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Oracle® Enterprise Managerライフサイクル管理ガイド
12cリリース5 (12.1.0.5)
B66837-13
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C emctl partoolユーティリティの使用

ここでは、emctl partoolユーティリティの概要を示し、デプロイメント・プロシージャのPARファイルとしてのエクスポートやPARファイルのインポートなど、クリティカルなタスクの実行に使用する方法について説明します。特に、次の内容について説明します。


注意:

Enterprise Manager 12cよりも前のバージョンでエクスポートされたプロビジョニング・アーカイブ・ファイルは、Enterprise Manager 12cにインポートできません。

C.1 プロビジョニング・アーカイブ・ファイルの概要

プロビジョニング・アーカイブ(PAR)ファイルは、コレクションを含むアーカイブ・ファイルです。このコレクションは、多数のライフサイクル管理タスク(アプリケーションのプロビジョニングやパッチ適用など)で使用される、デプロイメント・プロシージャとソフトウェア・ライブラリ・エンティティのバンドルです。

デプロイメント・プロシージャの場合、partoolはユーザー定義プロシージャのみをエクスポートし、Oracle所有のプロシージャはエクスポートされません。ユーザー定義プロシージャをエクスポートする際には、デプロイメント・プロシージャがすべてエクスポートされるわけではなく、カスタマイズ(変更の差分)のみがエクスポートされます。

また、アップグレードの場合には、12cより前に作成されたプロシージャをpartoolユーティリティですべてエクスポートできるわけではないことにも注意してください。


注意:

ソフトウェア・ライブラリ・エンティティを含むPARファイルをインポートする場合は、自らのソフトウェア・ライブラリが構成されていることを確認します。ソフトウェア・ライブラリの構成の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。

C.2 emctl partoolユーティリティの概要

時間の経過につれて、デプロイメント・プロシージャをカスタマイズしている可能性がありますが、このようなデプロイメント・プロシージャをCloud Controlの別のインスタンスで再利用するとします。このような状況では、カスタマイズしたデプロイメント・プロシージャをCloud Controlのインスタンスからエクスポートして、Cloud Controlの別のインスタンスにデプロイすることができます。

emctl partoolユーティリティは、コマンドライン・インタフェースを使用してこれらの機能を実行するためのCloud Control提供のツールです。emctl partoolユーティリティの基本機能は次のとおりです。

  • デプロイメント・プロシージャと関連するコンポーネントやディレクティブをPARファイルとしてエクスポートします。

  • PARファイルをCloud Controlの同一インスタンスまたは別のインスタンスにインポートします。

emctl partoolユーティリティは$ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。

次のように、$ORACLE_HOME/bin/emctl partoolを実行した場合、使用状況に関する情報が表示されます。

emctl partool <deploy|view> -parFile <file> -force(optional)
emctl partool <deploy|view> -parFile <file> -force(optional) -ssPasswd <password>
emctl partool <deploy|view> -parDir <dir> -force(optional)
emctl partool export -guid <procedure guid> -file <file>  -displayName <name> -description <desc> -metadataOnly(optional)
emctl partool check
emctl partool help 

