集約ストレージとブロック・ストレージの比較

この項の内容:

はじめに

本質的な相違点

アウトラインに関する相違点

計算に関する相違点

パーティション化に関する相違点

データ・ロードに関する相違点

クエリーに関する相違点

機能に関する相違点

はじめに

Essbaseは、多次元データベースに対するパーシスタンス・メカニズムとして、集約ストレージ・カーネルを備えています。集約ストレージ・データベースにより、データベースの集約時間と次元のスケーラビリティの両面で、劇的な改善が可能になります。集約ストレージ・カーネルはブロック・ストレージ・カーネルに代わるものです。集約ストレージ・データベースは、通常、次のアプリケーションのような、大きな次元性を持つ読取り専用の「ラック・アンド・スタック型」のアプリケーションに対応します:

  • 顧客の分析。あらゆる次元のデータが分析されるため、膨大な顧客数になる可能性があります。

  • 調達の分析。多くのベンダーをまたがって数多くの製品が追跡されます。

  • ロジスティックスの分析。製品の出荷に関して、ほぼリアルタイムの更新が行われます。

サンプル・アプリケーション(ASOsamp)、データ・ファイルおよびルール・ファイルを使用して、集約ストレージの機能を説明します。

集約ストレージ・アプリケーション。概念と設計の点でブロック・ストレージ・アプリケーションとは異なり、ブロック・ストレージ・アプリケーションには適用されない制限があります。次の項で、これらの相違点について説明します。

本質的な相違点

表 191. 集約ストレージとブロック・ストレージの本質的な相違点

本質的な相違点

集約ストレージ

ブロック・ストレージ

ストレージ・カーネル

集約をすばやく行えるアーキテクチャになっており、高い次元性と疎データをサポートするよう最適化されています

密次元と疎次元およびそのメンバーによって複数のブロックが定義され、財務アプリケーションに最適です

物理的なストレージ定義

Administration Servicesの「アプリケーション・プロパティ」ウィンドウの「テーブルスペース」タブ

Administration Servicesの「データベース・プロパティ」ウィンドウの「ストレージ」タブ

データベースの作成

ブロック・ストレージ・アウトラインを移行するか、アプリケーションの作成後に定義します

注:

ファイル・システムを使用して、ブロック・ストレージ・アウトラインを集約ストレージ・アプリケーション内にコピーしないでください。アウトラインを移行するには、Administration Servicesの移行ウィザードを使用してください。

アプリケーションの作成後に定義します

データベースのコピー

サポートされていません

サポートされています

アプリケーションごとにサポートされるデータベースの数

1つ

複数(推奨されるのは1つ)

アプリケーション名とデータベース名

アプリケーションとデータベースの命名規則を参照してください。テーブルスペース用に予約された名前は、アプリケーション名またはデータベース名としては使用できません:

  • デフォルト

  • ログ

  • メタデータ

  • temp

アプリケーションとデータベースの命名規則を参照してください。

アプリケーションおよびデータベースに関する情報の表示

Administration Servicesの「アプリケーション・プロパティ」ウィンドウと「データベース・プロパティ」ウィンドウに表示されます。

集約ストレージ・アプリケーションでサポートされていない情報や関連のない情報は表示されません。集約ストレージ固有の情報の説明は、「アプリケーション・プロパティ」ウィンドウおよび「データベース・プロパティ」ウィンドウでOracle Essbase Administration Services Online Helpを参照してください。

Administration Servicesの「アプリケーション・プロパティ」ウィンドウと「データベース・プロパティ」に表示されます

構成設定(essbase.cfg)

集約ストレージ・データベースに適用される設定のリストは、『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』を参照してください。

ブロック・ストレージ・データベースに適用されない設定のリストは、『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』を参照してください。

アウトラインに関する相違点

表 192. 集約ストレージとブロック・ストレージのアウトラインに関する相違点

アウトラインの機能

集約ストレージ

ブロック・ストレージ

密次元または疎次元の指定

関係しません

関係します

複数階層の有効化、動的階層または保管階層の指定

関係します

無関係です

動的階層の会計次元とメンバー

次の場合を除き、サポートしています:

