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Oracle® Enterprise Manager Cloud管理ガイド
12c リリース5 (12.1.0.5)
B70509-13
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56 EMCLI動詞によるチャージバックとメータリング

この章では、チャージバックとメータリングに使用するEMCLI動詞について説明し、動詞名、説明、パラメータ、構文の詳細を示します。動詞の出力およびコマンドの例も示します。この章の内容は次のとおりです。

56.1 UIと同等のチャージバック操作の実行

この項では、チャージバック・ユーザー・インタフェース内で実行できるものと同じ操作を実行できるEMCLI動詞について説明します。

56.1.1 list_chargeback_entity_types

チャージバックでサポートされるすべてのエンティティ・タイプをリストします。オプションで、すべてのエンティティ・タイプとその個々の使用モードか、または特定のエンティティ・タイプでサポートされるすべての使用モードをリストできます。

構文

list_chargeback_entity_types
        -[usage_mode]
        -[entity_type="eType"]

パラメータ

  • usage_mode: (オプション)各エンティティ・タイプの適用可能なすべての使用モードを表示します。

  • entity_type: (オプション)指定されたエンティティ・タイプの適用可能なすべての使用モードを表示します。

list_chargeback_entity_types

Entity Type        Entity Type Display Name
oracle_database    Database Instance
host               Host
list_chargeback_entity_types -usage_mode

Entity Type        Entity Type Display Name        Usage Mode
oracle_database    Database Instance               dbMetered
oracle_database    Database Instance               dbByService
oracle_database    Database Instance               cdbBypdb

host               Host                            hostMetered
list_chargeback_entity_types -entity type="oracle database"

Entity Type        Entity Type Display Name        Usage Mode
oracle_database    Database Instance               dbMetered
oracle_database    Database Instance               dbByService
oracle_database    Database Instance               cdbBypdb

56.1.2 list_chargeback_entities

チャージバックに追加されたすべてのエンティティ(チャージとメータリングが計算される任意のタイプのすべてのエンティティ)をリストします。

構文

list_chargeback_entities

出力は表形式で、追加されたエンティティごとに次の情報が表示されます。

表56-1 出力の例

列名 列値

エンティティ名

acme_db

エンティティGUID

xrdbyy

エンティティ・タイプ

oracle_database

作成日

2014-01-01 00.00.00.0

親エンティティ名

親なし

親エンティティ・タイプ

適用なし

コスト・センター名

cc1

チャージ・プラン名

cp1


56.1.3 add_chargeback_entity

特定のエンティティ・タイプのエンティティ・インスタンスを、指定された使用モードでチャージバックに追加します。

構文

add_chargeback_entity
        -entity_name="eName"
        -entity_type="eType"
        -usage_mode="uMode"

パラメータ

  • entity_name: チャージバックに追加する、Enterprise Managerによって現在監視されているエンティティ・インスタンスを名前で指定します。

  • entity_type: 追加するインスタンスのエンティティ・タイプを指定します。

  • usage_mode: 使用モード(エンティティ・インスタンスを測定する方法)を指定します。使用可能な使用モードを表示するには、list_chargeback_entity_types動詞と-entity typeオプションを組み合せて使用します。

add_chargeback_entity -entity_name="db1" -entity_type="oracle_database" -usage_mode="dbMetered"

データベース・インスタンスによって測定されるエンティティdb1をチャージバックに追加します。

56.1.4 remove_chargeback_entity

チャージバックから特定のエンティティ・タイプのエンティティ・インスタンスを削除します(指定された使用モードのエンティティに対するチャージバック・アクティビティを終了します)。

構文

remove_chargeback_entity
        -entity_name="eName"
        -entity_type="eType"
        -[entity_guid="entity guid"]

パラメータ

  • entity_name: チャージバックから削除するエンティティ・インスタンスを名前で指定します。

  • entity_type: 削除するインスタンスのエンティティ・タイプを指定します。

  • entity_guid: (オプション)エンティティを内部的に認識するグローバル一意識別子を指定します。同じ名前で同じタイプの複数のエンティティが存在する場合、コマンド出力によって、GUIDを含む追加の詳細付きでそれらすべてのエンティティがリストされます。今度は他のパラメータのかわりにentity_guidを使用してコマンドを再実行すると、目的のエンティティを正しく識別できます。

remove_chargeback_entity -entity_name="db1" -entity_type="oracle_database"

チャージバックからOracle Databaseエンティティdb1を削除します。

56.1.5 list_charge_plans

チャージバックで現在使用中のすべてのチャージ・プランをリストします。オプションで、将来使用される予定のチャージ・プランをリストします。また、オプションで、エンティティ・タイプまたはチャージ・プランの詳細によって現在または将来のプランをリストできます。

