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Oracle® Fusion Middleware Oracle Reportsレポート作成のためのユーザーズ・ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B61376-01
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2.4 レイアウト・オブジェクト

この項のトピックは、第1.8項「レイアウト・オブジェクト」で説明した基本的な概念に基づいています。

2.4.1 レイアウト・オブジェクトについて

レイアウト・オブジェクトの概念と適用されるプロパティには、重要なものがいくつかあります。

  • レポートにオブジェクトを表示する頻度は、「オブジェクトの印刷」プロパティで指定します。

  • 繰返し枠のインスタンスに対してOracle Reports Builderでデータをフェッチおよびフォーマットする方法は、「列モード」プロパティで指定します。

  • オブジェクトとそれがアンカーされているオブジェクトを同じ論理ページに保持するかどうかは、「アンカー・オブジェクトと連動」プロパティで指定します。

  • オブジェクト全体とそのコンテンツを同じ論理ページに保持するかどうかは、「ページ保護」プロパティで指定します。

  • フォーマット・トリガーはオブジェクトがフォーマットされる前に実行されるPL/SQLファンクションで、オブジェクトのフォーマット属性を動的に変更できます。

  • レポート・レイアウトはOracle Reports Builderに適用されているデフォルトにより作成されます。レポート・レイアウトはペーパー・レイアウト・ビューで変更することも、最初から作成することもできます。

関連項目

第4.5.4項「レポートのデフォルト・レイアウトの作成」

第4.10.2項「セクションのデフォルト・レイアウトの作成」

第2.6.13.2項「フォーマット・トリガーについて」

Oracle Reportsオンライン・ヘルプの「プロパティ」の項

2.4.2 レイアウトのデフォルトについて

レポート・ウィザードでデフォルトのレイアウト・スタイルの1つを選択すると、レポートのデータ・モデルに基づいて、Oracle Reports Builderによって必要なレイアウト・オブジェクトが作成されます。たとえば、メール・ラベル・レポートを作成する場合、適切なデータ・モデルが定義されていれば、単にメール・ラベルのデフォルト・スタイルを選択します。Oracle Reports Builderによって、レポートのレイアウト・オブジェクトが自動的に作成され、レイアウト・モデル・ビューに表示されます。作成したデフォルトのレイアウトは、必要に応じてカスタマイズできます。Oracle Reports Builderによって生成された各レイアウト・オブジェクトは、切取り、コピー、貼付け、移動、サイズ変更および編集を行うことができます。

レイアウトのデフォルトには、次のルールが適用されます。

  • レイアウト・オブジェクトをまだ含んでいないレイアウトとして作成する領域を定義しないかぎり、レポートのすでに定義済のレイアウト・オブジェクトはフォーマット・トリガーも含めてすべて上書きされます。

  • 1つのレポートに、任意の数のフォーマットを指定できます。たとえば、最初のページの上部に表形式フォーマットを持ち、同じページの下部にマトリックス・フォーマットを持つレポートを作成できます。そのためには、追加のレポート・レイアウトを作成します(第4.5.5項「追加のレポート・レイアウトの作成」を参照)。

  • レポート・レイアウトを作成した後は、データ・モデルを変更しても、それらはレイアウトに自動的に反映されません。たとえば、レポート・レイアウトを作成した後に、問合せを作成してレポートを実行しても、新しい問合せからのデータはレポート出力に表示されません。変更を取り込むには、レイアウトのデフォルトを再設定するか、レイアウトを変更する必要があります。

Oracle Reports Builderでは、次のルールに従って、レポート・レイアウトがデフォルト設定されます。

  1. 明記されていないかぎり、「印刷方向」が「横」のグループのデフォルトは、「印刷方向」が「縦」のグループのデフォルトと同じになります。ただし、そのデフォルト・フォーマットが変更されている場合は別です。「横」のグループのデフォルトを迅速に設定するには、次の操作を行います。

