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Oracle® Fusion Middleware Exalogicエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
ExalogicリリースX2-2、X3-2およびX5-2
E88001-01
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8 トポロジの管理

8.1 Exalogicの起動および停止手順

Exalogicおよびそのコンポーネントを起動および停止するには、適切な順序に従うことが重要です。

起動順序および停止手順、ZFS記憶域アプライアンスの電源オンおよびオフの手順、Exalogic、Control StackおよびゲストvServerを起動または停止する手順を参照してください。

この項の内容は次のとおりです。

8.1.1 Exalogicの起動順序

次の一連の手順を使用して起動します。

  1. ExalogicラックのPDUの電源オン
  2. ネットワーク・スイッチ

    注意:

    スイッチに数分間電源を供給し、電源をオンにする構成が完了してから、ストレージ・ノードと計算ノードを起動します。InfiniBandゲートウェイ・スイッチの背面(InfiniBandケーブルが差し込まれている側)に、ステータスLEDがあります。右下(USBポートの上)のOK LEDは、緑色に点灯している必要があります。これは、ゲートウェイが障害なく機能していることを意味します。また、InfiniBandスイッチの1つにSSHで接続し、ibswitchesですべてのInfiniBand Gatewayスイッチを表示することもできます。
  3. ストレージ・ノード
  4. 計算ノード
  5. Exalogic ControlによるvServerおよびサービスのスタック(仮想Exalogicを使用している場合)
  6. すべてのゲストvServer(仮想Exalogicを使用している場合)
  7. ユーザー・アプリケーション・サービス

8.1.2 Exalogicの停止順序

次の一連の手順を使用して停止します。

  1. すべてのユーザー・アプリケーション・サービス
  2. すべてのゲストvServer(仮想Exalogicを使用している場合)
  3. すべてのコントロール・スタック・サービス(仮想Exalogicを使用している場合)
  4. Exalogic Control vServer(仮想Exalogicを使用している場合)
  5. すべての計算ノードおよびストレージ・ノードのホスト(OVS)の電源オフ
    • 最初にスタンバイ・ノードを停止して電源をオフにする

    • アクティブ・ストレージ・ノードの電源をオフにする

  6. ネットワーク・スイッチ
  7. PDU

8.1.3 ZFS記憶域アプライアンスの電源オンおよびオフの手順

ZFSアプライアンスの電源をオフにするには、ストレージ・ノードで次の手順を実行します。

  1. スタンバイ・ストレージ・ノードを停止して電源をオフにします。
  2. アクティブ・ノードを停止して電源をオフにします。
    これにより、ネットワークとストレージを往復する不要なフェイルオーバーが回避されます。
  3. 電源オフ:
    • CLIから: maintenance system power off

    • BUIから: アプライアンス電源オフのアイコンをクリックする

  4. 電源オン: ストレージ・ノードの電源をオンにする。
    • コントローラの電源ボタンを押す

    • ILOM: Start /SYS

8.1.4 Exalogic、Control StackおよびゲストvServerを起動または停止する手順

詳細は、Exalogicマシンの起動および停止、仮想サーバーの制御およびゲストに関する項を参照してください。

Exalogicマシンの起動および停止に関する参照

Exalogic Controlの起動および停止に関する参照

  • ExaBRにより、制御スタックを停止および開始する便利な方法が提供されます。最初にExalogic Lifecycleツールキットをインストールする必要があります。詳細は、「ライフサイクル管理ツール」の項を参照してください。

  • 手動の手順については、My Oracle SupportのドキュメントID 1594223.1 Exalogic EECS v2.0.6.0.0以降の仮想リリースで、Exalogic Controlスタック全体を停止および開始する方法を参照してください。

    注意:

    マスター・ノートを開くには、次の手順を実行します。
    • My Oracle SupportのドキュメントIDを選択して、[Ctrl]キーを押しながら[F9]キーを押します。「Attributes」ダイアログが開きます。