表C-1に、emctl partoolユーティリティで使用できる追加オプションを示します。

表C-1 emctl partoolのオプション

オプション 説明

-repPasswd <repPassword>

リポジトリのパスワードを指定します。-repPasswdがコマンドラインに指定されない場合は、リポジトリのパスワードを入力するようにユーザーが求められます。

注意: コマンドラインでのパスワードの指定は安全性が低いため、本番環境では行わないでください。

-force

ソフトウェア・ライブラリ・エンティティの再作成または再アップロードを強制的に行います。すでに存在する場合は、新しいバージョンが作成されます。

check

ソフトウェア・ライブラリが構成されているかどうかをチェックします。

-file <file>

PARファイルを指定します。

-action <deploy|view|export>

PARファイルのデプロイ、表示またはエクスポートを指定します。

-verbose

冗長モードを指定します。

help

ヘルプ情報を表示します。

-displayName <displayName>

PARファイル名を示します。

-parDir <dir>

PARファイルが存在する場所。

-metadataOnly

メタデータのみをエクスポートするためのフラグ。

-guid <guid>

エクスポートするプロシージャGUID。

複数のプロシージャをエクスポートするときは、GUIDを「,」で区切って指定します。

-parFile <file>

PARファイルのパス。

-description <description>

PARファイルの説明。

-ssPasswd <secretStorePassword>

これはオプションです。

-action exportと一緒に使用する場合 - エクスポートされるソフトウェア・ライブラリ・エンティティのいずれかにシークレット・プロパティが含まれる場合、シークレット・プロパティの値を格納するためにOracle Walletが作成されます。指定したパスワードを使用してOracle Walletが作成されます。-ssPasswdスイッチを使用するが、コマンドライン引数としてパスワードを指定しないと、パスワードの入力を求められます。新しいリポジトリにPARファイルをインポートするときは、同じパスワードを使用する必要があります。

-action <deploy|view>と一緒に使用する場合 - パスワード保護されたOracle Wallet (エンティティのシークレット・プロパティ値を含む)がPARファイルに含まれる場合、このストアを開くためにこのパラメータが必要です。-ssPasswdスイッチを使用するが、コマンドライン引数としてパスワードを指定しないと、パスワードの入力を求められます。


C.3 Oracleソフトウェア・ライブラリのチェック

emctl partoolユーティリティを実行してPARファイルをエクスポートまたはインポートする前に、$ORACLE_HOME環境変数にOracle Management Service (OMS)のOracleホーム・ディレクトリが設定され、ソフトウェア・ライブラリのパスが構成されていることを確認します。

ソフトウェア・ライブラリをチェックするには、次のコマンドを実行します。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool check

C.4 デプロイメント・プロシージャのエクスポート

デプロイメント・プロシージャをエクスポートするには、まずそれらのデプロイメント・プロシージャのGUIDを取得する必要があります。その後、emctl partoolユーティリティを実行してPARファイルを作成します。この項の内容は次のとおりです。

C.4.1 デプロイメント・プロシージャのGUIDの取得

Cloud Controlを使用してデプロイメント・プロシージャのGUIDを取得するには、次の手順を実行します。

  1. Cloud Controlで、「エンタープライズ」メニューから「プロビジョニングとパッチ適用」を選択し、「プロシージャ・ライブラリ」をクリックします。

  2. プロビジョニング・ページで、デプロイメント・プロシージャ名を右クリックし、メニューからリンク場所のコピーを選択します。

  3. コピーしたリンクをメモ帳に貼り付けて、guidを探します。

例: https://adc2171248.us.example.com:14500/em/console/paf/procedureView?guid=B3B4B6C76AE46A67E040E50A65751782

GUIDはB3B4B6C76AE46A67E040E50A65751782です。

または、次のEMCLIコマンドを使用してプロシージャのGUIDを取得できます。

emcli get_procedures [-type={procedure type}] [-parent_proc={procedure associate with procedure configuration}]

Example:
emcli get_procedures -type=DemoNG -parent_proc=ComputeStepTest

Output Column: 
GUID, Procedure type, name, display name, version, Parent procedure name

注意:

EMCLIの設定の詳細は、『Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース』を参照してください。

C.4.2 PARファイルの作成

1つ以上のデプロイメント・プロシージャを含むPARファイルを作成するには、exportオプションをactionに指定し、エクスポートするデプロイメント・プロシージャのGUIDを指定して、emctl partoolユーティリティを実行します。GUIDはカンマで区切ってください。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool export -guid <GUID> -file exportedDP.par -displayName "User exported DP" -description "<description>"

たとえば、エクスポートするデプロイメント・プロシージャのGUIDがFAC05DD31E3791C3E030579D23106C67の場合は、次のコマンドを実行します。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool export -guid FAC05DD31E3791C3E030579D23106C67 -file exportedDP.par -displayName "User exported DP" -description "Deployment Procedure to be copied to other OMS"

このコマンドを実行すると、exportedDP.parという名前の新しいPARファイルが、コマンドを実行したディレクトリに作成されます。このPARファイルは、Cloud Controlの同じインスタンスまたは別のインスタンスに何回でもインポートできます。

複数のデプロイメント・プロシージャをエクスポートするには、次のようにGUIDをカンマで区切って指定します。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool export -guid "06B62B6ED5DA20BCE040578C850862A7,0C96E96D9818BC5FE040578C8508620F,09AEFF331025AAD0EE40578C85FB5772" -file $ENV{T_WORK}/tvmgf_partool_multi_dp.par -displayName "partool multi dp test" -description "partool multi dp test description" -repPasswd sysman