    • 半透明のペーパーにグループ用の縦レイアウトを描画します。

    • 本のページのようにそのページをめくります。

    • ページを逆時計回りで90度回転させます。

  2. フォーム・レター・レポートでは、すべてのデフォルト・フィールドが非表示で、その「水平拡張度」プロパティは「可変」に、「垂直拡張度」プロパティは「固定」に設定されています。他のすべてのレポートでは、すべてのデフォルト・フィールドの「水平拡張度」プロパティと「垂直拡張度」プロパティが「固定」に設定されています。

    例外: 表形式レポート、フォーム形式レポート、グループ左レポート、グループ上レポートおよびマトリックス・レポートでは、CHARフィールド(デフォルト幅を狭くした場合)およびLONGフィールドは、デフォルトで「水平拡張度」プロパティが「固定」に「垂直拡張度」プロパティが「可変」に設定されています。その結果、データの語が次の行に折り返され、すべてのフィールド値が切り捨てられることなく表示されます。


    注意:

    フォーム・レター・レポートおよびメール・ラベル・レポートでは、CHARフィールド(デフォルト幅を狭くした場合)およびLONGフィールドはデフォルトで、「水平拡張度」および「垂直拡張度」プロパティが「固定」に設定されています。その結果、データのサイズがフィールドのサイズを超える場合、フィールド値は切り捨てられます。

  3. グループではなくレポートによって所有されるサマリーは、すべてのレポート・レイアウト・スタイルで許可されます。サマリーは、すべて次のようにフォーマットされます。

    • レイアウト・スタイルがフォーム形式、フォーム・レターまたはメール・ラベルの場合、サマリーはレポート列です。レポート列は、そのレポート・スタイルの他のデータベース列と同じようにフォーマットされます。

    • レイアウト・スタイルが表形式、グループ左、グループ上またはマトリックスで、サマリーによって関数を実行する対象の列が選択されていない場合、サマリーはレポート列です(前述の説明と同じようにフォーマットされます)。それ以外の場合、サマリーはレポート・サマリーです。レポート・サマリーはレポートの最後に左揃えでフォーマットされ、フィールドの左にラベルが表示されます(余白がある場合)。

  4. レイアウト・スタイルが表形式、グループ左、グループ上またはマトリックスで、サマリーを計算する対象の列が選択されていない場合、サマリーはデータベース列のようにデフォルト設定されます。それ以外の場合、サマリーは通常のサマリーのようにデフォルト設定されます(つまり、M_groupname_FTR枠内に表示されます)。

  5. レイアウト・スタイルが表形式、グループ左、グループ上またはマトリックスの場合、Oracle Reports Builderによって、各行に1つのサマリー・タイプが次の順序で挿入されます。

    • 合計

    • 平均

    • 最小値

    • 最大値

    • カウント

    • 最初

    • 最後

    • 割合(%)

    • 標準偏差

    • 分散

  6. レイアウト・スタイルが表形式、グループ左、グループ上またはマトリックスの場合、サマリー・ラベルはグループ・フッター枠(M_groupname_FTR)の一番左に表示されます。ラベル全体を表示する場所がない場合、ラベルは切り捨てられます。

関連項目

第4.5.4項「レポートのデフォルト・レイアウトの作成」

第4.10.2項「セクションのデフォルト・レイアウトの作成」

2.4.3 イメージについて

次の方法で、イメージをレポートに追加できます。

1つ目の方法(イメージ・インポートダイアログ・ボックスを使用)では、TIFF、JFIF、BMP、TGA、PCX、PICT、GIF、CALS、RAS、OIF、PCDのフォーマットのイメージを含めることができます。

その他の2つの方法(ファイル・リンク・オブジェクトを作成し、データベースで列を選択)では、Oracle Reportsでサポートされているその他のフォーマット(JPEG(Progressive JPEGやExif JPEGなどのすべてのタイプ)、PNG、BMP、TIFF、GIFおよびCGM)を含めることができます。

