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Oracle® Real User Experience Insightインストレーション・ガイド
12c リリース2 (12.1.0.3) for Linux x86-64
B70759-01
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10 フェイルオーバー処理エンジン・システムの構成

この章では、プライマリ処理エンジン・システムが使用できなくなった場合に、ネットワーク・トラフィックの監視をすぐに引き継ぐフェイルオーバー処理エンジン・システムの構成手順を説明します。記載されている手順では、プライマリ処理エンジン・システムのインストールと構成が完了しており、完全に機能していることを想定しています。

フェイルオーバー・レポータ・システムおよびフェイルオーバー・コレクタ・システムを構成する手順は、「フェイルオーバー・レポータ・システムの構成」および第9章「フェイルオーバー・コレクタ・システムの構成」で説明されています。

概要

セカンダリ(すなわちフェイルオーバー)処理エンジン・システムの構成によって、プライマリ処理エンジン・システムが使用できなくなった場合に、監視対象トラフィックの処理をシームレスに引き継げるという利点があります。これにより、高度な運用信頼性が確保できます。フェイルオーバー処理エンジン・システムの構成を図10-1に示します。

図10-1 フェイルオーバー処理エンジンの構成

図10-1の説明が続きます
「図10-1 フェイルオーバー処理エンジンの構成」の説明

サーバー・レベルでは、クロスオーバー・ネットワーク・ケーブルでプライマリとセカンダリの処理エンジン・システムを接続します。プライマリとセカンダリ・サーバー間で通常の「ハートビート」が継続している限り、セカンダリ・サーバーがトラフィックの処理を開始することはありません。ただし、プライマリ・サーバーの「ハートビート」に変更があったことを検出すると、セカンダリ・サーバーはプライマリ・サーバーの処理をすぐに引き継ぎます。このプロセスはフェイルオーバーと呼ばれます。

フェイルバック(すなわちRUEIのインストールを元の状態に戻す作業)は手動で行う必要がある点に注意してください。手順は「処理エンジンのフェイルバックの実施」を参照してください。

前提条件

フェイルオーバー処理エンジンのインストールを構成するには、次の条件を満たす必要があります。

プライマリ処理エンジンの準備

RUEI_DATA/processor/dataおよびRUEI_DATA/processor/sslkeysディレクトリが、共有ストレージ場所にあることを確認します。

  1. 次のコマンドをRUEI_USERユーザーとして発行して、プライマリ処理エンジン・システム上のすべての処理を停止します。

    project -stop wg
    
  2. プライマリ処理エンジン・システムで共有される処理エンジンの場所をマウントします。そのためには、/etc/fstabファイルがbootにマウントされるように編集します。次に例を示します。

    10.6.5.9:/home/nfs /processing_share nfs rsize=1024,wsize=1024  0 0
    
  3. 既存のdataおよびsslkeyディレクトリを共有処理エンジンの場所に移動します。次に例を示します。

    mv RUEI_DATA/processor/data /processing_share
    mv RUEI_DATA/processor/sslkeys /processing_share
    

    processing_shareには、プライマリおよびセカンダリ処理エンジン・システム上のデータおよびSSLキーの共有場所を指定します。

セカンダリ処理エンジンのインストール

セカンダリ処理エンジン・システムのインストール手順は、スタンドアロン処理エンジン・システムの場合とほとんど同じです。初期設定ウィザードは実行しない点に注意してください。次を実行します。

  1. セカンダリ処理エンジン・システムのインストール手順を開始する際、/etc/ruei.confファイルがプライマリ処理エンジン・システムのものと同一であることを確認してください。

  2. セカンダリ処理エンジン・システムにLinuxオペレーティング・システムおよび処理エンジン・ソフトウェアをインストールします。その手順は、第2章「RUEIソフトウェアのインストール」を参照してください。特に、

処理エンジン・フェイルオーバーの構成

次を実行します。

  1. まだ行っていない場合は、プライマリ処理エンジン・システムにRUEI_USERユーザーとしてログインし、次のコマンドを発行して、監視対象トラフィックのすべての処理を停止します。

    project -stop wg
    
  2. 「レポータ通信の構成(分割サーバー設定のみ)」の手順を実行中に作成した、プライマリ処理エンジン・システム上のRUEI_USERユーザーの.sshディレクトリを、セカンダリ処理エンジン・システムにコピーします。同じ場所にコピーする必要がある点に注意してください。

  3. RUEI_USERユーザーのuidおよびgid設定がプライマリおよびセカンダリ処理エンジン・システムで同じであることを確認します。次に例を示します。

    id moniforce
    uid=501(moniforce) gid=502(moniforce) groups=502(moniforce)
    
  4. 両方の処理エンジン・システムでクロスオーバー・ケーブルに使用する静的IPアドレスを構成します。system-config-networkなどのユーティリティを使用して行えます。

  5. /etc/fstabファイルを編集して、RUEI_DATA/processor/dataおよびRUEI_DATA/processor/sslkeysディレクトリがbootにマウントされるようにします。次に例を示します。

