この章では、obtoolコマンドライン・インタフェースの使用方法について説明します。内容は次のとおりです。
この項では、Oracle Secure Backupへのコマンドライン・インタフェースであるobtoolユーティリティの起動方法について説明します。obtoolの起動オプションについてのオンライン・ヘルプを表示するには、オペレーティング・システムのプロンプトで次のコマンドを実行します。
% obtool help invocation
次の出力が表示されます。
obtool invocation: Usage: To enter interactive mode: obtool [<cl-option>]... Usage: To execute one command and exit: obtool [<cl-option>]... <command> [<option>]... [<argument>]... Usage: To display program version number and exit: obtool --version/-V
次の各項では、obtool起動オプションについて詳細を説明します。
obtoolユーティリティの初回起動時には、Oracle Secure Backupユーザーとしてのアイデンティティを設定する必要があります。Oracle Secure Backupユーザー・アイデンティティが未設定の場合、次の例に示すように、ユーザー名およびパスワードの入力を要求されます。
% obtool Oracle Secure Backup 10.4.0.3.0 login:
インストール時にadmin
ユーザーが自動的に作成され、パスワードの入力を要求されます。
注意: パスワードは、コマンドラインまたはコマンド・スクリプトにクリアテキストで指定しないでください。セキュリティ上の脆弱性となります。Oracle Secure Backupユーザーにパスワードの入力を要求する方法をお薦めします。 |
関連項目:
|
obtoolにログインすると、アイデンティティが/admin/config/user
サブディレクトリにあるログイン・トークンに保存されます。各Oracle Secure Backupユーザーの情報は個別のファイルに保存されます。ログイン・トークンの存続期間は、logindurationセキュリティ・ポリシーによって制御されます。
Oracle Secure Backupコマンドライン・ツールがユーザーを認証する方法には、明示的ログインと事前認可があります。事前認可の場合は、アクセスは指定ホストの指定オペレーティング・システム・ユーザーにのみ認可されます。事前認可を作成するには、mkuserコマンドで--preauth
を指定します。
Oracle Secure Backupコマンドライン・ツールを起動すると、次の優先順位ルールに従ってユーザーIDが検索されます。
明示的ユーザーIDを指定した場合は、明示的ユーザーIDがログイン操作で使用されます。このユーザーIDの正確なパスワードを指定する必要があります。
ユーザーIDを指定せず、このユーザーが永続的な明示的ログインを持っていることを示す適用可能なログイン・トークンが存在する場合は、このトークンに関連付けられたユーザーIDがログイン操作に使用されます。事前認可されたセッションには永続トークンが作成されませんので、注意してください。
ユーザーIDを指定せず、適用可能で永続的なログイン・トークンが存在しない場合は、一致する事前認可が検索されます。事前認可が存在しない場合、ユーザーIDの入力を求めるコマンドライン・ツールもありますが、失敗して終了するコマンドライン・ツールもあります。
一致する事前認可を検索するルールは、コマンドライン操作とRecovery Manager(RMAN)のバックアップおよびリストア操作との間で共通です。一致する事前認可が2つ以上ある場合は、表1-1に示すように一致の間での優先度が決定されます。
obtoolを対話型モードで使用するには、オペレーティング・システムのコマンドラインでobtool
と入力してください。
obtoolを対話型モードで起動するには、次の構文を使用します。
obtool [ cl-option ]...
