリリース・レベルまでの一連の更新内容がパッチに含まれます。
追加で、パッチの形式が高優先度として示される場合があります。このことは、このパッチの影響範囲が広く、影響を受ける製品をインストールしているすべての顧客が適用するメリットがあることを意味します。
注意: My Oracle Supportにログインして、使用可能な最新のパッチを確認できます。「パッチと更新版」タブをクリックして、「最新のパッチセット、 ミニ・パックおよびメンテナンス・パックへのクイック・リンク」リンクを選択します。
リリース12では、Oracle E-Business Suiteのパッチはコードラインとしてグループ化されています。コードラインは、製品機能の一意のセットで構成されるポイント・リリース(リリース12.0など)から開始し、そのポイント・リリースを保守するために作成されたすべてのパッチを含めるように進行します。初期のリリース12.0のポイント・リリースで、コードラインAが導入されました。追加のポイント・リリースでは新しいコードラインが導入され、それぞれ一意の文字で識別されます。たとえば、リリース12.1ではコードラインBが導入され、リリース12.2ではコードラインCが導入されます。
重要: リリース、コードラインおよびコードレベルに関するこの説明は(例として使用されている図を含む)、単にコードラインとコードレベルの概念を示すことを目的としています。Oracle製品の一部としてリリースを確約するものではありません。
コードライン
コードラインおよびそれに関連付けられたコードレベルにより、パッチの前提条件、依存性および互換性を簡単に追跡できます。
コードラインに関連付けられたパッチでは、そのポイント・リリースの製品機能セットが実装されているだけでなく、該当する機能セットに対する修正も提供されます。ポイント・リリースに対するこの製品機能の一意のセットはコードレベルと呼ばれ、一意の番号が割り当てられます。
次の図に、Oracle E-Business Suiteリリース12のコンテキストにおけるコードラインとコードレベルの関連を示します。
コードレベル
さらに、コードレベルにより、個々の製品のパッチが識別されます。たとえば、Oracle General Ledger(GL)がシステムに関連付けられている場合、コードレベルR12.GL.A.1はコードレベルR12.GL.Aの最初の修正セット、R12.GL.A.2は2番目の修正セット、のように続きます。コードレベルは累積的であり、それぞれには、その製品や製品ファミリの初期の機能セットと、それまでに作成されたすべての修正が含まれます。
個別のバグ・フィックスがコードラインに従って作成されると、後続のコードラインにそのバグ・フィックスが含められます。たとえば、前の図では、コードラインAに伴う2つのバグ・フィックスがコードレベルA.2に含められます。
製品または製品ファミリの初期のポイント・リリースの後に作成されたすべてのコードレベルは、リリース更新パック(RUP)にまとめられます。RUP1はR12.0.1に相当し、RUP2はR12.0.2に相当する、というように続きます。RUPでは、バグ・フィックスが提供されます。また、機能拡張が提供される場合もあり、これにより、システムに限定的な影響を与える新規機能を使用できるようになります。
RUP内のコードレベル
新しいポイント・リリースには、システムに大きな影響を与え、その操作を変更させる可能性のある新規機能が含まれます。このリリースにより、新規コードライン(コードラインBなど)が開始されます。この時点で、新規コードラインにアップグレードして新規機能を採用したり、既存コードラインを維持することを選択できます。既存コードラインを維持する場合、バグ・フィックスおよび拡張は、既存の機能を対象に引き続き提供されます。
警告: 個々のバグ・フィックスを適用する場合、既存のコードラインを対象とするバグ・フィックスのみを適用するようにしてください。
注意: システムにインストールされている各製品に対するコードラインおよびコードレベルの判断の詳細は、「Codelevels Introduced by the Patch」で説明されている「Codelevels Summary」ページを参照してください。
このマニュアルの後半で説明されているとおり、Oracle E-Business Suiteリリース12.2システムに対するパッチは、ユーザーがシステムにアクセスしているときにオンラインで適用されます。ただし、オンライン・パッチ適用では、外部システムへのパッチ適用はサポートされていません。つまり、Oracle E-Business Suiteに統合されている外部システムには、ソフトウェア・パッチまたはメタデータ・パッチをオンライン・パッチとして適用できません。
これは、Oracle E-Business Suiteリリース12.2オンライン・パッチ適用はOracle E-Business Suiteデータベースのみを対象としており、かつ、他のデータベースにおけるエディションベースの再定義(EBR)の使用が、Oracle E-Business Suiteに対して透過的であるためです。このようなEBRの使用には、Oracle E-Business Suiteに統合されているOracle Fusion Middleware製品の外部データベースでリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して作成されたスキーマなどがあります。このことは、製品のうち、Oracle WebCenter Portal、Oracle Access Manager、Oracle Internet DirectoryおよびOracle SOA Suiteに該当します。
Oracle E-Business Suiteに統合されている外部製品に適用されるパッチには、同様の制限が存在します。このような製品にはOracle Discoverer、SOA Suite/BPEL、OBIEE、ODI、Oracle EBS AccessGateおよびOracle E-Business Suiteテクノロジ・スタックに組み込まれていないその他のOracle Fusion Middleware製品が含まれます。最終的に、この制限は、外部システムにパッチを適用するためのメタデータを提供する、Oracle E-Business Suiteのパッチにも適用されます。