    10.6.5.9:/home/nfs /reporter_share nfs rsize=1024,wsize=1024  0 0
    

    reporter_shareには、プライマリおよびセカンダリ処理エンジン・システム上のデータおよびSSLキーの共有場所を指定します。

  6. 次のコマンドを発行して、セカンダリ処理エンジン・システムのローカルなdataおよびsslkeysディレクトリを、処理エンジンの共有場所に移動します。

    rm -rf RUEI_DATA/processor/data
    rm -rf RUEI_DATA/processor/sslkeys
    ln -s /reporter_share/data RUEI_DATA/processor/data 
    ln -s /reporter_share/sslkeys RUEI_DATA/processor/sslkeys 
    
  7. セカンダリ処理エンジン・システムにRUEI_USERユーザーとしてログインして、次のコマンドを発行します。

    project -new -fromdb UX wg
    

    その結果、プライマリ処理エンジンのデータベース構成を使用して、セカンダリ処理エンジンのディスク上の構成ファイルが作成されます。

  8. プライマリおよびセカンダリ処理エンジン・システムの両方で/etc/ruei.confファイルを編集して、仮想、プライマリ、およびスタンバイIPアドレスを指定します。次に例を示します。

    export RUEI_REP_FAILOVER_PRIMARY_IP=192.168.56.201 
    export RUEI_REP_FAILOVER_STANDBY_IP=192.168.56.202 
    export RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_IP=10.11.12.23 
    export RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_DEV=eth0 
    export RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_MASK=255.255.255.0 
    

    RUEI_REP_FAILOVER_PRIMARY_IPおよびRUEI_REP_FAILOVER_STANDBY_IP設定で、2つの処理エンジン・システム間のクロスオーバー・ケーブルのIPアドレスを指定する必要があります。これらの設定に関する説明は、「RUEIの構成ファイル」を参照してください。両方の処理エンジン・システムで指定された設定は、RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_DEVの設定を除き、同一の必要があります。

  9. 次のコマンドを発行して、プライマリ処理エンジン・システム上の監視対象トラフィックの処理を再開します。

    project -start wg
    
  10. ruei-reporter-failover.shスクリプトを両方の処理エンジン・システムにインストールします。たとえば/usr/local/sbinディレクトリなどです。これはRUEI zipファイル内にあります(「RUEIソフトウェアの解凍」を参照)。

  11. 次の入力内容を、プライマリおよびセカンダリ処理エンジン・システムのrootユーザーのcrontabファイルに追加します。

    * * * * * /usr/local/sbin/ruei-reporter-failover.sh
    

    これによって、セカンダリ処理エンジンがハートビート信号をプライマリ処理エンジンに60秒間隔で送信し、プライマリ処理エンジンが使用できなくなった場合に、RUEIの監視対象トラフィックの処理を引き継ぎます。

    60秒以上待機します。

  12. レポータGUIへのすべてのユーザー・アクセスが、指定された仮想IPアドレス経由で行われていることを確認します。これは、プライマリ処理エンジン・システムが使用できなくなった場合に、セカンダリ処理エンジン・システムに自動的にフェイルオーバーを行うために必要です。

  13. 両方の処理エンジン・システム上のRUEI_DATA/processor/log/failover.logファイルを確認します。これらのファイルには、"ping"コマンドの結果が含まれています。エラー・メッセージがないことを確認してください。たとえばフェイルオーバー構成設定の漏れに関するものなどです。

  14. プライマリ処理エンジン上の/sbin/ifconfigコマンド出力をチェックし、仮想IPアドレスが正しく構成されていることを確認します。次に例を示します。

    /sbin/ifconfig
    eth0      Link encap:Ethernet  HWaddr 08:00:27:F7:B0:14
              inet addr:192.168.56.201  Bcast:192.168.56.255  Mask:255.255.255.0
              inet6 addr: fe80::a00:27ff:fef7:b014/64 Scope:Link
              UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
              RX packets:80 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
              TX packets:311 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
              collisions:0 txqueuelen:1000
              RX bytes:12793 (12.4 KiB)  TX bytes:26268 (25.6 KiB)
    
    eth0:0    Link encap:Ethernet  HWaddr 08:00:27:F7:B0:14
              inet addr:10.11.12.23  Bcast:192.168.56.255  Mask:255.255.255.0
              UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
    
  15. プライマリ処理エンジン・システムをシャットダウンし、セカンダリ処理エンジンが監視対象トラフィックの処理を開始したことを確認します。プライマリ・システムに到達できず、セカンダリ・システムが起動されているという警告がイベント・ログに報告されます。その後、フェイルバックを実行して、RUEIのインストールを元の状態に戻す必要があります。

処理エンジンのフェイルバックの実施

RUEIのインストールを元の状態に戻すためには、プライマリ処理エンジン・システムへのフェイルバックを手動で行う必要があります。次を実行します。

  1. rootユーザーとして次のコマンドを使用して、グローバルRUEI構成設定をロードします。

    . /etc/ruei.conf
    
  2. プライマリおよびセカンダリ処理エンジン・システム間のハートビート・メカニズムが正しく機能していることを確認します。そのために、RUEI_REP_FAILOVER_PRIMARY_IPおよびRUEI_REP_FAILOVER_STANDBY_IP IPアドレスでお互いに'ping'が行えることを確認してください。

  3. フォールバックを起動するには、active-failover-serverファイルを削除し、次のコマンドを発行してセカンダリ・サーバー上の仮想インタフェースをシャットダウンします。

    rm $RUEI_DATA/processor/data/active-failover-server
    ifconfig $RUEI_REP_FAILOVER_VIRTUAL_DEV:0 down