表1-2は、cl-option
プレースホルダに該当する適正なオプションを示しています。
表1-2 cl-option
オプション | 意味 |
---|---|
|
エラー・メッセージを長い書式で表示する。「errors」も参照してください。 |
|
.obtoolrcからコマンドを実行しない。このファイルに一連の デフォルトでは、現行ディレクトリ内の.obtoolrcが自動的に検索されます。このファイルが見つからず、かつHOME環境変数が定義されている場合は、同名のファイルがHOMEディレクトリ内から検索されます。ファイルが見つかると、obtoolは、対話型モードに入る前にそのファイルを読み取ります。 |
|
追加の情報メッセージを表示する。「verbose」も参照してください。 |
obtoolへのログインが成功すると、次のプロンプトが表示されます。
ob>
このobtoolプロンプトには、第2章「obtoolコマンド」に記載されているコマンドを入力できます。コマンドによっては、--nq
オプションが用意され、コマンドの実行後に確認メッセージを表示しないように指定できます。これらのコマンドに--nq
オプションを指定しない場合は、確認を要求されます。確認プロンプトには、表1-3に示した値を1つ入力する必要があります。
表1-3 確認メッセージの値
値 | 意味 |
---|---|
|
問合せに指定したオブジェクトに対して操作を実行する。 |
|
問合せに指定したオブジェクトに対する操作を実行せずに、次の選択に進む(ある場合)。 |
|
問合せに指定したオブジェクトに対する操作を実行せずに、このコマンドの処理を即時停止する。すでに |
|
問合せに指定したオブジェクト、および問合せのコマンドに未指定のすべてのオブジェクトに対して、操作を実行する。すでに |
|
簡単なヘルプ・テキストを表示し、次に、プロンプトを再表示する。 |
プロンプトにおいて大カッコ([...]
)で囲まれた項目は、プロンプトに特に入力しない場合のデフォルトを示します。
対話型モードでは、複数のobtoolコマンドを含むスクリプトに入力をリダイレクトできます。この方法は、同じ一連のobtoolコマンドを定期的に実行する必要がある場合に役立ちます。構文は次のとおりです(pathname
は、obtoolコマンドが含まれているファイルのパス名)。
ob> pathname
たとえば、次の内容でmycommands.txtというファイルを作成します。
# begin mycommands.txt lsdev --long lshost --long # end
obtoolの入力をこのスクリプトにリダイレクトするには、次を実行します。
ob> < /home/mycommands.txt
コマンドラインでobtoolにコマンドを渡すには、次の構文を使用します。
obtool [ cl-option ]... command-name [ option ]... [ argument ]...
次の例では、obtool lsdevコマンドを実行し、オペレーティング・システムのプロンプトに戻ります。
% obtool lsdev library lib1 in service drive 1 tape1 in service library lib2 in service drive 1 tape2 in service
あらゆるコマンドラインと同様に、obtoolを起動するコマンドライン・インタプリタまたはシェルに対して意味を持つ文字を、場合によっては引用符で囲む必要があります。次に、例を示します。
セミコロンを含むobtoolコマンドをコマンドラインから実行するとき、セミコロンをシェルで解釈されないようにするには、引用符が必要な場合があります。コマンドラインでのセミコロンの使用の詳細は、「複数のobtoolコマンドの非対話的な実行」を参照してください。
obtoolのエスケープ文字がアンパサンド(&
)文字に設定されていて(「escape」を参照)、obtoolコマンドを非対話的に実行する際に&
をファイル名の一部として指定する場合は、ファイル名を一重引用符で囲みます。次に、例を示します。
obtool cd -h phred '/home/markb&patti'
アンパサンド文字は、一重引用符内にあるため、解釈されずにファイル名の一部とみなされます。
複数のobtoolコマンドを非対話型モードで実行するには、コマンドをセミコロンで区切ります。この方法で使用すると、各obtoolコマンドの出力の前に、処理されるコマンドを示すテキスト行が出力されます。次に、Linux bashシェルで2つのコマンドを使用する例を示します。
oblin1$ obtool lsmf -s ';' lsh -s Output of command : lsmf -s RMAN-DEFAULT Output of command : lsh -s brhost2 brhost3 stacb40
各コマンドは、コマンドの出力が他にない場合でも、Output of command
:
およびコマンド名を返します。
非対話型モードでは入力をobtoolにリダイレクトすることもできます。たとえば、次の内容でmycommands.txtというファイルを作成します。
# begin mycommands.txt lsdev --long lshost --long # end
obtoolの入力をこのスクリプトにリダイレクトするには、次を実行します。
obtool < /home/mycommands.txt
また、リダイレクション・ファイルをネストすることもできます。たとえば、2つ目のコマンド・ファイルmycommands2.txtを作成し、次のようにmycommands2.txtから入力をリダイレクトするように、mycommands.txtを編集できます。
# begin mycommands.txt lsdev --long lshost --long # redirect input to second command file < /home/mycommands2.txt # end
obtool
