Oracle Applicationsインストレーション・ガイド: Rapid Installの使用方法 リリース12 E05068-02 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章では、Rapid Installを使用したOracle Applicationsシステムのインストールまたはアップグレードに関する基本情報、Rapid Wizardインタフェースの概要、およびインストールまたはアップグレードを開始する前に実行する必要がある設定ステップについて説明します。
この章の構成は、次のとおりです。
Rapid Installを使用して次のタスクを実行できます。
完全に構成された新しいOracle Applicationsシステムのインストール。このシステムには、最新の認証済Oracle Applicationsテクノロジ・スタックとすべてのパッチ、MiniPack、Family Packおよびこのアプリケーション・リリースの時点で入手可能なその他の更新が含まれます。
ファイル・システムの作成およびアップグレード済システムのサーバー・プロセスの構成。
新規データベース・ノードまたはアプリケーション・ノードのテクノロジ・スタックのインストール。
Rapid Installではウィザードが使用されており、画面に表示される指示に従って選択したタスクを実行できます。ウィザードの各画面にシステムの構成値を入力すると、通常、その値は後で使用できるようにアプリケーション・データベースに保存されます。
以前のリリースのOracle Applicationsでは、入力した構成値の格納にテキスト・ファイルconfig.txtのみが使用されていました。リリース12でも、インストール処理の中断などの理由でデータベースが未作成の場合に、このファイルが使用されます。
リリース12では、この構成ファイル名が変更されてデータベースSIDが追加されており、ファイル名はconf_<SID>.txt(conf_PROD.txtなど)となります。このファイルには、すべてのデータベース・ノードおよびアプリケーション・ノードに関してRapid Installにより収集された情報が格納されます。
同じconf_<SID>.txtファイルが次の3箇所に格納されます。
Database 10g R2 <ORACLE_HOME>/appsutil: このコピーは、データベース・ノード、マルチノード・インストールのアプリケーション・ノードおよびアップグレードで使用されます。このコピーは永続的に格納され、削除されることはありません。
$INST_TOP: このコピーは、マルチノード・インストールのアプリケーション・ノードとアップグレードで使用されます。このコピーは永続的に格納され、削除されることはありません。
/tmp/<time stamp>: このコピーは、Rapid Installでインストール処理中に使用されます。このコピーは、インストールが完了すると削除されます。
構成ファイルは、複数のマシン(ノード)上でインストールを繰り返す必要のあるマルチノード(分散)インストールでも使用されます。このような場合は、各マシンに情報を再入力せずにすむように、構成ファイルをマシン間でコピーできます。情報の再入力には時間がかかり、入力エラーを招く可能性もあります。構成詳細を格納することで、情報入力が1度のみになり、必要な全マシンで同じシステム構成を使用してインストールを実行できます。
データベース層とアプリケーション層のサポートに(通常のように)異なるマシンを使用する環境にインストールする場合は、データベース・マシンから始めて各マシンでRapid Installを順番に実行します。たとえば、3台のマシンがあり、1台をデータベース層に、2台をアプリケーション層に使用しているとします。その場合は、Rapid Installをマシンごとに1度ずつ、合計3度実行します。アプリケーション層のマシンではRapid Installを順不同で実行できますが、アプリケーション・システムの複数のマシンで1度に実行することはできません。
Rapid Installで使用されるメインの構成エンジンはAutoConfigです。Rapid InstallはAutoConfigに構成情報を提供し、AutoConfigでは各ノードの構成がノード固有の構成ファイル(コンテキスト・ファイル)に格納されます。
重要: AutoConfigはOracle Applicationsリリース12に同梱されており、新規インストールに必須です。
AutoConfigにより、システム構成の管理が簡素化され標準化されます。初期インストール後は、いつでもOracle Applications ManagerでConfiguration Editorを使用して各種システム設定を更新し、AutoConfigスクリプトを実行してシステム構成ファイルに新規の値を移入できます。
注意: AutoConfig操作の詳細は、『Oracle Applications概要』のAutoConfigに関する項を参照してください。
Rapid Installでは、アプリケーション・システムに必要な多数のパラメータのほとんどに、値が自動的に入力されます。ただし、最初にインストール方法を選択します。独自のパラメータを多数入力して標準インストールを実行するか、簡易インストールを選択できます。後者の場合、Rapid Installにより、ほぼすべてのパラメータにデフォルト値が入力されます。
標準インストールでは、サイトの特定の要件にあわせてシステムを柔軟に構成できますが、デフォルト設定で十分であることがわかっている場合や、設定値が重要ではないテスト・システムを設定する場合は、簡易インストールが便利です。