  • 2パス計算はサポートされません(計算順序の指定の詳細は計算順序を参照)

  • 勘定科目タグが付けられた次元に対する属性次元の関連付けはサポートされません

  • 共有メンバーに対する追加の制限。代替階層を参照してください。

完全サポート

保管階層のメンバー

次の場合を除き、サポートしています:

  • ~ (非集計)演算子(ラベルのみメンバーの下のみ)および+ (加算)演算子

  • 式を持つことはできません

  • ラベルのみメンバーには制限があります(メンバーのストレージ・タイプを参照)。

  • 動的時系列メンバーはサポートされません

  • 保管階層次元は共有メンバーを持つことはできません。複数階層次元内の保管階層は、共有メンバーを持つことができます。保管階層を参照してください。

完全サポート

メンバーのストレージ・タイプ

次の場合を除き、サポートしています:

  • 動的計算および保管は関係しません

  • 保管階層では、ラベルのみメンバーの場合に次の2つの制限が適用されます:

    • ラベルのみメンバーと同じレベルにあるすべての次元メンバーは、ラベルのみである必要があります

    • メンバーの親はラベルのみである必要があります

注:

動的階層では、ラベルのみメンバーのタグを付けることができます

注:

ブロック・ストレージ・データベースからの変換時に、属性次元メンバーに動的計算のタグが付けられます。標準次元メンバーでは、動的計算タグが変換されて保管済メンバーとしてタグ付けされます。これにより、Administration Servicesの「データベース・プロパティ」ウィンドウの「次元」タブにある「保管されたメンバー」の値が変更されます。

属性次元を除き、すべての次元タイプでメンバーのストレージ・タイプをすべてサポートしています

不規則階層および10レベルを超える階層

サポートしていますが、パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります

サポート

アウトラインの検証

  • データベースを開始するとき

  • アウトラインを保存するとき

  • ブロック・ストレージ・アウトラインから集約ストレージ・アウトラインに変換するとき

  • ユーザーが要求したとき

  • アウトラインを保存するとき

  • ユーザーが要求したとき

アウトラインのページング

サポート

サポートしていません

データベースの再構築

再構築のレベル(集約ストレージ・データベースの再構築を参照)

再構築のレベル(データベースの再構築の最適化を参照)

計算に関する相違点

表 193. 集約ストレージとブロック・ストレージの計算に関する相違点

計算の機能

集約ストレージ

ブロック・ストレージ

データベース計算

データベースの集約。これは、集約ビューを定義することで事前に定義できます

計算スクリプトまたはアウトライン集計

次の制限付きで、使用できます:

  • MDXで書かれた有効な数値式である必要があります。%演算子を含めることはできないため、(value1/value2) * 100という式に置換してください

  • Essbaseの計算関数はサポートされていません

  • 動的階層のメンバーの場合は、その他の制限なしに式を使用できます

Essbaseの計算関数がサポートされています

計算スクリプト

サポートされていません

サポートされています

属性計算次元

Sumをサポートしています

Sum、Count、Min、Max、Averageをサポートしています

計算順序

メンバー式の計算順序は、解決順メンバー・プロパティで定義できます

アウトライン集計手順または計算スクリプトでユーザーが定義します

パーティション化に関する相違点

表 194. 集約ストレージとブロック・ストレージのパーティション化に関する相違点

パーティション化機能

集約ストレージ

ブロック・ストレージ

パーティション化

次の制限付きで、サポートしています:

  • アウトラインは同期化されません

完全にサポートしています

データ・ロードに関する相違点

表 195. 集約ストレージとブロック・ストレージのデータ・ロードに関する相違点

データ・ロードの機能

集約ストレージ

ブロック・ストレージ

データ・ロードによるセルのロード

アウトラインの式に値が依存しないレベル0のセルのみをロードします

すべてのレベルのセルをロードできます(動的計算メンバーを除く)

