Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal開発者ガイド 11g リリース1 (11.1.1.6.0) B72084-01 |
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Webクリッピングは、WebCenter Portal: Frameworkアプリケーションに任意のWebアプリケーションを統合できるようにする公開ポートレットです。Webクリッピングは、Webアプリケーションの既存のユーザー・インタフェースを利用して迅速に統合できるように設計されています。Webクリッピングでは、Webコンテンツを単一の一元化したWebページのポートレットに収集できます。Webクリッピングを使用すると、大規模な組織に散在するWebサイトのコンテンツを統合できます。
この章には、WebクリッピングをOracle JDeveloper環境で使用するために知っておく必要がある情報が含まれています。実行時のWebクリッピングの使用方法の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal: Spacesユーザーズ・ガイドの「Webクリッピング・ポートレットの使用」の章を参照してください。
この章の内容は、次のとおりです。
リポジトリやプロキシの設定、プロデューサのセキュリティなどその他のWebクリッピング・ポートレット・プロデューサの構成は、付録E「その他のポートレット構成」を参照してください。
各種ポートレット、プロデューサおよびその他のポートレット・テクノロジは、第58章「ポートレットの概要」を参照してください。
Webクリッピングを使用すると、Webページ全体または一部をクリップし、ポートレットとして再利用できます。基本およびHTMLフォームベースのサイトはクリップ可能です。Webクリッピングは、既存のWebページのコンテンツをコピーし、Frameworkアプリケーションでポートレットとして公開する場合に使用します。
様々なスタイルのログイン・メカニズムを介したナビゲーション
Webクリッピングでは、フォーム・ベースとJavaScriptベースの送信、Cookieベースのセッション管理を使用したHTTPのBasic認証とDigest認証など、様々なログイン・メカニズムをサポートしています。
クリッピングのファジー・マッチング
ファジー・マッチング機能により、Webクリッピングがソース・ページ内で順序変更されたり、その文字フォント、サイズまたはスタイルが変更された場合でも、Webクリッピング・エンジンがWebクリッピングを正確に識別し、ポートレット・コンテンツとして配信できるようになります。
パーソナライズ
パーソナライズ機能を使用すると、エンド・ユーザーがポートレットのパーソナライズ時に変更できる入力パラメータを公開できます。パラメータは、ページ・パラメータとしてマップできるパブリック・パラメータとして公開できます。この機能により、エンド・ユーザーはパーソナライズされたクリッピングを取得できます。
シングル・サインオンを使用した認証済Webコンテンツの統合
外部アプリケーションやOracle Single Sign-Onを利用して、認証済外部Webサイトのコンテンツをクリップできます。
インライン・レンダリング
インライン・レンダリングを使用すると、ポートレットのコンテキスト内にリンクを表示するようにWebクリッピング・ポートレットを設定できます。ユーザーがWebクリッピング・ポートレット内でリンクをクリックすると、同じポートレット内に結果が表示されます。この機能は、内部および外部のWebサイトで使用できます。
プロキシ認証
Webクリッピングは、グローバルなプロキシ認証やユーザーごとの認証などのプロキシ認証をサポートします。プロキシ・サーバーから認証を求められる場合は、この機能を使用できます。タイプ(BasicまたはDigest)やprovider.xml
ファイル内のレルムなど、プロキシ・サーバー認証の詳細を指定できます。また、ユーザー資格情報の入力スキームを指定することもできます。
すべてのユーザーは、指定されたユーザー名とパスワードを使用して自動的にログインします。
すべてのユーザーは、自ら設定したユーザー名とパスワードを使用してログインする必要があります。
すべてのパブリック・ユーザー(Frameworkアプリケーションで未認証)は、指定されたユーザー名とパスワードを使用して自動的にログインしますが、有効なユーザー(Frameworkアプリケーションで認証済)は、自ら設定したユーザー名とパスワードを使用してログインします。
詳細は、第E.2.2項「HTTPまたはHTTPSのプロキシ構成」を参照してください。
HTTPSのサポート
Webクリッピングを使用すると、適切なサーバー証明書を取得している場合に、HTTPSベースの外部Webサイトからコンテンツをクリップできます。サーバー証明書の詳細は、第E.2.3.1項「信頼できるサイトの証明書の追加」を参照してください。
オープン・トランスポートAPI
デフォルトでは、Webクリッピング・プロバイダは、Basic、Digest、フォーム送信ログインなどのHTTPチャレンジベースの認証方式のみをサポートしています。Kerberosプロキシ認証などのカスタムの認証方式をサポートするには、Webクリッピング・トランスポートAPIを使用できます。詳細は、第66.4.1項「Webクリッピング・トランスポートAPIの使用方法」を参照してください。
広範囲なWebコンテンツの再利用
