この章では、アップグレード方式の1つを使用して、サイレント・モードで既存のOracle Management Service(OMS)およびOracle Management Repository(管理リポジトリ)をアップグレードする方法について説明します。この章の具体的な内容は次のとおりです。
注意: HPUNIX、HPia64、Solaris Sparc以外のすべてのUNIXプラットフォームでは、OMSおよび管理エージェントのエントリは/etc/oragchomelist ファイルにあります。HPUNIX、HPia64、Solaris Sparcプラットフォームでは、これらのエントリは/var/opt/oracle/oragchomelist にあります。 |
注意: 1システム・アップグレード方式を使用してアップグレードする場合、Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードでは、OMSはインストールされますが管理エージェントはインストールされません。管理エージェントは、Enterprise Manager 12cアップグレード・コンソールを使用して事前にデプロイされます。これは予測されている動作です。 |
サイレント・モードで1システム・アップグレード方式を使用して既存のOMSおよび管理リポジトリをアップグレードするには、次の手順を実行します。
次のレスポンス・ファイルをローカル・ホスト上のアクセス可能な場所にコピーします。
<Software_Location>/response/upgrade.rsp
このコマンドで、<Software_Location>
はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。
レスポンス・ファイルを編集し、表17-1に示された変数に適切な値を入力します。
インストーラを起動します。
./runInstaller -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp
注意: UNIXプラットフォームでインストール・ウィザードを起動するには、runInstaller を起動します。Microsoft Windowsプラットフォームで起動するには、setup.exe を起動します。 |
インストーラの起動中に渡すことができる、追加の拡張オプションを次に示します。
複数のホスト名を持つホスト(仮想ホストなど)上でアップグレードする場合は、インストーラを起動しながら、ORACLE_HOSTNAME
引数を使用して完全修飾ホスト名を渡します。
例:
./runInstaller ORACLE_HOSTNAME=example.com -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp
インストールが正常に終了した後、OMSおよび管理エージェントは自動的に起動されます。自動起動しないようにするには、インストーラをSTART_OMS
およびb_startAgent
オプションとともに起動し、制御方法に応じてこれらのオプションをTRUE
またはFALSE
に設定します。
たとえば、管理エージェントが自動起動しないようにするには、次のコマンドを実行します。
./runInstaller START_OMS=TRUE b_startAgent=FALSE -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp
拡張オプションに関連する制限の詳細は、「制限事項」を参照してください。
表17-1は、OMSおよび管理リポジトリをアップグレードする際に、更新が必要な変数およびupgrade.rsp
レスポンス・ファイルでの更新方法を示しています。
表17-1 グラフィック・モードで1システム・アップグレード方式でアップグレードする際のレスポンス・ファイルの編集
パラメータ | 説明 |
---|---|
UNIX_GROUP_NAME |
属しているUNIXグループの名前を入力します。 例: |
INVENTORY_LOCATION |
中央リポジトリへの絶対パスを入力します。 例: |
SECURITY_UPDATES_VIA_MYORACLESUPPORT |
|
DECLINE_SECURITY_UPDATES |
|
INSTALL_UPDATES_SELECTION |
この変数はデフォルトで、インストール中にソフトウェア更新がインストールされないことを示す
|
ORACLE_MIDDLEWARE_HOME_LOCATION |
インストーラがOracle WebLogic Server 11gリリース(10.3.5)およびJava Development Kit 1.6 v24をインストールする場所を入力します。 たとえば、 ミドルウェアの場所に書込み権限があることを確認します。 これらを手動でインストール済の場合は、インストール先の場所を入力します。 注意: ここで入力するミドルウェア・ホームは、Enterprise Manager Cloud Controlのためにのみ使用するようにしてください。他のOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントは、同じミドルウェア・ホームにインストールしないでください。 |
ORACLE_INSTANCE_HOME_LOCATION |
デフォルトでは、 |
OLD_BASE_DIR |
アップグレードするOMSのベース・ディレクトリを入力します。 |
ONE_SYSTEM |
デフォルトでは、この変数は |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) デフォルトでは、 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_CONFIRM_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
NODE_MANAGER_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) デフォルトでは、 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
NODE_MANAGER_CONFIRM_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) ノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
(Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース5(11.1.0.1)からアップグレードする場合にのみ有効です。) Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)用に作成したWebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース1(10.2.0.5)からアップグレードしている場合や、10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
ADMIN_SERVER_HOSTNAME |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) 最初のOMS用に構成した管理サーバーのホスト名を入力します。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
ADMIN_SERVER_PORT |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) 最初のOMS用に構成した管理サーバーのポートを入力します。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) デフォルトでは、 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
JVM_DIAGNOSTICS_TABLESPACE_LOCATION |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) JVM診断表領域のデータ・ファイル( たとえば、 Enterprise Manager Cloud Controlは、JVM診断およびアプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)に関連する監視データを保管するためにこのデータ・ファイルを使用します。 |
SYS_PASSWORD |
SYSユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |
SYSMAN_PASSWORD |
SYSMANユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |
STATIC_PORTS_FILE |
|
PLUGIN_SELECTION |
デフォルトでは、Oracle Database Management Plug-In、Oracle Fusion Middleware Management Plug-In、Oracle My Oracle Support Management Plug-In、Oracle Exadata Management Plug-Inなどの必須プラグインは、Enterprise Managerをアップグレードするときに自動的にインストールされます。 ただし、ソフトウェア・キット(DVDまたはダウンロードしたソフトウェア)に含まれているその他のオプションのプラグインをインストールする場合は、この変数にインストールするプラグインの名前を入力します。 次に例を示します。
ソフトウェア・キットに含まれていないプラグインをインストールするには、次の手順を実行します。
|
サイレント・モードで2システム・アップグレード方式を使用して既存のOMSおよび管理リポジトリをアップグレードするには、次の手順を実行します。
次のレスポンス・ファイルをローカル・ホスト上のアクセス可能な場所にコピーします。
<Software_Location>/response/upgrade.rsp
このコマンドで、<Software_Location>
はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。
レスポンス・ファイルを編集し、表17-2に示された変数に適切な値を入力します。
インストーラを起動します。
これがホストにインストールする最初のOracle製品である場合、Oracle Management Service 12cをインストールするホスト上で次のコマンドを実行します。
./runInstaller -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp [-invPtrLoc <absolute_path_to_inventory_directory>] -staticPortsIniFile <absolute_path_to_staticports.ini_file> [ALLOW_ONLY_SECURE_ACCESS_TO_CONSOLE=FALSE LOCK_ORACLE_MANAGEMENT_SERVICE=FALSE]
注意: 入力する中央インベントリの場所を共有ファイル・システム上にしないでください。 |
最初のOracle製品でない場合は、次のコマンドを実行します。
./runInstaller -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp -staticPortsIniFile <absolute_path_to_file>
注意: インストーラの起動時に渡すことができる追加の拡張オプションの詳細は、「拡張インストーラ・オプションの使用」を参照してください。UNIXプラットフォームでインストール・ウィザードを起動するには、 |
注意:
|
注意: Enterprise ManagerアップロードHttpポートおよびEnterprise Managerセントラル・コンソールHttpポートが既存のEnterprise Managerシステムでロック解除済の場合は、インストーラの起動中に引数ALLOW_ONLY_SECURE_ACCESS_TO_CONSOLE およびLOCK_ORACLE_MANAGEMENT_SERVICE を渡してください。
ここではこれらの引数を渡さずに、後でポートをロック解除する場合は、OMSをアップグレードした後、アップグレード後のOMSホームから次のコマンドを実行します。
|
表17-2は、OMSおよび管理リポジトリをアップグレードする際に、更新が必要な変数およびupgrade.rsp
レスポンス・ファイルでの更新方法を示しています。
表17-2 サイレント・モードで2システム・アップグレード方式でアップグレードする際のレスポンス・ファイルの編集