構文

list_charge_plans 
        [-[entity_type="entity type" -[ all]] 
        -[charge_plan="charge plan name" -[all]] 
        -[ all]]

パラメータ

  • entity_type: 指定されたエンティティ・タイプのすべてのアクティブなチャージ・プランをリストします。

  • charge_plan: 特定のチャージ・プランの詳細をリストします。

  • all: チャージバックのアクティブおよび将来のすべてのチャージ・プラン、指定されたエンティティ・タイプのチャージ・プラン、または指定されたチャージ・プランのアクティブおよび将来のすべてのバージョンの詳細をリストします。

出力は表形式で、指定したパラメータに応じて次の情報が表示されます。

表56-2 出力の例

列名 列値

チャージ・プラン名

cp1

エンティティ・タイプ

host

説明

ホスト定額プラン

開始日

2014-01-01 00.00.00.0

終了日

2014-02-01 00.00.00.0


56.1.6 assign_charge_plan

指定されたチャージ・プランを特定のタイプのエンティティに割り当てます。

構文

assign_charge_plan
        -entity_name="eName"
        -entity_type="eType"
        -plan_name="pName"
        -[entity_guid="entity guid"] 

パラメータ

  • entity_name: プランを割り当てるエンティティを指定します。

  • entity_type: 名前付きエンティティのエンティティ・タイプを指定します。チャージ・プランは、エンティティ・タイプ固有です。

  • plan_name: エンティティに割り当てる既存のチャージ・プランの名前を指定します。

  • entity_guid: (オプション)エンティティを内部的に認識するグローバル一意識別子を指定します。同じ名前で同じタイプの複数のエンティティが存在する場合、コマンド出力によって、GUIDを含む追加の詳細付きでそれらすべてのエンティティがリストされます。今度は他のパラメータのかわりにentity_guidを使用してコマンドを再実行すると、目的のエンティティを正しく識別できます。

assign_charge_plan -entity_name="db1" -entity_type="oracle_database" -plan_name="plan1" 

エンティティ・タイプがOracle Databaseのデータベース・インスタンスdb1にチャージ・プランplan1を割り当てます。

56.1.7 unassign_charge_plan

指定されたエンティティからチャージ・プランの割当てを削除します。

構文

unassign_charge_plan
        -entity_name="eName"
        -entity_type="eType"
        -[entity_guid="entity guid"] 

パラメータ

  • entity_name: プランの割当てを削除するエンティティを指定します。

  • entity_type: 名前付きエンティティのエンティティ・タイプを指定します。

  • entity_guid: (オプション)エンティティを内部的に認識するグローバル一意識別子を指定します。同じ名前で同じタイプの複数のエンティティが存在する場合、コマンド出力によって、GUIDを含む追加の詳細付きでそれらすべてのエンティティがリストされます。今度は他のパラメータのかわりにentity_guidを使用してコマンドを再実行すると、目的のエンティティを正しく識別できます。

unassign_charge_plan -entity_name="db1" -entity_type="oracle_database" -plan_name="plan1" 

エンティティ・タイプがOracle Databaseのデータベース・インスタンスdb1からチャージ・プランの割当てを削除します。

56.1.8 list_cost_centers

チャージバックに認識されているすべてのコスト・センターまたは様々な階層表示のコスト・センターをリストします。

構文

list_cost_centers
        -[[cost_center_name="cName"]
        -[parent]
        -[children]
        -[top]
        -[leaf]] 

パラメータ

  • cost_center_name: 他のオプションを指定できる特定のコスト・センターを指定します。

  • parent: 指定されたコスト・センターの親のコスト・センターを表示します。

  • children: 指定されたコスト・センターのすべての子のコスト・センターをリストします。

  • top: 指定されたコスト・センターの祖先のコスト・センターを表示します。

  • 指定されたコスト・センターのリーフ・ノードのコスト・センターを表示します。

list_cost_centers

Cost Center Name          Parent Node          Number
     cc1                                       [2,4,0,0]
     cc11                      cc1             [2,2,0,0]
     cc12                      cc1             [0,0,0,0]
     cc111                     cc11            [0,0,0,0]
     cc112                     cc11            [0,0,0,0]