プレビューアのみでなく印刷レポートにもイメージが表示されるように、デフォルトでイメージはフィールドに表示されます。

REPORTS_OUTPUTIMAGEFORMAT環境変数およびOUTPUTIMAGEFORMATコマンドライン・キーワードにより、イメージングのサポートが強化されています。イメージングのサポートが強化されたことにより、複雑なグラフィックを多用するレポートを、より忠実にイメージを出力しながら生成できるようになりました。UNIXの場合はさらに、イメージを表示する際のウィンドウ・システムへの依存性が排除されています。PostScriptプリンタ・ドライバscreenprinter.ppdにより、イメージの画面解像度が決定されます。

非キャッシュ参照を使用することで、ローカルのディスク領域を使い切ることなく、イメージ・オブジェクトを無制限に含めることができます。非キャッシュ参照では、オブジェクトがレポート処理に必要なときのみデータベースから読み込まれます。この機能を使用するには、ORACLE V7.1以上のデータベースに接続する必要があります。

HTML出力用にレポートをフォーマットしていれば、イメージのURLを参照したときにイメージが表示されます。他の出力フォーマットでは、URLテキストがペーパー・デザイン・ビューに表示され、出力先(ファイルやPDFドキュメントなど)には何も表示されません。ユーザーは、URLが存在するかどうかを確認する必要があります。Oracle Reports Builderでは、リソースの有無やプロトコルの構文は検証されません。URLを含むオブジェクトのサイズは、HTML出力でのイメージのサイズを定義します。オブジェクトに適用される拡張度のプロパティは、すべて無視されます。

制限

  • 入力イメージの色数が256色を超える場合、出力イメージのフォーマットがOUTPUTIMAGEFORMATコマンドライン・キーワードまたはREPORTS_OUTPUTIMAGEFORMAT環境変数によってGIFに設定されていると、Oracle ReportsではGIFを正しく生成するために、色数が256色に減らされます。

  • UNIXでは、HTML出力ではCGMフォーマットはサポートされていません。この制限はWindowsプラットフォームには適用されません。

2.4.4 アンカーについて

アンカーは、オブジェクトの境界線の間を結び付けることで、オブジェクト間の相対的な位置を確定します。たとえば、可変サイズの繰返し枠の境界線にボイラープレート・テキストをアンカーすると、繰返し枠のサイズを変更しても、ボイラープレートと繰返し枠間の距離と位置関係は保持されます。

アンカーは、親オブジェクトに対する子オブジェクトの上下左右の相対的な位置関係を決定します。子オブジェクトは、親オブジェクトの内外どちらにも配置できます。

一部のレイアウト・オブジェクトのサイズは、レポートが実行されデータがフェッチされるときに変更されるため、アンカーを使用してオブジェクト間の相対的な位置関係を定義する必要があります。アンカーは、アンカー先のオブジェクトに対する子オブジェクトの相対的な位置を定義します。オブジェクトの位置は、データがフェッチされた後の両オブジェクトのサイズに基づいて決定され、エディタでのサイズには依存しません。また、ペーパー・レイアウト・ビューでのオブジェクトの位置がレポート出力での最終的な位置に反映されることに注意してください。レイアウト内の物理的なオフセットは、すべて「アンカー」プロパティのパーセントによる指定位置に組み込まれます。

アンカーには2種類あります。

  • 暗黙的なアンカー。Oracle Reports Builderによって、実行時に、明示的なアンカーを持たない各レイアウト・オブジェクトに対して暗黙的なアンカーが作成されます。つまり、各レイアウト・オブジェクトに対して、そのレイアウト・オブジェクトを上書きすることになるオブジェクトがあるかどうかが判別され、そうしたオブジェクトがある場合は、そのレイアウト・オブジェクトからそれを上書きする最も近いオブジェクトに対してアンカーが作成されます。これによって、そのレイアウト・オブジェクトは上書きされなくなります。暗黙的なアンカーの機能によって、ユーザーはすべてのオブジェクトの位置を定義する必要がありません。暗黙的なアンカーは、ペーパー・レイアウト・ビューには表示されません。ただし、「オブジェクト・ナビゲータ・オプション」ダイアログ・ボックスで、オブジェクト・ナビゲータにアンカー情報が表示されるように指定できます。デフォルトで、オブジェクトは、そのインクローズ・オブジェクトの左上隅にアンカーされます。オブジェクト・ナビゲータのこのビューでオブジェクトのアンカー情報が表示されない場合でも、オブジェクトはそのインクローズ・オブジェクトにアンカーされていると想定できます。インクローズ・オブジェクトは、枠または本体と考えられます。

