1 JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計の概要

この章には次のトピックがあります。

1.1 JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計の概要

この製品ガイドでは、JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計(PGCA)システムのプログラムおよび機能を使用して、米国連邦政府との契約および複雑な商業契約を設定および管理する方法について説明します。これらのプログラムおよび機能のほとんどを使用するには、請求固定情報プログラム(P48091)で「米国公共事業契約勘定使用」チェックボックスを選択する必要があります。

契約の管理には、複数のJD Edwards EnterpriseOneシステムからの取引の請求および収益の認識が含まれます。たとえば、従業員の作業時間や契約に使用する資材について請求します。このため、多くのJD Edwards EnterpriseOneシステムには、PGCAをサポートするプログラムまたは機能が含まれます。この製品ガイドには、次のJD Edwards EnterpriseOneシステムがPGCAをどのようにサポートするかを説明する章もあります。

  • 契約/サービス請求管理

  • 外注管理および調達管理

  • Payrollおよび勤務管理

  • 一般会計

  • 経費精算管理

注意:

これらのJD Edwards EnterpriseOneシステムの章は概要であり、基本機能の詳細は説明しません。これらのシステムの詳細は、それぞれの製品ガイドに記載されています。この製品ガイドを使用する前に、これらのシステムの基本機能についてよく理解しておく必要があります。

1.1.1 商業契約でのPGCA

JD Edwards EnterpriseOne PGCAシステムのプログラムの多くは米国連邦政府との契約の要件を満たすように設計されていますが、商業契約を行う企業でもこれらを利用できます。JD Edwards EnterpriseOne PGCAシステムでは、プロジェクトベースの組織が複雑で高度な契約を設定および管理できます。このシステムのプログラムを使用して、幅広い契約条件に対応するために様々な方法で追跡、格納、レポートおよび請求する契約を設定できます。

1.1.2 米国連邦政府契約でのPGCA

米国連邦政府によるサービスの実行をサポートすることが主な目的の企業が非常に多く存在します。これらの企業は、公共事業契約を重要または単一の収入源としています。

米国連邦政府との契約は、通常は特定の金額または定義済の見積金額で落札される長期契約であり、これらの金額になるように契約を管理する必要があります。米国政府には、請負業者が契約を落札し、作業の資金を受け取り、契約を管理するために満たす必要のある特定の要件があります。最終的に、これらの要件は原価管理と請求決済が中心になります。

政府の請負業者は契約の階層を定義できる必要があり、JD Edwards EnterpriseOneシステムで階層を考慮する必要があります。公共事業契約の性質は複雑であるため、階層の定義によって請求書作成、収益認識および原価計算アクティビティが容易になります。また、厳しい行政規則がすべての契約に適用されるため、コンプライアンスも容易になります。

この製品ガイドでは、米国連邦政府との契約に関連するドキュメントで使用されている用語が頻繁に使用されます。次の表に、この製品ガイド全体でよく使用される用語を示します。

用語
説明
連邦調達規定(FAR) FARは、連邦調達規定システムの指示を提供し、すべての執行機関が供給およびサービスを獲得する際に従う必要のあるポリシーを確立します。公共事業契約の作業および予算を設定する際に、作業について追跡する費用がFAR非許容かどうかを指定できます。

参照

施設資本 - 資本コスト(FCCM) FCCMは、企業が施設資本に投資した財務リソースの帰属原価です。通常、施設資本は資産、事業所、施設および事業の運営で使用される特定の無形資産の帳簿価格として定義され、営業資本を含みません。金利は、原価計算基準414の対象となる米国公共事業契約の許容間接費です。契約に配賦できる合計金利は、米国債で発行された利率に企業の固定資産の平均帳簿価格を乗算することで計算されます。