どちらのタイプでも、フレッシュ・データベース(完全に構成されているが取引データが含まれないデータベース)またはVision Demoデータベース(研修またはデモンストレーション用に使用する架空の企業の取引データ例が含まれるデータベース)のいずれかをインストールできます。
Oracle Applicationsリリース12のインストール・プロセスは、グリッド・スタイル環境のニーズを満たす方向へと進み始めています。このため、プロセスが簡素化され、必要な画面や決定事項が減少しています。これが可能になったのは、固定システムでのインストール実行に関する従来の要件が少なくなり、作業中の変更がほとんどなくなったためです。現在では、成長や他の開発ニーズに対処するために、基本システムから作業を開始し、そこにマシンを追加していく方法が一般的になっています。
これがインストール・プロセスの個別ステップに及ぼす影響は後で確認できます。ここでは、使用する用語が次のように変更されていることに注意してください。
サーバーは、特定の機能を提供するプロセスを表す従来の用語です。この用語は、単一プロセスを表すという意味では、リリース12アーキテクチャの一部のコンポーネントに適切とは言えません。該当する場合は、かわりにサービスという用語が使用されています。
ノードはサーバーを論理的にグループ化したものであるため、基本的にはハードウェアではなくソフトウェアの概念ですが、特定のノードがインストールされているマシンを指すためにもしばしば使用されます。たとえば、アプリケーション・ノードは特定の構成、ノード・ファイル・システムおよびインスタンス・ファイル・システムを組み合せたもので、この3つがアプリケーション・ノードとしての機能に必要なサービスをサポートします。このマニュアルでは、主アプリケーション・ノード(唯一のアプリケーション・ノードの場合もあります)およびデータベース・ノード(Oracleデータベース・サーバーをサポートします)と呼ぶこともあります。
層は、サービスを論理的にグループ化したもので、複数の物理マシン間に分散している可能性があります。Oracle E-Business Suiteインストールを構成する3層アーキテクチャは、Oracleデータベースをサポートおよび管理するデータベース層、各種アプリケーション・コンポーネントをサポートおよび管理するアプリケーション層(中間層)、およびアドオン・コンポーネントを介して標準Webブラウザにユーザー・インタフェースを提供するデスクトップ層からなっています。
新規の標準インストールでは、構成の多数の側面を定義します。必須ノード(データベース・ノードと主アプリケーション・ノード)のインストール場所を選択する必要があります。
より単純なインストールの場合、データベース・ノードとアプリケーション・ノードを同一マシンにインストールできます。通常、このタイプのインストールは小規模システムまたはデモンストレーションに使用します。データベース・ノードを1台のマシンにインストールし、アプリケーション・ノードを別のマシンにインストールする方が一般的です。これにより、管理性、スケーラビリティおよびパフォーマンスが向上します。
アプリケーション層の処理は、複数のアプリケーション・ノードに分散できます。アプリケーション層を拡張する場合は、アプリケーション・ノードを追加指定することもできます。通常、その場合は、システムの可用性と柔軟性を高めるために、追加ノードを専用マシンに配置します。
Oracle Applicationsリリース12は、汎用APPL_TOPのみをサポートしています。つまり、APPL_TOPが各部(コンカレント処理、フォーム、Web)に分離されることはありません。ただし、すべてのアプリケーション・ノードで汎用APPL_TOPが使用されますが、ノードごとに異なるサービス・セットを指定できます。これにより、コンカレント処理やWebサービスのサポートなどに特化したノードを作成できます。
注意: Applicationsアーキテクチャおよびファイル・システムの詳細は、『Oracle Applications概要』を参照してください。
簡易インストールでは、いくつかの基本構成パラメータ(データベースのタイプと名前、最上位インストール・ディレクトリおよびポート・プールの選択など)を使用して、完全に構成されたシングルユーザー/シングルマシン・システムを設定します。残りのディレクトリ指定およびマウント・ポイントは、Rapid Installによりデフォルト値を使用して指定されます。簡易インストールには、コア製品一式が含まれ、US7ASCIIキャラクタ・セットが使用されます。
Oracle Applicationsリリース12では、Rapid Installによる分散(マルチノード)システムのインストールに、ロード・バランシングのための共有アプリケーション・ノード・ファイル・システムおよび関連プロビジョンの設定が含まれます。
リリース11iの従来のマルチノード・インストールでは、各アプリケーション層で、APPL_TOPファイル・システム(APPL_TOP、COMMON_TOPおよび少数の関連ディレクトリ)およびアプリケーション層テクノロジ・スタック・ファイル・システム(8.0.6 ORACLE_HOMEおよびiAS ORACLE_HOME)で構成される専用ファイル・システムを保守する必要がありました。その後、リリース11.5.10.2のRapid Installで、共有ファイル・システムのサポートが導入されました。
