1. Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの概要
長形式のリストのサブセットを生成する (-o format)
A. Oracle VM Server for SPARC 物理から仮想への変換ツール
B. Oracle VM Server for SPARC Configuration Assistant
C. Logical Domains Manager の検出
D. Logical Domains Manager での XML インタフェースの使用
CPU の割り当て機構では、CPU リソースについて次のような制約とヒントが使用されます。
コア全体の制約。この制約は、仮想 CPU が指定された数の CPU コアに基づいてドメインに割り当てられることを指定します。システムは、指定された数のコアを割り当て可能である必要があり、それらの割り当てられたコアのすべての仮想 CPU をドメインに割り当てる必要があります。システムが指定された数のコアを割り当てられない場合、ドメインのバインドは失敗します。
コアの最大数の制約。この制約は、バインドされた、またはアクティブなドメインに割り当て可能なコアの最大数を指定します。この制約は、ドメインにコア全体の制約が設定されているときは、自動的に有効になります。この場合、コアの最大数は、ドメインがアクティブでないときに構成されるコアの数に自動的に設定されます。現在のところ、コア全体の制約から独立してこの制約を有効にすることはできず、コアの最大数を手動で設定することもできません。
コアアフィニティーのヒント。このヒントは、ドメインに割り当てられる仮想 CPU が、同じ CPU コア、または可能な限り少ない数の CPU コアからのものであることを要求します。システムは、この要求を可能な限り満たすよう試みます。ドメインのバインドは、システムで利用可能な、「空いている仮想 CPU の数が十分でない場合のみ」失敗します。
コアアフィニティーのヒントはデフォルトで有効になっており、無効にすることはできません。
注 - コア全体の制約およびコアアフィニティーのヒントは、コア上での仮想 CPU の位置にのみ関係します。チップ上でのコアの位置や、ソケット上でのチップの位置には関係しません。
コア全体の制約は、ドメインに割り当てるコアの数を指定するときに自動的に有効になります。デフォルトでは、ドメインに割り当てる仮想 CPU を指定します。コア全体の制約は、アクティブでないドメインでのみ有効にでき、バインドされているドメインまたはアクティブなドメインでは有効にできません。制御ドメインでコア全体の制約を有効にする前に、まず遅延再構成を開始する必要があります。
ldm add-vcpu -c number、ldm set-vcpu -c number、または ldm remove-vcpu -c number コマンドを使用して、ドメインに対する CPU コアの割り当てまたは削除を行います。number は、CPU コアの数を指定し、コア全体の制約を有効にします。詳細については、ldm(1M) のマニュアルページを参照してください。
ldm add-vcpu -c number または ldm remove-vcpu -c number コマンドを、既に仮想 CPU が構成されているドメインで使用できます。この場合、仮想 CPU の現在の数は、対応するコアの数に自動的に変換されます。この変換が可能なのは、仮想 CPU の現在の数が、コアあたりの仮想 CPU 数の倍数である場合のみです。そうでない場合、変換は実行できず、コマンドは失敗します。
注 - これらのコマンドを使用して、アクティブでないドメイン、または遅延再構成モードの制御ドメインでコア全体の制約を有効にすると、コアの最大数も設定されます。これらのコマンドをバインドされたドメインまたはアクティブなドメインに対して使用しても、コアの最大数は影響を受けません。
たとえば、コアが 8 つの仮想 CPU で構成されてい場合について考えます。ドメインに 7 つの仮想 CPU が割り当てられていると、ldm add-vcpu -c または ldm remove-vcpu -c コマンドではコア全体の制約を満たすことができません。その代わりに、set-vcpu -c コマンドを使用してコアの数を指定し、コア全体の制約を有効にすることができます。
次の例では、アクティブでない ldg1 ドメインでコア全体の制約を有効にします。ldm list コマンドは、コア全体の制約が有効であることを確認します。
primary# ldm add-vcpu -c 1 ldg1 primary# ldm list -o resmgmt ldg1 NAME ldg1 CONSTRAINT whole-core max-cores=1
注 - ドメインでコア全体の制約が有効になっている場合、それらのコアに関連付けられている暗号化装置は、コアの追加の影響を受けません。このため、システムがドメインに対して自動的に、関連付けられている暗号化装置の追加または削除を行うことはありません。また、コアに対応する暗号化装置がドメインに割り当てられている場合、そのコアを削除することはできません。
ドメインにコアではなく仮想 CPU が割り当てられている場合、コア全体の制約は無効です。コア全体の制約は、アクティブでないドメインでのみ無効にでき、バインドされているドメインまたはアクティブなドメインでは無効にできません。制御ドメインでコア全体の制約を無効にする前に、まず遅延再構成を開始する必要があります。