セッションを終了するには、exit
コマンドまたはquit
コマンドのいずれかを使用するか、logout
コマンドを使用します。
exit
コマンドは、obtoolセッションを終了しますが、ログイン・トークンはユーザーの資格証明を保持するため、ユーザーはobtoolの次回実行時にユーザー名またはパスワードの入力を要求されません。quit
コマンドは、exit
と同様です。
logout
コマンドは、ログイン・トークンを破棄するため、ユーザーは次のobtoolセッション中に資格証明を要求されます。
次に、例を示します。
[root@osblin1 ~]# obtool Oracle Secure Backup 10.4.0.3.0 login: admin Password: ob> quit [root@osblin1 ~]# obtool ob> logout [root@osblin1 ~]# obtool Oracle Secure Backup 10.4.0.3.0 login:
logout
コマンドは、obtoolを非対話型モードで起動する際にも使用できます。次に、例を示します。
[root@osblin1 ~]# obtool logout [root@osblin1 ~]# obtool Oracle Secure Backup 10.4.0.3.0 login:
obtoolを起動して既存のログイン・トークンを破棄する際に、異なる資格証明を強制的に使用させることができます。そのためには、obtool
で-u
オプションを使用し、Oracle Secure Backupユーザーの名前をそのセッションに対して指定します。次に、例を示します。
[root@osblin1 ~]# obtool -u admin Password: ob>
表1-4に、obtoolユーティリティのオンライン・ヘルプのオプションを示します。
表1-4 オンライン・ヘルプのオプション
ヘルプ・トピック | コマンド |
---|---|
ヘルプ・トピックのリスト |
|
特定のトピックのヘルプ |
|
特定のコマンドの使用方法 |
|
特定のトピックに関連するすべてのコマンドの使用方法 |
|
用語集の単一の用語 |
|
特定のトピックに使用されるすべての用語の用語集 |
|
たとえば、ヘルプ・トピックを表示するには、次のコマンドを入力します。
ob> help topics
オンライン・ヘルプが用意されているトピックを表1-5にリストします。
表1-5 Oracle Secure Backupのコマンド・トピック
トピック | 説明 |
---|---|
advanced |
まれに使用される拡張コマンド |
バックアップ |
データ・バックアップ操作 |
backupwindow |
バックアップ・ウィンドウ定義 |
browser |
ファイル・システム参照 |
checkpoint |
チェックポイント管理 |
クラス |
ユーザー・クラス権限 |
daemon |
デーモン(サービス)の表示と制御 |
データセット |
データセットの説明 |
device |
デバイス構成 |
fs |
ネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスに対するファイルシステム操作 |
host |
ホスト構成 |
invocation |
obtool起動オプション |
job |
スケジューラによるジョブ管理 |
library |
テープ・ライブラリおよびボリュームの管理操作 |
mediafamily |
メディア・ファミリ構成 |
miscellany |
その他のコマンド |
piece |
バックアップ・ピースの表示 |
ポリシー |
デフォルトおよびポリシーの構成 |
ssel |
データベース・バックアップ記憶域セレクタ |
restores |
データ・リストア操作 |
スケジュール |
スケジュール構成 |
section |
バックアップ・セクション・データベース用コマンド |
スナップショット |
ネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスに対するスナップショット管理 |
summary |
サマリー・レポートのスケジューリングの構成 |
user |
ユーザー構成 |
変数 |
obtoolの操作に影響を与える変数 |
特定のトピックに関するコマンドのリストを表示するには、help
に続いてトピック名を入力します。たとえば、クラスのコマンドについてのヘルプを表示するには、次のコマンドを実行します。
ob> help class
次の出力が表示されます。
Class definition commands: chclass change the attributes of a user class lsclass list the names and attributes of one or more user classes mkclass define a user class renclass assign a new name to a user class rmclass remove a user class from the administrative domain
特定のコマンドの構文を表示するには、help
に続いてコマンド名を入力します。たとえば、lssectionコマンドのヘルプを表示するには、次のコマンドを入力します。
ob> help lssection
次の出力が表示されます。
Usage: lssection [ --long | --short ] [ --noheader/-H ] [ --incomplete/-i ] [ --oid/-o oid-list ]... [ { { --vid/-v vid-list } | { --void/-V oid-list } } [ --file/-f filenumber-list ]...]
