Essbaseデータへのオブジェクトのリンク

この項の内容:

LROの理解

LROのタイプとデータ・セルの理解

LROへの権限の設定

LROの表示と削除

LROのエクスポートとインポート

ストレージ保持のためのLROファイル・サイズの制限

この章の情報は、ブロック・ストレージ・データベースのみに適用され、集約ストレージ・データベースとは関係がありません。集約ストレージとブロック・ストレージの比較。も参照してください。

LROの理解

リンク・レポート・オブジェクト(LRO)を使用して、様々な種類のデータをEssbaseデータベース内のセルとリンクできます。この機能は、電子メールにファイルを添付することに似ています。LROにより、プランニング・アプリケーションとレポート・アプリケーションに対するサポートが改善され、データ分析機能を向上できます。

LROは、Essbaseデータベース内の特定のデータ・セルに関連付けるオブジェクト(アーチファクト)です。ユーザーは、Smart Viewを使用して、リンク・オブジェクトを作成、取得および編集します。セルにリンクできるオブジェクトの数は無制限です。オブジェクトはEssbaseサーバーに保管され、Essbaseサーバーでは、適切なアクセス権を持つユーザーがそのオブジェクトを使用できます。表28で説明しているリンク・オブジェクトのタイプの最大サイズは、制限。を参照してください。

表 28. リンク・オブジェクトのタイプ

オブジェクト・タイプ

説明

セル・ノート

テキスト注釈

ファイル

Microsoft Word文書、Excelスプレッドシート、スキャン・イメージ、オーディオ・クリップおよびHTMLファイル(たとえばmypage.htm)などの外部ファイル。

URL

例:

                     http://www.oracle.com
                  

                     ftp://ftp.oracle.com
                  

リンク・パーティション

別のEssbaseデータベースにリンク可能なデータ・セルのセット。

たとえば、販売管理者が最近更新した予算アイテムにセル・ノートを添付するとします。財務管理者は、この四半期の成績の補足データを含むスプレッドシートをリンクします。製品管理者は、新製品のビットマップ・イメージをリンクします。販売管理者は、Webサイトの情報にすぐにアクセスできるように、会社のWebサイトのURLをリンクします。

LROのタイプとデータ・セルの理解

LROはデータ・セルにリンクしており、セル内に含まれているデータにリンクしているわけではありません。このリンクは、データベース内のメンバーの組合せに基づきます。セルに対するリンクの追加や削除は、セルのコンテンツには影響しません。

ユーザーがセルにオブジェクトをリンクすると、Essbaseによって、オブジェクトのタイプ、最後にオブジェクトを修正したユーザーの名前、オブジェクトの最終更新日などの情報がオブジェクト・カタログに保管されます。

EssbaseでのLROの保管方法は、LROのタイプによって異なります:

  • オブジェクトがセル・ノートである場合、セル・ノートのテキストがオブジェクトの記述のパートとしてカタログ項目に保管されます。

  • オブジェクトがファイルである場合、Essbaseによって、そのファイルのコンテンツはEssbaseサーバーのデータベース・ディレクトリに保管され、そのファイルには.lro拡張子が付けられます。Essbaseでは、リンク・ファイルのデータ・フォーマットに対する制限はなく、ファイルタイプの確認は行われません。Essbaseサーバーからファイルを取得した後のファイルの処理は、ユーザーのクライアント・コンピュータに委ねられます。

  • オブジェクトがURLである場合、Essbaseによって、そのURLはオブジェクト記述の一部としてカタログ項目に保管されます。ユーザーがそのURLを表示しようとすると、Essbaseで、予備的な構文チェックが行われます。その後、デフォルトのWebブラウザでURLの存在が確認されます。

  • オブジェクトがリンク・パーティションである場合は、Essbaseのパーティション化モジュールで使用できます。

LROに関連するタスクを実行する際は、次のことに注意してください:

  • Essbaseでは、リンク・オブジェクトの検索と取得を行うために、データベース・インデックスを使用します。データベースからすべてのデータ値を消去するとインデックスが削除されるため、リンク・オブジェクトへのリンクも削除されます。データベースを再構築すると、インデックスは保持され、リンク・オブジェクトへのリンクも保持されます。

