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Oracle Solaris 11.1 ネットワークパフォーマンスの管理 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
エージェントの LLDP パケットの TLV ユニットを指定する方法
8. Oracle Solaris におけるデータセンターブリッジング機能の操作
LLDP は、トポロジの検出を目的として、LAN 全体にわたって情報を通知します。このプロトコルを使用すると、システムは、接続や管理の情報をネットワーク上のほかのシステムに通知できます。これらの情報には、ネットワーク操作に関連するシステムの機能、管理アドレス、およびその他の情報を含めることができます。またこのプロトコルにより、そのシステムは、同じローカルネットワーク上にあるほかのシステムに関する同様の情報を受信できるようになります。
Oracle Solaris では、LLDP はデータセンターブリッジング交換プロトコル (DCBX) の TLV ユニットの交換にも使用されます。DCBX は、優先順位ベースのフロー制御 (PFC) や拡張伝送選択 (ETS) などの DCB 機能に関する構成情報を提供します。DCB の詳細については、第 8 章Oracle Solaris におけるデータセンターブリッジング機能の操作を参照してください。
LLDP を使用すると、システム管理者は、特に仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) やリンクアグリゲーションなどを含む複雑なネットワークで、誤ったシステム構成を容易に検出できます。ネットワークを構成しているサーバー、スイッチ、その他のデバイス間の物理的な接続を追跡しなくても、トポロジに関する情報を簡単に取得できます。
LLDP は、次のコンポーネントを使用して実装されています。
LLDP 機能を有効にするには、LLDP パッケージがインストールされている必要があります。このパッケージは、LLDP デーモン、コマンド行ユーティリティー、サービスマニフェストとスクリプトのほか、LLDP が動作するために必要なその他のコンポーネントを提供します。
lldp サービスは、 svcadm コマンドによって有効になります。このサービスは LLDP デーモンを管理するとともに、このデーモンの起動、停止、再起動、またはリフレッシュを行います。LLDP パッケージをインストールすると、このサービスは自動的に有効になります。
lldpadm コマンドは個々のリンク上の LLDP を管理し、たとえば LLDP の動作モードを構成したり、送信される TLV (Type-Length-Value) ユニットを指定したり、DCBX TLV ユニットを構成したりするために使用されます。特に、このコマンドは、エージェントごとの LLDP プロパティーやグローバルな LLDP プロパティーを設定するために使用されます。lldpadm コマンドの一般的なサブコマンドは、dladm および ipadm コマンドの各サブコマンドに対応しています。
lldpadm set-* は、指定された LLDP プロパティーに 1 つ以上の値を設定するアクションの実行を指定します。
lldpadm show-* は、指定された LLDP プロパティーに設定されている値を表示します。
lldpadm reset-* は、指定された LLDP プロパティーの構成をデフォルト値にリセットします。
これらのサブコマンドの使用は、以降のセクションに示されています。lldpadm コマンドの詳細は、lldpadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
LLDP ライブラリ (liblldp.so) は、リンク上の LLDP 情報を取得したり、LLDP パケットを解析したり、その他の機能を実行したりするために使用できる API を提供します。
LLDP エージェントは、LLDP が有効になっているネットワークインタフェースカードに関連付けられた LLDP インスタンスです。LLDP エージェントは、関連付けられた NIC 上の LLDP の動作を制御します。LLDP エージェントは、NIC または物理リンク上でのみ構成でき、これらのリンクのポートを使用して情報を通知します。したがって、この LLDP ドキュメントでは、LLDP エージェントの名前、それが有効になっている物理リンク、およびポートは同一です。
LLDP デーモン (lldpd) は、システム上の LLDP エージェントを管理します。また、SNMP (Simple Network Management Protocol) を経由してシステム上で受信される LLDP 情報を取得するために、SNMP のためのデーモンである snmpd とも相互作用します。さらに、このデーモンは LLDP sysevents 情報を送信したり、LLDP ライブラリからのクエリーに応答したりします。
LLDP エージェントは、LLDP データユニット (LLDPDU) を送信したり、受信したりします。このエージェントは、次の 2 つのタイプのデータストア内で、これらの LLDPDU に含まれている情報を管理および格納します。
ローカル管理情報ベース (ローカル MIB) - このデータストアには、LLDP エージェントが有効になっているシステムの特定のリンクに関連するネットワーク情報が含まれています。ローカル MIB には、一般的な情報と固有の情報の両方が含まれます。たとえば、シャーシ ID は、システム上のすべての LLDP エージェントの間で共有されている一般的な情報です。ただし、システムのデータリンクのポート ID は異なります。そのため、各エージェントは、独自のローカル MIB を管理します。
LLDP エージェントは、次のモードで動作します。
送信のみ (txonly): このモードでは、LLDP エージェントは受信 LLDPDU を処理しません。そのため、リモート MIB は空です。
受信のみ (rxonly): このモードでは、エージェントは受信 LLDPDU のみを処理し、情報をリモート MIB 内に格納します。ただし、ローカル MIB からの情報は送信されません。
送受信 (both): このモードでは、エージェントはローカル情報を送信し、受信 LLDPDU を処理し、そのためにローカル MIB とリモート MIB の両方を維持します。ベースとなるリンクが DCB 機能をサポートしている場合は、サポートされる DCB 機能の DCBX TLV ユニットが自動的に有効になります。
無効 (disable): このモードでは、エージェントは存在しません。
サービス管理機能 (SMF) プロパティー auto-enable-agents は、システム上で LLDP を有効にする方法を制御します。このプロパティーでは、LLDP をすべての物理リンクにわたってグローバルに有効にするか、一度に 1 つの物理リンクでのみ有効にするかを選択できます。このプロパティーには、次の 3 つの取り得る値のいずれかを指定できます。
yes は、この SMF プロパティーのデフォルト値です。この値を指定すると、ポートに以前の LLDP 構成が存在していない場合は、LLDP がすべてのポートでグローバルに、受信モードと送信モードの両方で有効になります。ポートに構成が存在している場合は、そのポートの構成が保持されます。たとえば、ポートに受信モードのみの LLDP がすでに構成されている場合、LLDP サービスはエージェントを送受信モードでの実行に切り替えません。そのポートの LLDP は引き続き受信モードになります。
force は、LLDP をすべてのポートで受信モードと送信モードの両方で有効にし、ポートの既存の LLDP 構成をすべてオーバーライドします。たとえば、ポートの以前の LLDP 構成が受信モードのみで動作している場合、LLDP エージェントは、受信モードと送信モードの両方で動作するデフォルトの LLDP モードに切り替えられます。
no は、既存の LLDP 構成があるポートを除くすべてのポートで、LLDP の自動有効化を無効にします。これらのポートでは、既存の LLDP 構成が保持されます。
auto-enable-agents プロパティーをカスタマイズするたびに、新しい値を有効にするために LLDP SMF サービスを再起動する必要があります。