Oracle Advanced Pricingインプリメンテーション・マニュアル リリース12 E05612-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章では次のトピックについて説明します。
価格設定のイベントとフェーズを使用すると、アプリケーション処理フローの要求に応じて取引の価格設定を実行するように、Oracle Advanced Pricingを構成できます。価格設定のイベントとフェーズを使用すると、取引処理フローの価格設定時点で、要求に適用する価格設定データも定義できます。取引の価格設定は、一度に全体ではなく、分割して行うことができます。イベントとフェーズによって、次のタイプの価格設定ビジネス・ルールを実装できます。
運送費および特別手数料は出荷時に計算される。
クロス受注ボリューム値引は、1日の終わりに(受注ボリュームの合計が導出された後)大量バッチ環境で適用する。
クーポンを与えるのは、ショッピング・カート内の全品目の価格が設定され、ユーザーが最終チェックアウトに進んだ後のみとする。
価格設定イベントは、取引ライフ・サイクル内の1時点です。つまり、取引(または特定の取引明細)の価格を設定したり、取引全体または特定の取引明細に対して、価格調整、特典または手数料を適用する時点を指します。
注意: 呼出し側アプリケーションはイベントを渡す必要があります。価格設定エンジンは、渡されたイベントのフェーズに属するデータ・セットを検索します。複数のイベントを1つの価格設定エンジンの呼出しに連結できます。
次の表に、Oracle Advanced Pricingの各シード済イベントに対する処理の概略を示します。
イベント・コード | 内容 | 価格設定エンジンを呼び出す機能 |
---|---|---|
BATCH | バッチ処理 | 受注がインポートされます。 |
BOOK | 受注の記帳 | 受注が記帳されます。 |
FTE_APPLY_MOD | FTE:価格設定モディファイアの適用 | このイベントは、Oracle Transportation Executionアプリケーションが取引の価格設定を行う場合のみ使用されます。 |
FTE_PRICE_LINE | FTE:輸送明細の価格設定 | このイベントは、Oracle Transportation Executionアプリケーションが取引の価格設定を行う場合のみ使用されます。 |
ICBATCH | INV: 会社間転送価格設定のバッチ処理 | このイベントは、Oracle Inventoryアプリケーションが取引の価格設定を行う場合のみ使用されます。 |
LINE | 受注明細の入力 | ユーザーが受注明細を終了します。 |
ORDER | 受注明細の保存 | ユーザーが受注を保存します。 |
PO_BATCH | POバッチ処理 | 注意: PO: BATCHイベントに運送費フェーズまたはいくつかのカスタム・フェーズを含める場合、運送費は発注の販売単価に影響しません。ただし、発注の運送費は計算されません。 |
PRICE | 定価の取出し | ユーザーが品目の数量と単位を入力します。 |
PRICE_LOAD | ロジスティクス・ロードの価格設定 | このイベントを使用して、ロジスティクス・ロードの価格を設定します。 |
REPRICE_LINE | 明細の価格再設定 | 請求前に受注が出荷されます。 |
RETROBILL | 過去請求 | イベントが、過去請求中に発生します。 |
SHIP | 出荷の入力 | 受注の出荷が確認されます。 |
注意: 「ロジスティクス・ロードの価格設定」イベントが使用されるのは、Oracle Transportation Executionアプリケーションがその取引の価格設定を行う場合のみです。
価格設定フェーズは、検索エンジンの検索対象となるリスト・タイプ(価格とモディファイア)、およびそのリスト・タイプを価格設定要求に適用する順序を管理します。価格設定フェーズの属性を使用すると、フェーズ内に配置されるモディファイアを管理できます。モディファイアを価格設定フェーズに割り当てると、「モディファイア設定」ウィンドウでは、モディファイアの属性が使用可能な価格設定フェーズの属性と照合され、モディファイアを配置できる価格設定フェーズ(1つまたは複数)が検証されます。1つのフェーズに割り当てることができるモディファイアは1つのみです。
次の表に、選択したOracle Advanced Pricingのシード済価格設定フェーズの要約を示します(すべてのイベント・フェーズは、「イベント・フェーズ」ウィンドウで確認できます)。
