リクエスト/レスポンス通信モードでは、あるソフトウェア・モジュールが別のソフトウェア・モジュールにリクエストを送り、レスポンスを待ちます。最初のソフトウェア・モジュールがクライアント、2番目のソフトウェア・モジュールがサーバーとして動作するため、このモードはクライアント/サーバー相互作用とも呼ばれます。オンラインの銀行業務の多くは、リクエスト/レスポンス・モードでプログラミングされます。たとえば、残高照会のリクエストは、図6-1ように行われます。
クライアント・プロセスがアプリケーションに参加し、バッファを割り当て、入力データ・リクエストをバッファに格納すると、そのプロセスはリクエスト・メッセージをサービス・サブルーチンに送信したり、応答メッセージを受信することができるようになります。
tpcall(3c)関数は、サービス・サブルーチンにリクエストを送信し、同期的に応答を待ちます。tpcall()
関数の呼出しには、次のシグネチャを使用します。
int
tpcall(char *svc
, char *idata
, longilen
, char **odata
, long *olen
, long flags)
表6-1は、tpcall()
関数の引数を示しています。
リクエストのデータ部分のアドレスを含むポインタ。このポインタは、tpalloc()の以前の呼出しで割り当てられた型付きバッファを参照しなければなりません。
idata のtype (および指定されている場合はsubtype )は、サービス・ルーチンで使用できるtype (および指定されている場合はsubtype )と合致する必要があります。タイプが合致しない場合、tperrno にTPEITYPE が設定され、関数の呼出しが失敗します。
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応答を受信する出力バッファを指すポインタのアドレス。tpalloc()関数を使用して、出力バッファを割り当てておく必要があります。
tpcall() から正常に制御が戻ったときに、応答メッセージにデータが含まれていないと、* olen にゼロが設定されます。ポインタと出力バッファの内容は変更されません。
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注: | tpcall() 関数の呼出しは、tpacall()を呼び出した直後にtpgetrply()を呼び出すことと論理的には同じです。「非同期メッセージの送信」を参照してください。 |
リクエストは、svc
で指定されたサービスの優先度で送信されます。ただし、tpsprio()関数の呼出しで明示的に異なる優先度が設定されている場合は除きます。詳細は、「メッセージの優先度の設定および取得」を参照してください。
tpcall()
は整数を返します。失敗した場合、この整数値は -1になり、tperrno(5)に発生したエラー条件が返されます。有効なエラー・コードの詳細は、『Oracle Tuxedo ATMI C言語関数リファレンス』の「tpcall(3c)」を参照してください。
注: | 通信呼出しは様々な原因で失敗しますが、そのほとんどは、アプリケーション・レベルで修正できます。失敗の原因としては、アプリケーション定義のエラー(TPESVCFAIL )、戻り値の処理エラー(TPESVCERR )、型付きバッファのエラー(TPEITYPE 、TPEOTYPE )、タイムアウト・エラー(TPETIME )、プロトコル・エラー(TPEPROTO )などがあります。エラーの詳細については、「エラーの管理」を参照してください。発生する可能性があるエラーについては、『Oracle Tuxedo ATMI C言語関数リファレンス』の「tpcall(3c)」を参照してください。 |
Oracle Tuxedoシステムでは、割り当てられているバッファより大きなメッセージを受信した場合、メッセージ受信用バッファのサイズが自動的に変更されます。そのため、応答バッファのサイズが変更されたかどうかを確認する必要があります。
バッファの新しいサイズにアクセスするには、*olen
パラメータに返されたアドレスを使用します。応答バッファのサイズが変更されたかどうかを確認するには、tpcall()
を呼び出す前の応答バッファのサイズと、返された応答バッファの*
olen
の値とを比較します。*
olen
が元の値より大きい場合、バッファのサイズは大きくなっています。それ以外の場合、バッファのサイズは変更されていません。
呼出しの後にodata
に戻された値で、出力バッファを参照します。サイズの増加以外に、出力バッファが変更されている場合があるからです。リクエスト・バッファのサイズを確認する必要はありません。リクエスト・データは一度割り当てられると、調整されないからです。
注: | リクエスト・メッセージと応答メッセージに同じバッファを使用している場合に、バッファのサイズが変更されたために応答バッファを指すポインタが変更されたときは、入力バッファへのポインタは有効なアドレスを参照しなくなります。 |
リスト6-1は、クライアント・プログラムaudit.c
で、リクエスト・メッセージとレスポンス・メッセージに同じバッファを使用して、同期呼出しを行う方法を示しています。この例では、*audv
メッセージ・バッファはリクエスト情報と応答情報の両方を格納するように設定されているため、同じバッファを使用できます。このコードでは、次の処理が行われます。
b_id
フィールドに対して問合せを実行します。ただし、このフィールドを上書きしません。 bal
フィールドをゼロ、ermsg
フィールドをNULL文字列に初期化して、サービスから返される値を受け取る準備をします。 svc_name
変数はリクエストされたサービス名、hdr_type
変数はリクエストされた残高のタイプを示します。この例では、口座残高
と窓口残高
が示されます。. . .
/* Create buffer and set data pointer */
audv = (struct aud *)tpalloc("VIEW", "aud", sizeof(struct aud));
/* Prepare aud structure */
audv->b_id = q_branchid;
audv->balance = 0.0;
(void)strcpy(audv->ermsg, "");
/* Do tpcall */
if (tpcall(svc_name,(char *)audv,sizeof(struct aud),
(char **)&audv,(long *)&audrl,0)== -1){
(void)fprintf (stderr, "%s service failed\n %s: %s\n",
svc_name, svc_name, audv->ermsg);
retc = -1;
}
else
(void)printf ("Branch %ld %s balance is $%.2f\n",
audv->b_id, hdr_type, audv->balance);
. . .