また、この構文内のプレースホルダについてもヘルプを表示できます。たとえば、vid-list
プレースホルダのヘルプを表示するには、次を実行します。
ob> help vid-list
次の出力が表示されます。
vid-list one or more volume IDs (vids), each separated by a comma
特定のトピックに関する用語の用語集を表示するには、キーワードhelp
、トピック名およびキーワードglossary
を入力します。たとえば、次のコマンドでは、スナップショット用コマンドに関するキーワード用語集が表示されます。
ob> help snapshot glossary
次の出力が表示されます。
<filesystem-name> the logical or physical name of a file system that is logically connected to a host <hostname> a name of a host assigned by the user via mkhost or renhost <numberformat> the format in which to display large numbers, one of: friendly displays large values in "KB", "MB", ... precise shows precise values (with commas) plain like precise, but eschews commas (unspecified) uses "numberformat" variable or, if unset, "friendly"
これより後の項では、obtoolの各コマンドについて説明します。
第2章「obtoolコマンド」には、obtoolの各コマンドがアルファベット順にまとめられています。この項では各コマンドを次のカテゴリに分類しています。
このカテゴリのコマンドは、ファイルシステム・バックアップ・リクエストを作成、表示および削除する場合に使用できます。
obtoolユーティリティには、次のファイルシステム・バックアップ用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、Recovery Manager(RMAN)バックアップ・ピースをリストおよび削除する場合に使用できます。バックアップ・ピースは、Oracle固有形式の物理的ファイルです。RMANバックアップ・ピースはバックアップ・イメージとしてテープに作成されます。
obtoolユーティリティには、次のバックアップ・ピース用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、バックアップ・ウィンドウを構成する場合に使用できます。バックアップ・ウィンドウとは、スケジュール済バックアップを実行する期間を定義するものです。すべての平日(デフォルトのバックアップ・ウィンドウ)に適用する単一バックアップ・ウィンドウを指定するか、または特定の日数または日付に基づいてバックアップ・ウィンドウを微調整できます。
注意: バックアップ・ウィンドウを指定しないと、スケジュール済バックアップは実行されません。デフォルトのバックアップ・ウィンドウは日次で00:00から24:00です。 |
obtoolユーティリティには、次のバックアップ・ウィンドウ用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、Oracle Secure Backupカタログを参照する場合に使用できます。Oracle Secure Backupは、スケジュール済バックアップまたはオンデマンド・バックアップを実行するたびに、バックアップする各ファイルシステム・オブジェクトの名前および属性を記録します。このデータは、管理サーバーのファイルシステムに保存されているリポジトリ(Oracle Secure Backupカタログ)に書き込まれます。管理ドメイン内のクライアントごとに個別のバックアップ・カタログが保持されます。
バックアップ・カタログを参照すると、データが、バックアップ元となったクライアントで表示されているものと同じファイルシステム・ツリーの形式で表示されます。たとえば、myhostにある/home/myfile.f
ファイルをバックアップすると、myhostのバックアップ・カタログには、バックアップ・イメージのコンテンツが/home/myfile.f
と表示されます。
バックアップ・カタログ内のファイルシステムのルートには、最上位のファイルシステム・レベルから保存されたすべてのファイルおよびディレクトリが含まれるスーパー・ディレクトリが表示されます。スーパー・ディレクトリは、バックアップ・カタログに保存されている、すべてのトップレベルのファイルシステム・オブジェクトにアクセスする開始ポイントとなります。