数字列は、左から右に向かって、直近の子のコスト・センターの数、子のコスト・センター合計、直接ユーザーの数、ユーザー合計を表します。

前述の例を基本として、list_cost_centers動詞のオプションでは次のように表示されます。

list_cost_centers -cost_center_name="cc11" -parent

Parent Node
    cc1

list_cost_centers -cost_center_name="cc1" -children

Children Nodes
    cc11
    cc12

list_cost_centers -cost_center_name="cc111" -top

Hierarchy
[cc1]----->[cc11]----->[cc111]

list_cost_centers -cost_center_name="cc1" -leaf

Leaf Nodes
    cc111
    cc112
    cc12

56.1.9 assign_cost_center

指定されたコスト・センターを特定のタイプのエンティティに割り当てます。

構文

assign_cost_center
        -entity_name="eName"
        -entity_type="eType"
        -cost_center_name="cName"
        -[entity_guid="entity guid"] 

パラメータ

  • entity_name: コスト・センターを割り当てるエンティティを指定します。

  • entity_type: 名前付きエンティティのエンティティ・タイプを指定します。

  • cost_center_name: エンティティに割り当てる既存のコスト・センターの名前を指定します。

  • entity_guid: (オプション)エンティティを内部的に認識するグローバル一意識別子を指定します。同じ名前で同じタイプの複数のエンティティが存在する場合、コマンド出力によって、GUIDを含む追加の詳細付きでそれらすべてのエンティティがリストされます。今度は他のパラメータのかわりにentity_guidを使用してコマンドを再実行すると、目的のエンティティを正しく識別できます。

assign_cost_center_plan -entity_name="db1" -entity_type="oracle_database" -cost_center_name="cc1" 

エンティティ・タイプがOracle Databaseのデータベース・インスタンスdb1にコスト・センターcc1を割り当てます。

56.1.10 unassign_charge_plan

指定されたエンティティからコスト・センターの割当てを削除します。

構文

unassign_cost_center
        -entity_name="eName"
        -entity_type="eType"
        -[entity_guid="entity guid"] 

パラメータ

  • entity_name: コスト・センターの割当てを削除するエンティティを指定します。

  • entity_type: 名前付きエンティティのエンティティ・タイプを指定します。

  • entity_guid: (オプション)エンティティを内部的に認識するグローバル一意識別子を指定します。同じ名前で同じタイプの複数のエンティティが存在する場合、コマンド出力によって、GUIDを含む追加の詳細付きでそれらすべてのエンティティがリストされます。今度は他のパラメータのかわりにentity_guidを使用してコマンドを再実行すると、目的のエンティティを正しく識別できます。

unassign_cost_center -entity_name="db1" -entity_type="oracle_database" -plan_name="plan1" 

エンティティ・タイプがOracle Databaseのデータベース・インスタンスdb1からコスト・センターの割当てを削除します。

56.2 カスタム・チャージ・アイテムの使用

次の各項では、サンプル・コマンドをその説明および例とともに示します。これらの動詞は、次の状況で使用されます。

  • 測定/チャージは、定義したメトリック拡張/カスタム構成に基づいて行います。カスタム・チャージ・アイテムは、即時利用可能なメトリックおよびターゲット・プロパティにも使用できます。チャージバックは、キー列を持たないメトリック拡張のみをサポートすることに注意してください。

  • これらのカスタム・チャージ・アイテムをチャージバックで作成すると、プラグインとともに同梱されている既存のチャージ・アイテム(CPU使用率など)のように、カスタム・アイテムについて測定またはチャージできます。これらの動詞にアクセスするには、EM_CBA_ADMINロールが必要なことに注意してください。

56.2.1 list_charge_item_candidates

チャージバックに登録できるアイテムをリストします。

構文

emcli list_charge_item_candidates 
   -target_type=<target type> 
   -source_data_type=<metric|config|property> 
   -target_name=<target name> 
   -config_name=<config name> 
   -config_data_source=<target name> 
   -all 

パラメータ

  • target_type: (必須)ターゲット・タイプの名前。サポートされるターゲット・タイプには、oracle_database、oracle_vm_guest、host、oracle_pdbおよびweblogic_j2eeserverが含まれます。

  • source_data_type: 有効な値はmetric、configおよびpropertyです。

  • target_name: 指定すると、指定されたターゲットのみを対象にメータリングおよびチャージ・データが取得されます。有効なターゲット名を指定しなかった場合、または指定したターゲットが所定の日付範囲で有効になっていない場合、データは生成されません。このパラメータが指定されていない場合、指定したターゲット・タイプのすべてのターゲットが含められます。

