この章では、監視ルールのタイプと、ソフトウェアが監視ルールとポリシーを使用してユーザー・インタフェースでアラートとインシデントを生成する方法について説明します。
次の情報が含まれます。
監視を行うと、管理対象リソースのうち、指定したパラメータの範囲で動作していないコンポーネントや属性が検出されます。リソースとは、Oracle Enterprise Manager Ops Centerによって管理されるアセット(ハードウェア、オペレーティング・システムなど)、グループ、ネットワークまたはライブラリなどの総称です。
監視ルールとポリシーは、監視パラメータを定義し、完全な監視を構成する主要コンポーネントです。次のように定義されます。
監視ルール: アラートの発生条件を定義します。1つ以上のルールをアセットに適用してアセットを監視すると、アセットの動作が、定義したパラメータの範囲から外れたときにアラートを発生させることができます。
監視ポリシー: 特定のアセット・タイプを対象にした監視ルールのセット。デフォルトの監視ポリシーには、監視対象リソースに自動的に適用される一連のルールが設定されています。独自のポリシーを作成し、そのポリシーにルールを定義できます。
監視では、情報を収集するためにエージェント・コントローラを使用するのが一般的です。オペレーティング・システムがエージェントレス管理のシステムの場合は、リモートで監視されます。
表4-1は、監視タスクを完了するために必要なロールを示しています。特定のターゲットまたはターゲットのグループに対する権限を制限できます。タスクを完了するために必要なロールまたは権限がない場合は、管理者に連絡してください。各種ロールおよびロールに付与される権限の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Ops Center管理ガイド』を参照してください。
表4-1 監視のタスクとロール
| タスク | ロール |
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View a monitoring rule |
Read Policy / Plan Administrator |
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View a monitoring policy |
Read Policy / Plan Administrator |
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View the association of an asset and a monitoring policy |
Read Asset Administrator Policy / Plan Administrator |
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View the historical data of a threshold rule |
Read Asset Administrator |
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Create, edit, or delete a monitoring rule |
Fault Administrator |
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Create, copy, extract, edit, and apply a monitoring policy |
Policy / Plan Administrator |
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Modify the monitoring configuration of an asset |
Fault Administrator |
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Delete a monitoring policy |
Policy / Plan Administrator |
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Group assets by monitoring policy |
Asset Administrator |
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Apply a monitoring policy to an asset |
Fault Administrator |
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Apply a monitoring policy to a group |
Asset Administrator and Fault Administrator |