ldm add-vcpu number、ldm set-vcpu number、または ldm remove-vcpu number コマンドを使用して、ドメインに対する仮想 CPU の割り当てまたは削除を行います。number は仮想 CPU の数を指定し、コア全体の制約を無効にします。詳細については、ldm(1M) のマニュアルページを参照してください。
ldm add-vcpu number または ldm rm-vcpu number コマンドを、既に CPU コアが構成されているドメインで使用できます。この場合、CPU コアの現在の数は、対応する仮想 CPU の数に自動的に変換されます。
注 - コア全体の制約を無効にすると、コアの最大数の制約も自動的に無効になります。
次の例では、アクティブでない ldg1 ドメインでコア全体の制約を無効にします。
primary# ldm set-vcpu 1 ldg1
制御ドメインでコア全体の制約を有効にするには、その制御ドメインが遅延再構成モードにある必要があります。制御ドメインでコア全体の制約を有効にする操作は、要求された制約を満たすための十分な CPU コアが使用可能な場合にのみ成功します。つまり、未使用のコア、既に制御ドメインにより使用されているコア、または制御ドメインにより部分的に使用されているコアが使用可能である必要があります。そうでない場合、制御ドメインへの CPU の割り当ては変更されません。
注 - 制御ドメインが遅延再構成モードのときは、コア全体の制約とコアの数の設定により、コアの最大数も指定されます。
次の例では、制御ドメイン (primary) でコア全体の制約を有効にします。最初に、制御ドメインで遅延再構成を開始します。次に、制御ドメインに 1 つのコア全体を割り当て、そのあとでドメインを再起動して変更を有効にします。
primary# ldm start-reconf primary Initiating a delayed reconfiguration operation on the primary domain. All configuration changes for other domains are disabled until the primary domain reboots, at which time the new configuration for the primary domain also takes effect. primary# ldm add-vcpu -c 1 primary primary# reboot
この節では、コア全体の制約と次の機能の相互作用について説明します。
コア全体の制約には、CPU の動的再構成 (Dynamic Reconfiguration、DR) との完全な互換性があります。ドメインにコア全体の制約が定義されている場合、ldm add-vcpu -c、ldm set-vcpu -c、または remove-vcpu -c コマンドを使用して、アクティブなドメインのコアの数を変更できます。
ただし、バインドされているドメインまたはアクティブなドメインが遅延再構成モードでない場合、コアの数はコアの最大数を超えることはできません。この最大数はコアの最大数の制約により設定され、コア全体の制約が有効化されたときに自動的に有効になります。コアの最大数の制約を満たさない CPU DR 操作はすべて失敗します。
コア全体の制約には、動的なリソース管理 (Resource Management、DRM) との互換性がありません。コア全体の制約を使用するドメインで DRM ポリシーが有効化された場合、そのポリシーは自動的に無効になります。コア全体の制約は有効なままです。
コア全体の制約が有効なときには DRM ポリシーを有効にできませんが、ドメインの DRM ポリシーを定義することはできます。ポリシーは自動的に無効になっても、アクティブのままです。コア全体の制約なしにドメインが再起動されると、このポリシーは自動的に再度有効になります。
次に示すのは、コア全体の制約と DRM の間の予期される相互作用です。
ドメインにコア全体の制約が設定されている場合、そのドメインで DRM ポリシーの有効化を試みると警告メッセージが表示されます。
アクティブでないドメインで DRM ポリシーが有効になっている場合、そのドメインでコア全体の制約を有効にできます。ドメインがアクティブになったときにポリシーが有効だと、システムはそのドメインの DRM ポリシーを自動的に無効にします。
アクティブなドメインまたはバインドされているドメインで DRM ポリシーが有効になっている場合、コア全体の制約を有効にすることはできません。
CPU コア全体の構成には、ドメインの移行との互換性がありません。ただし、CPU コア全体で構成されているドメインを移行することはできます。このような移行のあとでコア全体の制約を復元するには、ドメインを停止し、コア全体の割り当て用に再構成します。
コア全体の制約には、電源管理 (Power Management、PM) のパフォーマンスおよびエラスティックモードとの完全な互換性があります。エラスティックモードが有効なとき、PM サブシステムは、コア全体の制約が構成されているドメインに対する CPU コアの追加または削除を行うことができます。この場合、コア全体の制約は引き続き適用され、この制約を使用するドメインはコア全体でのみ構成されます。