この章では、サイレント・モードでEnterprise Manager Grid Controlのソフトウェア・バイナリのみをある時点でインストールしておき、後でアップグレードする方法について説明します。
サイレント・モードでのソフトウェアのみモードを使用したアップグレードは、第18章で説明されているグラフィック・モードでのアップグレードの代替の手段です。したがって、この2つのモードは同様に動作します。唯一の相違は、このインストール・タイプを指定する方法です。グラフィック・モードでは、インストーラを起動し、インタビュー画面を使用してインストールの詳細を取得する必要がありますが、サイレント・モードでは、インストーラを起動し、インストールのすべての詳細を取得済のレスポンス・ファイルを渡す必要があります。
この章の内容は次のとおりです。
注意: HPUNIX、HPia64、Solaris Sparc以外のすべてのUNIXプラットフォームでは、OMSおよび管理エージェントのエントリは/etc/oragchomelist ファイルにあります。HPUNIX、HPia64、Solaris Sparcプラットフォームでは、これらのエントリは/var/opt/oracle/oragchomelist にあります。 |
この項では、1システム・アップグレード方式で、ソフトウェアのみモードでアップグレードする方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをインストールするには、次の手順を実行します。
次のレスポンス・ファイルをローカル・ホスト上のアクセス可能な場所にコピーします。
<Software_Location>/response/software_only.rsp
このコマンドで、<Software_Location>
はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。
レスポンス・ファイルを編集し、表19-1に示された変数に適切な値を入力します。
インストーラを起動します。
./runInstaller -silent -responseFile <absolute_path>/software_only.rsp [-invPtrLoc <absolute_path_to_oraInst.loc>]
注意:
|
管理エージェントをアンインストールします。手順は、『Oracle Enterprise Manager Grid Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド』の管理エージェントのアンインストールの章を参照してください。
注意: 管理エージェントは、Enterprise Manager 12cアップグレード・コンソールによって事前にデプロイされているため、OMSによってインストールされた管理エージェントは必要ありません。 |
表19-1は、Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをインストールする際に、編集が必要な変数およびsoftware_only.rsp
レスポンス・ファイルでの編集方法を示しています。
表19-1 ソフトウェア・バイナリのインストール用のレスポンス・ファイルの編集
パラメータ | 説明 |
---|---|
UNIX_GROUP_NAME |
属しているUNIXグループの名前を入力します。 例: |
INVENTORY_LOCATION |
中央リポジトリへの絶対パスを入力します。 例: |
SECURITY_UPDATES_VIA_MYORACLESUPPORT |
|
DECLINE_SECURITY_UPDATES |
|
INSTALL_UPDATES_SELECTION |
この変数はデフォルトで、インストール中にソフトウェア更新がインストールされないことを示す
|
ORACLE_MIDDLEWARE_HOME_LOCATION |
インストーラがOracle WebLogic Server 11gリリース(10.3.5)およびJava Development Kit 1.6 v24をインストールする場所を入力します。 たとえば、 ミドルウェアの場所に、OMSおよび管理エージェントのOracleホームを作成するための書込み権限があることを確認してください。 これらを手動でインストール済の場合は、インストール先の場所を入力します。 注意: ここで入力するミドルウェア・ホームは、Enterprise Manager Cloud Controlのためにのみ使用するようにしてください。他のOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントは、同じミドルウェア・ホームにインストールしないでください。 |
PLUGIN_SELECTION |
デフォルトでは、Oracle Database Management Plug-In、Oracle Fusion Middleware Management Plug-In、Oracle My Oracle Support Management Plug-In、Oracle Exadata Management Plug-Inなどの必須プラグインは、Enterprise Managerシステムとともに自動的にインストールされます。 ただし、ソフトウェア・キット(DVDまたはダウンロードしたソフトウェア)に含まれているその他のオプションのプラグインをインストールする場合は、この変数にインストールするプラグインの名前を入力します。 次に例を示します。
ソフトウェア・キットに含まれていないプラグインをインストールするには、次の手順を実行します。
|
(UNIXのみ)ソフトウェア・バイナリをインストールした後、新しい端末でrootユーザーとしてログインし、OMSホームからallroot.sh
スクリプトを実行します。
$<OMS_HOME>/allroot.sh
Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリを構成するには、次の手順を実行します。
Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをコピーしたホスト上のアクセス可能な場所に、次のレスポンス・ファイルをコピーします。