リリース12のRapid Installにより作成されるシステムでは、APPL_TOPおよびCOMMON_TOPファイル・システムのみでなく、アプリケーション・ノード・テクノロジ・スタック・ファイル・システムも共有されます。Rapid Installでは、この構成が同じオペレーティング・システムで稼働するノードのデフォルトとして設定されます。これらのファイルはアプリケーション・ノード・ファイル・システムを構成し、複数のアプリケーション・ノード間で共有できます(同一オペレーティング・システムで稼働する場合)。
重要: 現在、共有ファイル・システム構成は、Windowsで稼働するアプリケーション・ノードではサポートされていません。
共有アプリケーション・ノード・ファイル・システムの場合、すべてのアプリケーション・ノード・ファイルは、各アプリケーション・ノード・マシンから同じ名前でマウントされる単一の共有ディスク・リソースにインストールされます。どのアプリケーション・ノードを使用しても、サービス・フォームやWebページ、またはコンカレント処理などの標準サービスを提供できます。
この構成には、次のようにいくつかの重要な利点があります。
ほとんどの管理、パッチ適用および保守タスクは、単一のアプリケーション・ノードで1度のみ実行
共有ファイル・システムの変更内容にはすべてのアプリケーション・ノードから即時にアクセス可能
複数のノードで処理タスクを分散してパラレルに実行(分散AD)
全般的なディスク要件の軽減
アプリケーション・ノード追加の簡略化
注意: 『Oracle Applications概要』の共有アプリケーション層ファイル・システムに関する項を参照してください。OracleMetaLinkの『Sharing the Application Tier File System in Oracle E-Business Suite Release 12』(Note 384248.1)も参照してください。
ロード・バランシングでは、処理および通信アクティビティがネットワーク間で均等に分散されるため、単一マシンに対する過負荷が避けられます。
注意: 詳細は、『Oracle Applications概要』のロード・バランシングに関する項を参照してください。OracleMetaLinkの『Using Load-Balancers with Oracle E-Business Suite Release 12』(Note 380489.1)も参照してください。
リリース11iからリリース12へのアップグレードの一部として、Rapid Installウィザードに構成パラメータを入力し、Rapid Installをアップグレード前のタスクの1つとして実行します。Rapid Installでは、入力したパラメータによってファイル・システムが作成され、新規Applicationsテクノロジ・スタックがインストールされます。また、アップグレード前のタスクの1つとして、既存のデータベースをOracle10gリリース2に移行またはアップグレードする必要があります。
注意: 「アップグレードの実行」を参照してください。また、『Oracle Applicationsリリース11iから12へのアップグレード・ガイド』も参照してください。
既存のデータベース・ノードまたはアプリケーション・ノードを新規テクノロジ・スタックにアップグレードするには、Rapid Installウィザードを実行して(製品をアップグレードせずに)テクノロジ・スタック・コンポーネントのみをインストールします。このプロセスでは、関連する新規ORACLE_HOMEが作成されるのみでなく、AutoConfigを使用して更新後のテクノロジ・スタック用の新規構成ファイルが生成されます。
注意: 「テクノロジ・スタック・コンポーネントのインストール」を参照してください。
この項では、Rapid Installによりインストールされる認証済コンポーネントおよびOracle Applicationsリリース12インストールのシステム要件を示します。
Rapid Installでは、データベース・ノードおよびアプリケーション・ノードの両方に対して、必須テクノロジ・スタック・コンポーネントが自動的にインストールおよび構成されます。
新規Oracle Applicationsリリース12インストールのデータベース・ノードのテクノロジ・スタックは、新規インストールの場合もアップグレードの場合も、Oracle10g リリース2のORACLE_HOMEで構成されます。
重要: Oracle Applicationsリリース12にはOracle Database Enterprise Editionが必要です。 その他のエディションはサポートされません。
アプリケーション・ノードのテクノロジ・スタックには、次のようなコンポーネントが含まれます。
Oracle Developer 10i(次のコンポーネントを含む)
Oracle Forms
Oracle Reports
Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)
Oracle Application Server 10g 10.1.3(Oracle HTTP Serverを含む)
次のコンポーネントはオプションで、Rapid Installでは提供されません。
Oracle Discoverer 10g(10.1.2.0.2)
Oracle Portal 10g(10.1.4)
Oracle Single Sign-On 10g(10.1.2.0.2)
Oracle Internet Directory 10g(10.1.2.0.2)