obtoolユーティリティには、次の参照用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、チェックポイントをリストおよび削除する場合に使用できます。チェックポイントとは、ネットワーク接続ストレージ(NAS)への再開可能バックアップ中に定期的に作成される位置マーカーで、中断されたバックアップが戻って再開できるテープ上の位置です。
バックアップは、次の条件を満たしている場合に再開可能です。
バックアップ・クライアントが、Data ONTAP 6.4以上を実行するNetwork Appliance Filerである。
バックアップ・イメージが、ネットワーク・データ管理プロトコル(NDMP)サーバーのバージョン3以上で制御されるテープ・ドライブに保存される。
restartablebackups操作ポリシーが有効である。
バックアップが、再開できるポイントの1つにまで到達済である。
各バックアップ・ジョブの開始時に、Oracle Secure Backupは、バックアップを途中から再開できるかを自動的に判定します。再開できる場合は、後でバックアップの再開に使用できるチェックポイントが定期的に設定されます。チェックポイントが新たに記録されるたびに、直前のチェックポイントが破棄されます。チェックポイントの動作を制御するには、fullbackupcheckpointfrequency、incrbackupcheckpointfrequencyおよびmaxcheckpointrestarts操作ポリシーを使用します。
obtoolユーティリティには、次のチェックポイント用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、クラスを構成する場合に使用できます。クラスとは、Oracle Secure Backupユーザーに付与される一連の権限を定義するものです。クラスには複数のユーザーを割り当てることができますが、各ユーザーは1つのクラスのみのメンバーになります。クラスはUNIXのグループに似ていますが、クラスでは、Oracle Secure Backupの要件に合うように調整された、より詳細なアクセス権が定義されます。
Oracle Secure Backupでは、自動的に複数のクラスが事前定義されます(詳細は付録7「クラスおよび権限」を参照)。これらのクラスに対しては、ユーザー定義クラスに対するのと同様の操作を実行できます。
obtoolユーティリティには、次のクラス用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、Oracle Secure Backupデーモンを構成する場合に使用できます。デーモンとは、バックグラウンドで稼働し、事前定義された時刻に、または特定のイベントに応じて、指定の操作を実行するプロセスまたはサービスです。
obtoolユーティリティには、次のデーモン用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、Oracle構成データを管理する場合に使用できます。
Oracle構成データはデータベース・バックアップ記憶域セレクタに保存されます。記憶域セレクタの作成、命名、変更は、構成の変更権のあるクラスに属するOracle Secure Backupユーザーによって行われます。ホスト、テープ・デバイスおよびユーザーなどの他の構成オブジェクトと同様に、記憶域セレクタは管理サーバーに保存されます。
記憶域セレクタにより、Oracle Secure Backupユーザーはデータベース・バックアップ操作を詳細に制御できます。Oracle Secure Backupでは、記憶域セレクタ内にカプセル化されている情報を使用して、Recovery Manager(RMAN)とやりとりします。付録C「RMANメディア管理パラメータ」の説明にあるように、RMANにメディア管理パラメータを指定することで、記憶域セレクタを上書きすることができます。
obtoolユーティリティには、次のOracle構成コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、Oracle Secure Backupデータセットを作成および構成する場合に使用できます。データセット・ファイルとは、Oracle Secure Backupのバックアップ対象となるホストおよびパスを記述する編集可能なファイルです。
データセット・ファイルは、管理サーバーのファイルシステム上で保存および管理されます。WindowsおよびUNIXのファイルシステムと同様に、Oracle Secure Backupのデータセットは、ネーミング・ツリー内に編成されます。必要に応じてデータセット・ディレクトリを作成することで、データ定義を編成することができます。ディレクトリをネストできる最深レベルは10個です。
データセット・ファイルのサンプルは、Oracle Secure Backupホームのsamplesサブディレクトリにあります。データセットを定義し始める前にこれらのデータセット・ファイルを参照することで、独自のデータセットの構成計画を決定する方法がわかります。
データセットの詳細は、『Oracle Secure Backup管理者ガイド』を参照してください。
