この章では、まずファイル・システムおよびMicrosoft SharePoint対応のOracle WebCenter Sites: Content Integration Platform (CIP)の概要について説明します。次に、デフォルトのパブリッシュ・シナリオをサポートするデフォルトのマッピング・フレームワークに関する情報を提供します。最後に、監視対象コンテンツがソース・システムで変更された際、ターゲット・システムで発生するイベントについて管理者に通知するワークフローの設定オプションの概要を示します。
この章は、次の項で構成されています。
注意: WebCenter Sites 11gリリース1 (11.1.1.8.0)では、SOAPベースのWebサービスは非推奨になっています。この機能は、RESTサービスに置き換えられました。 |
ファイル・システムおよびMicrosoft SharePoint対応のContent Integration Platform (CIP)を使用すると、ファイルおよびSharePointオブジェクトをWebCenter Sitesにパブリッシュできます。パブリッシュ・プロセスでは、図55-1に示すContent Integration AgentおよびSites Agent Servicesの2つのCIPコンポーネントを使用します。
Content Integration Agentはデーモンまたはスタンドアロンのプロセスで、パブリッシュ用に選択されたオブジェクトのメタデータを同期します。主なコンポーネントは次のとおりです。
mappings.xml
ファイル。パブリッシュ用に選択されたオブジェクトのメタデータを定義します。
CIPCommander
。コマンド・ラインから、パブリッシュするフォルダを指定してパブリッシュ・セッションを開始するために使用されます。パブリッシュ可能なコンテンツには、サブフォルダとドキュメント(およびSharePointシステムの画像)が含まれます。
パブリッシュ・セッション時、Content Integration Agentプロセスは、1)mappings.xmlファイルを読み取り、2)マップされたメタデータをソース・システムから抽出し、3)WebCenter Sitesで認識される形式にメタデータを変換して同期エンジンを呼び出し、WebCenter Sites互換のメタデータをAgent Servicesにパブリッシュします。パブリッシュ・プロセスが完了すると、同期エンジンは、ソース・システムのパブリッシュされたフォルダの監視を開始します。その後、監視対象フォルダ内で新しいオブジェクトが作成、削除、または変更されるたびに、同期エンジンがSites Agent Servicesを新しいメタデータで更新します。(同期間隔は構成可能です。)
Sites Agent Servicesは、Content Integration AgentからWebCenter Sites互換メタデータを受け取り、それをWebCenter Sitesデータベースに格納するWebアプリケーションです。Agent Servicesは、メタデータに関連付けられたプライマリ・バイナリ・コンテンツを抽出して格納するバックグラウンド・プロセスも実行します。Agent Servicesは、同期プロセスを実行するためにContent Integration Agentで必要なWebサービス・インタフェースを公開します。
catalog.xml
(Content Integration Agentに含まれる)には、パブリッシュされたオブジェクトについての情報が格納されます。オブジェクトが「アンパブリッシュ」されると、その情報はcatalog.xml
から削除されます。
図55-2に示すパブリッシュ・プロセスは、パブリッシュされたオブジェクトが変更または削除されたとき、あるいは新規オブジェクトが監視対象リポジトリに追加されたときに発生する同期イベントにも適用されます。
WebCenter Sitesにオブジェクトをパブリッシュするためには、次が必要です。
ソース・システムのパブリッシュされたメタデータ(オブジェクト・タイプと属性)および関連付けられたオブジェクトを格納するフレックス・ファミリ
オブジェクトのメタデータをフレックス・ファミリのアセット・タイプおよびアセットにマップするマッピング・ファイル(mappings.xml
)
Content Integration Platformのデフォルトのマッピング・フレームワークは、パブリッシュ可能なオブジェクトを表55-1に示すタイプと属性に定義します。
表55-1 デフォルトでサポートされるソース・システムのメタデータ
ソース・システム | デフォルトのオブジェクト・タイプと属性 | 参照先 |
---|---|---|
ファイル・システム |
ファイル・タイプ
属性
|
第60章「ファイル・システム: デフォルトのマッピング仕様」 |
SharePoint |
