この項では、Oracle SolarisにEoIBを設定する次の手順について説明します。
Oracle Solaris 11.1が稼働するExalogic計算ノードに対して、Ethernet over InfiniBand接続を設定するには、次の手順を完了します。
SSHクライアント(PuTTYなど)を使用して、Sun Network QDR InfiniBandゲートウェイ・スイッチにroot
としてログインします。たとえば、el01gw04
にroot
としてログインします。
コマンド・プロンプトで、次のコマンドを実行します。
el01gw04# listlinkup | grep Bridge
このコマンドの出力の一部は次のとおりです。
Connector 0A-ETH Present Bridge-0 Port 0A-ETH-1 (Bridge-0-2) up (Enabled) Bridge-0 Port 0A-ETH-2 (Bridge-0-2) up (Enabled) Bridge-0 Port 0A-ETH-3 (Bridge-0-1) up (Enabled) Bridge-0 Port 0A-ETH-4 (Bridge-0-1) up (Enabled) Bridge-0 Port 1A-ETH-1 (Bridge-1-2) down (Enabled) Bridge-0 Port 1A-ETH-2 (Bridge-1-2) down (Enabled) Bridge-0 Port 1A-ETH-3 (Bridge-1-1) up (Enabled) Bridge-0 Port 1A-ETH-4 (Bridge-1-1) up (Enabled)
この例から、アップリンクを識別します。この例では、次のどのイーサネット・コネクタを使用しても、VNICを作成できます。
0A-ETH-1
0A-ETH-2
0A-ETH-3
0A-ETH-4
1A-ETH-3
1A-ETH-4
注意:
この例の手順では、1A-ETH-3
を使用します。
Exalogic計算ノードのGUIDを次のように識別します。
VNICを必要とする計算ノードにroot
としてログインし、コマンド行でdladm show-ib
コマンドを実行します。たとえば、el01cn02
にroot
としてログインします。このコマンドによって、次の出力例のようなポート情報が表示されます。
el01cn02# dladm show-ib LINK HCAGUID PORTGUID PORT STATE PKEYS ibp0 21280001A0A694 21280001A0A695 1 up FFFF ibp1 21280001A0A694 21280001A0A696 2 up FFFF
出力に、2つのポートに関する情報が表示されます。この出力の中から、どのポートGUIDを使用するかを決定する必要があります。この例の手順では、ポートGUID 21280001A0A695
(ポート1)を使用します。
同じ計算ノードで次のコマンドをコマンド行で実行して、InfiniBandファブリック内に存在するすべてのアクティブなリンクに関する情報を表示します。
el01cn02# iblinkinfo.pl -R | grep hostname
hostname
は、計算ノードの名前です。たとえば、el01cn02
です。
次に、このコマンドの出力例を示します。
el01cn02# iblinkinfo.pl -R | grep el01cn02 65 15[ ] ==( 4X 10.0 Gbps Active/ LinkUp)==> 121 2[ ] "el01cn02 EL-C 192.168.10.29 HCA-1" (Could be 5.0 Gbps) 64 15[ ] ==( 4X 10.0 Gbps Active/ LinkUp)==> 120 1[ ] "el01cn02 EL-C 192.168.10.29 HCA-1" (Could be 5.0 Gbps)
この出力例の、スイッチlidの値を書き留めておきます。ポート1のスイッチLIDは64
(出力の最初の列)です。ポート2のスイッチLIDは65
です。
iblinkinfo
出力の最初の列と次のibswitches
コマンドのLID値を比較して、どのゲートウェイ・スイッチがスイッチLIDに関連付けられているかを判別します。
計算ノードのコマンド行で、ibswitches
コマンドを実行します。このコマンドの出力例は次のとおりです。
el01cn02# ibswitches Switch : 0x002128548042c0a0 ports 36 "SUN IB QDR GW switch el01gw03" enhanced port 0 lid 63 lmc 0 Switch : 0x002128547f22c0a0 ports 36 "SUN IB QDR GW switch el01gw02" enhanced port 0 lid 6 lmc 0 Switch : 0x00212856d0a2c0a0 ports 36 "SUN IB QDR GW switch el01gw04" enhanced port 0 lid 65 lmc 0 Switch : 0x00212856d162c0a0 ports 36 "SUN IB QDR GW switch el01gw05" enhanced port 0 lid 64 lmc 0
