ナビゲーションリンクをスキップ | |
印刷ビューの終了 | |
![]() |
Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Information Library (日本語) |
ストライプ化グループを使用していない ma ファイルシステムでのストライプ幅
ストライプ化グループを使用する ma ファイルシステムでのストライプ幅
以降のセクションでは、Sun QFS ファイルシステムの主な機能について説明します:
Sun QFS ファイルシステムは、ストライプ化とラウンドロビンの両方のディスクアクセスをサポートしています。マスター構成ファイル (mcf) とマウントパラメータを使用して、ボリューム管理機能を指定し、制御する装置間の関係をファイルシステムが認識できるようにします。この機能は、1 台のデバイスまたはデバイスの一部にしか対応できないほとんどの UNIX ファイルシステムとは対照的です。Sun QFS ファイルシステムは、追加のボリューム管理アプリケーションを必要としません。ただし、Sun QFS 環境内のデバイスにミラー化を使用する場合は、論理ボリュームマネージャーなどの追加パッケージを入手する必要があります。
Sun QFS に組み込まれたボリューム管理機能では、標準の Oracle Solaris OS デバイスドライバインタフェースを使用して、入出力リクエストを下位のデバイスとの間で受け渡しします。Sun QFS ソフトウェアは、ストレージデバイスを、各ファイルシステムが存在するファミリセットにグループ化します。
Sun QFS ファイルシステムは、次の 2 つのタイプの入出力をサポートしています:
ページ入出力 (キャッシュ入出力またはバッファー入出力とも呼ばれます) – ページ入出力が使用されると、ユーザーデータは仮想メモリーページにキャッシュされ、カーネルがデータをディスクに書き込みます。標準 Oracle Solaris OS インタフェースが、ページ入出力を管理します。これが Sun QFS での入出力のデフォルトタイプです。
直接入出力 – 直接入出力が使用されると、ユーザーデータは、ユーザーメモリーからディスクに直接書き込まれます。直接入出力は、Oracle Solaris OS の directio(3C) 関数呼び出しか、または -D オプションを指定した setfa コマンドを使用することによって指定できます。直接入出力を使用すると、大容量ブロックの境界割り当てされた逐次入出力での大幅なパフォーマンス向上を実現できます。
Sun QFS ソフトウェアは、長さが最大 2 63 バイトのファイルをサポートしています。Sun QFS ファイルシステムは純粋な 64 ビットアドレッシングを使用しているため、1 つのファイルシステム内であっても、非常に大容量のファイルを多数のディスクまたは RAID デバイスにわたってストライプ化できます。これに対して、標準の UNIX ファイルシステムは純粋な 64 ビットファイルシステムではありません。
構成できるファイルシステムの数は、実質的には無制限です。ボリュームマネージャーを使用すると、各ファイルシステムに最大 252 のデバイスパーティション (通常はディスクパーティション) を含めることができます。各パーティションは最大 16T バイトのデータを格納できます。この構成により、実質的に無制限の記憶容量が提供されます。
Sun QFS ファイルシステム内のファイルの数に関する事前に定義された制限はありません。ファイルの情報を保持する i ノード領域は動的に割り当てられるため、ファイルの最大数は、使用可能なディスクストレージの容量によってのみ制限されます。i ノードは、マウントポイントの下の .inodes ファイルに記録されます。.inodes ファイルには、ファイルあたり少なくとも 512 バイトのストレージが必要です。
Sun QFS ファイルシステムでは、i ノードはメタデータデバイス上に存在し、ファイルデータデバイスとは分離できます。実際には、メタデータ (mm) デバイスのサイズによって Sun QFS ファイルシステム内のファイルの数が制限されますが、より多くのメタデータデバイスを追加することによってファイルの最大数を増やすことができます。ファイルの数に関する強い制限値は 2 32 -1 ファイルであり、推奨される制限は 108 ファイルです。
ファイルシステムの重要な機能は、予定外の停止が発生したあと、すばやく回復する能力です。標準の UNIX ファイルシステムには、システム障害のあとの不一致を修復するために、非常に長いファイルシステムチェック fsck が必要です。
