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Oracle Solaris 11.1 ネットワークパフォーマンスの管理 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
次の手順では、システム情報をネットワーク上のほかのホストまたはピアと交換するように LLDP を構成する方法について説明します。
次の手順では、システム上で LLDP を使用してシステム機能の通知を開始する方法について説明します。デフォルトでは、LLDP パッケージのインストールが完了すると、LLDP が有効で使用できる状態になります。デフォルトの LLDP 構成で十分な場合は、ほとんどの手順がオプションになります。
始める前に
LLDP を使用するには、LLDP パッケージをインストールする必要があります。パッケージをインストールするには、次のコマンドを入力します。
# pkg install lldp
# svcs lldp STATE STIME FMRI online Jul_10 svc:/network/lldp:default
LLDP サービスが無効になっている場合は、次のコマンドでサービスを起動します。
# svcadm enable svc:/network/lldp:default
LLDP サービスをシステム上でグローバルに有効にする場合は、LLDP エージェントで通知する TLV ユニットを指定します。
# lldpadm set-agentprop -p property=value agent
ここで、agent は LLDP エージェントであり、エージェントが有効になっている物理リンクによって識別されます。したがって、LLDP が net0 で有効になっている場合、エージェントは net0 です。
注 - lldpadm のサブコマンドを発行するときは省略形を使用できます。たとえば、lldpadm set-agentprop の代わりに、lldpadm set-ap と入力できます。サブコマンドとその省略形については、lldpadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
LLDP エージェントのプロパティーの説明については、「LLDP エージェントが通知する情報」を参照してください。
LLDP エージェントのプロパティーを一覧表示するには、lldpadm show-agentprop と入力します。または、表 7-1 を参照してください。
手順については、「エージェントの LLDP パケットの TLV ユニットを指定する方法」を参照してください。
選択したポートでのみ LLDP サービスを有効にする場合は、次の手順を実行します。
auto-enable-agents SMF プロパティーを no に変更します。
# svccfg -s svc:/network/lldp:default setprop lldp/auto-enable-agents = "no"
この SMF プロパティーは、システム上で LLDP を有効にする方法を決定します。取り得る値は、yes、force、および no の 3 つです。デフォルトでは、このプロパティーは yes に設定されます。これらの値の説明、およびこれらの値から生じる LLDP エージェントの動作については、「LLDP の SMF プロパティー」を参照してください。
LLDP サービスを再起動します。
# svcadm restart svc:/network/lldp:default
選択したポートまたはリンク上で LLDP エージェントを有効にします。
# lldpadm set-agentprop -p mode=value agent
ここで、agent は LLDP エージェントであり、エージェントが有効になっている物理リンクによって識別されます。したがって、LLDP を net0 で有効にする場合、エージェントは net0 です。
プロパティー mode は、LLDP エージェントの動作モードを表す 4 つの取り得る値 tx、rx、both、disable のいずれかに設定できます。これらの値の説明については、「LLDP エージェントの動作モード」を参照してください。
LLDP エージェントで通知する TLV ユニットを指定します。
# lldpadm set-agentprop -p property=value agent
LLDP エージェントのプロパティーの説明については、「LLDP エージェントが通知する情報」を参照してください。
mode プロパティーに加え、LLDP エージェントのその他のプロパティーを一覧表示するには、lldpadm show-agentprop と入力します。または、表 7-1 を参照してください。
手順については、「エージェントの LLDP パケットの TLV ユニットを指定する方法」を参照してください。
# lldpadm set-tlvprop -p property=value global-tlv
ここで、property は、グローバルな TLV ユニットのプロパティーを表します。
グローバルな TLV ユニットの説明については、「TLV ユニットとそのプロパティー」を参照してください。
グローバルな TLV を一覧表示するには、lldpadm show-tlvprop と入力します。または、表 7-2 を参照してください。
手順については、「TLV 値を定義する方法」を参照してください。
# lldpadm set-agenttlvprop -p property=value -a agent per-agent-tlv
ここで、property は、エージェントごとの TLV ユニットのプロパティーを表します。
エージェントごとの TLV ユニットの説明については、「TLV ユニットとそのプロパティー」を参照してください。
エージェントごとの TLV を一覧表示するには、lldpadm show-tlvprop と入力します。または、表 7-2 を参照してください。
手順については、「TLV 値を定義する方法」を参照してください。
例 7-1 auto-enable-agents SMF プロパティーのカスタマイズ