これらのオプション・コンポーネントをOracle Applicationsリリース12で使用する方法の詳細は、OracleMetaLink (http://www.metalink.oracle.com)の製品固有のノートを参照してください。
適用可能なコンポーネントのバージョン・オプションなど、最新の認定情報は、「Certify」Webページを参照してください。「Certify」Webページには、OracleMetaLinkからアクセスできます。メイン・ページで「Certify & Availability」ボタンをクリックしてください。
注意: リリース12では、Rapid InstallによりJava Development Kit(JDK)5.0が自動的にインストールされます。一部のプラットフォームにおける以前のアプリケーション・リリースのように、JDKを個別インストールする必要はありません。
次の保守ツールをすべてのマシンにインストールし、ウィザードを実行するアカウントのPATHとデータベース層およびアプリケーション層のファイル・システムを所有するアカウントのPATHの両方に、ツールの位置を指定する必要があります。
注意: この章の「オペレーティング・システム・アカウントの作成」および「構成の詳細」の「アプリケーション・ノード・パラメータ」を参照してください。
オペレーティング・システム | 必須保守ツール |
---|---|
Solaris(SPARC) | ar、ld、make、X Display Server |
Linux | ar、gcc、g++、ld、ksh、make、X Display Server |
Windows | Microsoft C++、MKS Toolkit *、GNU make |
HP-UX | ar、cc、aCC、make、X Display Server |
HP-UX(Itanium) | ar、cc、aCC、make、X Display Server |
IBM AIX | ar、cc、ld、linkxlc、make、X Display Server |
* Cygwinの無償ソフトウェアもADユーティリティに必要なUNIXスクリプト・コマンドを提供しており、Oracle Applicationsリリース12の保守にMKS Toolkitのかわりに使用できます。ただし、すべての重要な本番システムとテスト・システムにはMKS Toolkitを使用することをお薦めします。
製品の組合せ、ユーザー・プロファイル、構成がそれぞれ異なるため、すべてのハードウェア・プラットフォームに適した共通のサイズはありません。ハードウェア・ベンダーの中には、自社のハードウェア上のOracle Applicationsに関して、CPU要件とメモリー要件のモデルとなるサイズ設定ワークシートを用意しているところもあります。
ハードウェアの適切なサイズ設定を保証するうえで最も信頼性が高いのは、自社の現状および予想される作業負荷のシミュレーションを行うために、テスト環境をインストールし、マシン構成、製品の組合せおよびユーザー負荷を使用して独自のベンチマークを実行する方法です。これらの実際の条件は、本番そのままの環境をインストールする前にパフォーマンスを検証するのに役立ちます。この方法が実際的でない場合は、オラクル・コンサルティング・サービスやハードウェア・ベンダーの協力を得て、自社の現状に似た製品の組合せと、ユーザー・プロファイルで導入されて稼動している他のOracle Applicationsシステムを探す方法があります。
Oracle Applicationsをインストールするとグリッドタイプ・モデルに移行することになるため、さらなるニーズを満たすためのハードウェア拡張が広範囲で容易になり、関連ソフトウェア・コンポーネントは新規マシンに指定した機能に従ってマシンに自動的に配置されます。
Oracle Applicationsを実行するためのCPU要件は、次の要素によって決まります。
コンカレント・ユーザーおよびその使用プロファイルの数
コンカレント・マネージャのプロセス数および実行ジョブのタイプ
Oracle Applications以外のアクティビティの負荷
データベースのサイズ
希望応答時間
RDBMSがインストールされているマシンのメモリー要件を計算するには、次の要素を考慮します。
Oracleデータベースのオーバーヘッド
システム・グローバル領域(system global area: SGA)のサイズ
コンカレント・ユーザー数
マシンで実行する必要のあるOracle以外のソフトウェア(非推奨)
前述の計算を実行する際には、このアプリケーション・システムの予定運用期間にわたる使用の増大を見込めるようにする必要があります。ただし、Real Application Clustersおよび関連テクノロジの使用が増大することは、付加的な要件を満たすために、通常はマシンの追加などによりシステムを容易に拡張できるようになることを意味します。
Rapid Installでは、ライセンスの状態に関係なく、すべての製品に対してファイル・システムおよびデータベース・ファイルがインストールされます。標準インストールにおけるファイル・システム要件の概算値は、次のとおりです。
ノード | 必要領域 |
---|---|
アプリケーション・ノードのファイル・システム(AS 10.1.2 ORACLE_HOME、AS 10.1.3 ORACLE_HOME、COMMON_TOP、APPL_TOPおよびINST_TOPを含む) | 28GB |
データベース・ノードのファイル・システム(フレッシュ・インストール) | 45GB |