  • config_name: source_data_type=configの場合に必須です。

  • config_data_source: 構成のデータソース。source_data_type=configの場合に必須です。

  • all: ターゲット・タイプの即時利用可能なメトリックを含め、すべてのアイテムを表示します。このオプションを指定しないと、ユーザー定義のメトリック拡張および構成拡張のみが表示されます。

emcli list_charge_item_candidates -target_type="oracle_database" -source_data_type="metric" 
emcli list_charge_item_candidates -target_type="oracle_database" -source_data_type="config" -target_name="myDatabase" -config_name="myCustomCCS" -config_data_source="ccsfile"

56.2.2 create_charge_item

チャージバックのチャージ・アイテムを作成します。

構文

emcli create_charge_item -input_file="property_file:<full path of property file>" 

パラメータ

オプション[-input_file]は、アイテム・プロパティを含むファイルのフルパスです。ファイルには、次のプロパティを定義できます。

  • target_type: (必須)ターゲット・タイプを指定します。サポートされるターゲット・タイプには、oracle_database、oracle_vm_guest、host、oracle_pdbおよびweblogic_j2eeserverが含まれます。

  • source_data_type: (必須)ソースのデータ型を指定します。有効な値はmetric、configおよびpropertyです。

  • item_name: (必須)アイテムの名前を指定します。

  • metric_group: list_item_candidatesにリストされるメトリック・グループ名。source_data_type=metricの場合、必須プロパティです。

  • metric_column: list_item_candidatesにリストされるメトリック列名。source_data_type=metricの場合、必須プロパティ。

  • config_view: list_item_candidatesにリストされる構成ビュー名。source_data_type=configの場合、必須プロパティ。

  • config_key: list_item_candidatesにリストされる構成キー名。source_data_type=configの場合、必須プロパティ。

  • config_column: list_item_candidatesにリストされる構成列名。source_data_type=configの場合、必須プロパティ。

  • config_data_source: 構成メトリックのデータソース。source_data_type=configの場合、必須プロパティ。

  • property: list_item_candidatesにリストされるプロパティ名。source_data_type=propertyの場合、必須プロパティ。

  • item_displayname: (必須)アイテムの表示名。

  • unit: 単位の表示名。

  • aggregation_type: このアイテムに使用する集計のタイプ。data type=numberの場合にのみ適用されます。有効な値はsumおよびavgです。デフォルト値はavgです。

  • is_config_condition: アイテムがチャージ・プランで条件付きで使用されるかどうか。有効な値は0、1です。デフォルト値は0です。

  • item_category: アイテムのカテゴリ。デフォルト値はinstanceです。有効な値はcpu、memory、networkおよびinstanceです。

  • data_type: データ型。デフォルト値はnumberです。有効な値はstringおよびnumberです。

emcli create_charge_item -input_file="property_file:/home/user/property_file"
Contents of /home/user/property_file: 
       target_type=host 
       source_data_type=metric 
       item_name=total_proc 
       metric_group=Load 
       metric_column=noOfProcs 
       item_displayname=Total Processes 
       unit=process 
       aggregation_type=avg 
       item_category=instance 
       data_type=number 
emcli create_charge_item -input_file="property_file:/home/user/property_file" 
Contents of /home/user/property_file: 
       target_type=oracle_database 
       source_data_type=config 
       item_name=custom_config 
       config_view=myCustomCCS 
       config_key=region 
       config_column=country 
       config_data_source=regionList.txt 
       item_display_name=Region of Instance 
       item_category=instance 
       data_type=string 

56.2.3 delete_charge_item

チャージバックからカスタム・チャージ・アイテムを削除します。

構文

emcli delete_charge_item  -target_type=<target type> -item_name=<Item name>

パラメータ

  • target_type: (必須)カスタム・チャージ・アイテムに関連付けられているターゲット・タイプを指定します。このリリースでサポートされるターゲット・タイプには、oracle_database、oracle_vm_guest、host、oracle_pdbおよびweblogic_j2eeserverが含まれます。

  • item_name: (必須)削除するカスタム・チャージ・アイテムの名前。

emcli delete_charge_item -target_type="oracle_database" -item_name="SampleMetricExtension"
emcli delete_charge_item -target_type="host" -item_name="SampleCustomConfig"

56.3 カスタム・チャージ・アイテム動詞の使用例

次の各項では、カスタム構成用のカスタム・チャージ・アイテム動詞を正しく使用した場合のエンド・ツー・エンドの例を紹介しています。

56.3.1 メトリック拡張(PGA)

この例では、PGA Memoryという名前のメトリック列を持つメトリック拡張のPGAが、PGAサイズを収集するデータベース・インスタンス・ターゲットに対して作成されます。