    • 「Url」属性の「Attribute Value」フィールドに、次のURLを入力します。

      https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=note_id

    • 画面の上部にある検索フィールドに、ノートIDまたはキーワードを入力します。

    • 「Set Value」をクリックします。

ゲスト仮想サーバーの起動および停止に関する参照

  • ゲストvServerは、常にEnterprise Manager Ops Center経由で起動および停止してください。BUIまたはIaaS CLIのいずれかを使用してください(http://docs.oracle.com/cd/E18476_ 01/doc.220/e25258/proc.htm#BABDCBHC『Oracle Exalogic Elastic Cloud管理者ガイド』を参照)

    注意:

    EMOC UIでは、「Assets」アコーディオンからではなく、「vDC Management」でvServerを開始および停止することが重要です。
  • xmコマンドは使用しないでください。

  • OSレベルのシャットダウン・コマンドは使用しないでください。それ以外の場合、HAとマークされたvServerはEMOCによって自動的に再起動されます。

8.2 メンテナンス手順

メンテナンス手順では、ライフサイクル管理ツール、ExaChk、ExaLogs、およびパッチ適用に関する情報を提供します。

詳細は、次の各項で説明します。

8.2.1 ライフサイクル管理ツール

Oracle Exalogic Lifecycle(ELLC)ツールキットは、Oracle Exalogic Elastic Cloudマシンのライフサイクル管理を簡素化、自動化、および標準化するツールのコレクションです。

詳細は、My Oracle SupportのドキュメントID 1912063.1 Exalogicライフサイクル・ツールキット リリース14.2を参照してください。
Exalogicツール 新機能および拡張機能
EMAgent PreSetup Enterprise Manager 12cの検出およびモニタリング用のExalogicラックを準備する新規ツール。
ExaBR

EECS 2.0.4のサポート

STIGが強化されたLinux計算ノード

All-ILOMターゲット

ExaPatch 改善されたプラットフォームのパッチ適用
ExaLogs

Solarisのサポート

資格証明(アクセス)オプション

ネットワークの使用順序

ExaPasswd Exalogicシステム・コンポーネントのパスワード変更を自動化する新規ツール
STIGfix ExalogicゲストvServerおよび物理LinuxノードをSTIGに準拠させるための新規ツール
ModifyLVMImg LVMベースのvServerのサイズ(root/swapボリューム)を変更し、Linux RPMを追加または削除するための新規ツール
ExaChk

DNSの不在検出をサポートする強化されたExalogicヘルス・チェック・ツール

改訂されたスコアリング

差分の比較

8.2.2 ExaChk

Exachkは、Exalogicマシンの重要な構成設定を監査するために設計されたヘルス・チェック・ツールです。

  • PSUサイクルに従った四半期ごとの実行

  • メンテナンスの前後

  • Exachkレポートをサービス・リクエストに添付して時間を節約

  • スケジュールに基づく比較

詳細は、次のMy Oracle SupportのドキュメントIDを参照してください。

注意:

マスター・ノートを開くには、次の手順を実行します。
  • My Oracle SupportのドキュメントIDを選択して、[Ctrl]キーを押しながら[F9]キーを押します。「Attributes」ダイアログが開きます。

  • 「Url」属性の「Attribute Value」フィールドに、次のURLを入力します。

    https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=note_id

  • 画面の上部にある検索フィールドに、ノートIDまたはキーワードを入力します。

  • 「Set Value」をクリックします。

8.2.3 ExaLogs

ExaLogsは、Exalogicの物理または仮想構成内のキー・コンポーネントから、ログ、診断、環境と構成の情報、およびその他のデータを収集するコマンドライン・ツールです。