注意: これは、直接費または間接費とみなされず、直接費および間接費が決定された後で計算される個別原価とみなされます。

予算科目符号参照番号(ACRN) ACRNは、契約の資金源のインディケータです。ACRNは、顧客の資金調達を追跡する際に使用します。契約でACRNを使用する場合、ACRN情報を請求書とともに印刷して、累計および現行を基準として作業に対して支払われる資金を示す必要があります。
原価加算 原価加算は、請負業者が許容される配賦可能な原価に加えて事前定義の方法に基づく収益を払い戻される契約のタイプです。収益計算の方法は、原価加算契約ごとに異なります。原価払戻契約(原価加算)、特に固定手数料(収益計算方法のタイプの1つ)のある契約は、政府が指定された上限まで合理的で許容される原価を払い戻すことを契約するため、リスクの大部分が政府にシフトされます。請負業者は、契約の資金調達原価を超える原価を負担する必要がありません。原価加算の固定手数料部分は、他のすべての契約条件が満たされたことを想定して適用されます。

1.2 JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計のビジネス・プロセス

次のプロセス・フローは、JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計のビジネス・プロセスを表しています。

図 1-1 プロジェクト/公共事業契約会計のビジネス・プロセス・フロー

図 1-1 の説明は次にあります
次の説明: "図 1-1 プロジェクト/公共事業契約会計のビジネス・プロセス・フロー"

1.3 JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計の統合

JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計は、次に示すOracleのJD Edwards EnterpriseOneシステムと統合されています。

  • 住所録

  • 契約請求

  • サービス請求管理

  • 調達管理

  • 外注管理

  • 一般会計

  • 買掛管理

  • 売掛管理

  • 経費精算管理

  • 作業原価

  • 勤務管理

  • Payroll

1.3.1 JD Edwards EnterpriseOne住所録

JD Edwards EnterpriseOne住所録システムでは、契約を結ぶ政府機関およびその他の顧客の顧客マスター・レコードを設定できます。契約の資材を提供し作業を実行する仕入先および外注業者の仕入先マスター・レコードおよび内部従業員の従業員レコードも設定します。

1.3.2 JD Edwards EnterpriseOne契約/サービス請求管理

PGCA契約の請求を処理し収益を認識するには、仕訳の生成(R48132)、ワークファイルの生成(R48120)、請求書の生成(R52121)、契約請求行詳細(P5202)プログラムなど、JD Edwards EnterpriseOne契約/サービス請求管理システムの既存の多くのプログラムを使用します。

1.3.3 JD Edwards EnterpriseOne調達管理

JD Edwards EnterpriseOne調達管理システムを使用して、契約の資材の購買オーダーを入力します。購買オーダーは、総勘定元帳に転記する伝票と照合されます。ワークファイルの生成プログラム(R48120)を実行すると、資材の原価を請求できるように購買オーダー取引の請求明細ワークファイル・テーブル(F4812)にレコードが作成されます。

1.3.4 JD Edwards EnterpriseOne外注管理

企業が外注労務を使用して契約の作業を実行する場合は、JD Edwards EnterpriseOne外注管理システムを使用して外注オーダーを入力します。外注オーダーは伝票と照合され、これらを総勘定元帳に転記します。R48120プログラムを実行すると、外注労務を請求できるように外注オーダーのF4812テーブルにレコードが作成されます。

1.3.5 JD Edwards EnterpriseOne一般会計

JD Edwards EnterpriseOne一般会計システムには、様々なJD Edwards EnterpriseOneシステムからの取引を格納する取引明細テーブル(F0911)が含まれます。R48120プログラムを実行すると、F0911テーブルの取引を使用してF4812テーブルが作成されます。

ビジネス慣習に間接費処理および遡及調整が含まれる場合は、JD Edwards EnterpriseOne一般会計システムを使用して間接費レートを設定し、間接費取引を作成し、訴求調整を処理し、実績レートを計算します。

1.3.6 JD Edwards EnterpriseOne買掛管理

JD Edwards EnterpriseOne買掛管理システムを使用して、契約の資材および外注労務の伝票の処理および支払を行います。伝票を総勘定元帳に転記すると、R48120プログラムによってそれらがF4812テーブルに含められるため、資材と外注労務を請求できます。