図56-1 PGAメモリー

PGAのメトリック拡張
  1. EMCLIにログインし、チャージバックEMCLI動詞list_charge_item_candidatesを使用して、チャージバックに登録できるアイテムをリストします。

    図56-2 list_charge_item_candidates

    list_charge_item_candidates
  2. プロパティ・ファイルprop_fileを作成し、PGA Memoryメトリック列のカスタム・チャージ・アイテムを生成します。

    このメトリックに対してaggregation_typeをavgに設定し、チャージ・レートはサンプル数に応じた平均値を基準とします。

    図56-3 aggregation_typeの設定

    PGA Memoryのカスタム・チャージ・アイテムの作成
  3. create_charge_item EMCLI動詞を使用して、チャージバックのカスタム・アイテムを作成します。

    図56-4 カスタム・アイテムの作成

    カスタム・アイテムの作成
  4. カスタム・チャージ・アイテムが作成されると、チャージ・プラン・ページに新しいカスタム・アイテムが表示されます。即時利用可能なチャージ・アイテムに対するレート設定と同様に、カスタム・アイテムに対するレートも設定できます。

    図56-5 計画の作成: Custom Plan

    計画の作成: Custom Plan

    aggregation_typeがavgに設定されているため、チャージ・レートは期間に関連します(たとえば、一定期間のGBごと)。

    図56-6 確認

    確認画面

56.3.2 メトリック拡張(Application A Orders)

Orders Processedというメトリック列を持つメトリック拡張Application A Ordersが、データベース・インスタンス・ターゲットに対して作成されます。このメトリックは、Application Aにより処理されたオーダー数を収集します。

図56-7 メトリック拡張

メトリック拡張
  1. EMCLIにログインし、チャージバックEMCLI動詞list_charge_item_candidatesを使用して、チャージバックに登録できるアイテムをリストします。

    図56-8 list_charge_item_candidates

    list_charge_item_candidates
  2. プロパティ・ファイルprop_file2を作成し、Orders Processedメトリック列のカスタム・チャージ・アイテムを生成します。

    このメトリックに対してaggregation_typeをsumに設定し、チャージ・レートは処理されたオーダーの合計数を基準とします。

    図56-9 集計タイプの設定

    集計タイプの設定
  3. create_charge_item EMCLI動詞を使用して、チャージバックのカスタム・アイテムを作成します。

    図56-10 create-charge_item

    create_charge_item
  4. カスタム・チャージ・アイテムが作成されると、チャージ・プラン・ページに新しいカスタム・アイテムが表示されます。即時利用可能なチャージ・アイテムに対するレート設定と同様に、カスタム・アイテムに対するレートも設定できます。

    図56-11 レートの設定: Custom Plan

    レートの設定: Custom Plan

    aggregation_typeがsumに設定されているため、チャージ・レートは期間に依存せず、Orders Processedの合計値に依存します。

    図56-12 確認

    確認画面
  5. データベース・ターゲットをチャージバックに追加して、Custom Planを割り当てます。

    図56-13 コスト・センターおよびチャージ・プランの割当て

    コスト・センターおよびチャージ・プランの割当て
  6. 日次のETL実行後に、新しいカスタム・アイテムに対するチャージ/使用状況が計算されます。カスタム・アイテムのチャージ/使用状況は、チャージバックのレポート・ページで確認できます。

    図56-14 詳細

    「詳細」画面

56.3.3 構成拡張

Config Extensionsという名前の構成拡張が、データベース・インスタンス・ターゲットに対して作成されます。これは、次に示すように、高可用性表領域の数と、各高可用性表領域の名前を収集します。この例では、高可用性表領域の値は、新規カスタム・チャージ・アイテムの基準として使用されます。

図56-15 構成拡張

構成拡張
  1. EMCLIにログインし、チャージバックEMCLI動詞list_charge_item_candidatesを使用して、チャージバックに登録できる構成アイテムをリストします。config_nameは、UIに表示される構成拡張の名前(この場合は、Config Extensions)であることに注意してください。同様にconfig_data_sourceは、UIに表示される構成列の名前であることに注意してください(この場合tmp/dbconfig.xml)。

    図56-16 list_charge_item_candidates

    list_charge_item_candidates
  2. プロパティ・ファイルprop_file1を作成し、Number of High Available Tablespacesメトリック列のカスタム・チャージ・アイテムを生成します。

    config_key値は、前述のlist_charge_item_candidates動詞の出力内のCustom Config Key列の出力が元になることに注意してください。同様に、config_viewの値は、前述のCustom Config Nameの値となります。