Sun QFS ファイルシステムでは、sync コマンドを使用してファイルシステムをディスクに書き込めなくなる中断のあと、多くの場合、ファイルシステムチェックは必要ありません。さらに、Sun QFS ファイルシステムは、ジャーナル処理を使用することなくシステム障害から回復します。識別レコード、逐次書き込み、およびすべてのクリティカルな入出力操作に対するエラーチェックを使用して動的に回復します。サイズが数テラバイトの Sun QFS ファイルシステムであっても、システム障害のあと、ただちに再マウントできます。
ファイルシステムは、メタデータを使用してファイルとディレクトリの情報を参照します。通常、メタデータはファイルデータと同じデバイスに常駐します。ただし、Sun QFS ファイルシステムには、ファイルシステムのメタデータを個別のデバイスに格納することによってファイルデータから分離するオプションがあります。Sun QFS ファイルシステムを使用すると、デバイスのヘッド移動や回転待ち時間を削減したり、RAID キャッシュ使用率を向上させたり、ファイルデータをミラー化せずにメタデータをミラー化したりするために、1 つまたは複数の個別のメタデータデバイスを定義できます。
Sun QFS ファイルシステムは、i ノードメタデータ情報を個別のファイルに格納します。この方法により、ファイルの数や、ファイルシステム全体を動的に拡大できるようになります。
Sun QFS ファイルシステムは、標準の Oracle Solaris OS 仮想ファイルシステム (vfs/vnode) インタフェースを使用して実装されます。
vfs/vnode インタフェースを使用することにより、ファイルシステムは標準の Oracle Solaris OS カーネルとともに動作するため、ファイル管理のサポートのためにカーネルを変更する必要はありません。このように、ファイルシステムは、オペレーティングシステムの変化の影響を受けないので、通常は、オペレーティングシステムの更新時に大規模な回帰テストを行う必要がありません。
カーネルは、Sun QFS ファイルシステム内に存在するファイルを含む、ファイルに対するすべてのリクエストを受け取ります。ファイルが Sun QFS ファイルとして識別された場合、カーネルは、そのリクエストを処理のために適切なファイルシステムに渡します。Sun QFS ファイルシステムは、/etc/vfstab ファイル内で、および mount コマンドによってタイプ samfs として識別されます。
Sun QFS 共有ファイルシステムは、複数の Oracle Solaris OS ホストシステム上にマウントできる分散ファイルシステムです。Sun QFS 共有ファイルシステム環境では、1 つの Oracle Solaris OS ホストがファイルシステムのメタデータサーバーとして機能し、追加のホストをクライアントとして構成できます。複数のホストを潜在的なメタデータサーバーとして構成できますが、同時にメタデータサーバーにできるホストは 1 つだけです。Sun QFS 共有ファイルシステムのマウントポイントの数に制限はありません。
Sun QFS 共有ファイルシステムの利点は、そのファイルデータが、ファイバチャネルディスクからホストに直接渡されることです。データは、ローカルパス入出力 (直接アクセス入出力とも呼ばれます) を経由して転送されます。この方法は、ネットワーク経由でデータを転送するネットワークファイルシステム (NFS) とは対照的です。
共有ファイルシステムは、Sun QFS 共有ファイルシステムまたは SAM-QFS 共有ファイルシステムとして実装できます。ms または ma のどちらかのファイルシステムタイプを使用できます。
Sun QFS 共有ファイルシステムは、次のものをサポートしていません:
特定のファイルタイプ:
b– ブロック型特殊ファイル
c– 文字型特殊ファイル
p– FIFO (名前付きパイプ) 特殊ファイル
セグメント化ファイル。セグメント化されたファイル環境では、SAM-QFS 共有ファイルシステムを実装できません。
必須のロック。必須のロックが設定されている場合は、EACCES エラーが返されます。ただし、アドバイザリロックはサポートされています。アドバイザリロックの詳細は、fcntl(2) のマニュアルページを参照してください。
共有ファイルシステムの詳細は、第 5 章共有ファイルシステムの構成を参照してください。