データベース値の更新

データ・ロードの最後に集約が存在する場合、集約内の値は再計算されます

値の自動更新は行われません。データ値を更新するには、必要なすべての計算スクリプトを実行する必要があります。

データ・ロード・バッファ

集約ストレージ・データベースへの複数のデータ・ソースのロードは、一時データ・ロード・バッファによって管理されます

サポートされていません

データベースのコンテンツのアトミックな置換

集約ストレージ・データベースにデータをロードするときは、データベースのコンテンツまたはデータベース内のすべての増分データ・スライスのコンテンツを置換できます

サポートされていません

データ・スライス

集約ストレージ・データベースには、データの複数のスライスを含めることができます。データ・スライスはマージ可能です

サポートされていません

共有メンバーの次元構築

親子の構築方法を完全にサポートしています。重複する世代(DUPGEN)の構築方法は、世代2 (DUPGEN2)までの代替階層の構築に制限されています。

すべての構築方法をサポートしています

日付にマップされたデータのロード

日時次元では、メンバー名ではなく、サポートされている日付フォーマットの文字列を使用して、データをレベル0メンバーにロードできます

日時次元タイプはサポートされません

クエリーに関する相違点

表 196. 集約ストレージとブロック・ストレージのクエリーに関する相違点

クエリーの機能

集約ストレージ

ブロック・ストレージ

レポート・ライター

データの疎および密に関係するコマンドを除き、サポートしています

完全にサポートしています

Smart View

データの変更(ライトバック)を制限付きでサポートしています

完全にサポートしています

API

サポートされています

サポートされています

エクスポート

次の制限付きで、サポートしています:

  • レベル0のデータのみエクスポートされます(上位レベルはエクスポートされません)

  • 縦欄式エクスポートはありません

サポートされています

MDXクエリー

サポートされています

サポートされています

非レベル0のメンバーに関連付けられている属性メンバーのクエリー

非レベル0のメンバーの子孫の値を戻します。

属性クエリーに関する設計時の考慮事項も参照してください。

非レベル0のメンバーの子孫の値として#MISSINGを戻します

属性メンバーと共有メンバーのクエリー

共有メンバーは、対応する非共有メンバーに関連付けられている属性を、自動的に共有します

共有メンバーは、対応する非共有メンバーに関連付けられている属性を共有しません

クエリーのロギング

サポートされていません

サポートされています

クエリー・パフォーマンス

複数階層を持つ次元からデータをクエリーする際の考慮事項。

集約ストレージのクエリーの設計時の考慮事項を参照してください。

階層は関係しません

機能に関する相違点

表 197. 集約ストレージとブロック・ストレージの機能に関する相違点

機能

集約ストレージ

ブロック・ストレージ

別名

サポートされています

サポートされています

通貨換算

サポートされていません

サポートされています

ハイブリッド分析

次の制限付きで、サポートしています: リレーショナル・メンバーと、同じクエリー内の式を持つEssbaseメンバーを含むクエリーは、サポートされていません。

たとえば、「California」がリレーショナル・メンバーで、メンバー「Profit」が式を持っている場合、次のレポート・スクリプトではエラーが戻されます:

                     Jan 
California 
Profit 
!
                  

サポートされています

増分データ・ロード

サポートされています

サポートされています

LRO

サポートされていません

サポートされています

タイム・バランス・レポート

次の制限付きで、サポートしています:

  • ゼロのスキップはサポートされていません

  • 時間次元には、保管階層のみが含まれている必要があります

  • 共有メンバーはレベル0にする必要があります

サポートされています

トリガー

更新完了時トリガーをサポートしています

更新時トリガーおよび更新完了時トリガーをサポートしています

Unicode

サポートされています

サポートされています

差異レポート

サポートされていません

サポートされています

日時次元タイプとリンク属性次元

サポートされています

サポートされていません

ユーザーによるデータの変更(ライトバック)

制限付きのライトバックを使用可能にするために、透過パーティション手法を使用しています

完全にサポートしています