8.2.4 パッチ適用

Oracle Elastic Exalogic Cloud Softwareの推奨パッチは、My Oracle Supportで入手できます。

Exalogic Patch Set Updates(PSU)は、オラクル社が推奨するパッチのコレクションです。PSUは累積的で、四半期ごとにリリースされます。

この項の内容は次のとおりです。

8.2.4.1 パッチ適用の推奨事項

Exalogicシステムが最適なパフォーマンスを継続できるよう、オラクル社は包括的かつ十分にテストされたパッチをシステム全体に定期的に提供しています。

Exalogic Patch Set Update(PSU)は、四半期ごと(1月、4月、7月、10月)にリリースされ、次の機能を備えています。
  • PSUは、必要に応じて、すべてのExalogicコンポーネント(ファームウェア、ソフトウェアおよびOS)のパッチを含む単一のダウンロードです。

  • PSUは、Exalogicのお客様すべてに強くお薦めするアップデートです。

  • Exalogicのインフラストラクチャ・コンポーネント(オペレーティング・システム、ILOM、InfiniBand、RAIDコントローラ・カードなどのノード上のコンポーネント、InfiniBandスイッチやZFS記憶域アプライアンスなどのノード外のコンポーネント)のパッチや更新に加え、ミドルウェア・コンポーネント(WLS、Coherence、JDK)のパッチも含まれています。

  • PSUには、ゲストOSイメージ用のオプションのパッチが含まれています。これは、スケジュールに問題がなければ適用できます。

Exalogicユーザーは、ご自身のシステムをオラクル社のExalogicリリースおよび推奨パッチ・レベルと整合させ、Exalogic用に推奨されているもの以外のパッチの適用を控える必要があります。たとえば、Oracle ZFS Storage Applianceソフトウェアの新規バージョンがリリースされても、Exalogic推奨パッチまたはPSUに含まれていない場合は、パッチを適用してラックを更新しないでください。推奨外のパッチを適用すると、Exalogicシステムの機能のみならず、パフォーマンスにも悪い影響を与える可能性があります。

本番または本番前の後期テスト段階にあるシステムの場合は、次のとおりです。
  • 最新のパッチ・リリースを定期的に採用するように計画してください

  • 新規パッチがリリースがされるたびにインストールする必要はありません

  • パッチは、適切なテスト環境で検証してから本番システムにインストールしてください

  • 本番前のテストの初期段階や概念実証段階にあるシステムでは、次のMOSノートに示されているように、使用可能になった時点で新規リリースおよびパッチを採用する必要があります。

8.2.5 トラブルシューティングおよびアクション計画

MOSノートには、Exalogic Platinumユーザーが停止からリカバリするための、一般的なExalogicの停止および復旧の手順に関する情報が記載されています。

個々の停止は、部分停止または完全停止のいずれかに分類されます。また、MOSノートでは、問題をデバッグするためのトラブルシューティング手順の情報、および停止の根本原因の分析に必要となる事後の根本原因分析(RCA)データのコレクションが提供されています。

詳細は、My Oracle SupportのドキュメントID 1492461.1 Exalogic Platinum Customer停止の分類およびリストア・アクション計画を参照してください。

8.3 バックアップおよびリカバリの手順

ここでは、Exalogicシステムのバックアップおよびリカバリの手順のガイドラインを示します。

ホット・スタンバイ・システムは、ビジネスの継続性にとってきわめて有用ですが、メンテナンス費用がかかる上、追加のインフラストラクチャが必要です。単純なユーザー・エラーなど、状況によっては、DRシステムへのフェイルオーバーよりも問題を修正するほうが早い場合があります(特にDNSの更新を必要とする場合)。

システムの定期的なバックアップは、ほとんどの本番システムでの標準的な運用手順の一部であり、そのサイトに障害回復ソリューションがあるかどうかにかかわらず実施されます。これにより、オリジナルのファイルやシステム全体に何か問題が発生した場合に、個別のファイルを柔軟にリストアできます。バックアップはオフサイトの安全な場所に保管することもできます。Exalogicでのバックアップは、Exalogicシステム内、ディスクからディスク、およびディスクからテープに保存できます。