<Software_Location>/response/upgrade.rsp
このコマンドで、<Software_Location>
はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。
レスポンス・ファイルを編集し、表19-2に示された変数に適切な値を入力します。
ConfigureGC.sh
スクリプトを起動して前のステップで編集したレスポンス・ファイルを渡し、ソフトウェア・バイナリを構成します。
$<MIDDLEWARE_HOME>/oms/sysman/install/ConfigureGC.sh -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp [-invPtrLoc <absolute_path_to_oraInst.loc>]
注意:
|
表19-2は、Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリを構成する際に、更新が必要な変数およびupgrade.rsp
レスポンス・ファイルでの更新方法を示しています。
表19-2 ソフトウェア・バイナリの構成用のレスポンス・ファイルの編集
パラメータ | 説明 |
---|---|
ORACLE_INSTANCE_HOME_LOCATION |
デフォルトでは、 |
OLD_BASE_DIR |
アップグレードするOMSのベース・ディレクトリを入力します。 |
ONE_SYSTEM |
デフォルトでは、この変数は2システム・アップグレードを示す |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) デフォルトでは、 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_CONFIRM_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
NODE_MANAGER_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) デフォルトでは、 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
NODE_MANAGER_CONFIRM_PASSWORD |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) ノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 重要: Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合、または10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
(Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース5(11.1.0.1)からアップグレードする場合にのみ有効です。) Enterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)用に作成したWebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース1(10.2.0.5)からアップグレードしている場合や、10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
ADMIN_SERVER_HOSTNAME |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) 最初のOMS用に構成した管理サーバーのホスト名を入力します。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
ADMIN_SERVER_PORT |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) 最初のOMS用に構成した管理サーバーのポートを入力します。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) デフォルトでは、 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
(10gリリース5(10.2.0.5)または11gリリース1(11.1.0.1)から追加のOMSをアップグレードする場合にのみ有効です。) WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 重要: Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1(11.1.0.1)からアップグレードしている場合は、この変数をコメント・アウトしてください。 |
JVM_DIAGNOSTICS_TABLESPACE_LOCATION |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) JVM診断表領域のデータ・ファイル( たとえば、 Enterprise Manager Cloud Controlは、JVM診断およびアプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)に関連する監視データを保管するためにこのデータ・ファイルを使用します。 |
SYS_PASSWORD |
SYSユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |
SYSMAN_PASSWORD |
SYSMANユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |
STATIC_PORTS_FILE |
|
この項では、2システム・アップグレード方式で、ソフトウェアのみモードでアップグレードする方法について説明します。この項の具体的な内容は次のとおりです。
Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリをインストールするには、「ソフトウェア・バイナリのインストール」で説明されている手順を実行します。
