注意: この付録は、Enterprise Manager 10g Grid Controlリリース5 (10.2.0.5)またはEnterprise Manager 11g Grid Controlリリース1 (11.1.0.1)からアップグレードする場合のみ、適用されます。 |
Enterprise Manager Cloud Control以前の通知システムでは、ターゲットの可用性ステータスの変更、メトリック・アラート、およびジョブ実行ステータスの変更が管理者に通知されていました。管理者への通知以外にも、アラートがトリガーされるとオペレーティング・システム・コマンド(スクリプトを含む)やPL/SQLプロシージャを実行するなどのアクションが実行されていました。
この付録では、Enterprise Manager Cloud Controlで大幅に変更された通知システムの内容を説明します。特に、次の内容について説明します。
旧リリースのEnterprise Managerの通知システムは、通知ルール(通知を送信する必要がある状況および必要なアクションを示す、事前定義済のルールまたは条件のセット)を使用して動作していました。
Enterprise Manager Cloud Controlでは、この通知ルールの概念が拡張され、 インシデント・ルールセットと呼ばれる、大規模で新しい概念に組み込まれています。
インシデント・ルールセットを理解するには、イベントおよびインシデントの概念を理解しておく必要があります。
イベントは、管理する環境での重要な発生事象です。ターゲットの可用性ステータスの変更、メトリック・アラート、およびジョブ実行ステータスの変更などは、Enterprise Managerで検出されるイベント・タイプの例です。ユーザーは、これらのイベントに関する通知を受け取ることで、必要に応じて対応し、根本的な問題を解決できる可能性があります。イベントの概念を形式化することで、このEnterprise Managerの監視機能は、メトリック評価エラーやコンプライアンス標準違反などの、重要になりうるエンタープライズの追加の発生事象にまで拡張されます。
インシデントは、依存するITサービスの潜在的な中断または実際の中断を指す可能性があり、管理者またはチームが注意を払う必要がある、関連イベントのサブセットです。そのようなイベントに対してインシデントを作成し、さらに管理者に割り当てて完了まで追跡することが可能です。
インシデント・ルールセットは通常、一連のターゲットに対して操作を実行する一連のルールで、適切な担当者に通知し、イベント、インシデントおよび問題に対して適切なアクションを実行するための個別のルールが含まれます。
注意: 問題の詳細は、次の場所にあるEnterprise Managerドキュメント・ライブラリ内の『Oracle Enterprise Manager管理者およびユーザーズ・ガイド』を参照してください。
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ルールでは、インシデントを作成できるほか、イベントに対する操作を実行して通知を送信できます。また、特定のインシデントに対して操作を実行できるため、自動割当て、優先度付け、さらには時間ベースの条件によるエスカレートが可能です。
インシデント・ルールセットは、さらにエンタープライズ・ルールセットとプライベート・ルールセットに分類されます。
エンタープライズ・ルールセットは、1人以上のユーザーへの通知、 拡張通知メソッドを使用した通知の送信、外部チケッティング・システムでのチケット作成、インシデントの作成および更新などの、エンタープライズ・レベルの動作を自動化して実施するために使用されます。これらのルールセットを作成できるのは、「エンタープライズ・ルール・セットの作成」権限を持つ管理者のみです。
プライベート・ルールセットは、特定の変更に関して管理者が自分に電子メールを送信するのに役立ちます。これらは管理者によって作成され、ルールセットの所有者に電子メールを送信する場合のみ使用できます。
すべてのインシデント・ルールセットは、ルールセットの所有者およびスーパー管理者が編集できます。また、所有者は、他のユーザーをエンタープライズ・ルールセットの共同作成者に指定できます。これにより、ルールセットの共同管理が可能になります。
すべてのインシデント・ルールセットを表示するには、Enterprise Manager Cloud Controlで、「設定」メニューから「インシデント」→「インシデント・ルール」を選択します。図B-1にインシデント・ルールセットのページを示します。
アップグレード時には、旧リリースのEnterprise Managerで作成された通知ルールが、最初に通知ルールで定義されたターゲットに作用する、対応するインシデント・ルールセットに自動的に移行されます。
エンタープライズ・ルールセットに移行される通知ルールは、次のとおりです。
ルールの作成者ではない所有者に電子メールを送信する通知ルール
拡張通知メソッドを起動する通知ルール
プライベート・ルールセットに移行される通知ルールは、次のとおりです。
アクションを伴わない通知ルール
ルールを作成した所有者に電子メールを送信する通知ルール
古い通知ルールで定義された可能性がある3つの基準(可用性、メトリック、ジョブ)は、適切なイベントに対して操作を実行する3つの個別のルールに、それぞれ移行されます。通知ルール・レベルで定義されたアクションは、これらの各ルールにコピーされます。
1つの例外として、Enterprise Manager Cloud Controlではポリシー違反の概念は取り消されており、ポリシー固有のすべての基準は無視されるため、ポリシーのみに対して操作を実行するルールは移行されません。
旧リリースのEnterprise Managerで作成された通知ルールの所有者は、 Enterprise Manager Cloud Controlでは、対応するインシデント・ルールセットの所有者になります。これらの所有者は、エンタープライズ・ルールセットおよびプライベート・ルールセットを編集できます。また、すべての管理者は、プライベート・ルールセットを作成して自分に電子メールを送信できます。
将来的には、スーパー管理者が「エンタープライズ・ルール・セットの作成」リソース権限を付与して、エンタープライズ・ルールセットを作成できる管理者を指定する必要があります。
注意: Enterprise Manager Cloud Controlでターゲット・タイプ・モデリングが変更されている場合は、「インシデント・ルールの更新」の説明に従って手動でルールを調整する必要があります。 |
旧リリースのEnterprise Managerで定義された通知メソッドおよびアクションは、引き続きEnterprise Manager Cloud Controlでも機能し、これらの元の通知メソッドへの入力は、Enterprise Manager Cloud Controlでは下位互換性があります。そのため、OSコマンドまたはPL/SQLの通知メソッドでメトリック・アラートに対して操作を実行していた場合は、アップグレード後も引き続き同じ入力を受け取ります。ただし、Enterprise Manager Cloud Controlで作成したすべての新しい通知メソッドは、新しいイベントおよびインシデント・モデルに基づいて入力を受け入れます。
注意: 旧リリースのEnterprise Managerで作成した通知メソッドを、新しいイベント・モデルに対して操作を実行するEnterprise Manager Cloud Control固有の新しい通知メソッドに置き換えることを強くお薦めします。Enterprise Manager Cloud Controlの次のメジャー・リリースでは、古い通知メソッドは機能しなくなります。 |