監視ルールには、アセットのアクティビティの値と境界が指定されます。一連のルールは、監視ポリシーと呼ばれます。監視ポリシーをすべてのアセットに適用すると、一貫性が強制的に実施されます。それぞれの監視ポリシーには、しきい値レベルのルールがあります。ハードウェア、オペレーティング・システム、Oracle Solaris Clusterを監視するデフォルトのポリシーはソフトウェアに付属しています。デフォルトのポリシーを使用することはできますが、編集することはできません。監視ルールを編集する場合、または監視ポリシーに追加する場合は、コピーを作成する必要があります。
監視ルールは、アラートの発生条件を定義します。ルールは管理対象リソースのタイプに関連付けられ、それによって決定されます。汎用の監視ルールは各種の属性に適用できますが、他の監視ルールは属性固有で、ドライバにハードコードされているため、削除や再構成はできません。
しきい値を設定すると、属性の既存の履歴データがUIに表示されます。履歴データの分析に基づいてデフォルトのしきい値が提示され、既存のしきい値がその履歴データでバーとして表示される場合もあります。任意のしきい値を入力できます。
管理対象の各リソースには、「Monitoring」タブがあります。リソース監視ルールの追加、編集、有効化、無効化および削除が可能です。特定の管理対象リソースに対するルールをチューニングできます。ただし、特定の管理対象リソースのルールをチューニングすると、リソースが監視ポリシーからデタッチされ、ルールのコピーのみが残ります。ポリシーのルールを変更しても、リソースに関連付けられているルールに対して変更は実行されません。
ルールには、情報レベル、警告、クリティカルの重大度レベルがあります。デフォルト値および重大度レベルはインストール時に設定されますが、組織の必要にあわせてルールを編集できます。ユーザー定義のルールについては、アラート条件が発生した時点から、アラートまたはインシデントが生成されるまでの時間を定義できます。警告またはクリティカルのインシデントが識別されたとき、電子メールまたはページャでメッセージを送信するように、ソフトウェアを構成する機能もあります。
特定のアセットに対するルールは、そのアセットの「Monitoring」タブにあります。これがアセット・ビューです。このタブを表示するには、「Assets」ドローワでアセットをクリックし、中央のペインで「Monitoring」タブまでスクロールします。アセットに適用される監視ポリシーの名前が、監視ルールのグリッドの上部で、ルール番号の隣に表示されます。
特定のポリシーのルールは、「Plan Management」ドローワの「Operational Plans」セクションの「Monitoring Policies」にあります。これがポリシー・ビューです。
ユーザー定義ルールで編集可能なパラメータには次のタイプがあります。ルール・タイプとも呼ばれています。
Threshold: 監視対象の属性に、監視しきい値の上限と下限を設定します。
Boolean Control: 監視対象の属性に、trueまたはfalseの論理演算子を設定します。
Enumerated Control: 監視対象の属性で使用可能な値の中で、特定の値のサブセットを定義する一連の値です。ここで定義された具体的な値のいずれかに属性が一致すると、アラートが発生します。
Expression: 属性に変数、リテラルおよび演算子を定義します。式は、値を返すものを実行する命令です。
すべてのルール・パラメータが変更可能なわけではありませんが、ほとんどのルールには組織の必要にあわせてチューニングつまり編集が可能なパラメータがあります。
たとえば、次のようなパラメータが編集可能です。
Severity level of the alert: 情報レベル、警告、クリティカルのアラートのパラメータを定義できます。
Raising and clearing values: アラートが生成されクリアされるタイミングを決定するしきい値設定です。2つの値は常に同じです。たとえば、ある値が90%に達したときアラートを生成し、その値が90%を下回ったときにアラートがクリアされるように構成できます。
Monitor for alert limits at specific time: 監視を実行するタイミング、または実行しないタイミングを定義します。日常的なメンテナンス手順によって、属性の動作が通常の監視しきい値の範囲を外れるとき、アラートの生成が不要な場合にこのパラメータを使用すると便利です。監視を無効にする期間を定義できるため、その間にメンテナンスを実行できます。
Generate alert after: アラートを生成するまでに問題を示している時間を定義します。しきい値を超えた時点からアラートが生成されるまでの時間を数値で指定します。アラートはすぐにはトリガーされなくなります。監視対象の属性値がしきい値から外れ、指定した時間が経過してから生成されます。一時的な条件による偽陽性のアラートを制限するとき、このパラメータを使用すると便利です。
有効または無効: ルールを無効にすると、その属性が監視対象から除外されます。ルールの有効または無効は、アセット単位またはグループ単位で切り替えることができます。
アクティブまたは非アクティブ: システムの状態を反映し、アセットまたはグループが監視されているかどうかを示します。ルールが有効でない場合、監視は非アクティブです。
デフォルトでは、すべての監視ルールが有効です。ステータスは「Alert Monitoring Rules」ページに表示され、このページは「Monitoring」タブから開くことができます。「Enabled」および「Active」のフィールドが「Yes」の場合、そのルールは有効でありアクティブです。それぞれのフィールドが「No」の場合、ルールは無効であり非アクティブです。図4-1で、DHCPのステータスは有効ですが非アクティブです。
