ここでは、プロビジョニングおよびパッチ適用タスクのためにホストを使用する前に、ホストに対して行う必要がある設定について説明します。特に、次の内容について説明します。
データベースのプロビジョニングでホストを使用するには、oinstall
、dba
、oper
およびasmadmin
などのグループが設定されていることを確認する必要があります。また、これらのプロビジョニング・タスクを実行するユーザーを、これらのグループに追加する必要があります。次のグループを作成し、ホスト・ユーザーがそれらのグループに含まれることを確認するには、次のコマンドを実行できます。
データベース・グループを作成する場合:
groupadd oinstall
groupadd dba
groupadd oper
groupadd asmadmin
これらのグループにホスト・ユーザーを追加するには、次のコマンドを実行し、プロンプト表示されたらパスワードを入力します。
useradd -u 500 -g oinstall -G dba,oper,asmdba oracle
各パラメータの意味は次のとおりです。
-u
オプションは、ユーザーIDを指定します。
-g
オプションはプライマリ・グループを指定します。プライマリ・グループは、oinstall
などのOracleインベントリ・グループである必要があります。
-G
オプションは、セカンダリ・グループを指定します。これは、OSDBAグループ、および必要に応じてOSOPERグループおよびASMDBAグループを含む必要があります(dba、asmdbaまたはoper)。
Linuxシステムでソフトウェアのパフォーマンスを向上させるには、Oracleソフトウェア所有者ユーザー(crs
、oracle
、asm
など)に対する次のシェル制限を増やします。このためには、次のコマンドを実行します。
/etc/security/
ディレクトリにあるlimits.conf
ファイルに次の値を追加します。
oracle soft nproc 2047
oracle hard nproc 16384
oracle soft nofile 1024
oracle hard nofile 65536
次の行を/etc/pam.d/login
ファイルに追加します。つまり、この行がまだ存在していない場合は、この行を含むように/etc/pam.d/login
ファイルを編集します。
session required pam_limits.so
アプリケーションのプロビジョニングでは、一部のスクリプトをスーパー・ユーザーとして実行する必要があります。このためには、ホスト・ユーザーにroot
権限があることを確認してください。他のユーザーのroot権限を承認するには、SUDOやPowerBrokerなどの認証ユーティリティを使用できます。このサポートは権限委任メカニズムを使用してCloud Controlで提供されます。技術的には、権限委任とは、SUDOまたはPowerBrokerを使用して、別のユーザー(ロックされたアカウント)の権限に関するアクティビティを実行できるフレームワークです。
権限委任設定の構成の詳細は、第2.3項を参照してください。
プロビジョニング・タスクを進める前に、次の推奨ホスト設定を満たすようにしてください。
次の表に示すコマンドを入力して、カーネル・パラメータの現行の値を表示します。現行の値をメモし、変更が必要な値を識別します。どの既存値を変更する場合も、/etc/sysctl.conf
ファイルで変数値を追加または編集する必要があります。
注意: 現行のカーネル・パラメータを変更するには、rootユーザー権限を使用して次のコマンドを実行します。
|
パラメータ | コマンド |
---|---|
semmsl、semmns、semopmおよびsemmni | # /sbin/sysctl -a | grep sem
このコマンドでは、リストされた順にセマフォ・パラメータの値が表示されます。 |
shmall、shmmaxおよびshmmni | # /sbin/sysctl -a | grep shm
このコマンドでは、共有メモリーのセグメント・サイズの詳細が表示されます。 |
file-max | # /sbin/sysctl -a | grep file-max
このコマンドでは、最大ファイル・ハンドラ数が表示されます。 |
ip_local_port_range | # /sbin/sysctl -a | grep ip_local_port_range
このコマンドでは、ポート番号の範囲が表示されます。 |
rmem_default | # /sbin/sysctl -a | grep rmem_default |
rmem_max | # /sbin/sysctl -a | grep rmem_max |
wmem_default | # /sbin/sysctl -a | grep wmem_default |
wmem_max | # /sbin/sysctl -a | grep wmem_max |
クラスタ環境の場合、クラスタの各メンバー・ノードができるだけ近い日時になるように設定してください。このためには、すべてのノードで同一のネットワーク・タイム・プロトコル・サーバーを参照して、オペレーティング・システムのネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)機能を使用することをお薦めします。
Oracleクラスタ時刻同期化サービス(ctssd
)でOracle RACノードの時刻を同期化するには、NTPを構成する必要があります。NTPを使用している場合は、次の手順を実行します。
次のように、-x
オプションを/etc/sysconfig/ntpd
ファイルに追加し、ntpd
を起動します。
OPTIONS="-x -u ntp:ntp -p /var/run/ntpd.pid"
ネットワーク・タイム・プロトコル・サーバーを再起動します。
# service ntpd restart
次の構成レベルをチェックします。
chkconfig --level 35 nscd on
ネーム・サービス・キャッシュ・デーモン(nscd
)を起動します。