Webクリッピングには、HTTPのGETおよびPOSTのフォーム送信方式を使用して取得された、JavaScriptで記述されたページ、アプレットおよびプラグイン対応コンテンツの基本サポートが用意されています。
Webクリッピングではまた、次のようなHTML 4.01で記述されたページのコンテンツのクリッピングもサポートしています。
<applet>、<body>、<div>、<embed>、<img>、<object>、<ol>、<span>、<table>、
および<ul>
タグ付きコンテンツのクリッピング
<head>
スタイルとフォント、およびCSSの保持
UTF-8準拠のキャラクタ・セットのサポート
ハイパーリンク(HTTP GET)、フォーム送信(HTTP POST)、フレームおよびURLリダイレクションを使用したナビゲーション
グローバリゼーション・サポート
Webクリッピングは、URLおよびURLパラメータでのグローバリゼーション・サポートを提供します。クリップされたコンテンツのキャラクタ・セットをWebクリッピングが決定する方法の詳細は、第66.5項「Webクリッピングに関する現在の制限」を参照してください。
Webクリッピングの定義の永続的な格納
Webクリッピングの定義は、リポジトリに永続的に格納されます。デフォルトでは、JDeveloperで、Webクリッピング・プロデューサがファイルベースのOracle Metadata Service (MDS)をリポジトリとして使用するように構成されています。必要に応じて、Webクリッピング・リポジトリにデータベース・スキーマを使用できます。Webクリッピング・リポジトリの構成の詳細は、第E.2.1項「ebクリッピング・リポジトリ構成」を参照してください。
保護情報の暗号化
パスワードなどの保護情報は、Oracleの暗号化テクノロジを使用し、Data Encryption Standard (DES)に基づいて暗号化されたフォームで格納されます。
Webクリッピング・ポートレットは、JDeveloperを使用して作成されたJSPドキュメントに追加できます。Webクリッピング・ポートレット・プロデューサは、次のサーバーに組み込まれています。
統合WebLogic Server (WLS)、つまり、JDeveloperとともにインストールされるデフォルトのサーバー
Oracle Fusion Middlewareの完全インストールのデフォルト・ドメインにあるWLS_Portlets
管理対象サーバー
Webクリッピング・ポートレットをアプリケーションに追加する手順は次のとおりです。
JDeveloperで、統合WLSを起動します。詳細は、第3.4項「統合WebLogic Serverの使用」を参照してください。
JDeveloperで、Webクリッピング・プロデューサを登録します。詳細は、第64.2.3項「Oracle PDK-Javaポートレット・プロデューサの登録方法」を参照してください。
この手順では、たとえば次のようなエンドポイントURLを指定する必要があります。
http://localhost:7101/portalTools/webClipping/providers/webClipping
WLS_Portlets
管理対象サーバーまたは統合WLSからWebクリッピング・ポートレット・プロデューサを登録することを選択できます。
プロデューサを登録すると、ポートレットが「アプリケーション・リソース」パネルや「リソース・パレット」で使用可能になります。
「アプリケーション・リソース」パネルまたは「リソース・パレット」から、Webクリッピング・ポートレットを.jspx
ページにドラッグします。詳細は、第64.3項「ページへのポートレットの追加」を参照してください。
PanelCustomizable
コンポーネントまたはShowDetailFrame
コンポーネントを使用している場合は、af:form
のかわりにそのコンポーネントの上にポートレットをドラッグします。「構造」ペインで、Webクリッピング・ポートレットは、PanelCustomizable
コンポーネントまたはShowDetailFrame
コンポーネントの下に表示されます。ページ・エディタで、ポートレットは、PanelCustomizable
コンポーネントまたはShowDetailFrame
コンポーネントの中に表示されます。
注意: JDeveloperでWebクリッピングのインスタンスをページに追加する際、ポートレットの「プロパティ・インスペクタ」を開き、
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.jspx
ページを右クリックし、「実行」を選択します。
Webクリッピング・ポートレットがデフォルトのブラウザに表示されます。
Webクリッピング・ポートレットをカスタマイズしてそのコンテンツを定義します。詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal: Spacesユーザーズ・ガイドの章「Webクリッピング・ポートレットの使用」を参照してください。
注意: SSL対応Webサイトをクリップするには、これらのサイトの証明書を証明書ストアに追加する必要があります。Equifax、VeriSignまたはCybertrust証明書を使用するSSL対応Webサイトの証明書は、追加する必要はありません。これらの証明書はデフォルトの証明書ストアに含まれているからです。 証明書の追加の詳細は、第E.2.3.1項「信頼できるサイトの証明書の追加」を参照してください。 |