  • 明示的なアンカー。明示的なアンカーは、レイアウト・エディタで「アンカー」ツールを使用して、子側の境界線から親側の境界線にドラッグすることで作成できます。オブジェクトに作成したアンカーは、暗黙的なアンカーより優先されます。明示的なアンカーは、「レイアウト・オプション」ダイアログ・ボックスで非表示を指定しないかぎり、常にペーパー・レイアウト・ビューに表示されます。

アンカーによる相対的な位置指定

子オブジェクトを親オブジェクトにアンカーするときは、アンカーの連結点になるX座標とY座標が重要です。

親オブジェクトが子オブジェクトの上または下にある場合:

  • 2つのオブジェクト間の垂直距離は固定されます。たとえば、次の図では、親オブジェクトとObject 1との間の垂直間隔は固定されています。

  • 子オブジェクト側のアンカーのX座標の水平位置は、親オブジェクト側のアンカーのX座標と関係があります。たとえば、次の図では、アンカーは親の左右境界線からは50%、Object 1の左境界線からは75%の位置にあります。そのため、このレポートを実行すると、Oracle Reports BuilderによってObject 1は親の中央から左側に25%シフトされます。

図2-5 子オブジェクトの上に位置する親オブジェクト

子の上に親が位置していることを示す図
「図2-5 子オブジェクトの上に位置する親オブジェクト」の説明

親オブジェクトが子オブジェクトの右または左にある場合:

  • 2つのオブジェクト間の垂直位置は相対的です。たとえば、次の図では、アンカーの両端の終点が2つのオブジェクトの上境界線から80%ほど下の位置にあります。したがって、レポートを実行すると、Oracle Reports Builderによって2つのオブジェクトの長さが計算され(拡張されている場合があるため)、両オブジェクトに対して80%下のY座標が計算されます。次に、ペーパー・レイアウト・ビューで配置されている距離でこれら2つのポイントが位置するように、2つのオブジェクトが配置されます。

  • 2つのオブジェクト間の水平位置は固定されます。たとえば、次の図では、親オブジェクトとObject 1との間の水平間隔は固定されています。

図2-6 子オブジェクトの右に位置する親オブジェクト

子の右に親が位置していることを示す図
「図2-6 子オブジェクトの右に位置する親オブジェクト」の説明

繰返し枠または枠の外にオブジェクトを配置する必要がありながら、繰返し枠または枠をオブジェクトの所有者にする場合は(つまり、その所有者のフォーマット時にフォーマットするために)、繰返し枠または枠の中でオブジェクトに連結するアンカーを作成します。

アンカーの縮小

作成したアンカーを縮小できます。アンカーの縮小によって、レポート内での不要な余白を回避できます。こうした余白は、親と子が同じページに出力されなかったり、設定されている「印刷条件」が原因で、親オブジェクトが子オブジェクトと同じページに入らない場合に生じる可能性があります。アンカーを縮小すると、出力時に、親オブジェクトのある場所に子オブジェクトを移動できます。子オブジェクトの相対位置は、アンカーで定義したとおりに保持されます。

2.4.4.1 暗黙的なアンカーのアルゴリズム

Oracle Reports Builderでは、実行時に暗黙的なアンカーが本体領域に作成されます。本体とマージンでは、そのアルゴリズムが少し異なります。

本体でのアルゴリズム

  1. 繰返し枠または枠に完全に囲まれていない(直接または間接的に)オブジェクト、あるいは繰返し枠または枠に囲まれている(直接または間接的に)オブジェクトに明示的にアンカーされているオブジェクトを判別します。以降、これらのオブジェクトをタイプAオブジェクトと呼びます(タイプAオブジェクトは一般的に、グループ枠、繰返し枠、作成したオブジェクトで枠または繰返し枠に所有されていない他のオブジェクトなどです)。オブジェクトは、次のすべてが該当する場合にかぎり、別のオブジェクトに囲まれていると判別されます。