service nscd start
root
ユーザーとして次のコマンドを実行し、必要なパッケージがインストールされていることを確認します。
rpm -q binutils elfutils-libelf elfutils-libelf-devel glibc glibc-common glibc-devel gcc gcc-c++ libaio libaio-devel libstdc++ libstdc++-devel make compat-libstdc++ sysstat unixODBC unixODBC-devel iscsi-initiator-utils libgcc
パッケージがインストールされていない場合、次のリンクを参照して、必要なパッケージをダウンロードしてインストールします。
http://www.oracle.com/technetwork/topics/linux/validated-configurations-085828.html
ホストが次のメモリー要件を満たしていることを確認します。
少なくとも1GBの物理RAMが必要です。ホストの現在の物理RAMサイズを判別するには、次のコマンドを実行します。
grep MemTotal /proc/meminfo
次の表は、インストールされているRAMと構成済スワップ領域の推奨サイズの関係を示したものです。
使用可能なRAM | スワップ領域要件 |
---|---|
1から2GB | RAMサイズの1.5倍 |
2GBから8GB | RAMサイズと同等 |
8GB超 | RAMサイズの0.75倍 |
次のコマンドを実行して、/tmp
ディレクトリで使用できるディスク領域の大きさを確認します。
df -kh /tmp
クラスタ環境の場合、少なくとも2つのネットワーク・アダプタまたはネットワーク・インタフェース・カード(NICs
)が各ノードにあることを確認します。一方はパブリック・ネットワーク・インタフェース用、もう一方はプライベート・ネットワーク・インタフェース(インターコネクト)用です。
ネットワーク構成の要件は次のとおりです。
パブリック・ネットワーク・インタフェース | プライベート・ネットワーク・インタフェース |
---|---|
各ネットワークのネットワーク・アダプタに関連付けられているパブリック・インタフェース名は、すべてのノードで同じである必要があります。 | ネットワーク・アダプタに関連付けられているプライベート・インタフェース名は、すべてのノードで同じである必要があります。 |
各ネットワーク・アダプタはTCP/IPをサポートする必要があります。 | インターコネクトにTCP/IPをサポートする高速ネットワーク・アダプタおよびスイッチ(ギガビット・イーサネット以上が必要)を使用して、ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)がサポートされている必要があります。
注意: プライベート・ネットワークでは、指定されているすべてのインターコネクト・インタフェースのエンドポイントがネットワークで確実にアクセス可能である必要があります。ノードはすべてのプライベート・ネットワーク・インタフェースに接続されている必要があります。pingコマンドを使用して、インターコネクト・インタフェースが接続可能かどうかをテストできます。 |
インストールを開始する前に、各ノードで使用可能な次のIPアドレスを準備しておく必要があります。
パブリック・インタフェースのDNSに登録されているIPアドレスおよび対応するホスト名(ネットワーク名)。使用可能なDNSがない場合は、システムのhostsファイル(/etc/hosts
)にホスト名とIPアドレスを記述します。
DNSに登録されている仮想IP(VIP)アドレスおよび対応するホスト名。使用可能なDNSがない場合は、システムのhostsファイル(/etc/hosts
)にホスト名とVIPアドレスを記述します。
各プライベート・インタフェースのプライベートIPアドレスおよびホスト名。
たとえば、各ノードに1つのパブリック・インタフェースと1つのプライベート・インタフェースがある2ノードのクラスタの場合、ネットワーク・インタフェースとして、次の表に示す構成が考えられます。ここでは、hostsファイルは/etc/hosts
です。
VIPのフェイルオーバーを有効にするために、前述の表に示す構成では、同じサブネット(143.46.43
)で両方のノードのパブリックおよびVIPアドレスを定義しています。
Oracle Clusterwareファイルの格納には、次の2つの方法があります。
Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM): Oracle Clusterwareファイル(Oracle Cluster Registryおよび投票ディスク)をOracle ASMのディスク・グループにインストールできます。
サポートされている共有ファイル・システム: サポートされているファイル・システムには、NFSやOCFSがあります。
次の表に、Oracle ClusterwareとOracle RACの様々なオプションを示します。
次の表に、ファイル・システムのボリューム・サイズ要件を示します。
Oracle製品をプロビジョニングする予定のインストール・ディレクトリがクリーンアップされていることを確認します。Optimal Flexible Architecture (OFA)標準では、Oracleベースのディレクトリが次のパスにあることが必要です。
/mount_point/app/oracle_sw_owner
ここで、mount_point
は、Oracleソフトウェアを含むファイル・システムのマウント・ポイント・ディレクトリです。
注意: インストールを実行するユーザーがマウント・ポイントに対する書込みアクセス権を持っていることを確認します。必要な権限がユーザーにあることを確認するには、次のコマンドを実行します。
次に例を示します。 マウントの際に権限がない場合:
権限の問題を解決するには、次のコマンドを実行します。
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