obtoolユーティリティには、次のデータセット用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、テープ・デバイスをOracle Secure Backupで使用するために構成する場合に使用できます。テープ・デバイスとは、ユーザー定義のデバイス名によって識別されるテープ・ドライブまたはテープ・ライブラリです。
obtoolユーティリティには、次のデバイス用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、オンデマンドでボリュームを複製する場合に使用できます。
obtoolユーティリティには、次のオンデマンド複製用コマンドが用意されています。
lsfsコマンドは、ネットワーク・データ管理プロトコル(NDMP)でアクセスされるネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイス上のファイルシステムをリストする場合に使用できます。
このカテゴリのコマンドは、1つ以上のホストを構成する場合に使用できます。ホストとは、Oracle Secure Backup管理サーバー・ネットワークでTCP/IP (Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を介してアクセス可能なコンピュータです。ホストは、ホスト名とIPアドレスのペアで識別されます。
obtoolユーティリティには、次のホスト用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、backupまたはrestoreコマンドで定義したバックアップまたはリストア操作のジョブを管理する場合に使用できます。
obtoolユーティリティには、次のジョブ用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、テープ・ライブラリのコンテンツを管理する場合に使用できます。テープ・ライブラリとは、Small Computer System Interface(SCSI)コマンドを受け入れて保管場所とテープ・ドライブの間でメディアを移動するメディア・チェンジャです。
大部分のテープ・ライブラリ用コマンドでは、リクエストされた操作に応じて、--library/-L
または--drive/-D
オプションを使用できます。これらのオプションは次の方法で対話します。
コマンドにテープ・ライブラリを指定する必要がある場合、テープ・ライブラリはテープ・ドライブのアイデンティティにより一意に識別されるため、指定するのはテープ・ライブラリまたはテープ・ドライブのいずれでもかまいません。
コマンドにテープ・ドライブを指定する必要がある場合、テープ・ライブラリ名ではテープ・ドライブを一意に識別するには不十分な場合があるため、必ずテープ・ドライブを指定します。
テープ・ライブラリおよびテープ・ドライブを指定しない場合は、libraryおよびdrive変数が使用されます(付録4「obtoolの変数」を参照)。
obtoolユーティリティには、次のテープ・ライブラリ用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、メディア・ファミリを構成する場合に使用できます。メディア・ファミリとは、次の特性を共有するバックアップ・ボリュームの、名前付きの分類です。
書込みウィンドウおよび有効期限ポリシーを使用することで、テープのリサイクルを制御できます。これらの設定のデフォルトでは、テープに無期限に書き込め、テープを無期限に保存できます。制限を設定すると、事前に定義した間隔でテープを自動的に上書きできるようになります。
Oracle Secure Backupは、RMAN-DEFAULT
という名前のコンテンツ管理されたデフォルトのメディア・ファミリとともにインストールされます。Recovery Manager (RMAN)ジョブにメディア・ファミリが未指定で、一致するバックアップ記憶域セレクタが存在しない場合、RMANではRMAN-DEFAULT
が使用されます。このデフォルトのメディア・ファミリは削除も名前変更もできませんが、指定した属性をchmf
で変更することはできます。
obtoolユーティリティには、次のメディア・ファミリ用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、ポリシーを作成および管理する場合に使用できます。Oracle Secure Backupのデフォルトおよびポリシーは、管理ドメイン内でのOracle Secure Backupの動作を制御する構成データです。ポリシーを使用することで、Oracle Secure Backupの多数の特性を調整できます。ポリシーおよびポリシー・クラスの詳細なリストは、付録6「デフォルトおよびポリシー」を参照してください。
ポリシー・クラスとはポリシーをグループ化したものです。各ポリシー・クラスには、特定分野のOracle Secure Backup操作を記述したポリシーが含まれます。クラスおよびポリシーのリストを表示するには、lspコマンドを使用します。