コンテンツ・タイプ:
属性: ドキュメント:
画像:
|
第61章「Microsoft SharePointシステム: デフォルトのマッピング仕様」 |
属性名は表示名になります。システム定義属性のDateCreated
、DateModified
およびMimeType
はあまり使用されないため、デフォルトのmappings.xml
ファイルおよびフレックス・ファミリから除外されました。
すばやく開始できるように、デフォルトのマッピング・フレームワークには次のコンポーネントが用意されています。
ソース・システムに合わせて命名された、FileSystem
またはSharePoint
という名前のフレックス・ファミリ。各フレックス・ファミリの目的は、ソース・システムのWebCenter Sites上のデフォルトのメタデータ(表55-1内)を格納することであり、つまり関連付けられたオブジェクトをアセットとして格納するアセット・タイプ表を提供することです。
事前構成されたmappings.xml
ファイル。これは、表55-1のデフォルトのオブジェクト・タイプと属性を、FileSystem
またはSharePoint
、あるいはその両方のフレックス・ファミリのWebCenter Sitesアセットにマップします。(mappings.xml
ファイルは、Content Integration Agentをホストするサーバー上に存在します。)
デフォルトのマッピング・フレームワークの完全な仕様については、このガイドの最後にある付録を参照してください。
パブリッシュと同期のプロセスが成功するかどうかは、mappings.xml
ファイルとソース・システムのフレックス・ファミリに依存しています。
ソース・オブジェクトがデフォルトのmappings.xml
ファイルで指定されたタイプである場合は(表55-1も参照)、mappings.xml
およびデフォルトのフレックス・ファミリのいずれも変更することなく、これらのオブジェクトをWebCenter Sitesにパブリッシュできます。パブリッシュ時、オブジェクトは対応するフレックス・ファミリにflex
parent assets
(フォルダの場合)およびflex child assets
(ドキュメントまたは画像の場合)のいずれかとして自動的に再作成されます。
パブリッシュ・プロセスに続いて、監視対象フォルダおよびそのコンテンツに対するソース側の変更が、同期エンジンによってフレックス・ファミリに伝播されます。たとえば、パブリッシュされたオブジェクトをソース側で変更または削除するか、監視対象フォルダ内に(マップされたタイプの)新規オブジェクトを作成すると、これらの変更が同期エンジンによって自動的にフレックス・ファミリに伝播されます。
ソース・システムのスキーマが変更された場合に、パブリッシュおよび同期で予期される結果を得るためには、ソース・システムのフレックス・ファミリを更新する必要があります。ただし、スキーマ変更の内容によっては、mappings.xml
ファイルの更新が必要な場合と必要でない場合があります。次に例を示します。
パブリッシュされるドキュメントに対して新しいドキュメント・タイプが作成された場合は、フレックス・ファミリとmappings.xml
の両方を新しいドキュメント・タイプで更新する必要があります。
新しく追加された属性がWebCenter Sitesに伝播される場合は、その属性を関連するフレックス・ファミリに追加して、関連するアセット・タイプ定義を割り当てる必要があります。
ただし、属性のマッピングには次の条件があります。
WebCenter Sitesに伝播する属性の名前がソース・システムとWebCenter Sitesシステム間で異なる場合は、その属性を(mappings.xml
内で)マップする必要があります。(属性の名前が同じであれば、mappings.xml
から削除できます)。
属性のマッピングが正しくない場合でもパブリッシュ・プロセスは停止されませんが、警告メッセージとログ・ファイルへのエントリが生成されます。パブリッシュ・プロセスは、次のパブリッシュ可能なオブジェクトにスキップすることで継続されます。
ソース・システム上のパブリッシュされたフォルダ内でアセットの作成などのイベントが発生すると、Content Integration Platformはターゲット・システムをソース・システムと同期します。Content Integration Platformではイベント通知を構成できます。これにより、イベントの発生によってCIP管理者に通知がトリガーされ、イベントの詳細と同期が行われたかどうかが通知されるようになります。通知はシンプルなワークフロー・プロセスでCIP管理者に配信されます。Content Integration Platformには、いくつかのサンプル・ワークフローが付属しています。CIPのインストール手順で、これらのワークフローのいずれかまたはすべてを有効にするよう選択できます。