「Enabled」フィールドは、アセットに対する監視ルールのリストに表示されます。特定のアセットについて、1つ以上のルールを無効にできます。「Enabled」列が「No」の場合、そのルールは無効です。
ルールが有効なとき、アクティブな状態はシステムの実際の状態を反映し、ルールが使用されているかどうかを示します。有効なルールが非アクティブになる場合は、次のような理由が考えられます。
特定の属性がドライバにハードコードされていないため、その属性については監視ができません。
リソースにアクセスできないか、属性をリフレッシュできません。
必須のパラメータが欠落している、またはパラメータの値が正しくないなど、構成になんらかの不備があります。
監視に固有の内部エラー(特にドライバ固有の監視の場合)。
特定のアセットのルールを表示することも、1つ以上のアセットに関連付けられているポリシーのルールを表示することもできます。
監視ルールには、事前定義済のパラメータがあります。しきい値や監視レベルなどのパラメータは、データ・センターのガイドラインにあわせて変更できます。個々のアセットまたはアセットのグループについてパラメータを定義できます。
個別の監視グループを作成すると、各グループのすべてのシステムについてパラメータを一貫して効率的に定義できます。たとえば、優先度の高い一連のシステムでグループを作成できます。そのグループのすべてのメンバーについて、特定のしきい値を1セット編集し、監視ポリシーをそのグループに適用します。これにより、このグループのすべてのメンバーを同じ値に関して同じように監視できるようになります。
特定アセットの監視ルール、または監視ポリシーの監視ルールを編集できます。個々のシステムの監視ルール・パラメータを編集すると、特定のシステムがクリティカル・パスにあるときに有効な場合があります。たとえば、エンタープライズ・コントローラとプロキシ・コントローラがクリティカル・パス・システムにあるシステムを考えたとき、このシステムを継続的に監視し、より厳格な監視しきい値を設定できます。
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注意: ポリシーで監視ルールを更新すると、そのポリシーに関連付けられているすべてのアセットの監視構成が、ルールの変更を反映して更新されます。 |
次のタスクを実行できます。
「Warning」と「Critical」のしきい値の変更。
システムのしきい値の変更。
システムまたはグループごとのしきい値の変更。
異なるオペレーティング・システムに対する特定のしきい値の設定。
たとえば、エンタープライズ・コントローラ・システムに対してしきい値を作成し、ファイルシステムの使用率が90%を超えたときに警告を送信するようにできます。これにより、エンタープライズ・コントローラのファイルシステムがほぼいっぱいになったときにアラートが生成されます。
しきい値のアラートについて、リソースを監視する頻度と期間を変更できます。しきい値も変更可能です。
Alert window: 監視ルールが有効である期間を指定できます。たとえば、日常的なメンテナンス操作によって、監視対象の属性がしきい値を超えるとき、指定した期間の監視を、そのメンテナンス・ウィンドウの監視対象から除外できます。
Generate alert after: 監視対象の属性が、監視パラメータの定義から短時間外れても無視されるように監視を構成できます。遅延時間を指定すると、一定の時間、値が指定した制限を上回っているときにのみアラートが生成されます。値がその制限を一度上回ってもすぐに通常に戻る場合は、アラートは生成されません。
監視ルールの編集の手順
ポリシーのルールと個々のアセットのルールと、どちらを編集するのかを決定します。
ポリシーの場合: 「Navigation」ペインの「Plan Management」セクションで、「Monitoring Policies」をクリックしてからポリシーをクリックします。
アセットの場合: 「Navigation」ペインの「Assets」セクションで、アセットを選択して「Monitoring」タブをクリックします。
「Edit Alert Monitoring Rule Parameters」アイコンをクリックします。
「Value」列のエントリをクリックして、新しい値を入力します。しきい値のアラートについて、値を監視する頻度と期間を変更でき、しきい値も変更できます。
「Apply」をクリックし、変更を確定します。
監視ルールで使用できる属性の詳細は、付録A「アセット属性」を参照してください。
監視対象アセットごとに、割り当てられたしきい値ルールにするパフォーマンスの履歴が保持されます。しきい値タイプの新しい監視ルールを追加しても、あるいは特定アセットのしきい値構成を変更しても、そのアセットの属性履歴には影響しません。
アセットの属性履歴はソフトウェアによって管理されるため、しきい値ルールに直接は結び付いていません。一定期間にわたるアセット属性の統計値が記録されるのみです。ただし、しきい値ウィザードで履歴を利用すると、有意なしきい値を提案できます。監視対象の属性について履歴データがある場合は、データの分析に基づいて、提案されたデフォルトしきい値とともに履歴データがグラフィカルに表示されます。