次の例では、この SMF プロパティーの値を変更すると LLDP が異なる方法で有効になることを示します。4 つのポートを備えたシステムで、LLDP が 2 つのポート上で次のように構成されているとします。
net0: 受信モードと送信モード
net1: 受信のみ
net2 および net3: なし
この SMF プロパティーをデフォルト値 yes に設定すると、net2 と net3 で LLDP が自動的に有効になります。LLDP 構成は次のように表示されます。
# lldpadm show-agentprop -p mode AGENT PROPERTY PERM VALUE DEFAULT POSSIBLE net0 mode rw both disable txonly,rxonly,both, disable net1 mode rw rxonly disable txonly,rxonly,both, disable net2 mode rw both disable txonly,rxonly,both, disable net3 mode rw both disable txonly,rxonly,both, disable
この SMF プロパティーを no に切り替えると、サービスの再起動時に構成が変更されます。
# svccfg -s svc:/network/lldp:default setprop lldp/auto-enable-agents = "no" # svcadm restart svc:/network/lldp:default # lldpadm show-agentprop -p mode AGENT PROPERTY PERM VALUE DEFAULT POSSIBLE net0 mode rw both disable txonly,rxonly,both, disable net1 mode rw rxonly disable txonly,rxonly,both, disable net2 mode rw disable disable txonly,rxonly,both, disable net3 mode rw disable disable txonly,rxonly,both, disable
出力例では、それまで LLDP モードが自動的に有効になっていた net2 と net3 に、現在は無効としてとしてフラグが付けられています。ただし、LLDP エージェントがあらかじめ構成されていた net0 と net1 には、変更は発生しません。
例 7-2 複数のデータリンク上の LLDP を有効にする
この例では、LLDP を選択的に有効にする方法を示します。システムに 2 つのデータリンク net0 と net1 が存在します。net0 では、エージェントで LLDP パケットの送信と受信を行うようにします。net1 では、エージェントで LLDP パケットの送信のみを行うようにします。入力するコマンドは次のようになります。
# svccfg -s svc:/network/lldp:default setprop lldp/auto-enable-agents = "no" # svcadm restart svc:/network/lldp:default # lldpadm set-agentprop -p mode=both net0 # lldpadm set-agentprop -p mode=txonly net1
この手順では、エージェントが送信する LLDP パケット内で通知する、TLV ユニットを指定する方法について説明します。TLV ユニットを指定するには、lldpadm set-agentprop サブコマンドを使用します。
このサブコマンドではまた、プロパティーごとにすでに設定されている TLV ユニットも表示されます。
# lldpadm show-agentprop agent
プロパティーを指定しない場合は、すべての LLDP エージェントプロパティーとそれらの TLV 値が表示されます。
# lldpadm set-agentprop -p property[+|-]=value[,...] agent
複数の値を受け入れるプロパティーには、+|- の修飾子が使用されます。これらの修飾子を使用すると、一覧に値を追加する (+) か、または削除する (-) ことができます。これらの修飾子を使用しない場合は、設定する値により、以前にそのプロパティーに対して定義されていたすべての値が置き換えられます。
# lldpadm show-agentprop -p property agent
例 7-3 LLDP パケットへのオプションの TLV ユニットの追加
この例では、LLDP エージェント net0 がすでに、LLDP パケットで VLAN 情報を通知するように構成されています。それに加えて、システムの機能、リンクアグリゲーション、およびネットワーク仮想化の情報も通知されるようにします。ただし、パケットから VLAN の説明は削除します。
# lldpadm show-agentprop net0 AGENT PROPERTY PERM VALUE DEFAULT POSSIBLE net0 mode rw both disable txonly,rxonly,both, disable net0 basic-tlv rw sysname, none none,portdesc, sysdesc sysname,sysdesc, syscapab,mgmtaddr, all net0 dot1-tlv rw vlanname, none none,vlanname,pvid, pvid,pfc linkaggr,pfc,appln, evb,etscfg,all net0 dot3-tlv rw max-framesize none none, max-framesize, all net0 virt-tlv rw none none none,vnic,all # lldpadm set-agentprop -p basic-tlv+=syscapab,dot1-tlv+=linkaggr,virt-tlv=vnic net0 # lldpadm set-agentprop -p dot1-tlv-=vlanname