Oracle Single Sign-Onを利用して、認証に必要な外部WebサイトのコンテンツをWebクリッピング・ポートレットに統合できます。
注意: 1つのプロデューサに関連付けることができる外部アプリケーションは1つのみです。外部アプリケーションごとに新規のプロデューサを登録する必要があります。Frameworkアプリケーション・ユーザーは、資格情報ではなく、該当のシステムのユーザー名とパスワードを使用して認証されているコンテンツにアクセスします。 |
認証が必要な外部アプリケーションを統合する手順は次のとおりです。
JDeveloperでFrameworkアプリケーションを開きます。
認証情報を指定して、外部アプリケーションを登録します。詳細は、第69.13.3.2.1項「外部アプリケーションのOracle JDeveloperでの登録」を参照してください。
Webクリッピング・プロデューサを登録します。詳細は、第64.2.3項「Oracle PDK-Javaポートレット・プロデューサの登録方法」を参照してください。
Oracle PDK-Javaポートレット・プロデューサの登録ウィザードを使用してプロデューサを登録する際に、「接続詳細の指定」ページで、「プロデューサと外部アプリケーションとの関連付け」チェック・ボックスを選択し、値のリストから登録した外部アプリケーションを選択します。「プロデューサ・セッションの有効化」チェック・ボックスが自動的に選択されます。
図66-1に、Webクリッピング・プロデューサに関連付けられたMyOracleSupportという名前の外部アプリケーションを示します。
登録したプロデューサからのWebクリッピング・ポートレットを.jspxページ
に追加します。
.jspx
ページを右クリックし、「実行」を選択します。
外部アプリケーションの共有資格情報または公開資格情報を指定しなかった場合は、ポートレットに「ログイン情報の更新」リンクが含まれます。このリンクをクリックします。
資格情報を入力し、「OK」をクリックして外部Webサイトにログインします。
図66-2に、MyOracleSupportという名前の外部アプリケーションのログイン画面を示します。
Webクリッピング・ポートレットのヘッダーで「アクション」アイコンをクリックし、「カスタマイズ」を選択します。
「Webクリッピングの検索」ページが表示され、外部アプリケーションのデフォルトのURLが「URLの場所」フィールド(図66-3)に表示されます。
これで、Webクリッピング・ポートレットに表示するWebページの任意のセクションを選択できるようになりました。Webクリッピング・ポートレットのカスタマイズ方法の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal: Spacesユーザーズ・ガイドの章「Webクリッピング・ポートレットの使用」を参照してください。
外部アプリケーションの必要なページをクリップすると、認証が必要なページからのWebクリッピングでも、ポートレットで使用できるようになります。
Webクリッピングは、特定の拡張機能をサポートしています。Webクリッピング・トランスポートAPIを使用してカスタム認証方式を構成し、リソース・プロキシを使用するようにイメージ・リンクをリライトできます。
この項の内容は、次のとおりです。
カスタム認証方式をサポートするには、Webクリッピング・トランスポートAPIを使用できます。Webクリッピング・トランスポート・レイヤーを拡張してカスタム認証方式をサポートするには、いくつかの実装およびデプロイの手順を実行する必要があります。
この項の内容は、次のとおりです。
Kerberosなどのカスタム認証方式をサポートする場合は、まず、固有のトランスポート・クラスを実装する必要があります。
カスタム・トランスポート・クラスを実装する手順は次のとおりです。
oracle.portal.wcs.transport.http.HttpTransportLiaison
インタフェースの2つのユース・ケースをオーバーライドします。
Webクリッピングでは、このインタフェースを使用してHTTPトランスポート・レイヤーが抽象化されます。デフォルトでは、次の実装によって、このインタフェースの2つのユース・ケースがマニフェストされます。
HttpClientStudioTransportLiaison
は、Webクリッピング・スタジオ・モードでHTTPトランスポートを処理します。
HttpClientProviderTransportLiaison
は、Webクリッピング・プロデューサ表示モードでHTTPトランスポートを処理します。
その他の認証方式をサポートするには、スタジオとプロバイダの両方のHttpClientTransportLiaison
実装についてaddRequestHeaders
メソッドをオーバーライドし、独自の認証固有ヘッダーを追加する必要があります。詳細は、Oracle WebLogic Server Webクリッピング・トランスポートAPIリファレンスを参照してください。
新しいサブクラスをコンパイルし、JARファイルにパッケージ化します。
たとえば、新しいサブクラスをコンパイルするには次のコマンドを使用します。
javac -classpath
path_to_wcejar
-d classes/
ここで、path_to_wcejar
は、wce.jar
ファイルへのパスを指します。
JARファイルを作成するには、たとえば、次のコマンドをclasses
ディレクトリから実行します。
jar cvf ../
mytransport.jar
