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マニュアルページセクション 1M: システム管理コマンド Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
- 電源管理プロパティーの管理
poweradm [-v] get [-a all|smf|platform|current] property ...
poweradm [-v] set property=value ...
poweradm [-v] list
poweradm show
poweradm -?
poweradm プログラムは、Solaris インスタンス内の電源管理設定の表示および管理に使用されます。
電源管理プロパティーとその値はサービス管理機構に格納されます (smf(5) を参照)。
「形式」に示されている list、get、および show 形式は、すべてのユーザーが実行できます。これらのコマンドでは、すべてのユーザーが Solaris インスタンス内の現在の電源管理設定を表示できます。
「形式」に示されている poweradm の set 形式は、「Maintenance and Repair」RBAC プロファイルに属しているユーザーおよび役割だけが実行できます。後述の「注意事項」のセクションも参照してください。
poweradm は次のサービスプロパティーをサポートしています。
administrative-authority
このプロパティーの値は文字列として指定され、次の値を取ることができます。
smf
platform
none
デフォルト値は platform です。このプロパティーは、Solaris カーネル内の電源管理に対する管理制御のソースを意味します。つまり、このプロパティーは、Solaris カーネル内の time-to-full-capacity および time-to-minimum-responsiveness の設定元を示します。適切な特権を持つ Solaris ユーザーだけがこのプロパティーを設定できます。
administrative-authority が platform に設定されている場合、time-to-full-capacity および time-to-minimum-responsiveness の値はプラットフォームコードから取得されます。poweradm コマンドを使用して SMF でこれらの値を設定しても、カーネルの値には影響しません。poweradm list コマンドは、カーネルが現在プラットフォーム値を使用していることを示します。これらの値はプラットフォーム管理者によって変更されるため、カーネル内で変更されます。また、Solaris カーネル内の電源管理を有効または無効にするコマンドも、プラットフォームコードから取得されます。仮想マシンを実行するシステムでは、ハイパーバイザまたは仮想マシンマネージャーをこのプロパティーのソースにできます。
administrative-authority が smf に設定されているとき、time-to-full-capacity および time-to-minimum-responsiveness の値は SMF から取得されます。SMF 内のこれらの値は Solaris 管理者によって変更されるため、カーネルに適用されます。プラットフォーム内のこれらの値を設定しても、administrative-authority が smf に設定されているときは、カーネル内の値は影響を受けません。この状況では、poweradm コマンドは、カーネルが現在 SMF の値を使用していることを示します。これらの値は Solaris 管理者によって変更されるため、カーネル内で変更されます。
administrative-authority が none に設定されている場合、電源サービスは実行を継続しますが、Solaris カーネル内の電源管理は無効になります。プラットフォームからの電源管理命令も SMF 内の設定も無視されます。administrative-authority がほかのいずれかの値に設定されたときのみ、指定されたソースの設定を使用して Solaris カーネル内の電源管理が再起動します。
マイクロ秒単位で指定されます。
このパラメータは、システムがアクティブ状態のときに許可される動的容量調整を制約します。
このパラメータは、この範囲内にある PM 機能のいずれかまたはすべてを使用しているときに、システムがより低い容量またはより応答性の低い状態から戻ってその全容量に到達する (再度プロビジョニングして使用可能にする) ために許可される最大時間を定義します。
デフォルトでは、administrative-authority のデフォルト設定は platform なので、この値はプラットフォーム (i86pc など) から取得されます。
あるいは、administrative-authority が smf に設定されている場合、この値は電源サービス (つまり、SMF) で指定されている定義から取得されます。インストール時にこの値は undefined に設定されます。Solaris 管理者がこのプロパティーを変更する場合は、ワークロードやアプリケーションの要求に適した値を選択する必要があります。
ミリ秒単位で指定されます。
このパラメータは、システムがアクティブでない状態のときに許可される動的容量調整を制約します。
このパラメータは、システムがそのアクティブ状態に戻る、つまり、上記の time-to-full-capacity 制約を満たすのに必要な最小容量を提供するために許可される時間を定義します。
中程度の値 (秒単位) を指定した場合、プラットフォーム上のハードウェアコンポーネントやサブシステムをより応答性の低いアクティブでない状態にすることができ、大きい値 (たとえば、30 秒から分単位) を指定した場合でも、RAM への保存停止などの方法を使用して、システム全体の保存停止などが可能です。
デフォルトでは、administrative-authority のデフォルト設定は platform なので、この値はプラットフォーム (i86pc など) から取得されます。
あるいは、administrative-authority が smf に設定されている場合、この値は電源サービス (つまり、SMF) で指定されている定義から取得されます。インストール時にこの値は undefined に設定されます。Solaris 管理者がこのプロパティーを変更する場合は、ワークロードやアプリケーションの要求に適した値を選択する必要があります。
デフォルトでは、Solaris を実行しているマシンは停止操作の試行を許可されません。このプロパティーを true に設定すると、停止操作の試行が許可されます。administrative-authority の値はこのプロパティーに影響を与えません。
このプロパティーは poweradm コマンドで変更できません。platform-disabled の値を表示するには、list サブコマンドを実行できます。true に設定され、administrative-authority が platform に設定されている場合、電源管理はプラットフォームによって無効にされています。false に設定されている場合、上述されているように、他のプロパティーの値によって電源管理が制御されます。show サブコマンドの出力には、これらのプロパティーの値が表示されます。仮想マシンを実行するシステムでは、ハイパーバイザまたは仮想マシンマネージャーを platform-disabled のソースにできます。platform-disabled のデフォルト値は false です。
以下のオプションがサポートされています。
使用可能なサブコマンドとオプションの形式を表示します。
冗長な出力を表示します。次のサブコマンドのいずれでも使用できます。
サポートされているサブコマンドは次のとおりです。
指定されたプロパティーの現在の値を取得します。-a オプションを使用して、値の取得元を SMF (smf)、プラットフォーム (platform)、カーネルで現在使用されている値 (current)、またはこれらすべて (all) に指定できます。デフォルトでは、取得元が指定されていない場合は current と見なされます。
administrative-authority および suspend-enable プロパティーにはプラットフォーム値はありません。
