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Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Information Library (日本語) |
ストライプ化グループを使用していない ma ファイルシステムでのストライプ幅
ストライプ化グループを使用する ma ファイルシステムでのストライプ幅
Sun QFS ソフトウェアでは、ラウンドロビン式割り当て方式とストライプ化割り当て方式の両方を指定できます。次の表は、使用されるデフォルトのファイル割り当て方式を示しています。
表 1-5 デフォルトの割り当て方式
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メタデータ割り当ては、ファイルシステムのタイプによって異なります:
ms ファイルシステムでは、メタデータは md 装置に割り当てられます。
ma ファイルシステムでは、メタデータは mm 装置に割り当てられます。mm 装置にはファイルデータは割り当てられません。
i ノードは長さ 512 バイトです。ディレクトリは最初、4K バイトの長さです。次の表は、システムがメタデータを割り当てる方法を示しています。
表 1-6 メタデータ割り当て
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ラウンドロビン式割り当て方式では、ファミリセット内の連続している各装置に、一度に 1 つのデータファイルが書き込まれます。ラウンドロビン式割り当ては、複数のデータストリームに役立ちます。このタイプの環境では、全体のパフォーマンスがストライプ化のパフォーマンスを超える場合があるためです。
ラウンドロビンディスク割り当てを使用すると、1 つのファイルを 1 つの論理ディスクに書き込むことができます。その次のファイルはその次の論理ディスクに書き込まれ、それ以後も同様です。書き込まれたファイル数がファミリセットに定義された装置数と同じになると、ファイルシステムは、選択されている最初の装置から再度開始します。ファイルが物理デバイスのサイズを超えると、ファイルの前半が最初の装置に書き込まれ、使用可能な記憶領域がある次の装置にファイルの残りが書き込まれます。書き込むファイルのサイズによって、入出力サイズが決まります。
ラウンドロビン式割り当てを明示的に指定するには、/etc/vfstab ファイル内に stripe=0 を含めます。
次の図は、ms および ma ファイルシステムでのラウンドロビン式割り当てを示しています。両方の図で、ファイル 1 はディスク 1 に、ファイル 2 はディスク 2 に、ファイル 3 はディスク 3 に書き込まれ、以降も同様に書き込まれます。ファイル 6 が作成されるとディスク 1 に書き込まれ、ラウンドロビン式割り当て方式が再開します。
図 1-1 5 台のデバイスを使用する ms ファイルシステムでのラウンドロビン式割り当て
図 1-2 5 台のデバイスを使用する ma ファイルシステムでのラウンドロビン式割り当て
デフォルトでは、Sun QFS ファイルシステムはストライプ化割り当て方式を使用して、ファイルシステムのファミリセット内のすべてのデバイスにわたってデータを分散させます。ストライプ化とは、複数の装置にインタレース形式で並行してファイルを書き込む方式です。
ストライプ化が使用されるのは、1 つのファイルに対するパフォーマンスに、すべての装置を合計したパフォーマンスが要求される場合です。ストライプ化デバイスを使用するファイルシステムは、逐次的にではなく、インターレース方式でブロックをアドレス指定します。ストライプ化では、複数の入出力ストリームがファイルを複数のディスクにわたって同時に書き込むことができるため、一般にはパフォーマンスが向上します。DAU とストライプ幅によって、入出力転送のサイズが決まります。
ストライプ化を使用するファイルシステムでは、ファイル 1 はディスク 1、ディスク 2、ディスク 3、ディスク 4、およびディスク 5 に書き込まれます。ファイル 2 も、ディスク 1 からディスク 5 までに書き込まれます。DAU にストライプ幅を乗じた値によって、各ディスクに書き込まれるデータ容量 (ブロック単位) が決まります。
ファイルシステムが md デバイスにファイルを書き込む場合は、まずそのファイルを小さな DAU (4K バイト) に収めようとします。ファイルが、割り当て済みの最初の 8 個の小さな DAU (32K バイト) に収まらない場合、ファイルシステムは、そのファイルの残りを 1 つ以上の大きな DAU に書き込みます。
ファイルシステムが mr デバイスにファイルを書き込む場合は、まずある DAU に書き込み、次に別の DAU に書き込み、以降も同様に書き込まれます。mr 装置の DAU サイズは 1 つだけです。
アクティブなファイルが複数存在する場合、ストライプ化割り当てでは、ディスクヘッドの移動がラウンドロビン式割り当てに比べて大幅に増加します。入出力が複数ファイルに同時に発生する場合は、ラウンドロビン式割り当てを使用します。