    • 両方のオブジェクトが同じ領域(本体またはマージン)に属する。

    • 2つのオブジェクトの外側の方が枠または繰返し枠である。

    • 2つのオブジェクトの外側の方が内側のオブジェクトの背後にある。

    • 2つのオブジェクトの内側の方が外側のオブジェクトの境界線の中に完全に収まっている。

  2. 枠または繰返し枠のすべての子オブジェクトを判別します(これらは非タイプAオブジェクトです)。以降、これらのオブジェクトをタイプBオブジェクトと呼びます。

  3. タイプAオブジェクトとタイプBオブジェクトで別々に次の手順を実行します。

    • 同じタイプ(たとえば、タイプA)に属し、同じレイヤー上にあるすべてのオブジェクトを見つけます。

    • それらのオブジェクトの中で、同じタイプのオブジェクトを「プッシュ」する可能性のあるものを判別します。オブジェクトは、その「水平拡張度」または「垂直拡張度」が「可変」または「拡張」に設定されており、2番目のオブジェクトがそのプッシュ・パス(最初のオブジェクトが拡張する可能性のある領域)にある場合に、同じタイプのオブジェクトをプッシュする可能性があります。また、「水平拡張度」または「垂直拡張度」が「固定」または「縮小」に設定されている繰返し枠にも、その「印刷方向」というプッシュ・パスがあります。

    • オブジェクトの組合せを作成します。各組合せは、プッシュする側(拡張するオブジェクト)とプッシュされる側(プッシュされるオブジェクト)で構成する必要があります。これらの組合せを作成するとき、プッシュされる側のオブジェクトを明示的なアンカーの子オブジェクトにはできません。このようなオブジェクトは無視されます。

    • 次に説明するループを実行します。組合せごとに、プッシュする側とプッシュされる側の間のプッシュ・パスの距離を測定します。次に、最も距離の短い組合せを見つけます。最後に、次のアルゴリズムを使用して、2つのオブジェクト間に暗黙的なアンカーを作成します。

      プッシュ・パスの方向が「縦」の場合は、プッシュされる側のオブジェクトの上0%をプッシュする側のオブジェクトの下0%にアンカーします。

      プッシュ・パスの方向が「横」の場合は、プッシュされる側のオブジェクトの左0%をプッシュする側のオブジェクトの右0%にアンカーします。

    • この時点で、この組合せは1つのオブジェクトとして扱われます。このループを、すべてのオブジェクトが1つのアンカーを持つか、アンカーされていない残りのオブジェクトをプッシュするものがなくなるまで繰り返します。

    • アンカーされていない残りの各オブジェクトには、オブジェクトの左上隅から本体領域の左上隅に暗黙的なアンカーを作成します。

    • 次のレイヤーに移り、手順1から再度実行します。

ルール:

  • オブジェクトが他の2つのオブジェクトのプッシュ・パスにあり、その2つのオブジェクトから等距離の場合は、そのオブジェクトの暗黙的なアンカーはレポートを実行するたびに異なる可能性があります。たとえば、次の図は、こうした事象が生じる2つのケースを示しています。

図2-7 他の2つのオブジェクトのプッシュ・パスにあるオブジェクト

前述の状況を示す図
「図2-7 他の2つのオブジェクトのプッシュ・パスにあるオブジェクト」の説明

ケース1では、M_SumsがB_Text1とR_Enameの両方のプッシュ・パスにあります。M_SumsはB_Text1とR_Enameから等距離にあるため、このケースでは、暗黙的なアンカーを決定する通常の基準(最も短い距離)を適用できません。その結果、このアルゴリズムでは、実行時に、暗黙的なアンカーがM_SumsとB_Text1の間またはM_SumsとR_Enameとの間にランダムに作成されます。この動作を回避するには、M_SumsとB_Text1またはR_Enameの間に、明示的なアンカーを作成します。