obtoolユーティリティには、次のポリシー用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、優先ネットワーク・インタフェース(PNI)を構成する場合に使用できます。ネットワークでは、クライアントとそのクライアントのかわりに操作を実行するサーバーとの間に複数の物理接続を保持できます。たとえば、2つのホストの間で、イーサネット接続と光ファイバ分散データ・インタフェース(FDDI)接続の両方を使用できます。PNIコマンドは、各クライアントにデータを送信するサーバーのネットワーク・インタフェースを指定する場合に使用できます。
ネットワーク・ロード・バランシングでは、使用可能なすべてのネットワーク・インタフェースにデータ転送負荷を分散することにより、ネットワーク・インタフェースの利用を最適化します。PNIが構成されると、ロード・バランシングは無効になり、PNIが優先されます。
関連項目: ネットワーク・ロード・バランシングの詳細は、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。 |
obtoolユーティリティには、次のPNI用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、ローテーション・ポリシーを管理する場合に使用できます。
obtoolユーティリティには、次のローテーション・ポリシー用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、ファイルシステム・データをバックアップするタイミングをOracle Secure Backupに指示するバックアップ・スケジュールを構成する場合に使用できます。バックアップ・スケジュールには次を記述します。
バックアップを実行するタイミングを指定するトリガー。バックアップを実行する日時として、特定の曜日、毎月の日付、四半期ごとの日付または1年に1回の日付、および時刻を指定します。
バックアップ対象のデータを記述する各データセット・ファイルの名前。Oracle Secure Backupは、各データセット・ファイル内のホスト名、パス名、除外ルールおよびその他の情報を使用します。
使用するメディア・ファミリの名前。Oracle Secure Backupは、メディア・ファミリを使用して、選択された特性をバックアップに割り当てます。
obtoolユーティリティには、次のスケジュール用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、バックアップ・セクションを管理する場合に使用できます。Oracle Secure Backupは、ファイルシステムまたはデータベースのバックアップ時に、バックアップ・イメージを1つ以上のテープに作成します。バックアップ・セクションとは、1つの物理ボリュームを占有しているバックアップ・イメージを構成する部分のことです。単一ボリューム全体を占有するバックアップ・イメージに含まれるバックアップ・セクションは、1つです。
obtoolユーティリティには、次のスケジュール用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、スナップショットを管理する場合に使用できます。スナップショットとは、ボリュームまたはファイルシステムの整合性のあるコピーです。スナップショットは、Data ONTAP 6.4以上を実行するNetwork Appliance Filerに対してのみサポートされています。
obtoolユーティリティには、次のスナップショット用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、ジョブ・サマリーを構成する場合に使用できます。ジョブ・サマリーとは、バックアップおよびリストア操作が成功したかどうかを示すために生成されるテキスト・ファイル形式のレポートです。ジョブ・サマリー・スケジュールは、Oracle Secure Backupがジョブ・サマリーを生成するためのユーザー定義のスケジュールです。
Oracle Secure Backupは、バックアップおよびリストア・ジョブのステータスを列挙したジョブ・サマリーを生成し、電子メールで送信できます。これらのサマリーを1つ以上生成するようにOracle Secure Backupを構成できます。サマリーごとに次を選択できます。
Oracle Secure Backupがサマリーを作成するスケジュール
サマリーが対象とする期間の開始時間(終了時間は常にサマリー生成時間になります)
サマリーの電子メール送信先とするOracle Secure Backupユーザー
各ジョブ・サマリーには次のセクションがあります。
保留中のジョブ
準備完了および実行中のジョブ
成功したジョブ
失敗したジョブ
obtoolユーティリティには、次のジョブ・サマリー用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、Oracle Secure BackupにログインしてOracle Secure Backupを使用できるようにOracle Secure Backupユーザー・アカウントを構成する場合に使用できます。Oracle Secure Backupユーザーを構成するには、管理ドメインの構成の変更(modify administrative domain's configuration)権のあるクラスに属している必要があります。
