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Oracle Workflow管理者ガイド
リリース12
E05663-01
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Oracle Workflowの概要

この章では、ワークフロー・プロセスの概要とOracle Workflowの主な機能について説明します。

この章の内容は、次のとおりです。

Oracle Workflowの概要(管理者向け)

Oracle Workflowには、ビジネス・プロセス・ベースの統合をサポートする完全なワークフロー管理システムが備わっています。Oracle Workflowのテクノロジを使用すると、様々なタイプの情報をユーザー定義のビジネス・ルールに従ってルーティングするビジネス・プロセスを、モデル化し、自動化し、継続的に改善できます。

E-Businessにより、企業内のアプリケーション統合、企業システムと取引先との統合および企業間の情報交換に対する需要は加速しています。Oracle Workflowは、E-Businessの統合ワークフローのみでなく従来のアプリケーションに基づくワークフローもサポートしながら、企業内および企業間の両方でビジネス・プロセスを自動化および合理化します。Oracle Workflowは、アプリケーション間の内部プロセスとビジネス・プロセスの連携をもたらす、他に例を見ないワークフロー・ソリューションです。

情報のルーティング

今日のビジネス・プロセスでは、常に変化するルールに従って複数の人に多くのタイプの情報を伝達することが求められます。情報が多く、その形式が多様な場合、適切な人に適切な情報を伝達するための手段が必要です。Oracle Workflowを使用すると、それぞれの人に、その人が必要としているすべての情報を提供できます。Oracle Workflowにより、企業内外のビジネス・プロセスの意思決定者に支援情報をルーティングできます。

ビジネス・ルールの定義と変更

Oracle Workflowでは、ドラッグ・アンド・ドロップで操作できるプロセス・デザイナを使用して、ビジネス・プロセスの定義および継続的な改善ができます。

文書をあるユーザーから別のユーザーへと、いくつかの承認ステップを経て単にルーティングするワークフロー・システムとは異なり、Oracle Workflowでは高度なビジネス・プロセス・モデルを作成できます。ループするプロセス、並列フローに分岐して再び合流するプロセス、サブフローやさらにそこから細かいフローに分かれるプロセスなどを定義できます。Oracle Workflowでは、ストアド・プロシージャの結果に基づいて選択するパスを決定できるため、Oracleデータベースの言語であるJavaおよびPL/SQLの機能を使用して、ワークフロー・プロセスに影響するあらゆるビジネス・ルールを定義できます。「ワークフロー・プロセス」を参照してください。

電子通知の配信

Oracle Workflowでは、ビジネス・プロセスの自動化の範囲を企業全体、およびEメールやインターネット・ユーザーなどにまで拡張できます。Oracle Workflowは、対応を求める項目について、その対象者にEメールで通知し、Eメールの応答に基づいて処理を行います。また、作業のリストを必要な支援情報とともに表示し、標準のWebブラウザを使用して処理を実行することもできます。

システムの統合

Oracle Workflowでは、ワークフローを起動できるビジネス・イベントへのサブスクリプションを設定したり、ビジネス・イベントの発生時にシステム間でメッセージを伝播できます。社内のシステム間や外部システムとの間でイベントを伝達することもできます。この方法により、2地点間のメッセージ統合を実現したり、より複雑なシステム統合のメッセージ伝達をOracle Workflowを使用して集中管理できます。ルーティングおよび処理ルールが複雑なビジネス・プロセスをモデル化すると、イベントを強力かつ柔軟に処理できます。

主な機能と定義

Oracle Workflow Builder

Oracle Workflow Builderは、簡単なドラッグ・アンド・ドロップ操作で、ビジネス・プロセスを作成、表示または変更できるグラフィカル・ツールです。Oracle Workflow Builderを使用して、アクティビティ、項目タイプおよびメッセージなど、あらゆるワークフロー・オブジェクトを作成、変更できます。「ワークフロー・プロセス」を参照してください。

ワークフロー・アクティビティをいつでも追加、削除または変更でき、アクティビティ間に必要な新しい関連を設定できます。作業はワークフローの要約レベルのモデルで簡単に行うことができます。必要に応じて、ワークフロー内のアクティビティを展開して、より詳細なレベルで表示することもできます。Oracle Workflow Builderは、デスクトップPCからでも、ネットワークに接続していないラップトップPCからでも操作できます。

ワークフロー・エンジン

Oracleデータベースに埋め込まれたワークフロー・エンジンでは、実行時にプロセス定義を実装します。ワークフロー・エンジンは、ワークフローの状態をモニターし、プロセスのアクティビティのルーティングを調整します。たとえば、ワークフロー・アクティビティの完了など、ワークフローの状態が変化すると、PL/SQL APIまたはJava APIを介してエンジンにシグナルが送られます。エンジンは、柔軟に定義されているワークフロー・ルールに基づいて実行対象のアクティビティを判別し、そのアクティビティを実行します。ワークフロー・エンジンでは、ループ、分岐、並列フロー、サブフローなど、高度なワークフロー・ルールをサポートします。

