Oracle Applications概要 リリース12 E05390-02 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
Oracle Applicationsリリース12は、ワールドワイドな企業の複雑な要件を満たす単一のグローバル・インスタンスに、簡単に配置できるように設計されています。グローバリゼーションは、グローバル企業をサポートするソフトウェアを設計および配置するプロセスです。リリース12によって提供される主なグローバリゼーション機能では、様々な言語や地域、各国の慣習に適合する柔軟な日付や数値の書式、報告通貨など、各国の法定要件に準拠するための国固有の機能がサポートされています。
リリース12のApplications製品の大多数が、Unicodeキャラクタ・セットを利用した複数言語サポートを製品データ・レベルで提供しています。Unicodeでは、現在世界で共通に使用されている言語のすべての文字がサポートされるため、単一データベースで実行可能なサポート対象言語数に固有の制限はありません。
注意: キャラクタ・セットの詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。Oracle Applicationsリリース12におけるグローバリゼーションの詳細は、OracleMetaLinkのNote 393861.1の「Oracle Applications Globalization Support Guide (Release 12)」を参照してください。
各国語サポート(NLS)は、サポート対象言語(特定地域の数値および日付書式を含む)でApplicationsインスタンスを実行する機能を指します。
多言語サポート(MLS)は、同じOracle Applicationsインスタンスで複数の言語をサポートする機能を指します。Applicationsリリース12のほとんどの製品がMLS対応です。MLSアーキテクチャでUnicodeキャラクタ・セットを使用することにより、Oracle Applicationsでは1つのデータベース・インスタンスから任意のサポート言語を組み合せて使用することができます。最も広範なキャラクタを網羅しているため、多言語をサポートする、あるいはサポートする予定のインストールのキャラクタ・セットとして、UTF8などのUnicodeキャラクタ・セットをお薦めします。Oracleでは、リリース12で30を超える言語をサポートしており、NLSパッチを介してインストールされます。
注意: サポート対象言語の全リストは、『Oracle Applicationsインストレーション・ガイド: Rapid Installの使用方法』を参照してください。
Rapid Installでは、デフォルトで、本番データベースはUS7ASCIIキャラクタ・セットで、Visionデモ・データベースはUTF8などのUnicodeキャラクタ・セットで作成されます。ただし、インストール中、必要に応じてサポートされている他のキャラクタ・セットも選択できます。Rapid Installでは、ライセンスを取得している言語に基づいたキャラクタ・セットをお薦めします。
Oracle Applicationsをインストールする前に、自社のインストールの将来的な言語要件について慎重に検討する必要があります。インストール時に選択するキャラクタ・セットにより、インスタンスでサポート可能な言語が決まります。キャラクタ・セットを選択する前に、『Oracle Globalization Support Guide』を参照してください。インストール後のキャラクタ・セットの変更には、複雑なプロセスを要します。これを避けるには、長期的なニーズに合ったキャラクタ・セットを最初に選択しておくことです。
US7ASCIIキャラクタ・セットは、英語(アメリカ)のみをサポートします。他のすべてのキャラクタ・セットでは、サポートする言語の数が異なります。たとえば、フランス語をサポートする必要があり、さらにユーロ記号も使用する場合、WE8ISO8859P15がUS7ASCIIのスーパーセットになります。このキャラクタ・セットでは、英語とフランス語の両方がサポートされており、ユーロ記号も含まれています。たとえば英語、フランス語、日本語およびアラビア語をサポートする必要がある場合、これらのすべての言語をサポートできるようにするには(UTF8などの)Unicodeキャラクタ・セットを選択する必要があります。
リリース12データ・モデルの拡張複数言語サポートにより、データベース記憶域要件が増加する可能性があります。新規のインストールでは、単一の言語に必要なデータベース領域を検討し、この領域とライセンスを許諾する言語の数を掛け算します。アップグレードする場合、現在単一の言語体系にあるデータの一部が、追加の記憶域を必要とする複数言語体系に変換されます。
注意: キャラクタ・セットのインストールの詳細は、『Oracle Applicationsインストレーション・ガイド: Rapid Installの使用方法』を参照してください。
Unicode UTF8またはJapanese JA16EUCなどのマルチバイト・キャラクタ・セット(WE8ISO8859P15などのシングルバイト・キャラクタ・セットと相違)を使用すると、使用される文字が2バイト以上の記憶域を必要とする場合があるため、言語設定およびトランザクション・データに必要な全体的な領域にも影響することがあります。
注意: サポートされているキャラクタ・セット、データベース・キャラクタ・セットを選択する際のヒントおよび記憶域要件の詳細は、『Oracle Globalization Support Guide』を参照してください。