1.3.7 JD Edwards EnterpriseOne売掛管理

契約の請求書を生成した後で、JD Edwards EnterpriseOne売掛管理システムに、顧客に請求した金額の請求書レコードを作成します。その後、顧客が請求書の支払を行ったときに入金を請求書に消し込むことができます。

1.3.8 JD Edwards EnterpriseOne経費精算管理

JD Edwards EnterpriseOne経費生産管理システムを使用して、契約の作業の一部として出張する従業員の経費を記録します。従業員の出張経費を顧客に請求できるように経費がF4812テーブルに含められます。

1.3.9 JD Edwards EnterpriseOne作業原価

JD Edwards EnterpriseOne作業原価システムに作業マスター・レコードを設定して、契約の経費を追跡します。PGCA契約に使用する作業マスター・タイプを識別できます。これらの作業マスター・レコードについて、作業マスター・レコードに資金調達契約番号を入力する必要があります。

1.3.10 JD Edwards EnterpriseOne Payrollおよび勤務管理

JD Edwards EnterpriseOne勤務管理システムを使用して、従業員が契約で作業する時間を記録し、JD Edwards EnterpriseOne Payrollシステムを使用して、契約で作業した時間について従業員に支払います。Payroll取引は総勘定元帳に転記され、従業員が契約について作業した時間について顧客に請求できるように取引がR48120プログラムによってF4812テーブルに追加されます。

1.4 JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計の導入

ここでは、JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計を導入するために必要な手順の概要を説明します。

導入の計画段階では、インストール・ガイドやトラブルシューティング情報など、JD Edwards EnterpriseOneに関して提供されるすべての情報を活用してください。

JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計について、どのESU(電子ソフトウェア更新)をインストールするかを決める際は、EnterpriseOne and World Change Assistantを使用します。JavaベースのツールであるEnterpriseOne and World Change Assistantを使用すると、必要となるESUを検索してダウンロードするためにかかる時間を75%以上削減でき、複数のESUを一度にインストールすることも可能です。

『JD Edwards EnterpriseOne Tools Software Updates Guide』を参照してください。

1.4.1 JD Edwards EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計のグローバル導入手順

JD Edward EnterpriseOneプロジェクト/公共事業契約会計の推奨導入手順。

  1. 会計期間パターン、会社およびビジネスユニットを設定します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications Financial Managementの基礎製品ガイド』の「組織の設定」を参照してください。

  2. 勘定科目表を作成し、勘定科目と補助元帳を設定します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications Financial Managementの基礎製品ガイド』の「勘定科目表の作成」を参照してください。

  3. 多通貨処理を設定します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications多通貨処理製品ガイド』の「多通貨設定について」を参照してください。

  4. 事業所固定情報、デフォルト事業所およびプリンタ、製造および流通AAI(自動仕訳)、伝票タイプなどの在庫情報を設定します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications在庫管理製品ガイド』の「在庫管理システムの設定」を参照してください。

1.4.2 JD Edwards EnterpriseOne PGCAの導入手順

JD Edwards EnterpriseOne PCGAのアプリケーション別の推奨導入手順。

  1. サービス請求固定情報を設定します。

    JD Edwards EnterpriseOne PGCAのサービス請求固定情報の設定」を参照してください。

  2. ビジネスユニット・タイプを設定します。

    PGCA作業のビジネスユニット・タイプの設定」を参照してください。

  3. 請求料金/割増規則、税決定規則、相手勘定/留保金規則、請求管理システムのAAIおよび追加料金規則を設定します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications契約/サービス請求管理請求ガイド』の「テーブル情報の設定」を参照してください。

  4. JD Edwards EnterpriseOne PGCAのユーザー定義コードを設定します。

    JD Edwards EnterpriseOne PGCAのユーザー定義コードの設定」を参照してください。

  5. 間接費を設定します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications一般会計製品ガイド』の「間接費の設定」を参照してください。

  6. PGCA契約の請求書スタイルを設定します。

    PGCA契約の請求書印刷スタイルの設定」を参照してください。