データベース・ノードのファイル・システム(Vision Demoデータベース) | 133GB |
ステージ領域を除く標準システムに必要な合計領域は、本番データベースによるフレッシュ・インストールの場合は73GB、Vision Demoデータベースによるフレッシュ・インストールの場合は161GBです。
注意: データベース・ノードのディスク領域要件には、本番データベースおよびVision Demoデータベースのどちらの場合も、データベース・ファイル(.dbf)および10g リリース2データベースのORACLE_HOMEが含まれます。
本番データベース・インストールの場合、ステージ領域からRapid Installを実行するには、ステージ領域内にファイル・システムおよびデータベース・ファイルを格納するため、少なくとも33GB以上必要です。
注意: 「ステージ領域の設定」を参照してください。
Oracle Applications製品の多くでは、実行時にログ・ファイルと出力ファイルが生成されます。必要なディスク領域は、ユーザー数、トランザクション数およびファイルをパージする頻度により異なります。詳細は、製品付属のマニュアルを参照してください。
ヒント: ログ・ファイルと出力ファイルが自動的にパージされることはありません。インストール後にこれらのファイルをアーカイブおよびパージする方針を決定し、これらのファイルによって消費されるディスク領域を監視して、将来的に必要となる領域を算出します。
一時ディスク領域のインストール中に、Rapid InstallではTMPDIR変数(UNIXの場合)またはTEMPおよびTMP変数(Windowsの場合)で定義された一時ディレクトリが使用されます。
重要: インストールの実行時には、空き一時領域が500MB以上あることを確認する必要があります。
実行時に、Oracle Applicationsは一時ディスク領域を必要とします。たとえば、各コンカレント・マネージャではパラメータ・ファイル、Oracle Reportsではフォーマット・ファイル、Oracle Formsではバッファ・レコードがそれぞれ一時的に作成されます。Rapid Installでは、ノード固有の設定画面で指定した値に基づいて一時ディレクトリが設定されます。
更新、パッチ、Maintenance Pack、Family PackおよびMiniPackを適用するディスク領域、および作成されるバックアップ・ファイル用のディスク領域が必要です。
注意: 『Oracle Applicationsメンテナンス・ユーティリティ』のAutoPatchに関する項を参照してください。『Oracle Applicationsメンテナンス・プロシージャ』のシステムへのパッチ適用に関する項および『Oracle Applicationsパッチ・プロシージャ』(リリース12用新規)も参照してください。
合計ディスク領域の見積りでは、Oracle Applicationsに直接関連しないファイルの所要量を考慮する必要があります。たとえば、次のようになります。
オペレーティング・システム・ソフトウェア
オンライン・バックアップ
カスタム・アプリケーション開発ファイル
その他に使用するソフトウェアのファイル
インストールを始める前に、この項の関連ステップをすべて実行する必要があります。
Rapid Installでは、Rapid Install画面で入力した情報に基づいてインストールまたはアップグレード処理の詳細を処理します。開始前に必要な情報を収集すれば、インストールまたはアップグレード完了までの時間が短縮されます。
このマニュアルとプラットフォーム固有のノートで説明している要件を満たすのみでなく、組織のライセンス契約を理解していることも確認しておく必要があります。
Rapid Installを実行する前に、OracleMetaLinkで入手可能なOracle Applications関連のプラットフォーム固有のノートを参照する必要があります。
プラットフォーム | インストール・ノート |
---|---|
Sun Solaris(SPARC) | 402312.1 |
Linux | 402310.1 |
Microsoft Windows | 402311.1 |
HP-UX(PA-RISC) | 402308.1 |
HP-UX(Itanium) | 402307.1 |
IBM AIX 5L | 402306.1 |
また、このマニュアルの発行後に入手可能になったRapid Install関連の重要な補足情報は、Oracle MetaLinkの『Oracle Applications Release 12 Installation Guidelines』(Note 405565.1)を参照してください。
Rapid Installを実行する前に、データベース・ノードとアプリケーション・ノードのファイル・システムのインストールに使用するオペレーティング・システム・アカウントを作成する必要があります。このプロセスの詳細は、UNIXシステムとWindowsシステムのどちらを使用しているかによって異なります。必要に応じて該当するオペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。
データベース・ノードのファイル・システムを所有し、データベース・ノード・サービスを開始するオペレーティング・システム・ユーザーを、oracleユーザーと呼びます。アプリケーション・ノードのファイル・システムを所有し、アプリケーション・ノード・サービスを開始するオペレーティング・システム・ユーザーを、applmgrユーザーと呼びます。この2つのアカウント名は、アプリケーション・システムの全ノードで同一にする必要があります。