特定アセットのしきい値構成を変更するとき、オプションのリストで時間枠を1日から6か月の範囲で選択し、その履歴データをグラフィカルに表示できます。この情報を使用して、しきい値ルールをチューニングできます。
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注意: 特定アセットのしきい値制限を編集すると、そのアセットはデフォルトの監視ポリシーとの関連付けを解除され、新しい監視ポリシーが作成されます。 |
監視ポリシーには、それぞれデフォルトのルール・セットがあります。ポリシーの詳細は、「監視ポリシー」を参照してください。ルール・セットとデフォルトのパラメータは、管理対象アセットのサブタイプによって異なります。タイプの定義については、「監視ルール」を参照してください。
「Expression」の監視ルールを指定する場合は、特定の言語を使用して、1つ以上のリソース属性についてのアラート発生条件を定義する論理式を記述します。論理式には属性名、演算子およびリテラル値を指定します。
「Threshold」、「Enumerated」、または「Boolean」の監視ルールを追加する場合は、管理対象の属性を定義する必要があります。「Expression」ルール・タイプに属性を定義する必要はありません。たとえば、次のような監視対象の属性があります。
CpuUsage.usagePercentage
ProcessUsage.topMemoryProcesses.pid=*.physicalMemoryUsage
DiskUsageSet.name=*.busyPercentage
監視対象の属性については、Oracle Enterprise Manager Ops Center Software Developer's Kit (SDK)のJavadocで確認できます。dvd/platform/Product/components/packagesディレクトリを開き、SUNWxvmoc-sdk.pkgパッケージをインストールしてください。
監視フレームワークで使用可能な属性と名前を参照します。属性はSystemUpTimeのように常に大文字で始まり、フィールドは常に小文字で始まります。
たとえば、オペレーティング・システムで有効な監視対象の属性をリストするには、com.sun.hss.type.os.OperatingSystemのJavadocページに進みます。このページに、OperatingSystemのすべての属性が表示されます。
属性はそれぞれ単純、構造型、またはstruct型のいずれかのタイプ、またはコレクション・タイプです。たとえば、次のような属性のタイプがあります。
Struct-like: 構造型タイプのフィールドをドリルダウンできます。SystemLoad.average1Minuteのように、フィールドは常に小文字で始まります。
Collection: コレクションのメンバーをドリルダウンできます。「Maps」の場合は、適切な'key'を指定します。1つのメンバーの値を取得するには、キーを設定するときに'name'フィールドの値を指定します。たとえば、'eth0'という名前のインタフェースの'enabled'値をチェックするには、「InterfaceInfos.name=eth0.enabled」と指定します。
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注意: 構造はネストされることがあります。たとえば、struct型の属性にはstruct型の別のフィールド、またはコレクションを含めることができます。コレクションには通常、struct型の値が含まれます。ドリルダウンするには、適切なフィールド名を引き続き追加します。 |
コレクションのすべてのメンバーをスキャンする問合せを実行するには、キーまたは名前にワイルドカード値「*」を指定します。その場合、'max'、'min'または'like'のいずれかの演算子を使用します。使用する問合せ構文は、DomainQuery JavaクラスのJavadocに定義されています。詳細は、付録A「アセット属性」を参照してください。
監視ポリシーには、しきい値やアラート・モニターの定義など、ユーザー定義のアラート構成を使用して管理対象アセットを監視する際に必要な情報が設定されています。
ポリシーは、オペレーティング・システムなど特定タイプのリソースです。Oracle Solarisオペレーティング・システムなど、オペレーティング・システムのサブセットにはさらに具体的なポリシーも適用されます。監視ポリシーごとに、特定タイプのリソースに対する多数のアラート・モニターがあります。アラート・モニターは、管理対象リソースの状態とその属性を監視し、事前定義されたしきい値から状態が外れるとアラートを生成します。
監視ポリシーには、それぞれデフォルトのルール・セットがあります。デフォルトのルール・セットとパラメータは、管理対象アセットのサブタイプによって異なります。管理対象アセットまたはアセットのグループに任意の監視ポリシーを適用し、互換性のあるタイプのリソースのサブセットに対する監視構成を変更できます。
たとえば、Oracle Solarisオペレーティング・システムをハイライト表示し、オペレーティング・システムの監視ポリシーを抽出できます。新規ポリシーには、OSサブタイプとして次のいずれかを指定できます。
