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Oracle Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル Oracle Solaris 10 8/11 Information Library (日本語) |
1. Oracle Solaris システムのチューニングの概要
2. Oracle Solaris カーネルチューニング可能パラメータ
4. インターネットプロトコル群のチューニング可能パラメータ
この節では、fsflush とそれに関連するチューニング可能パラメータについて説明します。
システムデーモン fsflush は定期的に実行され、主に次の 3 つの作業を行います。
fsflush は呼び出されるたびに、一定期間が経過した汚れたファイルシステムページをディスクにフラッシュします。
fsflush は呼び出されるたびに、メモリーの一部分を検証し、変更されたページをバッキングストアに書き出します。ページは、変更されており、かつ次の条件のどれにも該当しない場合に書き込まれます。
ページはカーネルページです
ページは使用されていません
ページがロックされています
ページにスワップデバイスが対応づけられています
ページが入出力操作に現在関与しています
この結果、書き込み権に基づいて mmap でマッピングされ、かつ実際に変更されているファイルのページがフラッシュされます。
ページはバッキングストアにフラッシュされますが、それを使用しているプロセスとの接続は保たれます。フラッシュしておくと、システムのメモリーが不足したときのページの再利用が簡単になります。これは、フラッシュ後にそのページが変更されていなければ、ページを回収する前にそのページをバッキングストアに書き出す必要がなくなり、遅延を避けられるからです。
fsflush はファイルシステムのメタデータをディスクに書き込みます。この書き込みは n 回目の呼び出しごとに行われます。n はさまざまな構成変数から計算されます。詳細は、「tune_t_fsflushr」 と 「autoup」 を参照してください。
次の機能を構成できます。
呼び出し頻度 (tune_t_fsflushr)
メモリー走査を実行するかどうか (dopageflush)
ファイルシステムデータのフラッシュを行うかどうか (doiflush)
フラッシュシステムデータのフラッシュを実行する頻度 ( autoup)
ほとんどのシステムでは、fsflush によって、メモリーの走査と、ファイルシステムメタデータの同期化を行うのが一般的です。システムの使用状況によっては、メモリーの走査はほとんど意味がなかったり、CPU 時間を使用しすぎることがあります。
符号付き整数
1
1 から MAXINT
秒
いいえ
値がゼロ以下の場合、値は 1 にリセットされ、警告メッセージが出力されます。この確認が行われるのはブート時だけです。
autoup パラメータを参照してください。
変更の可能性あり
個々の呼び出しでダーティーページに関して検査するメモリー量と、ファイルシステム同期操作の頻度を、tune_t_flushr とともに制御します。
さらに、autoup の値は、空リストからバッファーを書き出すかどうかの制御にも使用されます。B_DELWRI フラグが付いているバッファー (変更されているファイルコンテンツページを示す) は、空リストに置かれている時間が autoup 秒を超えると書き出されます。autoup の値を増やすと、バッファーがメモリーに置かれている時間が長くなります。
符号付き整数
30
1 から MAXINT
秒
いいえ
autoup がゼロ以下の場合は、30 に再設定され、警告メッセージが出力されます。この確認が行われるのはブート時だけです。
autoup は tune_t_fsflushr の整数倍でなければなりません。最小でも autoup は tune_t_fsflushr 値の 6 倍以上でなければなりません。そうでないと、fsflush が呼び出されるたびに余計なメモリーが走査されます。
dopageflush がゼロでない場合にメモリーを検査するには、全体のシステムページ数に tune_t_fsflushr を掛け合わせた値が autoup 以上でなければなりません。
autoup または tune_t_fsflushr (あるいはその両方) の変更が必要になる状況はいくつかあります。
大きなメモリーをもつシステム – この場合には、autoup を増やすと、fsflush の個々の呼び出しで走査されるメモリー量が少なくなります。
メモリーの要求量が最小限のシステム – autoup と tune_t_fsflushr を両方とも増やすと、走査の回数が減ります。autoup 対 tune_t_fsflushr の現在の比率を維持するには autoup も増やす必要があります。
一時ファイルの数が多いシステム (メールサーバーやソフトウェアビルドマシンなど) – 多数のファイルが作成されて削除された時、fsflush によって、これらのファイルのデータページがディスクに不必要に書き込まれるおそれがあります。
変更の可能性あり
fsflush の呼び出し時に、変更されたページの有無についてメモリーを検証するかどうかを制御します。fsflush を呼び出すたびに、システムの物理メモリーページ数が判別されます。この値は動的再構成動作によって変更されている可能性があります。呼び出しのたびに、次のアルゴリズムを使用して走査が実行されます。 ページ総数 x tune_t_fsflushr / autoup ページ
符号付き整数
1 (有効)
0 (無効)、1 (有効)
切り替え (オン/オフ)
はい
なし
システムページスキャナの実行がまれな場合 (vmstat 出力の sr 欄に値 0 が示される)。
変更の可能性あり
詳細は、「dopageflush (Solaris 10 リリース)」を参照してください。
fsflush 呼び出しでファイルシステムメタデータの同期化を行うかどうかを制御します。同期化は、fsflush の N 回目の呼び出しごとに行われます。ここで N は (autoup / tune_t_fsflushr) です。このアルゴリズムは整数の割り算であるため、tune_t_fsflushr が autoup より大きいと、反復カウンタが N 以上であるかどうかをコードがチェックするので、同期化は fsflush が呼び出されるたびに行われます。N は fsflush を実行するときに 1 度だけ計算されることに注意してください。その後で tune_t_fsflushr や autoup を変更しても、同期化操作の頻度に影響はありません。
符号付き整数
1 (有効)
0 (無効)、1 (有効)
切り替え (オン/オフ)
はい
なし
一定期間にファイルが頻繁に変更されるため、フラッシュによる負荷がシステムの動作に悪影響を与える場合。
システムがリブートされる際に消えたり状態の一貫性がどうなっても構わないファイルは、 TMPFS ファイルシステム (/tmp など) に置いた方がいいでしょう。システム上の i ノードトラフィックを減らすには、mount -noatime オプションを使用します。このオプションを使うと、ファイルがアクセスされた時に i ノードの更新が行われません。
リアルタイム処理を行うシステムでは、このオプションを無効にし、アプリケーションによってファイルの同期化を明示的に行い、一貫性を保つことを望むこともあるでしょう。
変更の可能性あり