Oracle Financialsインプリメンテーション・ガイド リリース12 E05604-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章の内容は、次のとおりです。
会計設定を作成して完了した後は、処理効率を向上させ、元帳と報告通貨に対するセキュリティを強化するために、Oracle General Ledgerで追加の設定ステップを実行します。
元帳セットを使用すると、複数の元帳をグループ化して処理効率を向上させることができます。たとえば、複数の元帳に対する期間の同時オープンまたはクローズ、元帳セット内のすべての元帳の残高換算、複数の元帳の残高を更新する定型仕訳の実行、または元帳セット内の複数の元帳の残高を集計する連結財務レポートの実行ができます。
元帳セット内のすべての元帳は、同じ勘定体系、および会計カレンダと期間タイプの組合せを共有する必要があります。各元帳が同じ通貨を共有する必要はありません。これによって、主要元帳または副元帳とそれに関連付けられた報告通貨をグループ化して保守作業を軽減したり、処理を簡素化できます。
注意: ソース元帳とその報告通貨(仕訳および補助元帳レベル)の両方に同じオープン期間を設定して、General Ledgerへの転記時に問題が発生しないようにする必要があります。
ヒント: すべての元帳の期間を同時にオープンおよびクローズするには、元帳セットを使用してソース元帳とその報告通貨(仕訳および補助元帳レベル)を組み合せます。
元帳セットの使用が有効なGeneral Ledgerの一部の機能は、次のとおりです。
換算および再評価: 元帳セット内の複数の元帳の残高を換算し、再評価を実行します。
期間のオープンおよびクローズ: 元帳セット内の複数の元帳に対する期間を1回の操作でオープンおよびクローズします。
レポート作成: 元帳セット内の複数の元帳に対する標準レポートおよび財務諸表生成プログラム(FSG)レポートを発行します。
FSGレポートで元帳セットを使用する別の利点は、元帳セット内の複数の元帳にわたるデータを集計し、集計済残高を作成できることです。
照会: 元帳セット内の複数の元帳にわたる勘定科目残高または仕訳に関するオンライン照会を単一のビューから実行し、各元帳の仕訳詳細および補助元帳取引にドリルダウンします。
参照: 「元帳セットの定義」
『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』のGeneral Ledgerの設定フローチャートに関する項
この項では、次のGeneral Ledgerセキュリティ機能について説明します。
データ・アクセス・セットは、様々な総勘定元帳職責でアクセス可能な元帳または元帳セットを制御します。元帳、または貸借一致セグメント値や管理セグメント値などの元帳の一部に対する読取りおよび書込みアクセス権も制御します。
データ・アクセス・セットに割り当てられているすべての元帳と元帳セットは、同じ勘定体系、および会計カレンダと期間タイプの組合せを共有する必要があります。
複数の法的エンティティが同じ主要元帳を共有する共有会計設定があると仮定します。ユーザーのアクセスは、指定貸借一致セグメント値または法的エンティティに対する読取りおよび書込みアクセス権を保護するデータ・アクセス・セットを作成することで、1つの法的エンティティのデータに制限されます。
次の表では、各法的エンティティに割り当てられた貸借一致セグメント値について説明します。
法的エンティティ | 貸借一致セグメント値割当 |
---|---|
Visionオペレーション | 100 |
Visionサービス | 200 |
Visionヘルス | 300、400、500 |
Visionサービスの一般会計担当が他の法的エンティティの貸借一致セグメント値を使用してデータを表示または入力しないように、貸借一致セグメント値200に対する読取りおよび書込みアクセス権のみを付与するデータ・アクセス・セットを定義します。このデータ・アクセス・セットをVisionサービス職責に割り当てることで、一般会計担当は、自分の法的エンティティ以外のデータを入力および表示できなくなります。
「完了」をクリックして会計設定を完了すると、General Ledgerの会計設定プログラムが起動します。このプログラムによって、会計設定に割り当てられている元帳と報告通貨(仕訳および補助元帳レベル)ごとにデータ・アクセス・セットが自動的に作成されます。
元帳と報告通貨ごとに作成されるシステム生成データ・アクセス・セットによって、その元帳とすべての貸借一致セグメント値および管理セグメント値に対する完全な読取りおよび書込みアクセス権が付与されます。
システム生成データ・アクセス・セットで提供されるアクセス・レベルが十分である場合は、データ・アクセス・セットを手動で作成する必要はなく、システムで作成されたデータ・アクセス・セットを使用します。システム生成データ・アクセス・セットの名称(元帳または報告通貨と同じ名称を使用)を次のプロファイル・オプションに割り当てることで、取引処理においてその元帳または報告通貨の使用をすぐに開始できます。
GL元帳名
GL: データ・アクセス・セット
参照: 『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』のGeneral Ledgerプロファイル・オプションの設定に関する項
元帳、元帳セット、元帳または元帳セットの指定貸借一致セグメント値または管理セグメント値に対する読取りおよび書込みアクセス権をより正確に制御するには、独自のデータ・アクセス・セットを作成します。
データ・アクセス・セットを職責に関連付けるには、サイト、アプリケーションまたは職責レベルで、データ・アクセス・セットを「GL: データ・アクセス・セット」プロファイル・オプションに割り当てる必要があります。
