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Oracle® Enterprise Manager Cloud Controlアップグレード・ガイド
12cリリース1(12.1.0.1)
B65086-03
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19 サイレント・モードでソフトウェアのみをインストールして後でアップグレード

この章では、サイレント・モードでEnterprise Manager Grid Controlのソフトウェア・バイナリのみをある時点でインストールしておき、後でアップグレードする方法について説明します。

サイレント・モードでのソフトウェアのみモードを使用したアップグレードは、第18章で説明されているグラフィック・モードでのアップグレードの代替の手段です。したがって、この2つのモードは同様に動作します。唯一の相違は、このインストール・タイプを指定する方法です。グラフィック・モードでは、インストーラを起動し、インタビュー画面を使用してインストールの詳細を取得する必要がありますが、サイレント・モードでは、インストーラを起動し、インストールのすべての詳細を取得済のレスポンス・ファイルを渡す必要があります。

この章の内容は次のとおりです。


注意:

HPUNIX、HPia64、Solaris Sparc以外のすべてのUNIXプラットフォームでは、OMSおよび管理エージェントのエントリは/etc/oragchomelistファイルにあります。HPUNIX、HPia64、Solaris Sparcプラットフォームでは、これらのエントリは/var/opt/oracle/oragchomelistにあります。

1システム・アップグレード方式でのソフトウェアのみモードのアップグレード

この項では、1システム・アップグレード方式で、ソフトウェアのみモードでアップグレードする方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。

ソフトウェア・バイナリのインストール

Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. 次のレスポンス・ファイルをローカル・ホスト上のアクセス可能な場所にコピーします。

    <Software_Location>/response/software_only.rsp

    このコマンドで、<Software_Location>はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。

  2. レスポンス・ファイルを編集し、表19-1に示された変数に適切な値を入力します。

  3. インストーラを起動します。

    ./runInstaller -silent -responseFile <absolute_path>/software_only.rsp [-invPtrLoc <absolute_path_to_oraInst.loc>]


    注意:

    • UNIXプラットフォームでインストール・ウィザードを起動するには、runInstallerを起動します。Microsoft Windowsプラットフォームで起動するには、setup.exeを起動します。

    • インストーラの起動時に渡すことができる追加の拡張オプションの詳細は、「拡張インストーラ・オプションの使用」を参照してください。

    • 入力する中央インベントリの場所を共有ファイル・システム上にしないでください。


  4. 管理エージェントをアンインストールします。手順は、『Oracle Enterprise Manager Grid Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド』の管理エージェントのアンインストールの章を参照してください。


    注意:

    管理エージェントは、Enterprise Manager 12cアップグレード・コンソールによって事前にデプロイされているため、OMSによってインストールされた管理エージェントは必要ありません。

ソフトウェア・バイナリのインストール用のレスポンス・ファイルの編集

表19-1は、Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをインストールする際に、編集が必要な変数およびsoftware_only.rspレスポンス・ファイルでの編集方法を示しています。

表19-1 ソフトウェア・バイナリのインストール用のレスポンス・ファイルの編集

パラメータ 説明

UNIX_GROUP_NAME

属しているUNIXグループの名前を入力します。

例: "dba"

INVENTORY_LOCATION

中央リポジトリへの絶対パスを入力します。

例: /scratch/oracle/oraInventory

SECURITY_UPDATES_VIA_MYORACLESUPPORT

  • セキュリティ更新をダウンロードしてインストールする場合は、TRUEを入力します。続いて、次の変数に資格証明を入力します。

    MYORACLESUPPORT_USERNAME

    MYORACLESUPPORT_USERNAME

  • セキュリティ更新をダウンロードしてインストールしない場合は、FALSEを入力します。

DECLINE_SECURITY_UPDATES

  • セキュリティ更新を拒否する場合は、TRUEを入力します。この場合は、SECURITY_UPDATES_VIA_MYORACLESUPPORTに対してFalseを入力しておく必要があります。

  • セキュリティ更新を拒否しない場合は、FALSEを入力します。この場合は、SECURITY_UPDATES_VIA_MYORACLESUPPORTに対してTRUEを入力しておく必要があります。

INSTALL_UPDATES_SELECTION

この変数はデフォルトで、インストール中にソフトウェア更新がインストールされないことを示す"skip"に設定されています。

  • My Oracle Supportからソフトウェア更新をインストールする場合は、この変数を"download"に設定します。続いて、次のパラメータに資格証明を入力します。

