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Oracle® Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareコンセプトの理解
12c (12.1.2)
E47970-02
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2 主要な概念の理解

この章では、ドメイン、管理サーバー、管理対象サーバー、Javaコンポーネント、システム・コンポーネントなどのOracle Fusion Middlewareの主要な概念、およびOracle Fusion Middlewareインストールのディレクトリ構造について説明します。

2.1 Oracle WebLogic Serverドメインとは

Oracle WebLogic Serverドメインは、論理的に関連付けられたJavaコンポーネントのグループです。ドメインには、管理サーバーと呼ばれる特別なWebLogic Serverインスタンスが含まれます。これは、ドメインのすべてのリソースを構成して管理する中核部分です。通常、管理対象サーバーと呼ばれるWebLogic Serverの追加インスタンスを含めて、ドメインを構成します。Webアプリケーション、EJB、Webサービスやその他のリソースなどのJavaコンポーネントを管理対象サーバーにデプロイし、構成および管理の目的にのみ管理サーバーを使用します。

Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャの配布を使用して作成されたOracle WebLogic Serverドメインには、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントも含めることができます。

ドメインの管理対象サーバーは、クラスタへのグループ化が可能です。

ドメインのディレクトリ構造は、WebLogic Serverホームのディレクトリ構造とは別個です。場所はどこでもよく、Oracleホーム・ディレクトリ内にある必要はありません。ドメインの最上位ディレクトリは、ドメイン・ホームと呼ばれます。

図2-1に1つの管理サーバー、およびクラスタ内に2つの管理対象サーバーのある拡張ドメインを示します。また、Oracle Fusion Middlewareのメタデータを保持するデータベースも示します。

図2-1 Oracle WebLogic Serverドメイン

図2-1の説明が続きます
「図2-1 Oracle WebLogic Serverドメイン」の説明


関連項目:

ドメイン構成の詳細は、『Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解』を参照してください。


ドメインにはOracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントも含まれています。

次の各項では、ドメイン内のエンティティについて説明します。

2.1.1 管理サーバーとは

管理サーバーは、ドメイン全体を構成するための集中管理エンティティとして動作します。ドメインの構成ドキュメントを保持し、構成ドキュメント内の変更を管理対象サーバーに配布します。管理サーバーは、ドメイン内のすべてのリソースを管理および監視する中央の場所として機能します。

ドメインごとに、管理サーバーとして動作するサーバーが1つ必要です。

管理サーバーと通信するには、Fusion Middleware Control、Oracle WebLogic Server管理コンソール、Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)を使用するか、独自のJMXクライアントを作成できます。

Oracle WebLogic Server管理コンソールおよびFusion Middleware Controlは、管理サーバーで動作します。Oracle WebLogic Server管理コンソールは、Webベースの管理コンソールで、管理サーバー管理対象サーバーなど、Oracle WebLogic Serverドメインでのリソースの管理に使用します。Fusion Middleware Controlは、Oracle WebLogic Server、Oracle CoherenceおよびOracle HTTP ServerなどのコンポーネントをはじめとするOracle Fusion Middlewareを管理する、Webベースの管理コンソールです。


関連項目:

  • Fusion Middleware Controlの詳細は、4.2.1項を参照してください。

  • Oracle WebLogic Server管理コンソールの詳細は、4.2.2項『Oracle WebLogic Serverの理解』およびOracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプを参照してください。


2.1.2 管理対象サーバーおよび管理対象サーバー・クラスタの概要

管理対象サーバーは、ビジネス・アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよびそれらに関連付けられたリソースをホストします。パフォーマンスを最適化するために、管理対象サーバーには、ドメインの構成ドキュメントの読取り専用のコピーが保持されます。管理対象サーバーは、起動時にドメインの管理サーバーに接続し、その構成ドキュメントを管理サーバーが保持するドキュメントに同期します。

ドメインの作成時には、特定のドメイン・テンプレートを使用して作成します。そのテンプレートでは、Oracle SOA Suiteのような、特定のコンポーネントまたはコンポーネントのグループがサポートされます。ドメイン内の管理対象サーバーは、それらの特定のOracle Fusion Middlewareコンポーネントをホストすることのみを目的として作成されます。