「GL元帳名」プロファイル・オプションに割り当てられた元帳は、「GL: データ・アクセス・セット」プロファイル・オプションに自動的にデフォルト設定されます。General Ledgerで複数の元帳に対するアクセス権が不要な場合、または元帳のデータに対して読取りおよび書込みアクセス権の保護が不要な場合は、独自のデータ・アクセス・セットを作成して「GL: データ・アクセス・セット」プロファイル・オプションに割り当てる必要はありません。独自のデータ・アクセス・セットを作成する必要があるのは、元帳、元帳セット、元帳または元帳セットの指定貸借一致セグメント値または管理セグメント値に対する読取りおよび書込みアクセス権をさらに制限する場合のみです。
独自のデータ・アクセス・セットを定義するか、またはシステムで作成されたデータ・アクセス・セットを使用するかにかかわらず、データ・アクセス・セットを各総勘定元帳職責の「GL: データ・アクセス・セット」プロファイル・オプションに割り当てて、General Ledgerユーザーがアクセス可能な元帳を制御する必要があります。
データ・アクセス・セットは、相互検証ルールおよびフレックスフィールド値のセキュリティ・ルールと連携します。特定の職責が特定のセグメント値にアクセスできないように定義されているフレックスフィールド値のセキュリティ・ルールは、データ・アクセス・セットのセキュリティと組み合されます。
注意: 貸借一致セグメント値および管理セグメント値に対する読取りおよび書込みアクセス権を保護するには、フレックスフィールド値のセキュリティ・ルールではなく、データ・アクセス・セットを使用することをお薦めします。その場合、他のセグメントにはフレックスフィールド値のセキュリティ・ルールを適用できます。
参照: 「データ・アクセス・セット」
同じ元帳に複数の法的エンティティが表示される組織の大半では、認証されていないユーザーから組織の定義を保護する必要があります。たとえば、多くの企業は、財務諸表生成プログラム(FSG)レポートまたは一括配賦定義を保護して、認証されていないユーザーがそれらの定義を表示、変更または使用できないようにする必要があります。
定義アクセス・セットを使用すると、General Ledgerの特定の定義に対する使用、表示および変更権限を保護できます。
注意: 定義アクセス・セットを使用して保護されない定義は、すべてのユーザーが使用できます。すべてのユーザーによるアクセスが必要な定義は保護しないでください。
この項の内容は、次のとおりです。
保護する定義ごとに、次の表で説明する権限を1つ以上割り当てます。
権限 | 説明 | 例 |
---|---|---|
使用 | ユーザーはプロセスまたはレポートの定義を使用できます。たとえば、FSGレポートのコンポーネントを使用してレポートを定義したり、定型仕訳または一括配賦定義を生成できます。 | 一括配賦定義およびFSGレポートの「使用」権限のみが付与されているユーザーは、一括配賦を生成したり、レポートを発行することはできますが、その定義を表示または変更することはできません。 |
表示 | ユーザーは定義を表示できます。 | 一括配賦定義およびFSGレポートの「表示」権限のみが付与されているユーザーは、その定義を表示できますが、レポートの勘定科目割当の変更など、定義を変更することはできません。また、一括配賦を生成したり、レポートを発行することはできません。 |
変更 | ユーザーは定義を表示および変更できます。 | 一括配賦定義およびFSGレポートの「変更」権限のみが付与されているユーザーは、その定義を表示および変更できますが、一括配賦を生成したり、レポートを発行することはできません。 |
参照: 「定義アクセス・セットの定義」
ユーザーは、1つ以上の定義アクセス・セットを1つ以上の職責に割り当てることができます。同じ定義を保護する複数の定義アクセス・セットが割り当てられた複数の職責を持つユーザーは、その定義に対するすべての権限の集約結果を取得します。
次の表で説明する職責が、すべて同じユーザーに割り当てられていると仮定します。
職責 | 定義アクセス・セット | 保護されるレポート定義 | 権限 |
---|---|---|---|
GL予算ユーザー | レポート・ビューワ | FSG貸借対照表 | 表示 |
GLレポート・ユーザー | レポート・ユーザー | FSG貸借対照表 | 使用 |
GLマネージャ | 全レポート | FSG貸借対照表 | 変更 |
サインインする職責に関係なく、ユーザーには、貸借対照表のFSGレポートに対する「使用」、「表示」および「変更」の権限が付与されます。
定義アクセス・セットおよびデータ・アクセス・セットはGeneral Ledgerにおける個別のセキュリティ機能ですが、2つの機能には関連性があります。
定義アクセス・セットの「使用」権限によって、ユーザーは、プロセスまたはレポートの定義を使用できます。つまり、ユーザーは一括配賦定義を生成したり、FSGレポートを発行できます。ただし、「使用」権限のみでは、一括配賦からの仕訳の作成、またはFSGレポートの出力は保証されません。データ・アクセス・セットによって、元帳に含まれるデータに対する読取りおよび書込みアクセス権が制御されます。
一括配賦定義から仕訳を正しく作成するには、ユーザーの職責に、その定義に対する「使用」権限と、元帳および生成される仕訳の貸借一致セグメント値または管理セグメント値に対する読取りおよび書込みアクセス権の両方が必要です。
FSGレポートの出力を生成するには、ユーザーに、FSGレポート定義に対する「使用」アクセス権と、元帳およびレポートに含まれる貸借一致セグメント値または管理セグメント値に対する読取りアクセス権が必要です。