ここで、mytransport.jar
は、ユーザーが作成するJARファイルを指します。
新しいトランスポート・クラスを実装したら、カスタム認証方式をサポートするためにJARファイルをデプロイする必要があります。
JARファイルをデプロイする手順は次のとおりです。
JARファイルを、実行時にWebクリッピング・プロデューサに使用されるクラス・パスまたは共有ライブラリに置きます。
HttpClientProviderTransportLiaison
およびHttpClientStudioTransportLiaison
に定義されているコンテキスト・パラメータに次の変更を行うことにより、Webクリッピング・プロデューサのweb.xml
ファイルにトランスポート・クラスを登録します。
oracle.webclipping.provider.TransportLiaisonClass
のパラメータ値を、HttpClientProviderTransportLiaison
クラスから拡張した新しいクラスの名前に変更します。
oracle.webclipping.studio.TransportLiaisonClass
のパラメータ値を、HttpClientStudioTransportLiaison
クラスから拡張された新しいクラスの名前に変更します。
プロデューサ・サーバーを再起動して変更を有効にします。
Webクリッピングを使用すると、イメージ・リンクをリライトしてリソース・プロキシを使用できます。この機能を有効にするには、次のエントリをWebクリッピング・プロデューサのweb.xml
ファイルに追加する必要があります。
<env-entry> <env-entry-name>oracle/webclipping/rewriteImageLink</env-entry-name> <env-entry-type>java.lang.Boolean</env-entry-type> <env-entry-value>false</env-entry-value> </env-entry>
Webクリッピングを使用する場合は、次の制限に注意する必要があります。
クリップするサイトで、Cookieを操作するために多数のJavaScriptが使用されている場合、または、書き出されるHTML文書を変更するためにJavaScriptメソッドのdocument.write
が使用されている場合は、そのサイトからコンテンツをクリップできない場合があります。
パートナ・アプリケーションと(mod_osso
を使用して)統合する場合、認証された方法ではそのパートナ・アプリケーションを介して直接クリップできません。ただし、パートナ・アプリケーションは、外部アプリケーション・フレームワークを介して使用できます。
Webクリッピング・ポートレットを使用して、Oracle PortalページやADFページをクリップすることはできません。対応策としては、接続先ポータルで同じプロデューサを再登録し、そのポータルを手動で編集します。
Webクリッピング・ポートレットを使用して、複数のフレーム(フレームセット)を含むWebページをクリップすることはできません。
WebクリッピングとCSSの使用に関して次の点に注意してください。
CSSを使用するポートレットがWebページに複数ある場合、CSSが、スタイルの名前としてHTMLタグ名(A
など)ではなく個別のスタイル名(OraRef
など)を使用してHTMLタグ内にスタイルを指定すれば、ポートレットが競合することはありません。
あるポートレットがCSSを使用し、そのCSSが、スタイルの名前としてタグ名(<A>
など)を使用してHTMLタグの動作を上書きし、同じページの2番目のポートレットがCSSを使用しない場合、2番目のポートレットは、最初のポートレットのCSSのスタイル指示によって影響されます。
同じページにある2つのポートレットが別々のCSSを使用し、各CSSがスタイル名としてHTMLタグ名(<A>
など)を使用して相手のHTMLタグの動作を上書きする場合、表示されるスタイルはブラウザによって異なってきます。
Webクリッピングは、次の方法でグローバリゼーション・サポート設定をチェックします。
Webクリッピングは、charset
属性がないかHTTPヘッダーのContent-Type
をチェックします。キャラクタ・セット属性がある場合は、これがHTMLページの文字コードであるとみなします。
charset
属性がない場合は、Webクリッピングは、ページのHTML META
タグをチェックして文字コードを突き止めます。
HTML META
タグがない場合、Webクリッピングは以前にブラウズされたページのcharset
を使用します。これがブラウズした最初のページである場合は、Webクリッピングはデフォルトの文字コードISO-8859-1をとります。
Content-Type
またはMETA
タグのcharset
の値がサポートされていない(たとえば、charset
がNONE
として指定されている)場合、Webクリッピングは、以前にブラウズされたページのcharset
ではなくデフォルトのキャラクタ・セットISO-8859-1を使用します。
Webクリッピング・ポートレットを使用するには、Windows 2000ではNetscape 7.0以上、Microsoft Internet Explorer 5.5以上、Windows XPではMicrosoft Internet Explorer 6.0以上を使用する必要があります。使用するブラウザのバージョンがこれより古い場合は、JavaScriptエラーが発生する可能性があります。