    MYORACLESUPPORT_USERNAME_FOR_SOFTWAREUPDATES

    MYORACLESUPPORT_PASSWORD_FOR_SOFTWAREUPDATES

  • ステージングの場所からソフトウェア更新をインストールする場合は、この変数を"staged"に設定します。続いて、STAGE_LOCATIONパラメータには、ソフトウェア更新が含まれるUpdatesディレクトリまで含めた絶対パスを入力します。

ORACLE_MIDDLEWARE_HOME_LOCATION

インストーラがOracle WebLogic Server 11gリリース(10.3.5)およびJava Development Kit 1.6 v24をインストールする場所を入力します。

たとえば、u01/app/Oracle/Middlewareなどです。

ミドルウェアの場所に、OMSおよび管理エージェントのOracleホームを作成するための書込み権限があることを確認してください。

これらを手動でインストール済の場合は、インストール先の場所を入力します。

注意: ここで入力するミドルウェア・ホームは、Enterprise Manager Cloud Controlのためにのみ使用するようにしてください。他のOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントは、同じミドルウェア・ホームにインストールしないでください。

PLUGIN_SELECTION

デフォルトでは、Oracle Database Management Plug-In、Oracle Fusion Middleware Management Plug-In、Oracle My Oracle Support Management Plug-In、Oracle Exadata Management Plug-Inなどの必須プラグインは、Enterprise Managerシステムとともに自動的にインストールされます。

ただし、ソフトウェア・キット(DVDまたはダウンロードしたソフトウェア)に含まれているその他のオプションのプラグインをインストールする場合は、この変数にインストールするプラグインの名前を入力します。

次に例を示します。

PLUGIN_SELECTION={"oracle.sysman.empa","oracle.sysman.vt"}

ソフトウェア・キットに含まれていないプラグインをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. プラグインを次のURLから手動でダウンロードし、アクセスできる場所に格納します。

    http://www.oracle.com/technetwork/oem/grid-control/downloads/oem-upgrade-console-502238.html

  2. この変数(PLUGIN_SELECTION)を、ダウンロードしたプラグインの名前に更新します。

  3. インストーラを次のオプションとともに起動し、プラグインをダウンロードした場所を渡します。

    ./runInstaller -pluginLocation <absolute_path_to_plugin_software_location>


インストール後の作業

(UNIXのみ)ソフトウェア・バイナリをインストールした後、新しい端末でrootユーザーとしてログインし、OMSホームからallroot.shスクリプトを実行します。

$<OMS_HOME>/allroot.sh

構成とアップグレード

Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリを構成するには、次の手順を実行します。

  1. Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをコピーしたホスト上のアクセス可能な場所に、次のレスポンス・ファイルをコピーします。

    <Software_Location>/response/upgrade.rsp

    このコマンドで、<Software_Location>はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。

  2. レスポンス・ファイルを編集し、表19-2に示された変数に適切な値を入力します。

  3. ConfigureGC.shスクリプトを起動して前のステップで編集したレスポンス・ファイルを渡し、ソフトウェア・バイナリを構成します。

    $<MIDDLEWARE_HOME>/oms/sysman/install/ConfigureGC.sh -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp [-invPtrLoc <absolute_path_to_oraInst.loc>]


    注意:

    • 「ソフトウェア・バイナリのインストール」で説明されている手順で、ソフトウェア・バイナリをインストール中に-invPtrLoc引数を渡した場合は、ここでも同じ引数を渡します。

    • スクリプトの起動時に渡すことができる追加の拡張オプションの詳細は、「拡張スクリプト・オプションの使用」を参照してください。

    • 欠落しているプラグインに関するエラーが表示された場合は、アクセス可能な場所にこれらのプラグイン(oparファイル)を手動でダウンロードした後、次の方法でインストーラをもう一度起動して、ダウンロードしたプラグインのソフトウェア・バイナリをインストールします。プラグインをダウンロードした場所は、これらの欠落したプラグインのためにのみ使用するようにしてください。

      <software_kit>/runInstaller -plugininstall -pluginLocation <absolute_path_to_plugin_sw> -mwHome <absolute_path_to_middleware_home> [-invPtrLoc <absolute_path_to_oraInst.loc>]

      エラー・メッセージに表示された欠落しているプラグインは、次の形式を持ちます。プラグイン・バージョンが同一で、プラグイン更新が同一またはそれ以上のプラグインをダウンロードしてインストールするようにしてください。