注意:

emctl partoolを使用してプロシージャをエクスポートすると、プロシージャで参照されるディレクティブまたはコンポーネントもエクスポートされます。ただし、エクスポートされるのはこれらのディレクティブまたはコンポーネントの最新バージョンのみです。コンポーネントまたはディレクティブをエクスポートしない場合は、emctl partoolを実行するときに-metadataOnlyフラグを指定します。

C.5 PARファイルのインポート

PARファイルは、コマンドライン・インタフェースまたはCloud Controlで提供されるグラフィカル・ユーザー・インタフェース(コンソール)を使用してインポートできます。この項の内容は次のとおりです。


注意:

既存のPARファイル(以前のリリース)のEnterprise Manager Cloud Control 12cへのインポートはサポートされていません。たとえば、Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1 (11.1.0.0)をEnterprise Manager Cloud Control 12cにインポートすることはできません。

C.5.1 コマンドライン・インタフェースを使用したインポート

この項の内容は次のとおりです。

C.5.1.1 特定のPARファイルのインポート

特定のPARファイルをインポートまたはデプロイするには、次のコマンドを実行します。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool deploy -parFile $ORACLE_HOME/sysman/prov/paf/<par_file_name>

次に例を示します。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool deploy -parFile $ORACLE_HOME/sysman/prov/paf/asprov.par


注意:

ソフトウェア・ライブラリまたはプロシージャがすでにEnterprise Managerに存在しているときに、PARファイルの新しいリビジョンを作成する場合は、次のように-force属性を使用します。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool deploy -parFile $ORACLE_HOME/sysman/prov/paf/asprov.par -force



注意:

複数のOMSが環境にある場合でも、PARファイルをデプロイしたり他の関連操作を実行したりするためにemctl partoolユーティリティを実行するのは1回のみです。

PARファイルのインポート時に、ユーザー・プロシージャがすでに設定に存在する場合は、常に改訂(増加)後のバージョンでこのプロシージャがインポートされます。

C.5.1.2 すべてのPARファイルのインポート

ディレクトリ内のすべてのPARファイルをインポートまたはデプロイするには、次のコマンドを実行します。

$ORACLE_HOME/bin/emctl partool deploy -parDir $ORACLE_HOME/sysman/prov/paf/ -force

C.5.2 Cloud Controlコンソールを使用したインポート

OMSにPARファイルをインポートまたはデプロイするには、emctl partoolユーティリティを使用します。または、Cloud Controlからインポートすることもできます。

PARファイルをインポートするには、次の手順を実行します。

  1. Cloud Controlで、「エンタープライズ」メニューから「プロビジョニングとパッチ適用」を選択し、「プロシージャ・ライブラリ」をクリックします。

  2. 「デプロイメント・プロシージャ・マネージャ」ページでプロシージャを選択し、ドロップダウン・メニューから「インポート」を選択して、「実行」をクリックします。

  3. プロシージャ・ファイルのアップロード・ページで次のいずれかを選択します。

    • ローカル・マシンからアップロード: PARファイルをローカル・マシンからアップロードします。「参照」をクリックしてPARファイルを選択します。ファイルをインポートするには「インポート」をクリックします。

    • 管理エージェント・マシンからアップロード: 管理エージェント・ターゲットを選択します。ファイルが存在する管理エージェント・マシンにアクセスするための通常または特権ホスト資格証明の詳細を入力してから、「インポート」をクリックしてファイルをインポートします。


関連項目:

「プロシージャ・ファイルのアップロード」機能の使用に関するユースケースは、第51.6項を参照してください。


注意:

シークレット・プロパティ値を含むコンポーネントまたはディレクティブ(あるいは両方)をインポートまたはエクスポートするときは、-ssPasswdコマンドを使用し、Oracle Walletを作成するためにシークレット・ストアのパスワードを指定する必要があります。これにより、シークレット・プロパティ値がOracle Walletを使用して安全に格納されます。インポート時にはOracle Walletパスワードを使用しないとアクセスできません。

-ssPasswdコマンドの詳細は、表C-1を参照してください。