次の図は、ストライプ化割り当てを使用する ms および ma ファイルシステムを示しています。これらの図で、ファイルの DAU × ストライプ幅バイトがディスク 1 に書き込まれ、ファイルの DAU × ストライプ幅バイトがディスク 2 に書き込まれ、以降も同様に書き込まれます。ストライプの順序は、ファイルに対して FIFO (先入れ先出し) になります。ストライプ化によって、入出力の負荷がすべてのディスクに分散されます。
図 1-3 5 台のデバイスを使用する ms ファイルシステムでのストライプ化
図 1-4 5 台のデバイスを使用する ma ファイルシステムでのストライプ化
ストライプ化グループは、極端に大規模な入出力要件と数テラバイトのディスクキャッシュを備えたファイルシステムのために設計された、Sun QFS の割り当て方式です。ストライプ化グループを使用すると、複数の物理ディスクを考慮した装置タイプ値を指定できます。ストライプ化グループの複数の「Equipment Type」エントリで、1 つの Sun QFS ファイルシステムを構成できます。ストライプ化グループを使用すると、非常に大規模な RAID 構成の場合に、ビットマップ領域とシステムの更新時間を節約できます。
ストライプ化グループは、Sun QFS ファイルシステム内のデバイスの集合です。ストライプ化グループは、mcf ファイルで g XXX デバイスとして定義され、1 つのファイルの 2 台以上のデバイスとの間の読み取り/書き込みを行うことができるようにします。1 ファイルシステム内に最大 128 のストライプ化グループを指定できます。
次の図は、ストライプ化グループとラウンドロビン式割り当てを使用する ma ファイルシステムを示しています。この図で、qfs1 ファイルシステムに書き込まれるファイルは、定義されたストライプ化グループ g0、g1、および g2 の間でラウンドロビン割り当てされます。各グループは、2 つの物理 RAID デバイスで構成されています。
図 1-5 Sun QFS のラウンドロビン式ストライプ化グループ
図の構成のために、/etc/vfstab 内のマウントポイントオプションは stripe=0 に設定されています。次の例は、これらのストライプ化グループを宣言する mcf ファイルを示しています。
例 1-1 ストライプ化グループを示す mcf ファイルの例
# Equipment Eq Eq Fam Dev Additional # Identifier Ord Type Set State Parameters # qfs1 10 ma qfs1 /dev/dsk/c0t1d0s6 11 mm qfs1 - /dev/dsk/c1t1d0s2 12 g0 qfs1 - /dev/dsk/c2t1d0s2 13 g0 qfs1 - /dev/dsk/c3t1d0s2 14 g1 qfs1 - /dev/dsk/c4t1d0s2 15 g1 qfs1 - /dev/dsk/c5t1d0s2 16 g2 qfs1 - /dev/dsk/c6t1d0s2 17 g2 qfs1 -
次の図は、ストライプ化グループとストライプ化割り当てを使用する Sun QFS ma ファイルシステムを示しています。qfs1 ファイルシステムに書き込まれるファイルは、グループ g0、g1、および g2 にわたってストライプ化されます。各グループには、4 つの物理 RAID デバイスがあります。/etc/vfstab のマウントポイントオプションは、stripe=1 以上に設定されています。
図 1-6 Sun QFS のストライプ化グループ割り当て
各グループに異なる台数のデバイスが存在する複数のストライプ化グループである不一致のストライプ化グループを含むファイルシステムを構築できます。Sun QFS ファイルシステムは不一致のストライプ化グループをサポートしていますが、不一致のグループに対するストライプ化はサポートされていません。不一致のストライプ化グループから構成されるファイルシステムは、ラウンドロビン式ファイルシステムとしてマウントされます。
注 - 不一致のストライプ化グループが含まれているファイルシステムでは、1 つのファイルが複数のストライプ化グループにまたがることはできません。そのファイルが格納されたストライプ化グループがいっぱいになると、ファイルを拡張できなくなります。不一致のストライプ化グループが存在する場合は、setfa コマンドの -g オプションを使用して、ファイルを目的のグループに転送します。詳細は、『Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Reference Manual』の「setfa(1)」を参照してください。
ストライプ化グループがどれだけいっぱいになっているかを判定するには、samu オペレータユーティリティーを使用して m の表示にアクセスし、外部ストレージのステータスを表示します。
次のセクションの例は、さまざまなタイプのファイルを格納するために、不一致のストライプ化グループを含むファイルシステムを設定する方法を示しています。
自分のサイトに映像と音声の両方のデータが格納されたファイルシステムを作成する必要がある場合を想定します。
映像ファイルは、容量が非常に大きく、音声ファイルに比べて高いパフォーマンスを必要とします。ストライプ化グループを使用すると大容量ファイルのパフォーマンスが最大限になるため、映像ファイルは大容量のストライプ化グループのあるファイルシステムに格納することにします。