obtoolユーティリティには、次のユーザー用コマンドが用意されています。
このカテゴリのコマンドは、メディア・ライフサイクル管理の一環としてボリューム・ローテーションを管理する場合に使用できます。
obtoolユーティリティには、次のボリューム・ローテーション用コマンドが用意されています。
この項では、このマニュアルのobtoolコマンドの構文図とコード例で使用される表記規則について説明します。この項の内容は次のとおりです。
構文図は、Oracle Secure Backupコマンドに正当な構文を示します。構文図は、等幅(固定幅)フォントで表示され、次の例で示すヘッダーがその前に置かれます。
clean::=
clean [ --drive/-D drivename ] [ --force/-f ] [ --use/-u element-spec ]
次の表は、構文図に使用される印刷上の表記規則です。
規則 | 意味 | 例 |
---|---|---|
[ ] |
大カッコにはオプションの項目が囲まれています。ここから0または1つのオプションを選択することができます。
見やすくするため、開始の大カッコの後と終了の大カッコの前にはスペースが挿入されています。コマンド・オプションに続く、カンマで区切ったトークンのリストは、文字列全体が引用符で囲まれていないかぎり、スペースで分離することはできません。 |
cancel•job [ --quiet/-q | --verbose/-v ] [ --tag/-t tag[,tag]... ] |
{ } |
中カッコは必須の項目であり、囲まれた値の1つを選択する必要があります。各値は縦線(|)で分離されます。
見やすくするため、開始の中カッコの後と終了の中カッコの前にはスペースが挿入されています。コマンド・オプションに続く、カンマで区切ったトークンのリストは、文字列全体が引用符で囲まれていないかぎり、スペースで分離することはできません。 |
disc•overdev { --host/-h hostname }... { * | dbname[,dbname]... } |
| |
縦線は、大カッコまたは中カッコ内に2つ以上のオプションの選択肢があることを表します。正確に1つのオプションのみを選択してください。 |
ls [ --long/-l | --short/-s ] |
--text/-text |
スラッシュは、2つのフラグを分離するもので、それぞれの前に1つまたは2つのダッシュが置かれ、意味的に同等なオプションの二者択一を示します。たとえば、--in/-i は、--in と-i のいずれかのフラグの選択を表します。 |
[ --level/-l backup-level ]
|
... |
省略記号を表す水平に並んだ点は、先行する構文の項目を繰り返して使用できることを示しています。カンマで区切られた項目間にスペースは許されません。 |
sho•w [ variable-name ]...
|
• |
コマンド構文内の黒丸は、この黒丸と末尾の余白との間の文字を便宜上省略できることを示します。 |
inv•entory |
Italics
|
イタリック体のテキストは、プレースホルダまたは変数を示しており、ここに特定の値を入力する必要があります。 |
chkds dataset-file-name ...
|
コード例は、Oracle Secure Backupのコマンドライン文を示しています。これらは、この例で示すように等幅(固定幅)フォントで表示され、通常のテキストと分離されています。
ob> backup --dataset homedir.ds --go
次の表は、例で使用される印刷上の表記規則について説明しています。
規則 | 意味 | 例 |
---|---|---|
courier |
クーリエ体は、コマンドライン入力、システム出力の表示、入力するオプションと引数、実行可能ファイル、ファイル名、およびディレクトリ名を示します。 |
ob> cdds /mydatasets |
Bold
|
太字体は、例の中でユーザー入力とコマンド出力の見分けがつかない場合にユーザー入力を識別するものです。 |
ob> mkds --nq --input mydataset.ds Input the new dataset contents. Terminate with an EOF or a line containing just a dot ("."). include host brhost2 include path /home . |
. . . |
例の中の省略記号を表す垂直に並んだ点は、例に直接関連しない情報が省略されていることを示します。 |
ob> lsvol --library lib1 Inventory of library lib1: . . . in dte: vacant |