Oracle RAC のサポート の調整

Oracle RAC のサポート データサービスを調整するには、このデータサービスのリソースの拡張プロパティーを変更します。これらの拡張プロパティーの詳細については、付録 C Oracle RAC のサポートの拡張プロパティーを参照してください。通常は、clresource(1CL) コマンドの -p プロパティー=値 オプションを使用して、Oracle RAC のサポート リソースの拡張プロパティーを設定します。『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の第 2 章「Administering Data Service Resources」に記載された手順に従って、あとでリソースを構成することもできます。

このセクションでは、Oracle RAC のサポート データサービスの調整に関する次の情報について説明します。

• 「タイムアウト設定のガイドライン」

• 「SPARC: UDLM の通信ポート範囲設定のガイドライン」

• 「リソースが無効な場合にのみ調整可能な拡張プロパティーを変更する方法」

タイムアウト設定のガイドライン

DataServiceName; の多くの拡張プロパティーでは、再構成処理の手順にタイムアウトが指定されています。これらのタイムアウトの最適値の大半は、クラスタの構成とは無関係です。したがって、タイムアウトをデフォルト値からの変更する必要はありません。

クラスタ構成によって異なるタイムアウトについては、このあとの各サブセクションで説明します。再構成処理中にタイムアウトが発生する場合は、クラスタ構成に合わせてこれらのタイムアウトプロパティーの値を増やします。

このセクションでは、次のタイムアウトについて説明します。

• 「SPARC: VxVM コンポーネントの再構成ステップ 4 のタイムアウト」

• 「予約ステップのタイムアウト」

SPARC: VxVM コンポーネントの再構成ステップ 4 のタイムアウト

Oracle RAC のサポートの VxVM コンポーネントの再構成のステップ 4 に必要な時間は、Veritas 共有ディスクグループ構成のサイズと複雑さに影響されます。Veritas 共有ディスクグループ構成が大きい場合や複雑な場合に、VxVM コンポーネントの再構成がタイムアウトするときは、VxVM コンポーネントの再構成のステップ 4 のタイムアウトを増やします。

VxVM コンポーネントの再構成のステップ 4 のタイムアウトを増やすには、SUNW.rac_cvm リソースの Cvm_step4_timeout 拡張プロパティーの値を増やします。

詳細は、「SPARC: SUNW.rac_cvm の拡張プロパティー」を参照してください。

例 5-1 VxVM コンポーネントの再構成ステップ 4 のタイムアウトの設定

# clresource set -p cvm_step4_timeout=1200 rac-cvm-rs

この例では、VxVM コンポーネントの再構成のステップ 4 のタイムアウト値を 1200 秒に設定します。この例では、VxVM コンポーネントが、rac-cvm-rs という名前の SUNW.rac_cvm リソースタイプのインスタンスで表されるものと想定しています。

予約ステップのタイムアウト

予約コマンドを実行するために必要な時間は次の要因に影響されます。

• クラスタ内の共有物理ディスクの数

• クラスタ上の負荷

クラスタ内の共有物理ディスクの数が多い場合、またはクラスタの負荷が大きい場合、Oracle RAC のサポート の再構成がタイムアウトする可能性があります。このようなタイムアウトが発生する場合は、予約ステップのタイムアウト値を増やしてください。

予約ステップのタイムアウト値を増やすには、SUNW.rac_framework リソースの Reservation_timeout 拡張プロパティーを増やします。

詳細については、「SUNW.rac_framework 拡張プロパティー」を参照してください。

例 5-2 予約ステップのタイムアウトの設定

# clresource set -p reservation_timeout=350 rac-framework-rs

この例では、Oracle RAC のサポート の再構成の予約ステップのタイムアウト値を 350 秒に設定します。この例では、Oracle RAC フレームワークコンポーネントが、rac-frameowrk-rs という名前の SUNW.rac_framework リソースタイプのインスタンスで表されるものと想定しています。

SPARC: UDLM の通信ポート範囲設定のガイドライン

クラスタノード上の UDLM 以外のアプリケーションが、UDLM の範囲と競合する通信ポートの範囲を使用する場合があります。そのような競合が発生した場合は、UDLM が使用する通信ポートの範囲を変更します。

UDLM が使用する通信ポートの範囲は、SUNW.rac_udlm リソースタイプの次の拡張プロパティーの値によって決まります。

• Port。UDLM が使用する通信ポート番号を指定します。UDLM が使用する通信ポート番号の範囲の最初の番号は、Port の値です。

• Num_ports。UDLM が使用する通信ポートの数を指定します。UDLM が使用する通信ポート番号の範囲の最後の番号は、Port の値と Num_ports の値の合計です。

詳細は、「SPARC: SUNW.rac_udlm の拡張プロパティー」を参照してください。

例 5-3 UDLM の通信ポート番号の設定

# clresource set -p port=7000 rac-udlm-rs

この例では、UDLM が使用する通信ポート番号を 7000 に設定します。この例では、次のように想定しています。

• UDLM コンポーネントは、rac-udlm-rs という名前の SUNW.rac_udlm リソースタイプのインスタンスで表されます。

• この例のコマンドは、無効な場合にのみ調整可能な拡張プロパティーの変更手順の一部として実行されます。詳細は、「リソースが無効な場合にのみ調整可能な拡張プロパティーを変更する方法」を参照してください。

リソースが無効な場合にのみ調整可能な拡張プロパティーを変更する方法

リソースが無効な場合にのみ調整可能な拡張プロパティーを変更できる状況では、制限が適用されます。それらの状況は、次のように、リソースタイプによって異なります。

• SPARC: SUNW.rac_udlm – UDLM がどのクラスタノードでも実行されていない場合のみ

• SPARC: SUNW.rac_cvm – VxVM がどのクラスタノードでもクラスタモードで実行されていない場合のみ

1. Oracle RAC フレームワークリソースグループに含まれる各リソースを無効にし、Oracle RAC フレームワークリソースグループを UNMANAGED 状態にします。

   Oracle RAC フレームワークリソースグループに含まれるほかのすべてのリソースを無効にしたあとでのみ、SUNW.rac_framework リソースのインスタンスを無効にします。Oracle RAC フレームワークリソースグループのほかのリソースは、SUNW.rac_framework リソースに依存します。

   詳細な手順については、『Oracle Solaris Cluster Data Services Planning and Administration Guide』の「Disabling Resources and Moving Their Resource Group Into the UNMANAGED State」を参照してください。

2. Oracle RAC フレームワークリソースグループのノードリストにあるすべてのノードをリブートします。
3. clresource コマンドを使用して、プロパティーを新しい値に設定します。

   # clresource set -p property=value resource

   property

   変更するプロパティーの名前を指定します。

   value

   プロパティーの新しい値。

   resource

   拡張プロパティーを変更するリソースの名前を指定します。このリソースが clsetup ユーティリティーを使用して作成された場合、「Oracle Solaris Cluster オブジェクトの自動的に生成された名前」に示すように、名前はリソースタイプに依存します。

4. Oracle RAC フレームワークリソースグループとそのリソースをオンラインにします。

   # clresourcegroup online resource-group

   resource-group

   MANAGED 状態に移行してオンラインにする、Oracle RAC フレームワークリソースグループの名前を指定します。このリソースグループが clsetup ユーティリティーを使用して作成された場合、リソースグループの名前は rac-framework-rg です。