Oracle Fusion MiddlewareのJavaコンポーネント(Oracle Coherenceなど)、および顧客が開発したアプリケーションがドメイン内の管理対象サーバーにデプロイされます。

別のコンポーネントをサポートするテンプレートを使用して作成されたドメインに、他のコンポーネントを追加する場合、ドメイン内に追加の管理対象サーバーを作成し、追加するコンポーネントのドメイン・テンプレートを使用してそのドメインを拡張できます。詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』の「ドメインの拡張による追加コンポーネントのサポート」を参照してください。

アプリケーションのパフォーマンス、スループットまたは高可用性の向上が要求される本番環境では、クラスタとして動作するように複数の管理対象サーバーを構成できます。クラスタとは、スケーラビリティや信頼性を向上させるために同時に稼働および連携する、複数のWebLogic Serverインスタンスの集合です。クラスタでは、(単一の管理対象サーバーでなく)管理対象サーバーごとに、ほとんどのリソースおよびサービスがまったく同じようにデプロイされるため、フェイルオーバーとロード・バランシングが可能になります。1つのドメインには、複数のOracle WebLogic Serverクラスタが存在していても、クラスタとして構成されていない複数の管理対象サーバーが存在していても構いません。管理対象サーバーのクラスタ化と非クラスタ化の重要な違いは、フェイルオーバーおよびロード・バランシングのサポートにあります。これらの機能は、管理対象サーバーがクラスタ化されている場合にのみ利用できます。


関連項目:

『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のWebLogic Serverクラスタリングの理解に関する項


2.1.3 Javaコンポーネントとは

Javaコンポーネントとは、1つ以上のJava EEアプリケーションおよびリソースのセットとしてデプロイされるOracle Fusion Middlewareコンポーネントです。Javaコンポーネントは、ドメイン・テンプレートの一部としてOracle WebLogic Serverドメインにデプロイされます。Oracle WebLogic ServerとOracle CoherenceはJavaコンポーネントの一例です。

2.1.4 システム・コンポーネントとは

システム・コンポーネントは、Javaアプリケーション・コンテナにデプロイされない管理可能なプロセスです。Oracle HTTP Serverはシステム・コンポーネントの一例です。システム・コンポーネントはWebLogic Serverドメインまたはスタンドアロン・ドメインにデプロイでき、Weblogic管理フレームワークにより管理されます。WebLogic管理フレームワークの詳細は、2.4項を参照してください。

2.1.5 ノード・マネージャとは

ノード・マネージャは、Oracle WebLogic Serverと別個のプロセスとして実行されるJavaユーティリティです。これにより、管理サーバーとの位置関係にかかわらず、管理対象サーバーやシステム・コンポーネントの一般的な操作を実行できます。これらの操作をリモートの場所から実行できます。WebLogicドメインでノード・マネージャを使用するかどうかはオプションですが、高可用性を要求するアプリケーションがOracle WebLogic Server環境でホストされている場合には、ノード・マネージャを使用すると重要な利点が得られます。スタンドアロン・ドメインではオプションではありません。

管理対象サーバーをホストするコンピュータでノード・マネージャを実行する場合には、管理コンソール、Fusion Middleware Controlコンソールまたはコマンドラインを使用して、管理対象サーバーをリモートで起動および停止できます。ノード・マネージャでは、予期しない障害が発生した後で、管理対象サーバーを自動的に再起動することもできます。

ノード・マネージャの範囲は構成可能です。

  • ドメイン当たり

    ドメイン当たりのノード・マネージャでは、ノード・マネージャがドメインと関連付けられ、マシン上のドメインのすべてのサーバーを制御するように構成されます。(ドメイン当たりのノード・マネージャはJavaベースのノード・マネージャです。)

    これは、構成ウィザードを使用してノード・マネージャを構成する場合のデフォルトです。

  • マシンごと

    マシンごとのノード・マネージャでは、ノード・マネージャ・プロセスが特定のWebLogic Serverドメインとは関連付けられず、マシンと関連付けられます。ノード・マネージャ・プロセスと同じマシンに存在するサーバー・インスタンスであれば、任意のWebLogic Serverドメイン内のサーバー・インスタンスを、同じノード・マネージャ・プロセスで制御できます。マシンごとのノード・マネージャは、ノード・マネージャを使用して制御する必要があるWebLogic Serverインスタンス(管理サーバーまたは管理対象サーバーのどちらであっても)をホストする各コンピュータで実行する必要があります。