      PluginID:PluginVersion:PluginUpdate

      欠落しているプラグイン(oparファイル)をダウンロードするには、次の手順を実行します。

      1. ソフトウェア・バイナリをインストール済の次の場所に移動し、目的のoparファイルが含まれているかどうか確認します。含まれている場合は、アクセス可能な場所にこれらのファイルをコピーします。

        $<OMS_HOME>/sysman/install/undeployed_plugins

      2. oparファイルがOMSホームで使用できない場合は、次のURLからダウンロードします。

        http://www.oracle.com/technetwork/oem/grid-control/downloads/oem-upgrade-console-502238.html

      次の手順に進む前に、欠落しているプラグインを必ずインストールしてください。


ソフトウェア・バイナリの構成用のレスポンス・ファイルの編集

表19-2は、Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリを構成する際に、更新が必要な変数およびupgrade.rspレスポンス・ファイルでの更新方法を示しています。

表19-2 ソフトウェア・バイナリの構成用のレスポンス・ファイルの編集

パラメータ 説明

ORACLE_INSTANCE_HOME_LOCATION

デフォルトでは、gc_instがすべてのOMS関連構成ファイルを格納するためのOMSインスタンス・ベース・ディレクトリとしてみなされ、デフォルトでミドルウェア・ホームに作成されます。デフォルトの場所およびディレクトリ名を受け入れる場合は、この変数をスキップします。ただし、独自の場所と独自のディレクトリ名を使用する場合は、独自のディレクトリ名を含む独自の場所への絶対パスを入力します。

OLD_BASE_DIR

アップグレードするOMSのベース・ディレクトリを入力します。

ONE_SYSTEM

デフォルトでは、この変数は2システム・アップグレードを示すFALSEに設定されています。値をTRUEに変更します。

WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME

(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

デフォルトでは、weblogicはOracle WebLogicドメイン用に作成されたデフォルト・ユーザー・アカウントに割り当てられている名前です。このデフォルト名を受け入れるときは、空白のままにしておきます。独自の名前を付けるときは、その名前を入力します。

重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD

(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。

重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

WLS_ADMIN_SERVER_CONFIRM_PASSWORD

(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを確認します。

重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

NODE_MANAGER_PASSWORD

(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

デフォルトでは、nodemanagerはノード・マネジャー用に作成されたデフォルト・ユーザー・アカウントに割り当てられている名前です。このノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。

重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

NODE_MANAGER_CONFIRM_PASSWORD

(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

ノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを確認します。

重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD

(Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース5(11.1.0.1)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)用に作成したWebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース1(10.2.0.5)からアップグレードしている場合や、10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

ADMIN_SERVER_HOSTNAME

(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。)

最初のOMS用に構成した管理サーバーのホスト名を入力します。

重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

ADMIN_SERVER_PORT

(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。)

最初のOMS用に構成した管理サーバーのポートを入力します。

重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME

(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。)

デフォルトでは、weblogicはOracle WebLogicドメイン用に作成されたデフォルト・ユーザー・アカウントに割り当てられている名前です。このデフォルト名を受け入れるときは、空白のままにしておきます。独自の名前を付けるときは、その名前を入力します。

重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD

(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。)

WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。

重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。

JVM_DIAGNOSTICS_TABLESPACE_LOCATION

(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

JVM診断表領域のデータ・ファイル(mgmt_ad4j.dbf)を格納できる場所への絶対パスを指定します。指定したパスには、ファイル名までを含めます。

たとえば、/home/john/oradata/mgmt_ad4j.dbfのようになります。

Enterprise Manager Cloud Controlは、JVM診断およびアプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)に関連する監視データを保管するためにこのデータ・ファイルを使用します。

SYS_PASSWORD

SYSユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

SYSMAN_PASSWORD

SYSMANユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

STATIC_PORTS_FILE

  • Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1.0)からアップグレードしている場合は、同一のポートがEnterprise Manager Cloud Controlに引き継がれるので、このパラメータはスキップします。

  • Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5.0)からアップグレードしている場合は、次のポートのみを含むstaticports.iniファイルへの絶対パスを入力します。

    Admin Server Http SSL Port

    Managed Server Http Port

    Managed Server Http SSL Port

    Node Manager Http SSL Port

    以前のリリースで使用されていたポートがEnterprise Manager Cloud Controlに引き継がれるため、staticports.iniファイルの他のポートはスキップする必要があります。

    staticports.iniファイルは、ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェア)の次の場所に格納されています: <software_kit>/response/staticports.ini