    図56-17 Number of High Available Tablespaces

    Number of High Available Tablespaces
  3. create_charge_item EMCLI動詞を使用して、チャージバックのカスタム・アイテムを作成します。

    図56-18 create_charge_item

    create_charge_item
  4. カスタム・チャージ・アイテムが作成されると、チャージ・プラン・ページに新しいカスタム・アイテムが表示されます。通常の即時利用可能なチャージ・アイテムに対するレート設定と同様に、カスタム・アイテムに対するレートも設定できます。

    図56-19 レートの設定: New Plan

    レートの設定: New Plan

    図56-20 確認

    確認
  5. データベース・ターゲットをチャージバックに追加して、「New Plan」を割り当てます。

    図56-21 New Plan

    New Plan
  6. 日次のETL実行後に、新しいカスタム・アイテムに対するチャージ/使用状況が計算されます。カスタム・アイテムのチャージ/使用状況は、チャージバックのレポート・ページで確認できます。

56.4 汎用エンティティ・タイプの作成

Enterprise Managerではほぼ無制限の数のターゲット・タイプがサポートされます。即時利用可能なチャージバック・サポートがあるのは比較的少数です。ただし、現在のチャージバック・サポートがないEnterprise Managerターゲット・タイプのカスタム・エンティティ・タイプを作成できます。Enterprise Managerターゲット・タイプに対して1対1対応のカスタム・エンティティ・タイプがあります。

EM CLI動詞emcli add_custom_cb_entity_typeを使用して、既存のターゲット・タイプに関してカスタム・エンティティ・タイプを識別します。

構文

add_custom_cb_entity_type -target_type=target_type 

ここで、target_typeは、現在のチャージバック・サポートがない既知のEnterprise Managerターゲット・タイプです(Oracle Apacheなど)。

カスタム・エンティティ・タイプの作成後、第56.2項で説明されているプロセスに従って、新しいエンティティ・タイプに適切なチャージ・アイテムをカスタマイズします。

チャージ・アイテムのプロパティ

たとえば、次のようなプロパティが含まれるproperties_oracle_apacheという名前の入力プロパティ・ファイルに基づいてカスタム・チャージ・アイテムを作成できます。

     target_type=oracle_apache 
     source_data_type=metric 
     item_name=active_sessions 
     metric_group=ohs_server 
     metric_column=sessions.active 
     item_displayname=Active Sessions 
     unit=sessions 
     aggregation_type=avg 
     item_category=instance 
     data_type=number

カスタム・チャージ・アイテムは、アクティブ・セッションの平均数に基づきます。

実装

次の手順を実行します。

  1. アクティブ・セッションのカスタマイズされたチャージ・アイテムを含むOracle Apacheエンティティ・タイプのチャージ・プランを作成します。

  2. 任意のエンティティ・タイプの場合と同様に、アプリケーションの追加ウィザードを使用してチャージバックにOracle Apacheエンティティ・タイプを追加します。Oracle Apacheエンティティ・タイプは、「ターゲット・セレクタ」ダイアログで使用できます。

  3. 手順1で作成したチャージ・プランをOracle Apacheエンティティ・タイプに割り当てます。

  4. オプション。Oracle Apacheエンティティ・タイプにコスト・センターを割り当てます。

  5. レポート機能を使用して、Oracle Apacheエンティティ・タイプに関連するメータリングおよびチャージ・データを表示します。

56.5 Enterprise Managerからのメータリング・データの取得

チャージバックREST APIを使用すると、Enterprise ManagerとBilling and Revenue Managementシステム(Oracle BRMを含む)を統合できます。また、柔軟なチャージバック・メカニズムも可能になります。次に、いくつか例を示します。

  • 小規模、中規模、大規模構成の様々なレート計画を持つ請求システムと統合する。

  • 柔軟な期間に対してチャージバックを計算する。ある月の15日から翌月の15日までを計算する場合などです。

  • Enterprise Managerでキャプチャされないその他の属性に基づいてチャージバックを合理化する。

  • 使用状況に基づいてチャージバックを調整または切り上げる。たとえば、1日未満の使用であっても、全日に対するチャージが計算されます。

56.5.1 get_metering_data

指定されたパラメータに対する使用状況(およびオプションのチャージ)の情報を含む各行を持つカンマ区切り出力の形式でチャージバック・メータリング・データを取得します。

構文

emcli get_metering_data
[-start_date=<start date in mmddyyyy> [-end_date=<end_date in mmddyyyy>]]
[ -target_type=<target type> [-target_name= <target name> ] ]
[ -cost_center=<cost center name> ]
[ -charge] 