パラメータ | 説明 |
---|---|
UNIX_GROUP_NAME |
属しているUNIXグループの名前を入力します。 例: |
INVENTORY_LOCATION |
中央リポジトリへの絶対パスを入力します。 例: |
SECURITY_UPDATES_VIA_MYORACLESUPPORT |
|
DECLINE_SECURITY_UPDATES |
|
INSTALL_UPDATES_SELECTION |
この変数はデフォルトで、インストール中にソフトウェア更新がインストールされないことを示す
|
ORACLE_MIDDLEWARE_HOME_LOCATION |
インストーラがOracle WebLogic Server 11gリリース(10.3.5)およびJava Development Kit 1.6 v24をインストールする場所を入力します。 たとえば、 ミドルウェアの場所に書込み権限があることを確認します。この場所がNFSマウントされた場所でないことを確認してください。 これらを手動でインストール済の場合は、インストール先の場所を入力します。 注意: ここで入力するミドルウェア・ホームは、Enterprise Manager Cloud Controlのためにのみ使用するようにしてください。他のOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントは、同じミドルウェア・ホームにインストールしないでください。 |
ORACLE_INSTANCE_HOME_LOCATION |
デフォルトでは、 注意: |
ONE_SYSTEM |
デフォルトでは、この変数は |
OLD_DATABASE_CONNECTION_DESCRIPTION |
古い管理リポジトリに接続するための接続文字列を次の形式で入力します。
この接続文字列は、古い管理リポジトリへの接続、発生データのチェック、アップグレード後の管理リポジトリへの発生データの転送に使用されます。発生データとは、古い管理リポジトリのバックアップ作成時からアップグレードまでに、古い管理リポジトリにアップロードされたデータです。 |
OLD_DATABASE_SYSMAN_PASSWORD |
古い管理リポジトリのSYSMANパスワードを入力します。 |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
デフォルトでは、 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_CONFIRM_PASSWORD |
WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 |
NODE_MANAGER_PASSWORD |
デフォルトでは、 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 |
NODE_MANAGER_CONFIRM_PASSWORD |
ノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
この変数をコメント・アウトします。 |
ADMIN_SERVER_HOSTNAME |
この変数をコメント・アウトします。 |
ADMIN_SERVER_PORT |
この変数をコメント・アウトします。 |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
この変数をコメント・アウトします。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
この変数をコメント・アウトします。 |
JVM_DIAGNOSTICS_TABLESPACE_LOCATION |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) JVM診断表領域のデータ・ファイル( たとえば、 Enterprise Manager Cloud Controlは、JVM診断およびアプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)に関連する監視データを保管するためにこのデータ・ファイルを使用します。 |
DATABASE_HOSTNAME |
既存のデータベースが常駐するホストの完全修飾名を入力します。 例: Oracle RAC Databaseに接続する場合、ノードに仮想ホスト名が含まれていれば、ノードの1つの仮想ホスト名を入力します。 この仮想ホスト名のみで構成された接続文字列を使用してデータベースへの接続が確立され、インストールは正常に終了します。 ただし、クラスタ内の他のノードを使用して接続文字列を更新する場合は、インストールの終了後に、次の手順を実行します。
|
LISTENER_PORT |
既存のデータベースに接続するためのリスナー・ポートを入力します。 例: |
SERVICENAME_OR_SID |
既存のデータベースのサービス名またはシステムID(SID)を入力します。 例: |
SYS_PASSWORD |
SYSユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |
SYSMAN_PASSWORD |
SYSMANユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |
STATIC_PORTS_FILE |
|
PLUGIN_SELECTION |
デフォルトでは、Oracle Database Management Plug-In、Oracle Fusion Middleware Management Plug-In、Oracle My Oracle Support Management Plug-In、Oracle Exadata Management Plug-Inなどの必須プラグインは、Enterprise Managerをアップグレードするときに自動的にインストールされます。 ただし、ソフトウェア・キット(DVDまたはダウンロードしたソフトウェア)に含まれているその他のオプションのプラグインをインストールする場合は、この変数にインストールするプラグインの名前を入力します。 次に例を示します。
ソフトウェア・キットに含まれていないプラグインをインストールするには、次の手順を実行します。
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