音声ファイルは、映像ファイルよりも小容量で、必要なパフォーマンスも低くなります。音声ファイルは、小容量のストライプ化グループに格納することにします。このように 1 つのファイルシステムで、映像ファイルと音声ファイルの両方をサポートできます。
次の図は、必要なファイルシステムを示しています。これは、ストライプ化割り当てで不一致のストライプ化グループを使用する ma ファイルシステムです。
図 1-7 ストライプ化割り当てで不一致のストライプ化グループを使用する Sun QFS ファイルシステム
次の表は、このファイルシステムの例の特性を示しています。
表 1-7 ファイルシステム例の特徴
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次の行を /etc/vfstab ファイルに追加すると、環境によって avfs ファイルシステムが認識されます。
avfs - /avfs samfs - no stripe=0
/etc/vfstab ファイルでは、ラウンドロビン式ファイルシステムを指定するために stripe=0 が使用されていることに注意してください。不一致のストライプ化グループには 0 を超える値がサポートされていないため、この値が使用されます。
次の例は、ファイルシステム avfs の mcf ファイルを示しています。
例 1-2 ファイルシステム avfs の mcf ファイル
# Equipment Eq Eq Fam Dev Additional # Identifier Ord Type Set State Parameters # avfs 100 ma avfs /dev/dsk/c00t1d0s6 101 mm avfs - # /dev/dsk/c01t0d0s6 102 g0 avfs - /dev/dsk/c02t0d0s6 103 g0 avfs - /dev/dsk/c03t0d0s6 104 g0 avfs - /dev/dsk/c04t0d0s6 105 g0 avfs - /dev/dsk/c05t0d0s6 106 g0 avfs - /dev/dsk/c06t0d0s6 107 g0 avfs - /dev/dsk/c07t0d0s6 108 g0 avfs - /dev/dsk/c08t0d0s6 109 g0 avfs - # /dev/dsk/c09t1d0s6 110 g1 avfs -
このファイルシステムの mcf ファイルが準備できたら、次の例に示されている sammkfs および mount コマンドを発行することにより、avfs ファイルシステムを作成してマウントすることができます。
例 1-3 ファイルシステム avfs を作成してマウントするためのコマンド
# sammkfs -a 128 avfs # mount avfs
ファイルシステムがマウントされたら、次の例に示されているコマンドを使用して、2 種類のファイルのための 2 つのディレクトリを作成できます。
例 1-4 ファイルシステム avfs 内にディレクトリを作成するためのコマンド
# cd /avfs # mkdir video # mkdir audio
ディレクトリが作成されたら、次の例に示されている setfa コマンドを使用して、大きなストライプ化グループをビデオに、小さなストライプ化グループをオーディオに割り当てることができます。これらのディレクトリに作成されるファイルは、属性が継承されるため、対応するストライプ化グループに割り当てられます。
例 1-5 ファイル属性を設定するコマンド
# setfa -g0 video # setfa -g1 audio
sammkfs コマンドの詳細は、『Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Reference Manual』の「sammkfs(1M)」を参照してください。mount コマンドの詳細は、『Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Reference Manual』の「mount_samfs(1M)」を参照してください。setfa コマンドの詳細は、『Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Reference Manual』の「setfa(1)」を参照してください。
必要に応じて、あるデバイスへの以後の割り当てをすべて禁止する nalloc コマンドを使用して、特定の Sun QFS データパーティションへの割り当てを無効にすることができます。この機能は、現時点ではデータパーティションにのみ使用でき、メタデータパーティションには使用できません。
パーティションへの割り当ては、alloc または on コマンドのどちらかで再開できます。
パーティションの割り当て状態 (allocflag) はブートをまたがって保持されます。
nalloc および alloc コマンドは samu インタフェースで使用でき、samu on コマンドでも割り当てがオンに設定されます。samu 画面には、無効になっているパーティションの nalloc の状態が表示されます。samtrace および samfsinfo 出力にも、割り当て状態が含まれます。
samu インタフェースの詳細は、第 13 章samu オペレータユーティリティーの使用を参照してください。