Oracle Solaris 10: サポートされている任意のOracle Solaris 10オペレーティング・システム。
Oracle Solaris 10 Operating System: サポートされている任意のOracle Solaris10 8/07 (update 4)以上のオペレーティング・システム。Oracle Solaris Zonesのポリシーを使用するときにも、このサブタイプを使用できます。
Oracle Solaris: サポートされている任意のリリースのOracle Solarisオペレーティング・システム。
Operating System: サポートされているOracle Solaris、Linux、Windowsの任意のオペレーティング・システム。
新規ポリシーを作成し、それを編集してルールを追加します。
既存のポリシーをコピーし、必要に応じて編集し、ルールを変更します。
アセットから既存のポリシーを抽出して変更します。
ポリシーは、アセット・ビューからでもポリシー・ビューからでも表示できます。アセット・ビュー
監視ポリシーの抽出は、ポリシーのコピーと類似しています。コピー・ポリシーのアクションはポリシー・ビューから、ポリシー抽出のアクションはアセット・ビューから実行します。アセット・ビューからポリシーを抽出すると、そのアセット・タイプのサブタイプが有効であることを確認できます。ターゲットのサブタイプを変更して具体的にすることも、汎用的に適格なターゲット・タイプにすることもできます。適格なタイプにする場合は、そのポリシーが指定したターゲットでさらに汎用的なポリシーのメンバーであることが必要です。
アセットを検出して追加すると、アセットのタイプに応じてデフォルトの監視ポリシーがすぐに適用されます。
管理対象リソースにプローブまたはエージェントがインストールされる監視ポリシーもあれば、管理対象リソースに対して任意のアクションまたはスクリプトを起動するように設計されている監視ポリシーもあります。
監視ポリシーは、監視対象アセットのタイプごとに関連付けられるルールの集合です。ポリシーには監視されるリソースと、アセット・タイプのルールが定義されます。特定のアセット・タイプに対して、ポリシーを追加して編集することも、デフォルトのポリシーを選択することもできます。
UIの「Plan Management」セクションに進むと、使用可能な監視ポリシーのリストがあります。「Monitoring Policies」をクリックすると、すべてのポリシーのリスト、ポリシーのデフォルト・ステータス、想定されるアセットまたはターゲット・タイプが表示されます。使用できる監視ポリシーのタイプは、次のとおりです。
User-Defined Policies: 通常は汎用ルールを使用し、監視のしきい値が設定されます。「Operating System」ポリシーはユーザー定義ポリシーの一例です。CPU使用率、ディスクI/Oのキューの長さと使用率、ファイルシステム使用率、メモリー使用量、ネットワーク・バンド幅使用量、スワップ使用量、およびシステム負荷の各汎用オペレーティング・システム・パラメータを監視します。
System Defined Policies: システム定義のポリシーは読取り専用で、このポリシーに定義されているルールは無効化も変更もできません。通常は、アセット固有のルールを使用します。管理対象の詳細は、特定のアセットで実装される内容によって異なります。システム定義ポリシーの例としてMSeriesChassisのポリシーがありますが、これはSPARC Mシリーズ・シャーシのXsbモードを監視します。システム定義ポリシーの命名規則として、名前は常に「OC」で始まります。
このタイプのルールは構成できず、ルールのオン/オフの切替えのみが可能です。
「Navigation」ペインと中央のペインのどちらでも、ユーザー定義ポリシーに続いてシステム定義ポリシーが表示されます。「Navigation」ペインのアイコンと命名規則で、ポリシーのタイプは区別しやすくなっています。システム定義のプロファイルは「OC」で始まります。たとえば図4-2で、「Copy of OC - Chassis」と「OS Profile - Dev」はユーザー定義プロファイル、「OC - Chassis」はシステム定義プロファイルです。ポリシーは、中央のペインの別のセクションに表示されます。
各アセットには、「Monitoring」タブがあります。このタブに、関連付けられている監視ポリシーなどの監視構成の詳細が表示されます。
アセットを管理するとき、アセットには自動的にデフォルトの監視ポリシーが割り当てられます。関連付けられる監視ポリシーの名前は、「Monitoring Rules」表に表示されます。アセットにポリシーが関連付けられていない場合、フィールドは空です。アセットにユーザー定義の監視ポリシーを関連付け、後からそのポリシーを削除すると、アセットには監視ポリシーの関連付けがない場合があります。
監視ポリシーの詳細は、アセットと、関連付けられた監視対象のリソースによって異なります。図4-3は、システム定義のオペレーティング・システム監視ポリシーの例で、「Policy Details」が表示されています。ページの「Details」セクションには、名前や説明、ポリシーのタイプなど、ポリシーに関する情報が表示されます。ポリシーの詳細には、該当するアセットまたはターゲットのタイプ、ポリシーが別のポリシーのサブタイプかどうか、ポリシーの最終更新日、ポリシーがターゲット・タイプのデフォルト・ポリシーかどうかも表示されます。