関連項目:

Oracle WebLogic Serverのノード・マネージャの管理


2.2 スタンドアロン・ドメインとは

スタンドアロン・ドメインは、Oracle HTTP Serverなど、システム・コンポーネントのためのコンテナです。Oracle WebLogic Serverドメインに似たディレクトリ構造を持っていますが、管理サーバーや管理対象サーバーは含んでいません。Oracle HTTP Serverのような同タイプのシステム・コンポーネントのインスタンスを複数含めることも、異なるシステム・コンポーネント・タイプを混合して含めこともできます。

WebLogic管理フレームワークはスタンドアロン・ドメインを管理するツールを提供しています。WebLogic管理フレームワークの詳細は、2.4項を参照してください。

一般的に、Oracle HTTP Serverの実装をOracle WebLogic Serverドメインの前に置きたいが、Fusion Middleware Controlにより提供される管理機能は必要ない場合に、スタンドアロン・ドメインを使用します。

図2-4はOracle HTTP Serverがインストールされているスタンドアロン・ドメインを示しています。

図2-2 スタンドアロン・ドメイン

図2-2の説明が続きます
「図2-2 スタンドアロン・ドメイン」の説明

2.3 Oracle Fusion Middlewareの主要ディレクトリとは

図2-3は、Oracle Fusion MiddlewareをOracle WebLogic ServerおよびOracle JRFとともにインストールし、構成した後のディレクトリ構造の概要を示しています。

図2-3 Oracle WebLogic Serverドメインのディレクトリ構造

図2-3の説明が続きます
「図2-3 Oracle WebLogic Serverドメインのディレクトリ構造」の説明

Oracle HTTP ServerがWebLogicドメインにインストールされた場合のディレクトリ構造の図については、『Oracle HTTP Serverのインストールと構成』のWebLogic ServerドメインでのOracle HTTP Serverのディレクトリ構造の理解に関する項を参照してください。

表2-1は、Oracle Fusion Middlewareの主要ディレクトリ、およびそれらのディレクトリをOracle Fusion Middlewareインストールで参照するときに使用される変数を説明しています。例や手順にこれらの変数があった場合は、変数を会社のトポロジの対応するディレクトリ・パスの絶対パスに置き換えてください。


注意:

下の例で提供されているディレクトリ・パスは、Oracle Universal Installerのデフォルトのディレクトリ名が使用されていると想定しています。


表2-1 Oracle Fusion Middlewareインストールのディレクトリ

ディレクトリ名 変数 説明 ディレクトリ・パス

Oracleホーム

ORACLE_HOME

Oracle Fusion Middleware全製品用にホスト・コンピュータに作成されるOracleホーム。この読取り専用ディレクトリには、バイナリ・ファイルとライブラリ・ファイル、Oracle共通ディレクトリ、およびインストールするOracle Fusion Middlewareの各製品ごとの個別の製品ディレクトリが含まれています。

/install_location/Oracle_Home

Oracle共通ホーム

ORACLE_COMMON

OracleホームにインストールされているすべてのOracle Fusion Middleware製品および機能に共通のバイナリおよびライブラリ・ファイルを含むディレクトリ。

さらに、Oracle Commonディレクトリには、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control、WLST、構成ウィザード、アップグレード・ツール、およびOracle JRFなどの共通ツールに必要なファイルが含まれています。

各OracleホームにはOracle Commonディレクトリが1つだけあります。

/install_location/Oracle_Home/oracle_common

製品ディレクトリ

PROD_DIR

論理製品またはフィーチャー・セットに関連付けられているバイナリ・ファイルが含まれている、Oracleホーム内のディレクトリ。Oracleホーム内の各製品ディレクトリの名前はインストーラによって事前定義され、変更できません。

/install_location/Oracle_Home/Prod_Dir

Oracle WebLogic Serverホーム

WL_HOME

WebLogic Serverバイナリ・ファイル固有の製品ディレクトリ。

/install_location/Oracle_Home/wlserver

Fusion Middleware Control


EM_DIR

Oracle Fusion Middleware Oracle ホーム内のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソール・ディレクトリ。このディレクトリにはFusion Middleware Controlを実行するのに必要なバイナリ・ファイルおよびライブラリ・ファイルが含まれています。