バックアップが必要なOracle Exalogicマシンに含まれるデータは、次のもので構成されます。
  • Exalogicのオペレーティング・システム

  • ソフトウェア・バイナリ

  • 構成情報

  • JMSキューとしてのトランザクション・ログなどのトランザクション・データ

  • スイッチ構成

  • ディスクに格納されているその他のアーティファクト。これらのオブジェクトは、次の場所にバックアップできます。
    • 同じストレージ・アプライアンスにあるディスク

    • 同じストレージ・タイプ(ZFS)を使用するリモート・マシン上のディスク

    • 異なるストレージ・タイプを使用するリモート・マシン上のディスク

  • テープ

バックアップおよびリカバリの概念

変動性

オブジェクトは変動性によってグループ化できます。たとえば、オペレーティング・システムはまれにしか変更されないため、頻繁に変更されるトランザクション・データほど頻繁にバックアップを取る必要はありません。標準的なExalogicデプロイメントでは、オブジェクトは次のカテゴリに分類できます。
変動性グループ 変動性の例となるオブジェクト
Oracleバイナリ
オペレーティング・システム
構成情報 - WLSドメイン
Oracleインスタンス
ファイル・ベースJMSキュー
永続ストア

バックアップ頻度

データの変動性を使用してバックアップ頻度を決定できます。変動性に加え、次のことがデータのバックアップ頻度に影響します。
  • バックアップするデータのボリューム

  • 使用可能なバックアップ・ウィンドウ

  • 規制上の要件

前述の変動性グループを使用すると、実用的なバックアップ頻度は次のとおりです。

表8-1 バックアップ・スケジュール

変動性グループ バックアップ頻度
毎月
毎週
毎日

スケジュールされたバックアップに加え、主要なイベントが発生したときに非定型バックアップを実行するのは合理的です。たとえば、パッチ適用またはアップグレードの後にOracleバイナリの追加バックアップを取るのは適切です。

保存期間

バックアップ戦略を決定するには、バックアップを保持する期間を考慮する必要があります。これは、主にお客様のビジネスおよび規制上の要件に依存しています。前述の例を使用すると、適切な値は次のようになります。

表8-2 保存期間

変動性グループ 保存期間
3年
6か月
7日

バックアップ・タイプ

使用可能なバックアップには、全体バックアップと増分バックアップの2種類があります。全体バックアップは、その時点でのファイル・システム全体をバックアップします。増分バックアップは、最後のバックアップ以降に変更されたデータのみをバックアップします。増分バックアップは累積または差分のいずれかになります。累積バックアップは最後の全体バックアップ以降のすべての変更をバックアップし、差分バックアップは最後の差分バックアップ以降の変更をバックアップします(差分バックアップはZFS記憶域アプライアンスではサポートされていませんが、テープにバックアップする場合には広く使用されます)。

増分バックアップにはレベルが付けられます。毎月レベル0(全体バックアップ)、毎週レベル1(増分)、毎日レベル2(増分)を実行できます。このタイプの戦略が実装されている場合、最後のレベル1バックアップ以降に変更されたデータのみがバックアップされます。火曜日を例にすると、バックアップされるデータは、前の日曜日に行われた最後のレベル1のバックアップ以降に変更されたデータです。増分バックアップは、バックアップするデータのボリュームが重要な場合に役立ちます。

全体バックアップの利点は、リストアを実行するために必要なすべての情報がそのバックアップに含まれていることです。増分バックアップ戦略では、リストアに複数のバックアップを使用する可能性が高くなります。前述の3レベルのバックアップ戦略では、最後のレベル0のバックアップ、最後に取られたレベル1のバックアップ、最後に取られたレベル2のバックアップを必要とします。バックアップするデータのボリュームが少ない場合は、増分バックアップではなく毎回全体バックアップを実行するほうが簡単ですが、これはバックアップされるデータの量によって決まります。増分バックアップは、Oracle Secure Backupおよびオペレーティング・システムのdumpコマンドでサポートされています。

Recovery Point Objective(RPO)およびRecovery Time Objective(RTO)は、バックアップの頻度を決定します。これは効果的な事業継続計画の重要な要素です。詳細は、次のドキュメントを参照してください。