使用できるシステム定義と汎用の監視ポリシーは、次のとおりです。
OC - CiscoSwitch: イーサネット・スイッチの電源ステータス、スイッチ・ポート・ステータス、およびスイッチのステータスを監視します。
OC - Dynamic System Domain: 適格なサーバーの動的システム・ドメインについて、状態とステータスを監視します。サーバーのアクセス可能性も監視されます。電力状態(オン/オフ)と、オペレーティング・システムの状態(稼働中かどうか)についての情報レベル・アラートを使用できます。「Server Port Status」は、サーバー・ポートが無効になっているか停止しているとき「Warning」アラートを生成します。
OC - File Server: 汎用のファイル・サーバーについて、ファイル・サーバーのアクセス可能性、バックアップ・デバイス使用率、ストレージ割当て率、およびストレージ使用率を監視します。
OC - Global Zone: グローバル・ゾーンについて、DHCPステータス、アプライアンス状態、CPU使用率、ディスクI/O、ファイルシステム使用量、メモリー使用量、ネットワーク・バンド幅使用量、スワップ使用量、およびシステム負荷を監視します。
OC - ISCSI Storage Array: iSCSIストレージ・アレイのアクセス可能性、ストレージ割当て率、ストレージ使用率、ボリューム・グループ割当て領域率、およびボリューム・グループ使用領域率を監視します。
OC - Local Library: ローカル・ストレージ・ライブラリについて、ストレージ・ライブラリ使用率を監視します。
OC - Logical Domain: 移行ステータス、稼働中かどうか、およびゲストの起動状態など、Oracle VM Server for SPARCのゲスト・ステータスを監視します。
OC - NAS Library: Network Attached Storage (NAS)ライブラリについて、ストレージ・ライブラリのステータスや、ストレージ・ライブラリ使用率を監視します。
OC - Non-global Zone: 非グローバル・ゾーンについて、CPU使用率、ディスクI/Oのキューの長さと使用率、メモリー使用量、ネットワーク・バンド幅使用量、およびスワップ使用量を監視します。
OC - Operating System: CPU使用率、ディスクI/Oのキューの長さと使用率、ファイルシステム使用量、メモリー使用量、ネットワーク・バンド幅使用量、スワップ使用量、およびシステム負荷の各汎用オペレーティング・システム・パラメータを監視します。
OC - Oracle VM Server for SPARC: DHCPクライアント、アプライアンス状態、および仮想CPU (VCPU)の空き率など、Oracle VM Server for SPARCのステータスを監視します。
OC - Oracle VM Server for x86: DHCPクライアント、アプライアンス状態、仮想CPU (VCPU)の空き率など、Oracle VM Server for x86のステータスを監視します。
OC - Remote Oracle Engineered System: リモートのOracle Engineered Systemsを監視します。
OC - SAN Storage Array: SANストレージ・アレイのアクセス可能性と使用率を監視します。使用率にはストレージ割当て率、ストレージ使用率、ボリューム・グループ割当て率、ボリューム・グループ使用領域率が含まれます。
OC - Server: 汎用サーバーについて、電源ステータス、サーバー・ポート・ステータス、CPU、NIC、ファン、ファン・トレイ、メモリー、および電源を監視します。
OC - Server Pool: 合計CPU割当て率、合計暗号ユニット割当て率、および合計メモリー使用率を監視します。
OC - Solaris Cluster: Oracle Solaris Clusterのインストール・モード、アクセス可能性、およびモニターを監視します。
OC - Solaris Cluster Node: オンライン・ステータス、scalert.nodeのアクセス可能性、およびscalert.nodeのアラート・モニターを監視します。
OC - Solaris Cluster Zone Cluster Group: scalert.zoneクラスタのアラート・モニターを監視します。
OC - Solaris Cluster Zone Cluster Node: scalert.zoneクラスタ・ノードのアラート・モニターを監視します。
OC - Storage: 汎用ストレージ・デバイスのパラメータとして、オペレーティング・システム・ステータス、電源ステータス、サーバー・ポート・ステータス、およびストレージ・アラートを監視します。
OC - Switch: イーサネット・スイッチの電源ステータス、スイッチ・ポート・ステータス、およびスイッチのステータスを監視します。
OC - Virtual Machine: オペレーティング・システムが稼働している場合に、仮想マシンのアクセス可能性と、仮想マシンの移行ステータスを監視します。
