この章では、Oracle WebCenter Sites: Developer Toolsを使用して、WebCenter Sitesのコンテンツ管理サイトを開発する方法の概要について説明します。
この章には次の項が含まれます。
Oracle WebCenter Sitesを実行している任意のコンピュータで、Developer Toolsを使用すると、WebCenter SitesとEclipse IDEを統合できます。この統合により、個人用の柔軟な開発者環境を作成できます。開発者は、主にEclipseを通じてDeveloper Toolsと対話します(結果的に、WebCenter Sitesと対話することになります)。Eclipseには、WebCenter Sitesのリソースを管理するための機能が豊富に備わっています。 EclipseとWebCenter Sitesのどちらで管理しているリソースでも、Developer Toolsキットを使用して自動または手動で同期できます。
たとえば、Eclipseで管理されるリソースはファイル・システムのファイルとして格納されるため、開発者は、任意のバージョン・コントロール・システムと統合するというオプションを選択できます。リソースが変更されたときに、WebCenter Sitesを実行していると、リソースは自動的に同期されます。つまり、WebCenter Sitesにデータベースのネイティブ表現形式でリソースがインポートされます。手動の同期は、双方向に実行できます。Developer Toolsのサマリーは、図51-1と、この章の後続の項を参照してください。
Eclipse統合を使用すると、開発者は次の作業を行えます。
CSElementアセット、テンプレート・アセット、およびSiteEntryアセットと、SiteCatalogエントリおよびElementCatalogエントリの作成、編集、および削除
タグの補完、構文の強調表示、デバッグなどのEclipseの標準機能を使用したJSPエレメントの開発
アセット、アセット・タイプ、フレックス・ファミリ、サイト、ロール、ツリー・タブ、およびスタート・メニュー・アイテムのエクスポートとインポート
埋込みのプレビュー・ブラウザを使用した、Eclipse IDEでのWebCenter Sitesのページのプレビュー
動的にリフレッシュされるパネルでのWebCenter Sitesログ・ファイルの表示
バージョン・コントロール・システムとの統合
注意: Developer ToolsをEclipseと統合すると、EclipseにWebCenter SitesのAdminインタフェースとContributorインタフェースが埋め込まれるため、開発者は簡単にアクセスできるようになります。Adminインタフェースでの作業の詳細は、第I部「Oracle WebCenter Sitesの開発」を参照してください。Contributorインタフェースでの作業の詳細は、『Oracle Fusion Middleware WebCenter Sitesユーザーズ・ガイド』を参照してください。 |
Eclipseで管理するWebCenter Sitesのリソースは、メインDeveloper Toolsワークスペースと呼ばれるファイル・システム構造のファイルとして格納されます。この構造により、WebCenter Sitesのインスタンスでのリソースの管理および交換が簡単になります。メインDeveloper Toolsワークスペースは、Eclipseからアクセスできる唯一のワークスペースです。
注意: カスタム・ワークスペースは必要に応じて作成できますが、ほとんどの分散環境では、メインDeveloper Toolsワークスペースのみで十分です。カスタム・ワークスペースは、Eclipseからはアクセスできません。カスタム・ワークスペースの作成方法は、第57章「Developer Tools: ワークスペース」を参照してください。その他のDeveloper Toolsに関する章では、メインDeveloper Toolsワークスペースを対象に説明しています。 |
Developer Toolsキットを使用すると、EclipseのリソースとWebCenter Sitesのリソースを同期できます。これにより、Developer ToolsワークスペースとWebCenter Sitesデータベースには、同一のコンテンツが格納されるようになります。手動の同期は双方向です。つまり、WebCenter Sitesデータベースにリソースをインポートすることも、Developer Toolsワークスペースにリソースをエクスポートすることもできます。
Eclipseにリソースをエクスポートすると、そのリソースはファイルに変換されます。WebCenter Sitesにリソースをインポートすると、そのリソースはWebCenter Sitesのネイティブ形式(データベース表現)に変換されます。
注意: 自動同期は、WebCenter SitesのリソースがEclipseで編集、作成、または削除されたときに行われますが、WebCenter Sitesのインスタンスが実行中の場合にかぎられます。この同期には、WebCenter Sitesのページ・キャッシュおよび結果セット・キャッシュの透過的なフラッシュ操作も含まれます。 |
Developer Toolsキットは、WebCenter SitesのJSPを個別のファイルとしてDeveloper Toolsワークスペースに公開します。開発者は、これらのJSPを、その他のJSPファイルと同じように管理(作成、編集、およびデバッグ)できます。
Developer Toolsキットのコマンドライン・ユーティリティを使用すると、インポートおよびエクスポートのタスクの自動化、大規模なリソースの移動、カスタム・ワークスペースの作成、任意のワークスペースとのリソースの同期などが可能になります(これは、メインDeveloper Toolsワークスペースに格納されたリソースに対してのみ作業できるEclipse統合とは異なります)。
Developer Toolsキットは、バージョン・コントロール・システムの実装をサポートしています。ワークスペースからバージョン・コントロール・システムにリソースをチェックインすると、WebCenter Sitesのインスタンスと開発者間でリソースを交換できるようになります。また、他の開発者がバージョン・コントロール・システムにチェックインしたリソースでワークスペースを更新することもできます。バージョン・コントロール・システムを使用すると、テスト用サーバー、管理WebCenter Sitesシステム、他の開発者のWebCenter Sitesインスタンスなどのターゲット・システムにリソースをチェックアウトして、それらの機能(パブリッシュなど)を使用できるようになります。
図51-2は、Developer Toolsとバージョン・コントロール・システムを併用する例を示しています。この例では、専用のWebCenter Sitesインスタンスを使用して、リソースを管理WebCenter Sitesインスタンスにパブリッシュしています。そのため、WebCenter Sitesに備わった承認/パブリッシュの機能を使用して、バージョン・コントロール・システムからチェックアウトしたリソースをパブリッシュできます。この例は、Developer Toolsとバージョン・コントロール・システムを併せて使用する場合に推奨される方法ですが、必須だというわけではありません。
次の章では、Developer Toolsの設定手順と、WebCenter SitesインスタンスとEclipseの統合手順について説明します。さらに、Eclipseと統合されたWebCenter Sitesインスタンスで、リソースの作成および管理を始めるための情報についても説明します。第52章「Developer Tools: インストールと構成」を参照してください。