Solaris Volume Manager 状態データベースと複製について

Solaris Volume Manager の状態データベースには、すべてのボリューム、ホットスペア、ディスクセットの構成とステータスに関する情報が格納されます。Solaris Volume Manager は、冗長性を確保し、システムクラッシュ時のデータベースの破損を防ぐために、複数の状態データベースのコピー (複製) を保持しています (破損するデータベースのコピーはせいぜい 1 つです)。

状態データベースの複製は、状態データベースのデータが常に有効であることを保証します。状態データベースが更新されると、個々の状態データベースの複製も更新されます。システムがクラッシュした場合に、すべての更新が破損するのを防ぐために、更新は一度に 1 つずつ行われます。

システムの状態データベースの複製が失われた場合、Solaris Volume Manager はどの状態データベースの複製に有効なデータが格納されているかを判断する必要があります。Solaris Volume Manager は、多数決アルゴリズムを使用して、この情報を判断します。このアルゴリズムでは、過半数 (半数 + 1) の複製が使用可能であり、一致していれば、それらの複製を有効であるとみなします。多数決アルゴリズムの要件のため、ディスク構成を設定するときに、3 つ以上の状態データベースの複製を作成する必要があります。3 つの状態データベースの複製のうち少なくとも 2 つが使用可能である限り、合意に達することができます。

ブート時に、Solaris Volume Manager は、破損した状態データベースの複製を無視します。場合によっては、Solaris Volume Manager が破損した状態データベースの複製を再作成しようとします。そうでなければ、それらは管理者が修正するまで無視されます。基となるスライスにエラーが発生したため、状態データベースの複製が破損した場合は、スライスを修理または交換してから複製を有効にする必要があります。

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注意 - ファブリック接続されたストレージ、SAN などの、システムに直接接続されていないストレージに、状態データベースの複製を配置しないでください。Solaris Volume Manager をブートできなくなる場合があります。複製は、従来の SCSI または IDE ドライブと同じブートプロセスのポイントで使用できるストレージデバイス上になければなりません。

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すべての状態データベースの複製が失われると、理論的には、Solaris Volume Manager のボリュームに格納されているすべてのデータが失われる可能性があります。このため、十分な状態データベースの複製を別々のドライブとコントローラに作成し、深刻な障害を回避することをお勧めします。さらに、最初の Solaris Volume Manager 構成情報とディスクパーティション情報を保存するのも賢明です。

状態データベースの複製をシステムに追加する方法については、第 7 章状態データベース (タスク)を参照してください。状態データベースの複製が失われた場合に回復する方法については、「状態データベース複製の障害からの回復」を参照してください。

状態データベースの複製は、RAID-1 ボリュームの再同期領域でも使用されます。ミラーの数に比べて状態データベースの複製の数が少なすぎると、複製の I/O が RAID-1 ボリュームのパフォーマンスに影響を与えることがあります。つまり、ミラーの数が多い場合は、RAID-1 ボリュームあたり少なくとも 2 つの状態データベースの複製 (ディスクセットあたり最大 50 の複製数) を使用してください。

デフォルトで、ボリューム、ローカルセット、ディスクセットの各状態データベースの複製は、4M バイト (8192 ディスクセクタ) のディスクストレージを占有します。複数所有者ディスクセットの状態データベースの複製のデフォルトのサイズは 16M バイトです。

複製は、次のデバイスに格納できます。

• 専用のローカルディスクパーティション

• ボリュームの一部となるローカルパーティション

• UFS ロギングデバイスの一部となるローカルパーティション

複製は、ルート (/)、swap、または /usr スライスには格納できません。複製は、既存のファイルシステムやデータが格納されているスライスにも保存できません。ただし、複製を格納したあとで、同じスライスにボリュームやファイルシステムを置くことができます。