パラメータ

この動詞のパラメータはすべてオプションです。

  • start_date: 真夜中に開始するデータ取得をフィルタするため、mmddyyyという書式で開始日を指定します。デフォルトは、現在のレポート・サイクルの開始日です。

  • end_date: 真夜中に終了するデータ取得をフィルタするため、mmddyyyという書式で終了日を指定します。デフォルトは、現在のレポート・サイクルの終了日です。

  • target_type: 指定された日付範囲内で指定されたタイプのターゲットがチャージバックで構成されている場合、データ取得をフィルタするためにターゲット・タイプを指定します。デフォルトでは、指定された日付範囲内でチャージバックで構成されているすべてのターゲット・タイプのすべてのターゲットを対象とするデータを取得します。

  • target_name: 指定されたターゲット・タイプの指定されたターゲットのみを対象にメータリングおよびチャージ・データを取得します。ターゲット名が無効であるか、指定された日付範囲で構成されていない場合、データ取得は発生しません。デフォルトでは、指定されたターゲット・タイプのすべてのターゲットを対象とするデータを取得します。

  • cost_center: チャージバックの「コスト・センター」タブに表示されるコスト・センター名を指定します。指定された日付範囲の時点でコスト・センター名が有効な場合、適切なメータリングおよびチャージ・データを取得します。デフォルト値はログイン・ユーザーです。すべてのコスト・センターのメータリングおよびチャージ・データを取得するには、(引用符で囲って) "All Users"と指定します。チャージバックでは各ユーザーはコンシューマ(コスト・センター)でもあります。ログイン・ユーザーの権限によって、異なるターゲットで取得されるメータリングおよびチャージ・データが決定されます。

  • charge_: メータリングおよびチャージ・データの両方を取得します。デフォルトでは、メータリング・データのみを取得します。


注意:

チャージバックでターゲット情報を表示するのに必要な権限は、次のとおりです。
  • VIEW_CAT_TARGET: 特定のターゲット(アクティブまたは非アクティブ)の情報を表示できます。

  • VIEW_ANY_CAT_TARGET: すべてのチャージバック・ターゲット(アクティブまたは非アクティブ)の情報を表示できます。


56.5.2 データ取得の出力

このget_metering_data動詞によって生成される出力は、次のとおりです。

  • CONSUMER_NAME: コスト・センターの名前。

  • TARGET_TYPE: ターゲットのタイプ。

  • TARGET_NAME: ターゲットの名前。

  • ITEM_TYPE: アイテムまたはメトリックのタイプ。指定できる値: configfixedmetricpropertyおよびusage

  • CATEGORY_NAME: 指定できる値: cpumemorystorageactivityinstancenetworkserviceおよびsoftware

  • ENTITY_NAME: 共有エンティティの名前(チャージバックにおいて、ターゲットが共有モードで使用可能になっている場合に有効です)。

  • ITEM_DISPLAY_NAME: アイテムまたはメトリックの表示名(英語)。注意: 翻訳サポートは現在利用できません。

  • VALUE_AVERAGE: 特定の日付のメトリックの平均値(数値メトリックで有効)。

  • STRING_VALUE: メトリック・データの値(文字列ベース・メトリックで有効)。

  • DATA_TYPE: メトリックのデータ型。stringまたはnumberを指定できます。

  • UNIT: メトリック・データの単位(reqやGBなど)。

  • COLLECTION_DATE: データがEnterprise Managerのメトリックまたは構成表から収集される日付。

  • PLAN_NAME: 特定のターゲットに関連付けられているチャージ・プラン名。

  • CHARGE: 特定日付におけるターゲットの特定メトリックのチャージ値。

  • DEFINED_RATE: ターゲットに関連付けられているチャージ・プランで定義されたチャージ・レート。

  • RATE_TYPE: レートのタイプ。指定できる値: 値なし(空白)Flatconfigおよびusage

  • RATE_FACTOR: 関連する拡張チャージ・プランで定義されているユニバーサル・メトリックの調整レート。

  • CHARGE_RATE_UNIT: メトリックまたはアイテムに対応する単位。チャージ・プランで特定レートについて定義されています。たとえば、CPU使用率(%)またはサービス当たりのCPU使用率(%)というアイテムまたはメトリックの場合、値は"CPU"になります。基本チャージというメトリックまたはアイテムの場合、値は"インスタンス"、'ユーザー・リクエスト'というメトリックの場合、値は"req"になります。チャージプランで定義されたレートが1日当たり$1/MBの場合、この列の値は"MB"になります。