Oracle E-Business Suiteシステムを対象としたパッチ適用および保守方法を計画して実行する場合、次に示す順序で関連タスクを実行する必要があります。
最新のOracle E-Business Suiteリリース更新パックを適用します。
最新のOracle E-Business Suiteファミリ・パックを適用し、推奨パッチ・リスト(ATGリリース更新パックやAutoConfig更新など)のすべてのパッチを適用します。
すべてのテクノロジ・スタック・コンポーネントを最新の認証済レベルにアップグレードします。
最新のOracle Database Patchset Update(PSU)および付属するOracle E-Business Suite相互運用性パッチ(サイトごとに異なります)を適用します。
関連する修正が項目1から4にリストされたリリース手段に含まれるまで待機できない場合(にかぎり)、特定の個別パッチ(以前のワンオフ・パッチ)を適用します。このことは、Oracle E-Business Suiteとテクノロジ・スタック・コンポーネントの両方のパッチに該当します。
パッチの適用と追跡は、この目的専用に設計されたいずれかのユーティリティを使用して、必要に応じて行われます。これらのユーティリティにはコマンドラインから実行するものもあれば、Webベースで実行するものもあります。この項では、これらのユーティリティについて簡潔に説明します。ユーティリティの詳細は、このマニュアルの後半の章を参照してください。
この項のユーティリティは、すべてコマンドラインから実行されます。
adopは、Oracle E-Business Suiteファイル・システムまたはデータベースにパッチを適用するために使用するユーティリティです。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2では、新しいユーティリティadop(AD Online Patching)が導入されました。
個別にパッチを適用する場合、すべてのパッチに共通のタスクを複数回実行する必要があります。従来は、共通タスクの実行が1回で済むように、複数のパッチを1つのパッチにマージするためにAD Merge Patchツールが使用されていました。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2では、AD Merge Patchのすべての機能がadopパッチ適用ツールに組み込まれました。デフォルトでは、adopを使用すると、「patches」パラメータに指定されたすべてのパッチが自動的にマージされます。
必要に応じて、AD Merge Patchを引き続き使用することもできます。この場合、adop入力ファイルにmerge=noと追加して、adopによるパッチのマージを無効化する必要があります。
Oracle Patch Application Assistant(PAA)を使用すると、パッチ適用中に手動ステップを追跡したり実行するのに役立ち、手動ステップの形式が一貫します。手動ステップを含むパッチの場合、パッチのREADMEファイルに、すべてのシステムの一般的な手順が記述されています。READMEファイルの指示には、システムに固有の手順を生成するためにPAAを使用するように示されています。マージされたパッチについては、個々のパッチのREADMEファイルの内容が、PAAによって1つのREADMEファイルに自動的に結合されます。
PAAにより、インストールに固有のカスタム手順セットが生成され、適用するすべてのパッチに関連する手動ステップが統合されて表示されます。各手動ステップを正常に実行した後、PAAインタフェースで「Completed」としてこのステップを記録できます。その後、将来パッチを適用するときに、このレコードを参照し、すでに完了したステップを確認できます。指定されていないかぎり、以前に完了した手動ステップを繰り返す必要はありません。
この項で説明するWebベースのユーティリティには、すべてOracle Applications Manager(OAM)を使用してアクセスします。
Applied Patchesを使用すると、システムに適用されたパッチのリストについてパッチ履歴データベースを問い合せることができます。Applied Patchesインタフェースから、パッチ番号とタイプ、ドライバ・ファイル名、プラットフォームとバージョン、適用済パッチの場所、パッチの内容と言語、変更またはコピーされたファイル、各ドライバ・ファイル内のバグ・フィックス、パッチ適用が成功したかどうか、タイミング情報などのパッチ情報を表示できます。
File Historyを使用すると、パッチによって更新されたファイルの履歴を表示できます。たとえば、ファイルが存在するAPPL_TOP、ファイルが存在するディレクトリ、ファイルを所有する製品ファミリ、ファイルの名前、ファイルのバージョン、ファイルが変更された日付、パッチ詳細レポート、およびファイルに関する更新の処理要約レポートを表示できます。
パッチ適用処理で重要な点は、推奨される新しいパッチに迅速に対応し、実際に適用する前にパッチが与える影響を分析することです。Patch Wizardを使用すると、システムには適用されていないが、システムを最新の状態に保つために推奨されているパッチを判別できます。また、このウィザードを使用すると、個々のパッチの適用によるシステムへの影響をプレビューできます。
Timing Reportsを使用すると、実行中のジョブをモニターするのに役立ち、完了したadopおよびAD Administrationのメンテナンス・セッションの統計を表示できます。タスク名、タスクを完了するためにかかる時間、開始時間、終了時間などの情報を表示できます。
Register Flagged Filesでは、カスタマイズを集中的に登録できます。Register Flagged Filesを使用して、カスタマイズ・ファイルのレコードをインポート、エクスポート、追加、削除および表示します。このユーティリティにより、Oracle E-Business Suiteの以前のリリースで使用されたapplcust.txtファイルが置換されます。
Software Updatesは、システムのパッチ適用関連アクティビティすべてを表示できるポータルです。
Copyright © 1994, 2013, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.