フェーズ順序 | 名前 | レベル | リスト・タイプ | 非互換性解決コード | 上書固定 |
---|---|---|---|---|---|
0 | リスト明細基準価格 | 明細 | 標準価格表 | 優先 | NA 1 |
10 | リスト明細調整 | 明細 | NA | 最善価格 | NA |
30 | 全明細調整 | NA | NA | 最善価格 | NA |
40 | ヘッダー・レベル調整 | 受注 | NA | 優先 | NA |
50 | 明細手数料 | 明細 | 運送費および特別手数料リスト | 優先 | Yes |
60 | 明細調整 - 手動 | 明細 | 運送費および特別手数料リスト | 優先 | Yes |
70 | 手数料: ヘッダー/全明細 | NA | 運送費および特別手数料リスト | 優先 | Yes |
80 | BOOKイベントのモディファイア | NA | NA | 優先 | NA |
注意: 1 NAは、適用不可を意味します。
実装に関する主な決定事項: 自社のビジネス要件を満たすフェーズとイベントの決定
価格設定のイベントとフェーズによって、実行する価格設定処理の内容とその実行時期を管理できます。価格設定イベントによって、受注サイクルは、PRICEイベント(定価の取出し)およびLINEイベント(受注明細の入力)などの価格設定処理に関連付けられた複数時点に分割されます。値引モディファイア明細または販促モディファイア明細などのモディファイア明細を設定する場合、価格設定フェーズを選択して、モディファイア調整を適用する時期を管理できます。価格設定イベントの発生時に、モディファイア調整が適用されます。
価格設定イベントは1つ以上の価格設定フェーズにマップできます。また、価格設定フェーズには複数の価格設定イベントを含めることができます。これは、どの価格設定フェーズを、どの価格設定イベントで処理するかを定義する場合に役立ちます。
注意: 価格設定イベントには、モディファイア・フェーズを追加しないでください。明細レベル・イベントには、「明細のグループ」および「他の品目値引」モディファイア・フェーズを割り当てないでください。価格設定エンジンには、必要なすべての受注明細がない場合があります。明細イベントまたは受注イベントにフェーズを追加する場合は、そのフェーズをバッチ・イベントに追加する必要があります。
モディファイア明細に価格設定フェーズを割り当てる際には、次の点に注意してください。
明細レベル値引は、「リスト明細調整」フェーズに配置します。
複数の明細にまたがるモディファイアは、「全明細」フェーズに配置します。
出荷に適用するモディファイアは、出荷イベント・フェーズに配置します。
警告: 「ユーザー: 上書固定」フェーズには、モディファイアの「販促品」(PRG)タイプは設定できません。
「イベント・フェーズ」ウィンドウ
「イベント・フェーズ」ウィンドウの各フィールドの説明は、次のとおりです。
順序: このフィールドは必須です。順序の数値は、フェーズ番号と同じです。価格設定エンジンでは、この数値を使用して、イベント内に複数のフェーズがある場合のフェーズ開始順序を決定します。
名称: フェーズの「名称」フィールドは、モディファイアをフェーズに割り当てる場合に、「モディファイア設定」ウィンドウに表示されます。フィールド名は、フェーズの時期と内容を説明している必要があります。
レベル: このフィールドはオプションです。特定のフェーズのモディファイアを、特定のモディファイア・レベルに制限するには、このフィールドにレベルを入力します。
リスト・タイプ: このフィールドはオプションです。フェーズのモディファイアを、モディファイア・リスト上のモディファイアに制限するには、このフィールドにリスト・タイプを入力します。
OID存在: このチェック・ボックス(表示専用)は、特定フェーズに対する「他の品目値引」タイプのモディファイアが存在する場合に選択されます。
追加購買製品存在: このチェック・ボックス(表示専用)は、「販促品」または「他の品目値引」に対するモディファイアを定義し、「追加購買製品」を定義した場合に選択されます。
明細グループ存在: このチェック・ボックス(表示専用)は、モディファイアが、特定フェーズに対する「明細のグループ」レベルに存在する場合に選択されます。
「シード済値」および「ユーザー」リージョン
この2つのリージョンにより、ユーザー入力値からシード済値を区別します。「ユーザー」セクションでは、「上書固定」チェック・ボックスと「非互換性解決コード」を更新できます。