/install_location/Oracle_Home/em

ドメイン・ホーム

DOMAIN_HOME

ドメイン情報および構成アーティファクトが格納されている場所。

Oracle WebLogic Serverドメインの詳細は、2.1項を参照してください。

スタンドアロン・ドメインの詳細は、2.1項を参照してください。

/install_location/oracle/domains/base_domain

アプリケーションのホーム

APPLICATION_HOME

構成するドメインに関連したアプリケーションが作成されるディレクトリ。ソフトウェアのアップグレードやパッチが必要な場合に、Oracleホーム内のファイルが影響を受けることのないように、この場所はOracleホーム・ディレクトリの外に置くことをお薦めします。

install_location/oracle/applications


図2-4は、スタンドアロン・ドメインにOracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントをインストールしたディレクトリ構造を示しています。

図2-4 スタンドアロン・ドメインのディレクトリ構造

図2-4の説明が続きます
「図2-4 スタンドアロン・ドメインのディレクトリ構造」の説明

ディレクトリの説明は表2-1にあります。

2.4 WebLogic管理フレームワークとは

Oracle Fusion Middlewareでは、基本的な管理機能を必要とする複数のOracle Fusion Middleware製品に、種類の異なる管理機能を提供するWebLogic管理フレームワークが提供されています。この機能には、共通のコマンド・ライン、API、およびユーザー・インタフェースを介した開始、停止、構成設定、およびその他の、製品のライフサイクルにわたる基本的な各種操作が含まれます。WebLogic管理フレームワークは固有のWebLogic ServerおよびCoherence機能で構成されます。

WebLogic管理フレームワークはJavaコンポーネントおよびシステム・コンポーネントを含めることができるWebLogic Serverドメインと、システム・コンポーネントが含まれるスタンドアロン・ドメインの両方を管理します。ただし、次の表に示すように、スタンドアロン・ドメインにはすべての機能が提供されているわけではありません。

機能 WebLogic Serverドメイン スタンドアロン・ドメイン 参照情報

ノード・マネージャ

2.1.5項


WebLogic Scripting Tool

4.2.3項


構成ウィザード

『構成ウィザードによるドメインの作成』


圧縮/圧縮解除ユーティリティ

『PackおよびUnpackコマンドによるテンプレートとドメインの作成』


WebLogic Server JMXおよびMBeanインフラストラクチャ

不可

『Oracle WebLogic Server JMXによるカスタム管理ユーティリティの開発』


WebLogic Server RESTful管理サービス

不可

『RESTful管理サービスを使用したOracle WebLogic Serverの管理』


Weblogic.deployer

不可

『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の「weblogic.Deployerコマンドライン・リファレンス」

WebLogic管理フレームワークのコヒーレンス・キャッシュ

不可

『Oracle Coherenceの管理』


管理コンソール

不可

4.2.2項


Fusion Middleware Control


不可

4.2.1項



2.5 メタデータ・リポジトリとは

メタデータ・リポジトリには、Oracle Application Development FrameworkなどのOracle Fusion Middlewareコンポーネントのメタデータが含まれています。また、Oracle Fusion Middlewareの構成に関するメタデータおよびエンタープライズ・アプリケーションのメタデータも格納できます。

メタデータ・リポジトリは、データベース・ベースでもファイル・ベースでも構いません。データベース・ベースにする場合は、Repository Creation Utility (RCU)を使用して、既存のデータベースにリポジトリをインストールできます。RCUを使用して、ユーザーはOracle Fusion Middlewareコンポーネントのスキーマを作成できます。

データベース・ベースのメタデータ・リポジトリの詳細は、『Repository Creation Utilityによるスキーマの作成』を参照してください。

特定タイプのリポジトリであるMDSリポジトリには、Oracle Application Development FrameworkなどのOracle Fusion Middlewareコンポーネントの大半のメタデータと、一定タイプのアプリケーションのメタデータが含まれています。MDSリポジトリの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』の「MDSリポジトリの管理」を参照してください。