  • CHARGE_TIME_UNIT: 特定レートについてチャージ・プランで定義された時間単位(hourly(毎時)、daily(毎日)、weekly(毎週)、monthly(毎月)、yearly(毎年)など)。たとえば、チャージ・プランで定義されたレートが1日当たり$1/MBの場合、この列の値はdailyになります。

例: サンプル出力

"CONSUMER_NAME","TARGET_TYPE","TARGET_NAME","ITEM_TYPE","CATEGORY_NAME","ENTITY_NAME","ITEM_DISPLAY_NAME","STRING_VALUE","PLAN_NAME","COLLECTION_DATE","CHARGE","VALUE_AVERAGE","DEFINED_RATE","RATE_TYPE","RATE_FACTOR","CHARGE_RATE_UNIT","CHARGE_TIME_UNIT","NORMALIZE_RATE","ADJUST_RATE","DATA_TYPE","UNIT" 

"linbo","oracle_vm_guest","mySite/myWls/AdminServer:agent_push","fixed","instance"," ","Base Charge","","zone_plan",15-OCT-11 00:00:00,72,1,"3","flat",1,"instance","hourly",1,1,"number",""
"linbo","oracle_vm_guest","mySite/myWls/AdminServer:agent_push","fixed","instance"," ","Base Charge","","zone_plan",16-OCT-11 00:00:00,72,1,"3","flat",1,"instance","hourly",1,1,"number",""
"linbo","oracle_vm_guest","mySite/myWls/AdminServer:agent_push","fixed","instance"," ","Base Charge","","zone_plan",17-OCT-11 00:00:00,72,1,"3","flat",1,"instance","hourly",1,1,"number",""
"linbo","oracle_vm_guest","mySite/myWls/AdminServer:agent_push","fixed","instance"," ","Base Charge","","zone_plan",18-OCT-11 00:00:00,72,1,"3","flat",1,"instance","hourly",1,1,"number",""
"linbo","oracle_vm_guest","mySite/myWls/Cluster-0_vm0:assembly1","fixed","instance"," ","Base Charge","","zone_plan",15-OCT-11 00:00:00,72,1,"3","flat",1,"instance","hourly",1,1,"number","

56.5.3 get_metering_dataの例

動詞の使用方法の例は、次のとおりです。

  • emcli get_metering_data: ログイン・ユーザーの現在のレポート・サイクルの、すべてのターゲット(チャージバックでアクティブまたは有効な)のメータリング情報を返します。

  • emcli get_metering_data -charge: ログイン・ユーザーの現在のレポート・サイクルの、すべてのターゲット(チャージバックでアクティブまたは有効な)のメータリングおよびチャージ情報を返します。

  • emcli get_metering_data -start_date=01202011-cost_center=ORG1: ORG1コスト・センターの2011年1月20日から月末までの、すべてのターゲット(チャージバックでアクティブまたは有効な)のメータリング情報を返します。

  • emcli get_metering_data -start_date=01152011 -end_date=02152011 -target_type=oracle_database: 2011年1月15日から2011年2月15日までの、ログイン・ユーザーが所有するすべてのOracle DBターゲット(チャージバックでアクティブまたは有効な)のメータリング情報を返します。

  • emcli get_metering_data -target_type=host target_name=my_host -cost_center=organization1: organization1" cost-centerの現在のレポート・サイクルの、"my_host"ターゲット(タイプhost)のメータリングおよびチャージ情報を返します。

  • emcli get_metering_data -cost_center="All Users": すべてのコスト・センターの現在のレポート・サイクルの、すべてのターゲット(チャージバックでアクティブまたは有効な)のメータリングおよびチャージ情報を返します。

  • cba_admin_user (チャージバック管理者)としてログインして、次のコマンドを入力します。

    • emcli get_metering_data: cba_admin_userの現在のレポート・サイクルの、すべてのターゲット(チャージバックでアクティブまたは有効な)のメータリング情報を返します。

    • emcli get_metering_data -cost_center=ssa_user1: 現在のレポート・サイクルの、コスト・センターでssa_user1が所有するすべてのターゲット(チャージバックでアクティブまたは有効な)のメータリング情報を返します。

  • コスト・センター、ターゲット・タイプ/ターゲット名に指定された値が間違っている場合、データは生成されません。たとえば、次のコマンドではデータは生成されません。

    • emcli get_metering_data -target_type=unknown

    • emcli get_metering_data -target_type=oracle_database -target_name=unknown_target

      注意: Enterprise Managerでunknown_targetという名前のターゲットは構成されていません。