注意: UNIXという用語は、Linuxを含めてUNIXオペレーティング・システムのすべてのバリエーションを指します。
シングルユーザー・インストールを準備するには、oracleユーザー・アカウントを作成してからoracleユーザーとしてログインし、Rapid Installを実行します。Bourneシェルと互換性があるデフォルト・シェルを使用してアカウントを作成する必要があります。
マルチユーザー・インストールを準備するには、最初にoracleユーザー・アカウントおよびapplmgrユーザー・アカウントを作成する必要があります。どちらも、Bourneシェルと互換性があるデフォルト・シェルを使用して作成する必要があります。rootとしてログインし、Rapid Installを実行します。次に、oracleユーザーをOracle OSユーザーとして、applmgrユーザーをApps OSユーザーとして指定します。
oracleユーザーは、データベース・ノードのテクノロジ・スタック(10g リリース2 ORACLE_HOME)およびデータベース・ファイルを所有するアカウントです。oracleユーザーのデフォルト名はora<SID>です。たとえば、本番(PROD)環境の場合、デフォルトのOracle OSユーザー名をoraprodにできます。
applmgrユーザーは、アプリケーション・ノードのテクノロジ・スタック(APPL_TOP、COMMON_TOP、10.1.2 ORACLE_HOMEおよび10.1.3 ORACLE HOME)を所有するアカウントです。デフォルト名はappl<SID>です。たとえば、Vision Demo(VIS)環境の場合、デフォルトのApps OSユーザー名をapplvisにできます。
複数ノードを含むマシン上では、一方のユーザー・アカウントをデータベース・ノード・ファイル・システムの所有者として割り当て、もう一方のユーザー・アカウントをアプリケーション・ノード・ファイル・システムの所有者として割り当てることができます。このタイプのインストールの場合、rootユーザーがインストールを開始すると、Rapid Installを1度実行して両方のノードをインストールできます。インストール先マシンにインストールするノードが1つのみの場合、または全ノードが同じユーザーを共有する場合は、インストールをrootユーザーとして実行するか、対象ノードの特定のユーザーとして実行できます。
Windowsでは、Rapid Installを実行するユーザーは、すべてのコンポーネントのファイル・システム(データベース・ファイル・システムとOracle Applicationsファイル・システム)を所有します。そのため、WindowsインストールはUNIXのシングルユーザー・インストールに相当します。
Oracle Applicationsをインストールする前に、インストールを行うユーザー・アカウントは、ローカル環境を完全に管理できる管理者権限と、ローカル・プリンタまたはネットワーク・プリンタへの印刷許可を持っている必要があります。新規のドメイン・レベル・アカウント(たとえばoracle)を作成し、このアカウントを次に示すグループのメンバーにすることをお薦めします。
このアカウントは他のグループのメンバーにする必要はありません。GUESTグループのメンバーにはしないでください。アカウントの作成とアカウントのグループへの割当てに関する情報は、Windowsのヘルプを参照してください。
Rapid Installを実行する準備として、Perlスクリプトを実行する必要があります。このスクリプトにより、インストール・ディレクトリが作成され、リリース12ソフトウェア・バンドルの内容がファイル・システム内の適切な場所にコピーされます。
注意: Oracle Electronic Deliveryを使用したRapid Installソフトウェアのダウンロードの詳細は、『Oracle Applicationsリリース・ノート』を参照してください。
インストール・ソフトウェアはDVDフォーマットで提供されます。リリース12ソフトウェア・バンドルに含まれる個々のディスクは、次のようにラベル付けされています。
Start Here - ディスク1
APPL_TOP - ディスクn
RDBMS - ディスクn
Tools - ディスクn
Databases - ディスクn
ステージ領域ディレクトリを作成するには、adautostg.plスクリプトを実行します。このスクリプトでディレクトリを作成できない場合、または変更が必要な他のシステム・パラメータがある場合、パラメータの修正を求めるプロンプトが表示されます。設定プロセスを続行する前に、問題を解決する必要があります。
ステージ領域のインストールを設定するには、次のステップを実行します。
十分な権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーとしてログインし、DVDをマウントおよびアンマウントして取り出します。このユーザーには、設定対象のステージ領域に対する書込み権限も必要です。
Start HereディスクをDVD-ROMドライブに挿入します。
DVDをマウントします(条件付き)。
システムがUNIXプラットフォームで動作している場合や、AutoMountを使用しない場合、この時点でStart Hereディスクをマウントする必要があります。
ソフトウェア・バージョンを検証します(Perl)。