ケース2では、B_Text3がM_Empのプッシュ・パスにあります。M_EmpとR_Mgrの下境界線は実質的に同じ位置にあるため、B_Text3はM_EmpまたはR_Mgrのどちらかに暗黙的にアンカーされる可能性があります。その結果、このアルゴリズムでは、実行時に、暗黙的なアンカーがB_Text3とM_Empの間またはB_Text3とR_Mgrとの間にランダムに作成されます。この動作を回避するには、B_Text3からどちらかのオブジェクトに明示的なアンカーを作成するか、R_EnameとB_Text2の間の明示的なアンカーを削除します。明示的なアンカーを削除するとR_MgrはM_Empの子孫として扱われ、その結果、暗黙的なアンカーはB_Text3とM_Empの間にのみ作成されるようになります。

(ケース2が生じる可能性が最も高いのはキャラクタ・モードです。キャラクタ・モードでは、オブジェクトの境界線がペーパー・レイアウト・ビューでオーバーラップすることがよくあります。)

マージンでのアルゴリズム

Oracle Reports Builderでは、マージン領域のすべてのタイプBオブジェクトに対して、本体と同じアルゴリズムを使用して暗黙的なアンカーが作成されます。ただし、各タイプAオブジェクトには、オブジェクトの左上隅からマージンの左上隅に暗黙的なアンカーが作成されます。タイプAオブジェクトが他のタイプAオブジェクトに暗黙的にアンカーされることはありません(これにより、タイプAオブジェクトはページから絶対にプッシュされなくなります。ただし、同じレイヤーに他のタイプAオブジェクトがある場合は、それによって上書きされる場合があります)。

関連項目

第4.9.5.1項「アンカー・オブジェクトによる連動」

第4.9.5.2項「暗黙的なアンカーの表示」

第4.9.5.3項「アンカーの移動」

2.4.5 カラーとパターンの変更について

選択したカラーとパターンは、オブジェクト全体に適用されます(オブジェクト内の全テキストに1つのカラーを適用することはできますが、テキストのセグメントごとには適用できません)。

レポート内のカラーとパターンは、次の方法で変更できます。

  • Oracle Reports Builderのユーザー・インタフェースで、ペーパー・レイアウト・ビューのツール・パレットにある次のツールを使用します。

    • レイアウト・オブジェクトを囲む境界線のカラーをカスタマイズするには、「線カラー」ツールを使用します。


      注意:

      Windowsプラットフォームでは、境界線パターン(「線カラー」ツールのパターン)はサポートされません。

    • レイアウト・オブジェクトをカラーとパターンで塗りつぶすには、「塗りつぶしカラー」ツールを使用します。

    • デフォルトのテキスト・カラーを変更するには、「テキスト・カラー」ツールを使用します。

    • 3つのカラー・ツールの真上にある塗りつぶし/線/テキスト・サンプルボックスには、現在選択されている塗りつぶし、境界線およびテキストが表示されます。Oracle Reports Builderによって作成されるオブジェクトのデフォルトの塗りつぶしと境界線は透明ですが、ユーザーが作成するオブジェクトのデフォルト値は白の塗りつぶしのまわりに黒の1ポイント線です。

  • PL/SQLでは、次のSRWパッケージ・プロシージャを使用します。

    • SRW.SET_BACKGROUND_BORDER_COLOR

    • SRW.SET_BACKGROUND_FILL_COLOR

    • SRW.SET_FOREGROUND_BORDER_COLOR

    • SRW.SET_FOREGROUND_FILL_COLOR

    • SRW.SET_TEXT_COLOR

    • SRW.SET_FILL_PATTERN

    • SRW.SET_BORDER_PATTERN

  • テンプレートの場合は、テンプレートのプロパティ・インスペクタで次のプロパティを設定します。

    • 「塗りつぶしパターン」プロパティでは、オブジェクトで囲まれる領域に使用するパターンを定義します。「フォアグラウンド・カラー」プロパティと「バックグラウンド・カラー」プロパティを使用して、塗りつぶしパターンのバックグラウンド・カラーとフォアグラウンド・カラーを定義できます。