US7ASCIIキャラクタ・セットを使用すると本番インスタンス用のアプリケーション層ファイル・システムが、UTF8キャラクタ・セットを使用するとVision Demoデータベース用のファイル・システムが、Rapid Installによりデフォルトで作成されます。ただし、インストール中、必要に応じてサポートされている他のキャラクタ・セットも選択できます。Rapid Installでは、ライセンスを取得した言語に基づくアプリケーション層のキャラクタ・セットをお薦めします。
データの損失を防ぐには、すべての層のキャラクタ・セットで相互に互換性がある必要があります。一方のキャラクタ・セットに他方のキャラクタ・セットのすべての文字が含まれていない場合、代替文字が使用され、その結果データが失われます。
注意: UTF8はサポートされている他のすべてのキャラクタ・セットのスーパーセットであるため、完全に互換性のあるキャラクタ・セットは他に存在しません。データベース層でUTF8を使用する場合、すべての層でUTF8を使用する必要があります。
Rapid Installによりアプリケーション層のすべてのサーバーに英語(アメリカ)がインストールされます。また、すべてのアプリケーション層サーバーに、同一の言語セットがインストールされているようにするには、追加言語をインストールする必要が生じる場合があります。
言語サポートには、データ入力方法、キャラクタ・セットおよびフォントについてのサポートが含まれており、デスクトップ・クライアントで使用できる必要があります。ブラウザのキャラクタ・セットは、各セッションのOracle Applicationsで設定されます。
デスクトップ・ブラウザでは、キャラクタ・セットおよび言語固有な機能がサポートされている必要があります。たとえば、ヘブライ語やアラビア語では、右から左へ表示するための両方向サポートが必要であり、またアラビア語では、特殊文字形状の表示が可能なブラウザも必要です。
リリース12では、ユーザーのランタイムNLS設定はプロファイル・オプションとしてデータベースに格納されます。言語および地域に関するプロファイル・オプションは、Rapid Installの実行時にサイト・レベルで構成されます。ベース言語は、デフォルトの言語設定に使用されます。選択したデフォルトのユーザー地域は、地域プロファイル・オプションで使用されます。
サイト・レベルのプロファイル・オプション値は、すべてのエンド・ユーザーのデフォルトのNLS設定となります。ユーザーは、E-Business Suiteホーム・ページを使用してOracle Applicationsに最初にログオンするとき、これらの値を継承します。ユーザーは引き続きデフォルト値を使用するか、またはNLS設定のいずれかを代替値に変更できます。更新された値は、ユーザー・レベルでデータベースに格納され、以降のセッションはすべてこの値で開始されます。
ユーザーNLS設定(言語、地域、日付書式および数値書式など)はすべて、各ユーザー要求と一緒にアプリケーション層サーバーに渡され、対応するNLS設定を使用してセッションが開始されます。アプリケーション層のプロセスは、Rapid Installを実行したときに決定したサーバーのキャラクタ・セットを使用して開始する必要があります。
日付は、12-31-06、31/12/06または2006-12-31などの任意の有効な書式で入力および表示できます。唯一の例外はOracle Reportsで、常にDD-MON-RRRR(例: 31-DEC-2006)という書式が使用されます。
また、ピリオド(終止符)文字またはカンマのどちらかを小数セパレータとして使用し、数値を入力および表示できます。たとえば、1.02または100,000.02(ピリオドを使用)あるいは1,02や100.000,02(カンマを使用)となります。
注意: 日付および数値書式の詳細は、『Oracle Globalization Support Guide』を参照してください。
日付や数値の入力には様々な書式を使用できますが、実際の値は一定の標準書式でデータベースに格納されます。これにより、日付および数値の値をある書式で入力し、別のユーザーが他の書式で表示できます。
この項では、複数の国(場合によっては世界中)で使用されるアプリケーションの設計および実装に伴う主要な基準を説明します。
リリース12のOracle E-Business Suiteには、ユーザー優先タイムゾーン・サポートと呼ばれる機能が標準として含まれています。既存のE-Business Suite実装のほとんどでは、すべてのユーザーが「企業」タイムゾーン内でシステムを操作します。これは、通常、実装企業の本社のタイムゾーンであり、データベースが動作しているタイムゾーンになります。これは、リモート・ユーザーが自分の場所と企業本社の場所の時差を認識する必要があることを意味しています。
ユーザー優先タイムゾーンの機能を使用すると、ユーザーは時間付き日付フィールドの表示と入力の両方に自分のローカル・タイムゾーンを指定できます。これにより得られる主要な結果は、次のとおりです。
ユーザーは、時間付き日付フィールドを好きな(ローカル)タイムゾーンで表示し、そのタイムゾーンの時間で日付を入力できます。
時間コンポーネントのない日付フィールドは、この機能の影響を受けません。
データベース内のデータは、引き続き標準の企業タイムゾーンで格納されます。
概念的には、日付フィールドには次の2種類があります。
特定の日の特定の時点を示すために使用する時間コンポーネント付き日付
特定の日を示すために使用するが、その日の特定の時点は示さない、時間コンポーネントなしの日付
時間コンポーネント付き日付フィールドは、任意のタイムゾーンで表すことができるため、エンド・ユーザーにとって最も意味のあるタイムゾーンで表示できます。一般に、ユーザーは自分の(ローカル)タイムゾーンでの日付表示を希望します。ユーザー優先タイムゾーンの機能が有効な場合、時間付き日付フィールドはユーザーの優先タイムゾーンに変換されて表示されます。