net0 # lldpadm show-agentprop -p net0 AGENT PROPERTY PERM VALUE DEFAULT POSSIBLE net0 mode rw both disable txonly,rxonly,both, disable net0 basic-tlv rw sysname, none none,portdesc, sysdesc, sysname,sysdesc, syscapab syscapab,mgmtaddr, all net0 dot1-tlv rw pvid, none none,vlanname,pvid, linkaggr linkaggr,pfc,appln, evb,etscfg,all net0 dot3-tlv rw max-framesize none none, max-framesize, all net0 virt-tlv rw vnic none none,vnic,all
この手順では、特定の TLV ユニットに値を指定する方法について説明します。次のいずれかのサブコマンドを使用します。
グローバルな TLV ユニットを構成する場合は lldpadm set-tlvprop。
エージェントごとの TLV ユニットを構成する場合は lldpadm set-agenttlvprop。
グローバルな TLV ユニットを構成する場合は、該当する TLV プロパティーを、通知しようとする値を含むように設定します。
# lldpadm set-tlvprop -p tlv-property=value[,value,value,...] tlv-name
ここで、tlv-name はグローバルな TLV ユニットの名前、tlv-property はその TLV ユニットのプロパティーです。プロパティーに複数の値を割り当てることができます。参考のため、表 7-2 を参照してください。
エージェントごとの TLV ユニットを構成する場合は、LLDP エージェントの該当する TLV プロパティーを、エージェントで通知しようとする値を含むように構成します。
# lldpadm set-agenttlvprop -p tlv-property[+|-]=value[,value,value,...] -a agent tlv-name
ここで、tlv-name はエージェントの TLV ユニットの名前、tlv-property はその TLV ユニットのプロパティーです。プロパティーに複数の値を割り当てることができます。参考のため、表 7-3 を参照してください。
グローバルな TLV プロパティーの値を表示するには、次のコマンドを使用します。
# lldpadm show-tlvprop
エージェントの TLV プロパティーの値を表示するには、次のコマンドを使用します。
# lldpadm show-agenttlvprop
例 7-4 システムの機能と管理 IP アドレスの指定
この例では、次の 2 つの目的を達成します。
LLDP パケットで通知されるシステムの機能に関する特定の情報を指定します。この目的を達成するには、syscapab TLV ユニットの supported プロパティーと enabled プロパティーの両方を構成する必要があります。
通知で使用される管理 IP アドレスを指定します。
# llpdadm set-tlvprop -p supported=bridge,router,repeater syscapab # llpdadm set-tlvprop -p enabled=router syscapab # llpdadm set-tlvprop -p ipaddr=192.168.1.2 mgmtaddr # llpdadm show-tlvprop TLVNAME PROPERTY PERM VALUE DEFAULT POSSIBLE syscapab supported rw bridge, bridge,router, other,router, router, station repeater,bridge, repeater wlan-ap,telephone, docis-cd,station, cvlan,svlan,tpmr syscapab enabled rw router none bridge,router, repeater mgmtaddr ipaddr rw 192.162.1.2 none --
LLDP を個々のポートで選択的に無効にするには、次のいずれかのコマンドを使用します。
lldpadm set-agentprop -p mode=disable agent
ここで、agent は LLDP エージェントであり、エージェントが有効になっている物理リンクによって識別されます。したがって、LLDP を net0 で有効にする場合、エージェントは net0 です。このコマンドは、エージェントのモードを変更することによって LLDP を無効にします。
lladpadm reset-agentprop
このコマンドでは、mode プロパティーの値を設定しません。このコマンドは、ポートから LLDP 構成を削除することによって LLDP を無効にします。
注意 - サブコマンド lldpadm reset—agentprop は、ポートから LLDP 構成を完全に削除します。no に設定されている auto-enable-agents が切り替えられて yes に戻った場合、LLDP の動作は、そのポートでエージェントのモードが単に無効になっていた場合とは異なります。 |
LLDP をシステムのすべてのインタフェースでグローバルに無効にするには、次の手順を実行します。
SMF LLDP プロパティーを no に変更します。
# svccfg -s svc:/network/lldp:default setprop lldp/auto-enable-agents = "no"
LLDP サービスを再起動します。
# svcadm restart svc:/network/lldp:default
以前の LLDP 構成が保持されている各ポートで、LLDP を無効にします。
# lldpadm set-agentprop -p mode=disable agent