    • 「枠のパターン」プロパティでは、オブジェクトの境界線に使用するパターンを定義します。「枠のフォアグラウンド・カラー」プロパティと「枠のバックグラウンド・カラー」プロパティを使用して、枠のパターンのバックグラウンド・カラーとフォアグラウンド・カラーを定義できます。


      注意:

      Windowsプラットフォームでは、境界線パターンはサポートされません。

    • 「テキスト・カラー」プロパティでは、オブジェクトに使用するテキスト・カラーを指定します。

さらに、カラー・パレットの環境設定を設定して、レポートでの使用方法を指定できます(第4.2.6項「カラー・パレットの環境設定の設定」を参照)。また、カラー・パレットを変更することで、個々のカラー定義を変更できます(第4.9.6.5項「カラー・パレットの変更」を参照)。

現行のレポートで使用しているカラー・パレットを変更するには、新しいカラー・パレットをインポートします。また、現行のカラー・パレットを他のレポートで使用するためにエクスポートすることもできます(第4.9.6.6項「カラー・パレットのインポートまたはエクスポート」を参照)。

関連項目

第4.9.6.2項「カラーの変更」

第4.9.6.3項「パターンの変更」

第4.9.6.4項「PL/SQLを使用したカラーおよびパターンの変更」

第4.9.4.2項「オブジェクトの境界線属性の変更」

Oracle Reportsオンライン・ヘルプの「リファレンス」→「カラー・パレットとパターン・パレット」の項のトピック「Oracle CDE1カラー・パレット」、「デフォルト・カラー・パレット」、「グレースケール・カラー・パレット」および「パターン・パレット」

Oracle Reportsオンライン・ヘルプの「リファレンス」→「PL/SQLリファレンス」→「ビルトイン・パッケージ」の項のトピック「SRWのビルトイン・パッケージ」

Oracle Reportsオンライン・ヘルプの「プロパティ」の項のトピック「テンプレート・プロパティ」

2.4.6 オブジェクトのサイズ変更について

問合せ、グループ、枠、繰返し枠、フィールド、マトリックス・オブジェクトおよびボイラープレート・オブジェクトのサイズを変更できます。アンカーのサイズは変更できません。ただし、アンカーされたオブジェクトの一方を移動した場合、アンカーのサイズは自動的に変更されます。


注意:

ボイラープレート・テキストのサイズを変更するときは、すべてのテキストがオブジェクト内に収まるように注意が必要です。並び線よりも下のフォント部分(gやpなどの文字の下側に延びた領域)が収まらない場合、テキスト行はレポート・エディタのビューには表示されますが、レポート実行時の出力には表示されません。ハンドルをクリックしてドラッグすると、角で連結している縦横方向の2つの境界線によりサイズが変更されます。つまり、オブジェクトはX座標とY座標の両方向に拡張または縮小されます。

関連項目

第4.9.12.1項「オブジェクトのサイズ変更」

第4.9.12.2項「複数オブジェクトの同一サイズ化」

第4.9.11.3項「親の境界線の自動調整」

2.4.7 ペーパー・レイアウト・ビューでのオブジェクトの移動とレイヤーについて

ペーパー・レイアウト・ビューでは、オブジェクトはそれを囲むオブジェクトより上のレイヤーにある必要があります。たとえば、繰返し枠に属するフィールドであれば、ペーパー・レイアウト・ビューでは、繰返し枠より少なくとも1つ上のレイヤー上にする必要があります。そうしないと、フィールドが繰返し枠に囲まれていると判別されなくなり、実行時に頻繁にエラーが発生します。ペーパー・レイアウト・ビューでオブジェクトを移動またはグループ化するときは、そのレイヤーが変更される場合があり、それによってレポートの実行時に頻繁にエラーが発生します。この問題を回避するには、ペーパー・レイアウト・ビューでのオブジェクトの移動時に、制限モードまたはフレックス・モードを使用する必要があります。

関連項目

第4.9.4.3項「現行のモード(制限またはフレックス)の変更」

第4.9.11.7項「オブジェクトのレイヤーの変更」

第4.9.11.2項「オブジェクトの親の外への移動」

第4.9.11.1項「複数オブジェクトの移動」

第4.9.11.6項「オブジェクトの整列」