監視ポリシーをユーザー定義グループに適用する、つまり関連付けることができます。監視ポリシーをグループに適用すると、そのグループに該当するメンバーのすべてにポリシーが関連付けられます。アセットに関連付けられたポリシーは、ウィザードでアセットの隣に表示されます。ポリシーをグループのすべてのアセットに適用すると、アセットは割当て済だったポリシーから関連付けを解除され、グループに割り当てられたポリシーに関連付けられます。
アセットをユーザー定義グループから削除すると、別の監視ポリシーを持つ別のユーザー定義グループに移動するまで、あるいは別の監視ポリシーを手動で割り当てるまで、そのアセットはグループの監視ポリシーに割り当てられます。
監視構成は監視ポリシーを含み、オペレーティング・システムなどのアセット・タイプに関連付けられます。一定のルールとパラメータは編集できますが、名前や説明など汎用の監視ポリシーのプロパティは、ポリシーの作成後には編集できません。ポリシーを編集すると、関連付けられているすべてのアセットの監視構成が変更されます。
個々のアセットについて、監視構成を変更できます。監視構成を作成すると、アセットはその監視構成とそのアセット・タイプのポリシーに関連付けられなくなります。かわりに、独自の監視構成を持つようになります。
アセットの監視構成を変更するときには、ポリシーを作成して、アセットをその新規作成したポリシーに関連付けます。
ユーザー定義グループを作成するとき、関連付けられている監視ポリシーの名前に基づいてアセットを除外するルールを指定できます。これを使用すると、特定の監視ポリシーに関連付けられているすべてのアセットをグループ化したり、特定のポリシーに関連付けられていないアセットを検索することが可能です。
アセットの監視構成を表示しているとき、アセットにバインドされている監視ポリシーの定義に移動できます。
監視ポリシーの抽出は、ポリシーのコピーと類似しています。ポリシーのコピーはポリシー・ビューから実行し、ポリシーの抽出は図4-4のようにアセット・ビューから実行します。
アセット・ビューからポリシーを抽出すると、サブタイプを有効なもののみに絞り込むことができます。ターゲットのサブタイプを変更して具体的にすることも、汎用的に適格なターゲット・タイプにすることもできます。適格なタイプにする場合は、そのポリシーが指定したターゲットでさらに汎用的なポリシーのメンバーであることが必要です。有効なターゲット・タイプのリストが表示されない場合、ターゲット・タイプは変更できません。
新規ポリシーには、OSサブタイプとして次のいずれかを指定できます。
Oracle Solaris 10: 任意のOracle Solaris 10オペレーティング・システム。
Oracle Solaris 10 Operating System: Oracle Solaris10 8/07 (update 4)以上の任意のオペレーティング・システム。ゾーンのポリシーを使用するときにも、このサブタイプを使用できます。
Oracle Solaris: サポートされている任意のリリースのOracle Solarisオペレーティング・システム。
Operating System: サポートされているOracle Solaris、Linux、Windowsの任意のオペレーティング・システム。
監視ポリシーの抽出
「Navigation」ペインで「Assets」を展開し、オペレーティング・システムなどのアセット・タイプをクリックします。
「Monitoring」タブをクリックし、「Action」ペインで「Extract Monitoring Policy」をクリックします。
新規ポリシーの名前と説明を入力し、サブタイプとターゲット・タイプを選択します。「Next」をクリックします。
「Finish」をクリックすると、使用可能なポリシーのリストにポリシーが追加されます。
新規ポリシーを確認するには、「Plan Management」を展開して「Monitoring Policies」をクリックします。詳細を表示するポリシーをクリックします。
新規監視ポリシーを追加することも、既存の監視ポリシーをコピーすることもできます。
監視ポリシーの追加またはコピー
「Navigation」ペインで「Plan Management」を展開し、「Monitoring Policies」をクリックします。
「Action」ペインで「Copy Policy」または「Create Policy」をクリックします。
新規ポリシーの名前と説明を入力し、サブタイプとターゲット・タイプを選択します。
「Next」、「Finish」の順にクリックすると、使用可能なポリシーのリストにポリシーが追加されます。
新規ポリシーを確認するには、「Plan Management」を展開して「Monitoring Policies」をクリックします。詳細を表示するポリシーをクリックします。
ルールを追加または削除する場合、あるいは監視パラメータを変更する場合は、中央のコンテンツ・ペインでポリシーをダブルクリックします。
このポリシーによって監視されるすべてのアセットを表示するには、「View Associated Assets」をクリックします。
このポリシーをデフォルト・ポリシーにするには、「Set as Default Policy」アイコンをクリックします。
アクションの実行の手順、またはこの機能のロールの詳細は、次のいずれかのリソースを参照してください。
詳細な例は、「How To」ライブラリ(http://docs.oracle.com/cd/E27363_01/nav/howto.htm)を参照してください。