「上書固定」チェック・ボックス: 取引における受注明細の固定を制御します。呼出し側アプリケーションから「価格の計算」呼出しが送信されると、関連するフェーズに対して設定されている「上書固定」チェック・ボックスが価格設定エンジンにより評価されます。「上書固定」チェック・ボックスが選択されている場合、価格設定エンジンにより、このフェーズの適格なモディファイアが要求明細に適用されます。このチェック・ボックスが選択されていない場合、このフェーズのモディファイアは、要求明細への適用対象にはなりません。このチェック・ボックスは、シード済価格設定フェーズでも更新できます。
重要: 受注レベルのモディファイアの予期しない適用を回避するため、必要に応じて、「上書固定」チェック・ボックスが選択解除されているフェーズで、受注レベルの調整を配置します。そうしないと、「価格計算フラグ」を固定にしている受注明細があり、そのフェーズに対する「上書固定」チェック・ボックスが選択されている場合、受注レベルの値引は価格の再設定においても適用されます。
非互換性解決コード: 価格設定エンジンは、同一の排他グループまたは非互換グループ内の複数のモディファイアが同じ価格設定要求明細に適用可能な場合に、選択するモディファイアを評価できるようになります。
最善価格: 指定の価格設定要求明細の顧客に対して、最も低い(最も有利な)価格を提供するモディファイアが適用されます。「運送および特別手数料」については、指定の価格設定要求明細の顧客に対して、最低ではなく、最も高い価格を提供するモディファイアが適用されます。
優先: 指定の価格設定要求明細に対して、最小の優先番号(数字が小さいほど優先度が高い)を持つモディファイアが適用されます。
非互換性解決コードの値は、シード済価格設定フェーズでも更新できます。
「イベント・フェーズ」リージョン
価格設定イベント: 1つ以上の価格設定イベントを選択して、選択したフェーズにリンクします。使用可能な値から選択します(これらの値は「参照」ウィンドウで価格設定イベントとして定義されています)。
注意: 「イベント・フェーズ」ウィンドウでフェーズにPRICEイベント(定価の取出し)を選択した場合、このフェーズにすでに販促のモディファイア・タイプ(「クーポン発行」、「品目アップグレード」、「他の品目値引」、「販促品」、「条件代替」)が添付されていると、次のエラー・メッセージが表示されます。
次のモディファイア・タイプで1つ以上がすでにこのフェーズに定義されているため、価格イベントをこのフェーズに添付することができません: 販促品、他の品目値引、品目アップグレード、条件代替またはクーポン。
シード検索フラグ: 価格設定エンジンにより、呼出し側アプリケーションの要求に加えて、価格またはモディファイアのリストを検索する必要があるかどうかを決定します。呼出し側アプリケーションが要求の価格設定に使用する価格とモディファイアのリストをすでに識別している場合、検索フラグは「No」に設定する必要があります。この場合、価格設定エンジンは渡されたリストを使用し、それ以外のリストは検索しません。たとえば、顧客のサービス契約には、多数の値引が交渉され、記録されている場合があります。値引をサービスの受注に適用するときには、アプリケーションでは、受注の価格設定に使用される値引リストをすでに把握しています。
検索フラグを「No」に設定するのは、このような状況のみです。それ以外の場合はすべて、「Yes」に設定する必要があります。このフラグを「No」に設定し、呼出し側アプリケーションがすべての必要な価格設定情報を渡さない場合、価格とモディファイアは取引に適用できません。
検索フラグに基づく価格表検索(拡張検索)
価格設定エンジンでは、最初に価格表から価格を検索してから、この渡された価格表を認定するために必要なすべての適格性チェックを実行します。価格が見つからない場合、第2価格表(存在する場合)から価格を取得します。
第2価格表でも価格が見つからない場合は、使用可能なすべての価格表を対象に価格を検索し、最も優先度の高い価格表の価格を取得しようとします。システム内のすべての価格表を対象にこのような拡張検索を行うには、すべての価格設定イベントの価格設定フェーズの検索フラグ(価格設定フェーズ順序が0であるものを含む)が一貫して「Yes」に設定されている必要があります。このためには、ユーザー検索フラグを「Yes」に設定できます。
例
手順1: 価格設定エンジンは、法人価格表から価格を検索します。価格が見つからない場合、法人価格表のすべての第2価格表から価格を検索しようとします。これでも価格が見つからない場合、ステップ2を実行します。
手順2: 業務上、価格設定エンジンでシステム内にある全価格表を検索する必要がある場合は、全価格設定イベントの全価格設定フェーズでユーザー検索フラグを「Yes」に設定します。