Perl 5.0053以上がインストールされており、ユーザーのPATHに置かれている必要があります。次のコマンドを使用して、Perlのバージョンと位置を識別します。このコマンドは、UNIXプラットフォームでもWindowsプラットフォームでも同じです。
perl -v
Perlがインストールされていない場合は、http://www.perl.comからダウンロードできます。
重要: Windowsユーザーの場合、MKS付属のPerlは認定されていません。かわりにActivePerlを使用してください。ActivePerlもhttp://www.perl.comからダウンロードできます。
UNIXの場合は、DISPLAY環境変数をアクティブな許可を受けたディスプレイに設定します。
adautostg.plスクリプトを実行します。
UNIX:
$ cd
$ perl /mnt/cdrom/Disk1/rapidwiz/adautostg.pl
Windows:
C:\> perl d:\mnt\cdrom\Disk1\rapidwiz\adautostg.pl
ステージ・スクリプト・メッセージにより、すべてのRapid Installコンポーネントまたは選択したコンポーネントのみをステージングできることが通知されます。
ステージ・ディレクトリに関するプロンプトで、システムの最上位ディレクトリの名前を入力します。このパスに、Rapid Wizardのstage12ディレクトリが作成されます。たとえば、最上位ディレクトリとして/u01と入力した場合、作成されるディレクトリのパスは/u01/stage12となります。
ステージングするコンポーネントを指定します。
ステージングするコンポーネントの選択を求めるプロンプトが表示されます。
Oracle Applications
Oracle Databaseテクノロジ・スタック(RDBMS)
Oracle Applicationsデータベース(Databases)
Oracle Applicationsテクノロジ・スタック(Tools)
APPL_TOP
1つ以上のコンポーネントを、それぞれスペースで区切って入力します。データベース・テクノロジ・スタックのみ、APPL_TOPのみなどをステージングするように指定できます。
1(デフォルト)を選択すると、メイン・コンポーネントがすべてステージングされます。
Rapid Install DVDを挿入します。
プロンプトの要求に応じて関連DVDを挿入します。システム・メッセージに、コピーされたファイルおよびステージ領域ディレクトリでのファイルの位置が表示されます。
adautostg.plにより作成されるステージ領域では、最上位ディレクトリが<Stage12>で、サブディレクトリがstartCD、oraApps、oraDB、oraASおよびoraAppDBとなります。
ステージ・ディレクトリの作成後、次の項の説明に従ってRapid Installを起動します。
$ cd /u01/Stage12/startCD/Disk1/rapidwiz
$ ./rapidwiz
C:\>f:
F:\>cd Stage12\startCD\Disk1\rapidwiz
F:\Stage12\startCD\Disk1\rapidwiz> rapidwiz.cmd
必要な場合は、Rapid Install起動コマンドにパラメータを追加して動作を変更できます。
ホスト・マシンの実際の名前ではなく別名を使用する場合は、Rapid Installを起動する際に-servernameパラメータを使用します。
$ rapidwiz -servername <myhost>
D:\RAPIDWIZ> Rapidwiz.cmd -servername <myhost>
インストール・プロセスが完了する前に途中で終了した場合は、-restartパラメータを使用してRapid Installを再度実行できます。
$ rapidwiz -restart
D:\RAPIDWIZ> Rapidwiz.cmd -restart
詳細は、「標準インストール」の「インストールの再開」を参照してください。
再開には、構成ファイルconf_<SID>.txtが重要な役割を果たします。このファイルはオペレーティング・システムの一時ディレクトリに格納されており、データベースの作成時までにRapid Installで実行されなかったインストールを再開する必要がある場合に利用されます。
Rapid Installでは、既存のシステムにデータベース層(Oracle10g リリース2)またはアプリケーション・ノード(Oracle Application Server 10g)の新規テクノロジ・スタックをインストールできます。テクノロジ・スタック・インストール用のRapid Install画面フローにアクセスするには、Rapid Installの起動時に-techstackパラメータを使用します。
$ rapidwiz -techstack
D:\RAPIDWIZ> Rapidwiz.cmd -techstack
注意: テクノロジ・スタックのアップグレードの詳細は、「テクノロジ・スタック・コンポーネントのインストール」を参照してください。
Rapid Installウィザードでは、新規またはアップグレード・システムを構成する、システム固有の値を収集する入力画面が表示されます。
重要: システム要件、リソースおよび製品のライセンス契約をよく理解してからRapid Installを実行してください。また、Oracle DBAに関する十分な知識とシステム管理者の職責を持っていることも必要です。