この出力例で、LID値64
および65
が関連付けられているスイッチを確認します。この例では、GUID 0x00212856d162c0a0
のゲートウェイ・スイッチel01gw05
のスイッチLID64
が、計算ノードel01cn02
内のHCAのポート1に関連付けられています。
注意:
この例の手順では、このゲートウェイ・スイッチのLID64
を使用します。
次の形式のダミーMACアドレスを定義します。
<el01gw05スイッチib GUIDから最後の3つのオクテット値> : <計算ノードの管理IPの最後の3つのオクテット値(16進数形式)>
例:
スイッチel01gw05
のGUID: 00:21:28:56:d1:62:c0:a0
スイッチGUIDの最後の3つのオクテット値: 62:c0:a0
計算ノードの管理IPアドレス: 192.168.1.5
計算ノードのIPアドレスにおける最後の3つのオクテット値: 168.1.5
16進数での最後の3つのオクテット値: a8:01:05
VNICのMACアドレス: 62:c0:a0:a8:01:05
注意:
各MACアドレスは、一意である必要があります。MACアドレス(ユニキャスト)の最上位バイトでは、偶数のみがサポートされています。前述のアドレスは例です。
手順4で識別したel01gw05
に、root
としてログインします。IPアドレスまたはホスト名を使用してログインします。
ログオン時に、VNICの構成を許可するには、次のコマンドを実行します。
el01gw05# allowhostconfig
VLANを作成するには、次のコマンドを実行します。
e101gw05# createvlan 1A-ETH-3 -vlan 1706 -pkey default
次のようにshowvlan
コマンドを実行することで作成したVLANのIDを書き留めておきます。
# showvlan Connector/LAG VLN PKEY ------------- --- ---- 1A-ETH-3 0 ffff 1A-ETH-3 1706 ffff
この例では、VLAN IDは1706
です。
次のコマンドを実行して、次のようにスイッチ上にVNICを作成します。
el01gw05# createvnic 1A-ETH-3 -guid 00:21:28:00:01:A0:A6:95 -mac 62:c0:a0:a8:01:05 -pkey default
注意:
この新しいリソースには、VLANがタグ付けされていません。
VNICが作成されます。
VNICが作成されたことを確認するには、showvnics
コマンドを実行します。次の出力例が表示されます。
ID STATE FLG IOA_GUID NODE IID MAC VLN PKEY GW --- ----- --- ----------------------- --------------------------- ---- ----------------- --- ---- -------- 0 UP N 00:21:28:00:01:A0:A6:95 e101cn01 EL-C 192.168.10.29 0000 62:c0:a0:a8:01:05 NO ffff 1A-ETH-3
計算ノードで次のコマンドを実行して、その計算ノードで使用できるVNICを一覧表示します。
el01cn02# dladm show-phys | grep eoib
このコマンドは、計算ノードに存在するeoib0
などの新しいインタフェースの名前を表示します。net7
などの対応するリンクを書き留めておきます。これにより、インタフェースの状態も表示されます。
注意:
毎回一意の{ETHコネクタ、ポートGUID}タプルを選択するかぎり、前述の手順を繰り返すことで、同じ計算ノード上に、ネットワーク管理されたタグなしVNICをさらに作成できます。同じ方法でこの2番目のVNICを構成すると、そのVNICが計算ノードに(たとえば、リンクnet8
のeoib1
インタフェースとして)表示されます。これら2つのEthernet over InfiniBand (EoIB)インタフェースは、bond1
などのIPMPグループ内に構成することをお薦めします。
ネットワーク管理されたタグなしVNICが作成済である{ETHコネクタ、ポートGUID}タプルに、ホスト管理VNICを作成するには、「Oracle Solaris: VNICの作成およびVLANとの関連付け」で説明されている手順を完了します。
手順1から12に従うことで、別のゲートウェイ・スイッチのコネクタを使用して同じ計算ノードに対して別のVNICを作成します。このインタフェースの名前とそれに対応するリンクを書き留めておきます。たとえば、eoib1
インタフェースとそのリンクnet8
です。
次のファイルを削除します。
/etc/hostname.bond1
/etc/hostname.eoib0
/etc/hostname.eoib0
reboot
コマンドを実行することで、計算ノードを再起動します。
