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Oracle Solaris Studio 12.3: C++ ユーザーズガイド Oracle Solaris Studio 12.3 Information Library (日本語) |
コンパイラには、SPARC プロセッサと x86 プロセッサ用のさまざまなメモリーバリアー組み込み関数を定義するヘッダーファイル mbarrier.h が用意されています。これらの組み込み関数は、開発者が独自の同期プリミティブを使用してマルチスレッドコードを記述するために使用できます。これらの組み込み関数がいつ必要になるか、また、特定の状況で必要かどうかを判断するには、該当するプロセッサのドキュメントを参照してください。
mbarrier.h によりサポートされるメモリーオーダリング組み込み関数には、次のものが含まれます。
__machine_r_barrier() - これは、read バリアーです。これにより、バリアー前のすべてのロード操作が、バリアー後のすべてのロード操作の前に完了します。
__machine_w_barrier() - これは、write バリアーです。これにより、バリアー前のすべての格納操作が、バリアー後のすべての格納操作の前に完了します。
__machine_rw_barrier() - これは、read—write バリアーです。これにより、バリアー前のすべてのロードおよび格納操作が、バリアー後のすべてのロードおよび格納操作の前に完了します。
__machine_acq_barrier() - これは、acquire セマンティクスを持つバリアーです。これにより、バリアー前のすべてのロード操作が、バリアー後のすべてのロードおよび格納操作の前に完了します。
__machine_rel_barrier() - これは、release セマンティクスを持つバリアーです。これにより、バリアー前のすべてのロードおよび格納操作が、バリアー後のすべての格納操作の前に完了します。
__compiler_barrier() - コンパイラが、バリアーを越えてメモリーアクセスを移動するのを防ぎます。
__compiler_barrier() 組み込み関数を除くすべてのバリアー組み込み関数は、x86 でメモリーオーダリング命令を生成し、これらは mfence、sfence、または lfence 命令です。SPARC プラットフォームでは、これらは membar 命令です。
__compiler_barrier() 組み込み関数は、命令を生成せず、代わりに今後メモリー操作を開始する前にそれまでのメモリー操作をすべて完了する必要があることをコンパイラに通知します。この実際の結果として、ローカルでないすべての変数、および static 記憶クラス指定子を持つローカル変数が、バリアー前のメモリーに再度格納されてバリアー後に再ロードされ、コンパイラではバリアー前のメモリー操作とバリアー後のメモリー操作が混在することはありません。ほかのすべてのバリアーには、__compiler_barrier() 組み込み関数の動作が暗黙的に含まれています。
たとえば、次のコードでは、__compiler_barrier() 組み込み関数が存在しているためコンパイラによる 2 つのループのマージが止まります。
#include "mbarrier.h" int thread_start[16]; void start_work() { /* Start all threads */ for (int i=0; i<8; i++) { thread_start[i]=1; } __compiler_barrier(); /* Wait for all threads to complete */ for (int i=0; i<8; i++) { while (thread_start[i]==1){} } }