注意: Enterprise ManagerアップロードHttpポートおよびEnterprise Managerセントラル・コンソールHttpポートが既存のEnterprise Managerシステムでロック解除済の場合は、インストーラの起動中に引数ALLOW_ONLY_SECURE_ACCESS_TO_CONSOLE およびLOCK_ORACLE_MANAGEMENT_SERVICE を渡してください。
次に例を示します。
ここではこれらの引数を渡さずに、後でポートをロック解除する場合は、OMSをアップグレードした後、アップグレード後のOMSホームから次のコマンドを実行します。
|
allroot.sh
スクリプトを実行する方法は、「インストール後の作業」を参照してください。
Enterprise Manager Cloud Controlのソフトウェア・バイナリを構成するには、次の手順を実行します。
次のレスポンス・ファイルをローカル・ホスト上のアクセス可能な場所にコピーします。
<Software_Location>/response/upgrade.rsp
このコマンドで、<Software_Location>
はソフトウェア・キットをダウンロードした場所です。
レスポンス・ファイルを編集し、表19-3に示された変数に適切な値を入力します。
ConfigureGC.sh
スクリプトを起動して前のステップで編集したレスポンス・ファイルを渡し、ソフトウェア・バイナリを構成します。
$<MIDDLEWARE_HOME>/oms/sysman/install/ConfigureGC.sh -silent -responseFile <absolute_path>/upgrade.rsp -staticPortsIniFile <absolute_path_to_staticports.ini_file> [-invPtrLoc <absolute_path_to_inventory_directory>]
注意:
|
注意: なんらかの検証エラーが発生した場合は、次の操作を実行します。
|
表19-3は、upgrade.rsp
レスポンス・ファイルに含まれている様々な変数の編集方法を示しています。
表19-3 ソフトウェア・バイナリの構成用のレスポンス・ファイルの編集
パラメータ | 説明 |
---|---|
ORACLE_INSTANCE_HOME_LOCATION |
デフォルトでは、 |
ONE_SYSTEM |
デフォルトでは、この変数は2システム・アップグレードを示す |
OLD_DATABASE_CONNECTION_DESCRIPTION |
古い管理リポジトリに接続するための接続文字列を次の形式で入力します。
この接続文字列は、古い管理リポジトリへの接続、発生データのチェック、アップグレード後の管理リポジトリへの発生データの転送に使用されます。発生データとは、古い管理リポジトリのバックアップ作成時からアップグレードまでに、古い管理リポジトリにアップロードされたデータです。 |
OLD_DATABASE_SYSMAN_PASSWORD |
古い管理リポジトリのSYSMANパスワードを入力します。 |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
デフォルトでは、 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 |
WLS_ADMIN_SERVER_CONFIRM_PASSWORD |
WebLogicユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 |
NODE_MANAGER_PASSWORD |
デフォルトでは、 パスワードはスペースを含めず8文字以上とします。先頭は文字とし、1つ以上の数字を含めるようにしてください。 |
NODE_MANAGER_CONFIRM_PASSWORD |
ノード・マネージャのユーザー・アカウントのパスワードを確認します。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
この変数をコメント・アウトします。 |
ADMIN_SERVER_HOSTNAME |
この変数をコメント・アウトします。 |
ADMIN_SERVER_PORT |
この変数をコメント・アウトします。 |
WLS_ADMIN_SERVER_USERNAME |
この変数をコメント・アウトします。 |
WLS_ADMIN_SERVER_PASSWORD |
この変数をコメント・アウトします。 |
JVM_DIAGNOSTICS_TABLESPACE_LOCATION |
(Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5(10.2.0.5)からアップグレードする場合にのみ有効です。) JVM診断表領域のデータ・ファイル( たとえば、 Enterprise Manager Cloud Controlは、JVM診断およびアプリケーションの依存性とパフォーマンス(ADP)に関連する監視データを保管するためにこのデータ・ファイルを使用します。 |
DATABASE_HOSTNAME |
既存のデータベースが常駐するホストの完全修飾名を入力します。 例: Oracle RAC Databaseに接続する場合、ノードに仮想ホスト名が含まれていれば、ノードの1つの仮想ホスト名を入力します。 この仮想ホスト名のみで構成された接続文字列を使用してデータベースへの接続が確立され、インストールは正常に終了します。 ただし、クラスタ内の他のノードを使用して接続文字列を更新する場合は、インストールの終了後に、次の手順を実行します。
|
LISTENER_PORT |
既存のデータベースに接続するためのリスナー・ポートを入力します。 例: |
SERVICENAME_OR_SID |
既存のデータベースのサービス名またはシステムID(SID)を入力します。 例: |
SYS_PASSWORD |
SYSユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |
SYSMAN_PASSWORD |
SYSMANユーザー・アカウントのパスワードを入力します。 |