2システム・アップグレード方式でのソフトウェアのみモードのアップグレード

この項では、2システム・アップグレード方式で、ソフトウェアのみモードでアップグレードする方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。

ソフトウェア・バイナリのインストール

Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをインストールするには、「ソフトウェア・バイナリのインストール」で説明されている手順を実行します。


注意:

Enterprise ManagerアップロードHttpポートおよびEnterprise Managerセントラル・コンソールHttpポートが既存のEnterprise Managerシステムでロック解除済の場合は、インストーラの起動中に引数ALLOW_ONLY_SECURE_ACCESS_TO_CONSOLEおよびLOCK_ORACLE_MANAGEMENT_SERVICEを渡してください。

次に例を示します。

<Software_Location>/runInstaller -invPtrLoc /home/john/software/oracle/oraInst.loc ALLOW_ONLY_SECURE_ACCESS_TO_CONSOLE=FALSE LOCK_ORACLE_MANAGEMENT_SERVICE=FALSE

ここではこれらの引数を渡さずに、後でポートをロック解除する場合は、OMSをアップグレードした後、アップグレード後のOMSホームから次のコマンドを実行します。

$<OMS_HOME>/bin/emctl secure unlock -console

$<OMS_HOME>/bin/emctl secure unlock -upload


allroot.shスクリプトの実行

allroot.shスクリプトを実行する方法は、「インストール後の作業」を参照してください。

構成とアップグレード

Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリを構成するには、次の手順を実行します。

  1. 次のレスポンス・ファイルをローカル・ホスト上のアクセス可能な場所にコピーします。

    <Software_Location>/response/upgrade.rsp

    このコマンドで、<Software_Location>はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。

  2. レスポンス・ファイルを編集し、表19-3に示された変数に適切な値を入力します。

  3. ConfigureGC.shスクリプトを起動して前のステップで編集したレスポンス・ファイルを渡し、ソフトウェア・バイナリを構成します。

    $<MIDDLEWARE_HOME>/oms/sysman/install/ConfigureGC.sh -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp -staticPortsIniFile <absolute_path_to_staticports.ini_file> [-invPtrLoc <absolute_path_to_inventory_directory>]


    注意:

    • 「ソフトウェア・バイナリのインストール」で説明されている手順で、ソフトウェア・バイナリをインストール中に-invPtrLoc引数を渡した場合は、ここでも同じ引数を渡します。

    • スクリプトの起動時に渡すことができる追加の拡張オプションの詳細は、「拡張スクリプト・オプションの使用」を参照してください。

    • staticports.iniファイルは、ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェアなど)の次の場所に含まれています。

      <software_kit>/response/staticports.ini

    • staticports.iniファイルで、Enterprise ManagerアップロードHttpポートおよびEnterprise ManagerアップロードHttp SSLポートに入力するポートが、Enterprise Manager 12cアップグレード・コンソールで入力した保護および非保護ポートと一致することを確認します。

    • 欠落しているプラグインに関するエラーが表示された場合は、アクセス可能な場所にこれらのプラグイン(oparファイル)を手動でダウンロードした後、次の方法でインストーラをもう一度起動して、ダウンロードしたプラグインのソフトウェア・バイナリをコピーします。プラグインをダウンロードした場所は、これらの欠落したプラグインのためにのみ使用するようにしてください。

      <software_kit>/runInstaller -plugininstall -pluginLocation <absolute_path_to_plugin_sw> -mwHome <absolute_path_to_middleware_home> [-invPtrLoc <absolute_path_to_oraInst.loc>]

      欠落しているプラグイン(oparファイル)をダウンロードするには、次の手順を実行します。

      1. ソフトウェア・バイナリをインストール済の次の場所に移動し、目的のoparファイルが含まれているかどうか確認します。含まれている場合は、アクセス可能な場所にこれらのファイルをコピーします。

        $<OMS_HOME>/sysman/install/undeployed_plugins

      2. oparファイルがOMSホームで使用できない場合は、次のURLからダウンロードします。

        http://www.oracle.com/technetwork/oem/grid-control/downloads/oem-upgrade-console-502238.html

      次の手順に進む前に、欠落しているプラグインを必ずインストールしてください。



    注意:

    なんらかの検証エラーが発生した場合は、次の操作を実行します。
    1. バックアップ・データベースを破棄します。

    2. Enterprise Manager 12gアップグレード・コンソールで問題を解決します。

    3. ここでデータベースの新しいバックアップを作成します。

    4. インストーラをもう一度起動し、アップグレード・プロセスを再試行します。


ソフトウェア・バイナリの構成用のレスポンス・ファイルの編集

表19-3は、upgrade.rspレスポンス・ファイルに含まれている様々な変数の編集方法を示しています。

表19-3 ソフトウェア・バイナリの構成用のレスポンス・ファイルの編集

パラメータ 説明

ORACLE_INSTANCE_HOME_LOCATION

デフォルトでは、gc_instがすべてのOMS関連構成ファイルを格納するためのOMSインスタンス・ベース・ディレクトリとしてみなされ、デフォルトでミドルウェア・ホームに作成されます。デフォルトの場所およびディレクトリ名を受け入れる場合は、この変数をスキップします。ただし、独自の場所と独自のディレクトリ名を使用する場合は、独自のディレクトリ名を含む独自の場所への絶対パスを入力します。

ONE_SYSTEM

デフォルトでは、この変数は2システム・アップグレードを示すFALSEに設定されています。このデフォルト値を保持します。

OLD_DATABASE_CONNECTION_DESCRIPTION

古い管理リポジトリに接続するための接続文字列を次の形式で入力します。

  • SIDの場合

    (DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=<host_name>)(PORT=<port>)))(CONNECT_DATA=(SID=<sid>)))

  • サービス名の場合

    (DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=<host_name>)(PORT=<port>)))(CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=<service_name>)))

この接続文字列は、古い管理リポジトリへの接続、発生データのチェック、アップグレード後の管理リポジトリへの発生データの転送に使用されます。発生データとは、古い管理リポジトリのバックアップ作成時からアップグレードまでに、古い管理リポジトリにアップロードされたデータです。

OLD_DATABASE_SYSMAN_PASSWORD

古い管理リポジトリのSYSMANパスワードを入力します。

WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME

デフォルトでは、weblogicはOracle WebLogicドメイン用に作成されたデフォルト・ユーザー・アカウントに割り当てられている名前です。このデフォルト名を受け入れるときは、空白のままにしておきます。独自の名前を付けるときは、その名前を入力します。

WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD

WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。

WLS_ADMIN_SERVER_CONFIRM_PASSWORD

WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを確認します。

NODE_MANAGER_PASSWORD

デフォルトでは、nodemanagerはノード・マネジャー用に作成されたデフォルト・ユーザー・アカウントに割り当てられている名前です。このノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。

NODE_MANAGER_CONFIRM_PASSWORD

ノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを確認します。

WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD

この変数をコメント・アウトします。

ADMIN_SERVER_HOSTNAME

この変数をコメント・アウトします。

ADMIN_SERVER_PORT

この変数をコメント・アウトします。

WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME

この変数をコメント・アウトします。

WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD

この変数をコメント・アウトします。

JVM_DIAGNOSTICS_TABLESPACE_LOCATION

(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。)

JVM診断表領域のデータ・ファイル(mgmt_ad4j.dbf)を格納できる場所への絶対パスを指定します。指定したパスには、ファイル名までを含めます。

たとえば、/home/john/oradata/mgmt_ad4j.dbfのようになります。

Enterprise Manager Cloud Controlは、JVM診断およびアプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)に関連する監視データを保管するためにこのデータ・ファイルを使用します。

DATABASE_HOSTNAME

既存のデータベースが常駐するホストの完全修飾名を入力します。

例: example.com

Oracle RAC Databaseに接続する場合、ノードに仮想ホスト名が含まれていれば、ノードの1つの仮想ホスト名を入力します。

この仮想ホスト名のみで構成された接続文字列を使用してデータベースへの接続が確立され、インストールは正常に終了します。

ただし、クラスタ内の他のノードを使用して接続文字列を更新する場合は、インストールの終了後に、次の手順を実行します。

  1. 次のファイルを開きます。

    <OMS_Instance_Home>/em/EMGC_OMS#/emgc.properties

  2. 変数EM_RESPOS_CONNECTDESCRIPTORに対して他のノードを入力します。

LISTENER_PORT

既存のデータベースに接続するためのリスナー・ポートを入力します。

例: 1532

SERVICENAME_OR_SID

既存のデータベースのサービス名またはシステムID(SID)を入力します。

例: orcl

SYS_PASSWORD

SYSユーザー・アカウントのパスワードを入力します。

SYSMAN_PASSWORD

SYSMANユーザー・アカウントのパスワードを入力します。