  • 共有メンバーは、データ値は共有しますが、LROは共有しません。これは、LROが特定のメンバーの組合せにリンクされるためです。共有メンバーは同一のメンバーの組合せを持ちません。オブジェクトを共有メンバーにリンクするには、そのオブジェクトを各共有メンバーに個別にリンクします。

  • リンク・オブジェクトに関連付けられたメンバーの組合せは変更できません。オブジェクトを別のメンバーの組合せに移動するには、そのオブジェクトを削除してから、Smart Viewを使用してオブジェクトを目的のメンバーの組合せに再度リンクします。

LROへの権限の設定

クライアント・インタフェースからLROを追加、編集および削除するユーザーは、アクティブなデータベース内で適切なセキュリティ権限を持っている必要があります。オブジェクトがリンク・パーティションである場合は、ユーザーはリンク・パーティションが含まれているデータベース内でも必要な権限を持っている必要があります。表29は、様々なタスクで必要な権限のリストです。

表 29. LROタスクで必要な権限

タスク

権限

リンクしたオブジェクトのデータベースへの追加

読取りと書込み

既存のリンク・オブジェクトの表示

読取り

既存のリンク・オブジェクトの編集

読取りと書込み

リンク・オブジェクトの削除

読取りと書込み

ファイルへのLROカタログのエクスポート

読取り

LROカタログ・ファイルからのLROのインポート

読取りと書込み

データベース内の他のデータへのユーザー・アクセスを変更せずに、ユーザーがファイルをデータ・セルにリンクすることのないように、リンク・ファイルの最大ファイル・サイズを1に設定します。これによってユーザーは、セル・ノートの作成、URLへのリンクまたはリンク・パーティションの表示を行うことはできますが、添付できるのは1KB未満の小さいファイルのみです。

  アプリケーションのLROファイルの最大サイズを設定する方法は、『Oracle Essbase Administration Servicesオンライン・ヘルプ』の「LROファイルのサイズ制限」を参照してください。

LROの表示と削除

ユーザーは、Smart Viewを使用してセル単位でLROを操作します。つまり、ユーザーはセルを選択して、「リンク・レポート・オブジェクト」ダイアログ・ボックスを開きます。このダイアログ・ボックスには、選択したセルにリンクされたオブジェクトが表示されます。Administration Servicesを使用することでLROを表示でき、データベース全体のすべてのLROを削除できます。また、LROをユーザー名や最終変更日などの選択条件に基づいて表示することもできます。たとえば、ある日付より古いオブジェクトをすべて削除したり、会社を退職したユーザーに属するオブジェクトを削除したりできます。

  データベースのリンク・オブジェクトのリストを表示するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

LROの管理

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

query database

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

LISTLINKEDOBJECTS

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

  データベースのリンク・オブジェクトを削除するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

LROの管理

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

alter database

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

PURGELINKEDOBJECTS

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

LROのエクスポートとインポート

バックアップやデータの移行機能を向上させるために、データベース内のデータの交差からLROを一度エクスポートした後、再インポートできます。

  データベースのリンク・オブジェクトをエクスポートおよびインポートするには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

LROのエクスポート

LROのインポート

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

export lro

import lro

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ストレージ保持のためのLROファイル・サイズの制限

Essbaseでは、サーバー上のリポジトリにリンク・ファイルが保管されるため、デフォルトではサイズに制限はありません。ファイル・サイズを制限すると、ユーザーが非常に大きなオブジェクトを保管することによってサーバー・リソースが大量に消費されるのを回避できます。アプリケーションごとに、リンク・ファイルの最大サイズを設定できます。ユーザーが制限より大きいファイルをリンクしようとすると、エラー・メッセージが表示されます。

非常に小さなファイルの場合を除いてユーザーの添付を抑止するには、1を入力します。ファイル・サイズを1にすると、ユーザーは、1KB未満のセル・ノート、URLおよびファイルのみをリンクできます。

注:

最大ファイル・サイズ設定は、リンク・ファイルのみに適用され、セル・ノートやURLには影響しません。セル・ノート、URL、文字列およびLRO記述の長さは固定されています。これらのオブジェクトの最大サイズについては、制限。を参照してください。

  リンク・オブジェクトのサイズを制限するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

LROファイル・サイズの制限

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

alter application

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

SETAPPSTATE

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』