Rapid Installには、データベース・ノード上とアプリケーション・ノード上の最上位ディレクトリとマウント・ポイントの位置を指定する必要があります。Rapid Installはこれらの最上位ディレクトリからサブディレクトリを導出します。
Rapid Installでは、ライセンスのステータスに関係なく、インストール中にすべての製品、各国固有の機能(ローカライズ済製品)、必須の共有製品をデータベースとファイル・システムへ自動的にインストールします。ライセンス製品とは、オラクル社とのライセンス契約で指定された製品です。
ただし、Rapid Installウィザード画面で、ライセンスを取得した製品および各国固有の機能を明示し、システムでアクティブなものとして登録する必要があります。最初のインストールまたはアップグレード後に実行されるパッチ適用およびその他のシステム全体のメンテナンス・タスクでは、このアクティブ・フラグが重要となります。
リリース12では、Oracle Applicationsのテキスト部分および製品データに多言語サポートが提供されます。Unicode(UTF8)キャラクタ・セットがサポートされているため、必要な場合は単一インスタンスで多数の言語を使用できます。Rapid Installを実行するときに、データベースおよびアプリケーション製品の両方についてキャラクタ・セットを選択します。
重要: キャラクタ・セットは慎重に選択してください。あるキャラクタ・セットから他のキャラクタ・セットに後で変換することも可能ですが、制限を伴います。たとえば、US7ASCIIからUTF8には変換できますが、UTF8からUS7ASCIIには変換できません。
言語および地域のプロファイル・オプションは、Rapid Installの実行時にサイト・レベルで構成されます。ベース言語として選択した言語は、言語プロファイルに使用されます。日付書式と数値書式のデフォルト設定は、地域プロファイル設定から導出されます。
注意: NLSの概要および関連情報は、『Oracle Applications概要』のグローバリゼーション・サポートに関する項を参照してください。グローバリゼーション問題の詳細は、Oracle MetaLinkの『Oracle Applications Globalization Guide (Release 12)』(Note 393861.1)を参照してください。
Oracle Applicationsの様々な機能とコンポーネントは、システム上で多数のポートが使用可能であることを必要とします。各種ポートの配置と管理を簡素化するために、Oracle Applicationsにはポート・プールという概念が組み込まれています。ポート・プールの概念には、各種ポートのデフォルトのベース値(フォーマットの値、複数ポートを含む頻度、各プールの一意の値を判別するメカニズムなど)を決定するメカニズムが含まれます。そのため、実際には100の異なるポート・プール(セット)が存在し、それぞれに格納される値がオーバーラップしないことが保証されます。単に使用するプールを指定すると、すべての必須ポートについて一貫したポート値セットが選択されます。
Rapid Installの入力画面はウィザード形式であり、新規アプリケーション・システムのインストールまたは既存のシステムのアップグレードに必要な情報の入力が求められます。
ウィザードでのナビゲーションには、次の規則が適用されます。
入力フィールド(グレー表示されていない場合)に入力するか、デフォルトを受け入れます。
入力ボックスに直接情報を入力するか、ドロップダウン・メニューが含まれるフィールドで有効なオプションのリストから情報を選択します。
ドロップダウン・リストでは、入力フィールドに対する有効なオプションがすべて表示されます。オプションをクリックすると選択されます。
コンボ・ボックスでも、有効なオプションがドロップダウン・リスト形式で表示されます。有効なオプションを入力することで、リスト上のオプションを置き換えることもできます。このタイプの入力が可能な場合、その旨が本文中に記載されています。
各画面の最下部には、Rapid Installプロセスを取り消す「Cancel」ボタン、前の画面に戻る「Back」ボタンまたは次の画面に進む「Next」ボタンがあります。
縦型および横型のスクロール・バーを使用すると非表示のフィールドを表示できます。
ほとんどの画面では、個々のフィールドについてバルーン・ヘルプが表示されます。フィールドの上にマウスを移動すると、そのフィールドに格納されている情報の説明が小さなテキスト・ボックスに表示されます。
さらに、画面では通常、「Help」ボタンが表示されます。「Help」ボタンをクリックすると、画面レベルのヘルプ、つまり画面の概要および画面に表示された入力フィールドの要約が表示されます。ヘルプ画面で情報を確認した後に「OK」をクリックすると、ヘルプを要求したウィザード画面に戻ります。
Rapid Installを起動し、次の方法から1つ選択してインストールを開始します。
新規のOracle Applicationsリリース12システムを1台のマシンまたはマシン・グループに作成する場合は、「標準インストール」のステップに従います。
Oracle Applicationsシステムをリリース11iからアップグレードする場合は、「アップグレードの実行」のステップに従います。
既存のアプリケーション・システム用に新規テクノロジ・スタックをインストールするのみの場合は、「テクノロジ・スタック・コンポーネントのインストール」のステップに従います。
システムに適用する章のステップを完了したときに、「終了タスク」の指示を読んで実行し、インストールまたはアップグレードを完了します。