指定された property を指定の value に変更します。プロパティー administrative-authority および suspend-enable は、カーネル内の新しい値に自動的に同期されます。プロパティー time-to-full-capacity および time-to-minimum-responsiveness は、administrative-authority が smf に設定されている場合にかぎり、カーネルに同期されます。-v オプションが使用されている場合、administrative-authority が smf に設定されていないためにカーネルをただちに更新できないときは、警告メッセージが発行されます。
「Maintenance and Repair」RBAC プロファイルに属しているユーザーおよび役割だけが、set サブコマンドを実行できます。
使用可能なすべての電源管理プロパティーの値を一覧表示し、電源管理がアクティブかどうかを示します。
プラットフォームまたは Solaris インスタンスが電源管理を制御しているかどうか、電源管理が有効になっているかどうか、および、有効になっている場合は time-to-full-capacity および time-to-minimum-responsiveness の値を示す、人間が読めるテキストを出力します。
例 1 プラットフォームが電源管理を制御するように設定する
次のコマンドは、プラットフォームが電源管理を制御するように設定します。
# poweradm set administrative-authority=platform
例 2 電源管理を無効にする
次のコマンドは、電源管理を無効にします。
# poweradm set administrative-authority=none
例 3 便利なパラメータを設定する
次の一連のコマンドは、time-to-full-capacity を 300 ミリ秒に設定し、time-to-minimum-responsiveness を 500 ミリ秒に設定し、新しい値を Solaris インスタンスに通知します。
# poweradm set time-to-full-capacity=300 # poweradm set time-to-minimum-responsiveness=500 # poweradm set administrative-authority=smf
例 4 保存停止と復元再開を無効にする
次のコマンドは、保存停止と復元再開を無効にします。
# poweradm set suspend-enable=false
例 5 電源管理プロパティーを一覧表示する
次のコマンドは、使用可能なすべての電源管理プロパティーを一覧表示します。
# poweradm list
例 6 プロパティーの値を取得する
次のコマンドは、time-to-full-capacity の現在の値を表示します。
# poweradm get time-to-full-capacity
例 7 プラットフォームで設定されているプロパティーの値を表示する
次のコマンドは、プラットフォームで設定されている time-to-full-capacity の値を取得します。
# poweradm get -a platform time-to-full-capacity
administrative-authority が platform に設定されている場合のみ、これは現在の値と一致します。前述の administrative-authority プロパティーの説明を参照してください。
例 8 Solaris インスタンスで設定されているプロパティーの値を表示する
次のコマンドは、Solaris インスタンスで設定されている time-to-full-capacity の値を取得します。
# poweradm get -a smf time-to-full-capacity
administrative-authority が smf に設定されている場合のみ、これは現在の値と一致します。前述の administrative-authority プロパティーの説明を参照してください。
例 9 show サブコマンドを呼び出す
次の例のコマンドは、poweradm show が呼び出される可能性のある 4 つの状況を示しています。
次のコマンドは、プラットフォームによって電源管理が無効にされているときに呼び出されます。
# poweradm show Power management is disabled with the hardware platform as the authority
次のコマンドは、Solaris 管理者によって電源管理が無効にされているときに呼び出されます。
# poweradm show Power management is disabled with the Solaris instance as the authority
次のコマンドは、プラットフォームによって電源管理が有効にされているときに呼び出されます。
# poweradm show Power management is enabled with the hardware platform as the authority time-to-full-capacity 300 microseconds time-to-minimum-responsiveness 500 milliseconds
次のコマンドは、Solaris インスタンスによって電源管理が有効にされているときに呼び出されます。
# poweradm show Power management is enabled with the Solaris instance as the authority time-to-full-capacity 300 microseconds time-to-minimum-responsiveness 500 milliseconds
正常終了。
エラーが発生した。
無効なコマンド行オプションが指定された。
属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。
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attributes(5), smf(5), smf_security(5)
電源サービスは、サービス管理機構 smf(5) によって、次のサービス識別子として管理されます。
svc:/system/power:default
poweradm で設定できるプロパティーは、そのサービスでは次のように定義されています。
active_control/administrative-authority (前述の administrative-authority の説明を参照)
active_config/time-to-full-capacity (前述の time-to-full-capacity の説明を参照)
active_config/time-to-minimum-responsiveness (前述の time-to-minimum-responsiveness の説明を参照)
suspend/suspend-enable (前述の suspend-enable の説明を参照)
サービスが無効にされた場合、電源管理設定はそれ以降カーネルにアップロードされません。既存の設定は、次回のリブートまで取り消されません。すべての電源管理を無効にする最適な方法は、administrative-authority を none に設定することです。
time-to-full-capacity と time-to-minimum-responsiveness の両方が設定される前に、administrative-authority が値 smf に設定された場合、サービスは保守モードに入ります。そのような場合は、administrative-authority を値 none に設定したあと、time-to-full-capacity と time-to-minimum-responsiveness の両方を必要な値に設定し、サービスをクリアしてから、administrative-authority を smf に設定します。
active_config および suspend プロパティーグループのプロパティーを設定するには、solaris.smf.value.power_config 承認が必要です。active_control プロパティーグループのプロパティーを設定するには、solaris.smf.value.power_control 承認が必要です。これらの承認はどちらも「Maintenance and Repair」プロファイルに含まれています。