時間コンポーネントなしの日付フィールドは、特定の時間を含まない日付の場合には意味のある変換ができないため、異なるタイムゾーンで表すことはできません。このような日付は、1つのタイムゾーンに対して入力し、一般に、表示している場所(多くの場合は異なるタイムゾーン)に関係なくそのタイムゾーンの日として表示する必要があります。Oracle E-Business Suiteでは、通常、このような日の定義に企業タイムゾーンを使用します。つまり、時間コンポーネントなしの日付は企業本社に関する日(企業日)を表します。
このルールにはいくつかの例外があります。たとえば、時間コンポーネントなしの日付は、表示しているタイムゾーンとは独立して日付を表すためにANSI日付として保持される場合があります。このような場合、1月1日に開始される給付は、その給付が利用可能であれば世界中のどこでもその日付に開始されます。つまり、1月1日のタイムゾーンにいる人にはだれにでも適用されることになります。
時間コンポーネントなしの日付の多くが、会計期間に対するポインタを表します。これらの日付は、取引が発生した正確な時と分ではなく、その取引が計上される会計期間を示すためものものです。これは、実装企業の観点からは会計バケットです。たとえば、買掛/未払金請求書または売掛/未収金請求書の請求日付が、だれがその日付を参照しているかで変わることは決してありません。表示している人とそのタイムゾーンには関係なくその日(つまり、その期間)の請求書として分類されているためです。
注意: Oracle Applicationsを複数タイムゾーンを使用するように設定する方法の詳細は、『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - 構成』を参照してください。OracleMetaLinkのNote 402650.1の「User Preferred Time Zone Support in Oracle E-Business Suite Release 12」も参照してください。
報告通貨機能(第15章で詳述)を使用すると、会計レコードを1つ以上の機能通貨で報告および保守できます。これは補助元帳仕訳レベル、総勘定元帳仕訳レベルまたは残高レベルで実現できます。1つ以上の報告通貨を定義し、それをGeneral Ledgerの会計設定マネージャを使用して主要元帳または副元帳に割り当てます。
副元帳はオプションの追加元帳で、会計設定のために主要元帳と関連付けられています。副元帳は、主要元帳の会計データを、勘定体系、会計カレンダ/期間タイプ組合せ、通貨または補助元帳会計処理基準の1つ以上の点で主要元帳とは異なる別の会計表示で表すために使用できます。
報告通貨は、元帳通貨以外の、報告時に必要な通貨です。報告通貨はソース元帳(主要元帳または副元帳)と同じ勘定体系および会計カレンダを共有しますが、通常、異なる通貨を使用します。報告通貨により、使用している主要元帳または副元帳とは異なる通貨での報告が可能です。
各元帳は、業務取引および会計データを補助元帳と総勘定元帳に記録する主記録管理通貨である元帳通貨を使用して定義されています。主要元帳では、元帳通貨が常に主元帳通貨です。主元帳通貨は、通常、大半の業務取引を実行するときの通貨であり、法的レポート用にも使用されます。
必要なその他の通貨表記ごとに個別の報告通貨を定義する必要があります。報告通貨は、General Ledgerの会計設定マネージャを使用して主要元帳または副元帳(あるいはその両方)に割り当てます。
注意: 報告通貨の詳細は、『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の仕訳または補助元帳レベル報告通貨に関する項および『Oracle Financials Implementation Guide』の報告通貨に関する項を参照してください。
副元帳の詳細は、『Oracle Financials Implementation Guide』の副元帳に関する項を参照してください。
グローバリゼーションが成功する要件の1つに、特定の地域の法令、法的および文化的慣習に適合するという要件があります。Oracle E-Business Suiteリリース12では、この要件は、各国固有の機能と呼ばれる、国および地域的な拡張を行うことによって達成できます。各国固有の機能はすべて相互に互換性があるため、必要な各国固有の機能をすべてインストールすると、グローバル化された実装となります。
すべての国固有の機能は、Rapid Installを実行するとインストールされます。使用するローカリゼーションのライセンスを取得する必要があります。各国固有の機能は、各国向けの特別ユーザーズ・ガイドで説明されています。
外部文書とは、荷受証、請求書および梱包伝票などの顧客および取引先を対象とした文書を指します。Oracle E-Business Suiteリリース12では、任意の有効な言語で、外部文書を同時に、かつ単一の要求によって作成できます。たとえば、イタリアの会社の顧客は、イタリア語で印刷された請求書を受け取り、ポーランドの会社の顧客はポーランド語で印刷された請求書を受け取ることができます。
言語を基準にして外部文書を別々のプリンタに送信し、要求言語に基づいて完了通知を様々な人に送信できます。たとえば、フランス語のすべての文書をあるプリンタに送信し、他の文書をすべて別のプリンタに送信できます。スペイン語の文書の完了通知をあるユーザーに送信し、スペイン語を含むすべての通知を他のユーザーに送信できます。
注意: リリース12で提供されている外部文書の詳細は、『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - 構成』を参照してください。