次のコマンドを実行することで、計算ノード上で手順8で作成したVNICを再度作成します。
hostname# dladm create-vnic -l link_name [-v vlan_id] interface_name
例:
el01cn02# dladm create-vnic -l net7 eoib0 el01cn02# dladm create-vnic -l net8 eoib1
VLANタグ付きVNICを作成する場合は、-v
オプションを使用して、次のようにVLAN IDを追加します。
el01cn02# dladm create-vnic -l net7 -v 1706 eoib0 el01cn02# dladm create-vnic -l net8 -v 1706 eoib1
次のようにdladm show-vnic
コマンドを使用することで、VNICが作成されたかどうかを確認できます。
hostname# dladm show-vnic
高可用性を目的としてeoib0
およびeoib1
をIPMPグループ内に構成するには、次のように実行します。
次のコマンドを実行することで、InfiniBandスイッチ上に作成したVNICと関連付けられているデータ・リンクを特定します。
el01cn02# dladm show-phys -m
作成したVNICと関連付けられているリンク名(net7
やnet8
など)を特定します。
次のコマンドを実行することで、IPMPグループを作成します。
hostname# ipadm create-ipmp bond_name
例:
el01cn02# ipadm create-ipmp bond1
次のようにipadm create-ip
コマンドを実行することで、手順18.aで書き留めた2つのリンクのIPインタフェースを作成します。
hostname# ipadm create-ip link_name
例:
el01cn02# ipadm create-ip net7 el01cn02# ipadm create-ip net8
次のコマンドを実行することで、手順16で作成したVNICのインタフェースを作成します。
hostname# ipadm create-ip interface_name
例:
el01cn02# ipadm create-ip eoib0 el01cn02# ipadm create-ip eoib1
次のコマンドを実行することで、それらのインタフェースのうちの1つを、結合されたインタフェースのスタンバイとして設定します。
hostname# ipadm set-ifprop -p standby=on -m ip interface_name
例:
e101cn02# ipadm set-ifprop -p standby=on -m ip eoib1
次のコマンドを実行することで、手順18.bで作成したipmp結合に2つのインタフェースを追加します。
hostname# ipadm add-ipmp -i interface_name1 -i interface_name2 bond_name
例:
e101cn02# ipadm add-ipmp -i eoib0 -i eoib1 bond1
次のコマンドを実行することで、作成した結合されたインタフェースのIPアドレスを設定します。
hostname# ipadm create-addr –T static –a local=ipv4_address/CIDR_netmask bond_name/v4
例:
e101cn02# ipadm create-addr –T static –a local=10.100.44.68/22 bond1/v4
次のコマンドを実行することで、結合されたインタフェースが起動していることを確認します。
hostname# ipadm show-if
IFNAME CLASS STATE ACTIVE OVER
lo0 loopback ok yes --
net0 ip ok yes --
net4 ip ok yes --
net8 ip down no --
net9 ip down no --
bond0_0 ip ok yes --
bond0_1 ip ok no --
bond1 ipmp ok yes eoib1 eoib0
eoib1 ip ok no --
eoib0 ip ok yes --
次のコマンドを実行することで、結合されたインタフェースにIPアドレスが割り当てられたことを確認します。
# ipadm show-addr
ADDROBJ TYPE STATE ADDR
lo0/v4 static ok 127.0.0.1/8
net0/v4 static ok 138.3.2.87/21
net4/v4 static ok 169.254.182.77/24
bond0/v4 static ok 192.168.14.101/24
bond1/v4 static ok 138.3.48.35/22
bond1/v4a static ok 138.3.51.1/22
lo0/v6 static ok ::1/128
net0/v6 addrconf ok fe80::221:28ff:fed7:e944/10