ビジネス・イベント・システム

ビジネス・イベント・システムは、Oracle Advanced Queuing(AQ)インフラストラクチャを使用してシステム間でビジネス・イベントを伝達するアプリケーション・サービスです。ビジネス・イベント・システムは、重要なイベントへのサブスクリプションを登録するイベント・マネージャと、ワークフロー・プロセス内のビジネス・イベントをモデル化するイベント・アクティビティから構成されます。

ローカル・イベントが発生すると、そのイベントを呼び出したコードと同じ取引内でサブスクライバ・コードが実行されます。サブスクリプション処理には、イベント情報に関するカスタム・コードの実行、ワークフロー・プロセスへのイベント情報の送信、および他のキューまたはシステムへのイベント情報の送信が含まれます。

ワークフロー定義ローダー

ワークフロー定義ローダーは、ワークフロー定義をデータベースとそれに対応するフラット・ファイル間で移動するユーティリティ・プログラムです。このプログラムを使用して、ワークフロー定義を開発用データベースから本番データベースに移行したり、既存の定義をアップグレードできます。ワークフロー定義ローダーはスタンドアロン・サーバー・プログラムですが、Oracle Workflow Builderにも統合されており、データベースやファイル内のワークフロー定義のオープンや保存に使用できます。

完全なプログラム拡張性

Oracle Workflowでは、独自のPL/SQLプロシージャまたは外部関数をアクティビティとしてワークフローに含めることができます。アプリケーション・コードを変更しなくても、ワークフロー・エンジンによりプログラムの前提条件が満たされていることが確認されると、いつでも独自のプログラムを実行できます。

電子通知

Oracle Workflowでは、ユーザーをワークフローに組み込み、購買依頼や受注の承認など、自動化できないアクティビティを処理できます。通知システムでは、ワークフロー内のユーザーに通知を送信し、ユーザーからの応答を処理します。電子通知はロールにルーティングされます。ロールは、個々のユーザーまたはユーザー・グループです。そのロールに関連付けられているユーザーなら誰でも、その通知に基づいて作業を実行できます。

各通知には、意思決定に必要なすべての情報を記載したメッセージが含まれています。情報は、メッセージの本文に埋め込まれているか、別の文書として添付されています。Oracle Workflowでは各通知アクティビティの応答を解釈し、次のワークフロー・アクティビティに移動する方法を決定します。

Eメールの統合

Eメール(E-mail)・ユーザーは、未処理の作業項目に関する通知を受信し、選択したEメール・アプリケーションを使用してその通知に応答できます。Eメール通知には、通知に対する別の応答手段となる添付を含めることができます。

インターネット対応ワークフロー

標準のWebブラウザにアクセスできるユーザーであれば誰でも、ワークフローに組み込むことができます。Webユーザーは、「通知」Webページへアクセスして未処理の作業項目を表示し、そこから別のページへ移動して、より詳細な内容を表示したり、応答することができます。

モニタリングと管理

ワークフロー管理者およびユーザーは、Javaをサポートする標準Webブラウザを使用してワークフロー・モニターに接続し、ワークフロー・プロセスの作業項目の進捗を表示できます。ワークフロー・モニターでは、ワークフロー・プロセスの特定インスタンスのプロセス・ダイアグラムが説明付きのビューで表示されるため、ユーザーは作業項目のステータスをグラフィカルに見ることができます。また、作業項目、プロセスおよびプロセス内の各アクティビティについて、個別のステータス要約も表示されます。

また、Oracle Applications ManagerのOracle Workflow ManagerコンポーネントをOracle Workflowの追加の管理ツールとして使用できます。Oracle Applications Managerは、Oracle Applicationsのコンカレント処理、Oracle Workflow、その他の機能の管理および診断機能を提供するツールの1つです。

ワークフロー・プロセス

Oracle Workflowでは、ユーザーが定義したルールに従ってビジネス・プロセスを管理します。ルールはワークフロー・プロセス定義と呼ばれ、プロセス内で発生するアクティビティと各アクティビティ間の関連が含まれます。プロセス定義に含まれるアクティビティには、PL/SQLストアド・プロシージャや外部関数によって定義される自動化関数、ユーザーやロールへの(場合により応答の要求も含む)通知、ビジネス・イベント、細かいアクティビティの集合で構成されるサブフローなどがあります。

ワークフロー・プロセスは、アプリケーションで一連のOracle ワークフロー・エンジンAPIをコールすると起動されます。ワークフロー・エンジンには、アプリケーションで定義されている関連作業項目を、特定のワークフロー・プロセス定義を介して実行する機能があります。ワークフロー・エンジンでは、ワークフロー・プロセス定義に従って自動化のステップを実行し、外部処理が必要な場合は該当するエージェントを起動します。

次のダイアグラムは、1人または複数の管理者の承認を得るために購買依頼をルーティングする、簡単なワークフロー・プロセス定義を表します。

Oracle Workflow Builderでのサンプル・ワークフロー・プロセス

本文の説明内容に関するイメージ

この全体図を、プロセスまたはプロセス・ダイアグラムと呼びます。アイコンはアクティビティを表し、矢印はアクティビティ間のトランジションを表しています。この例では、ユーザーが該当するアプリケーションで購買依頼を作成して送信すると、プロセスに新規項目が作成されます。

このプロセスには、PL/SQLストアド・プロシージャとして実装されている、次のような複数のワークフロー・アクティビティが含まれます。