リスト6-2は、tpcall()
を呼び出した後、アプリケーションでバッファのサイズが変更されたかどうかを確認する一般的な方法を示しています。この例では、入力バッファと出力バッファは同じサイズである必要があります。
char *svc, *idata, *odata;
long ilen, olen, bef_len, aft_len;
. . .
if (idata = tpalloc("STRING", NULL, 0) == NULL)
error
if (odata = tpalloc("STRING", NULL, 0) == NULL)
error
place string value into idata buffer
ilen = olen = strlen(idata)+1;
. . .
bef_len = olen;
if (tpcall(svc, idata, ilen, &odata, &olen, flags) == -1)
error
aft_len = olen;
if (aft_len > bef_len){ /* message buffer has grown */
if (idata = tprealloc(idata, olen) == NULL)
error
}
リスト6-3は、bankapp
のXFER
サーバー・プロセスの一部であるTRANSFER
サービスに基づいています(bankapp
は、Oracle Tuxedoシステムに提供されているサンプルATMIアプリケーションです)。TRANSFER
サービスは、クライアントとしてWITHDRAWAL
およびDEPOSIT
サービスを呼び出します。アプリケーションはこれらのサービスを呼び出すときに通信フラグをTPSIGRSTRT
に設定して、トランザクションをコミットしやすいようにします。TPSIGRSTRT
フラグは、シグナルの割込みがあった場合に行う処理を指定します。通信フラグの詳細は、『Oracle Tuxedo ATMI C言語関数リファレンス』の「tpcall(3c)」を参照してください。
/* Do a tpcall to withdraw from first account */
if (tpcall("WITHDRAWAL", (char *)reqfb,0, (char **)&reqfb,
(long *)&reqlen,TPSIGRSTRT) == -1) {
(void)Fchg(transf, STATLIN, 0,
"Cannot withdraw from debit account", (FLDLEN)0);
tpfree((char *)reqfb);
}
...
/* Do a tpcall to deposit to second account */
if (tpcall("DEPOSIT", (char *)reqfb, 0, (char **)&reqfb,
(long *)&reqlen, TPSIGRSTRT) == -1) {
(void)Fchg(transf, STATLIN, 0,
"Cannot deposit into credit account", (FLDLEN)0);
tpfree((char *)reqfb);
}
リスト6-4は、トランザクション・モードではない通信呼出しを示しています。この呼出しは、リソース・マネージャに関連していないサービスに対して実行され、サービスがトランザクションに参加するとエラーになります。アプリケーションは、accounts
という名前のデータベースから取得した情報に基づいて生成された売掛金勘定レポートaccrcv
を出力します。
サービス・ルーチンREPORT
は指定されたパラメータを解釈し、完了したレポートのバイト・ストリームを応答として送信します。クライアントは、tpcall()
を使用してPRINTER
サービスにバイト・ストリームを送信します。PRINTERは、クライアントに近いプリンタにバイト・ストリームを送信します。そして、応答が印刷されます。最後に、PRINTER
サービスはハードコピーの印刷が終了したことをクライアントに通知します。
注: | 「TPNOTRANとTPNOREPLYフラグを設定した非同期メッセージの送信」では、同じ例を使用して非同期メッセージの呼出しを行っています。 |
#include <stdio.h>
#include "atmi.h"
main()
{
char *rbuf; /* report buffer */
long r1len, r2len, r3len; /* buffer lengths of send, 1st reply,
and 2nd reply buffers for report */
join application
if (rbuf = tpalloc("STRING", NULL, 0) == NULL) /* allocate space for report */
leave application and exit program
(void)strcpy(rbuf,
"REPORT=accrcv DBNAME=accounts"); /* send parms of report */
r1len = strlen(rbuf)+1; /* length of request */
start transaction
if (tpcall("REPORT", rbuf, r1len, &rbuf,
&r2len, 0) == -1) /* get report print stream */
error routine
if (tpcall("PRINTER", rbuf, r2len, &rbuf,
&r3len, TPNOTRAN) == -1) /* send report to printer */
error routine
(void)printf("Report sent to %s printer\n",
rbuf); /* indicate which printer */
terminate transaction
free buffer
leave application
}
注: | この例のerror routine は、エラー・メッセージの出力、トランザクションの中止、割り当てられたバッファの解放、クライアントのアプリケーションからの分離、およびプログラムの終了が行われることを示しています。 |
リスト 6-5では、最初に割り当てられたバッファ・タイプと同じタイプで応答メッセージを返す必要があることを示して、TPNOCHANGE
通信フラグを使用して厳密なタイプ・チェックを行う方法を示しています。この例では、REPORT
というサービス・ルーチンを参照します。(REPORT
サービスは、「例: TPNOTRANフラグを設定した同期メッセージの送信」でも使用されています。)
このサンプル・コードでは、クライアントが応答をVIEW
型バッファrview1
で受信し、printf()
文でその内容を出力しています。厳密なタイプ・チェックのフラグTPNOCHANGE
が設定されているので、タイプVIEW
およびサブタイプrview1
のバッファに応答が返されます。
厳密なタイプ・チェックを行うのは、REPORT
サービス・サブルーチンでエラーが発生して、不適切なタイプの応答バッファが使用されることを防ぐためです。もう1つの理由は、依存関係にあるすべてのエリアで一貫していない変更が行わることを防ぐためです。たとえば、あるプログラマがREPORT
サービスを変更してすべての応答を別のVIEW
形式で標準化したが、それを反映するためにクライアント・プロセスを変更しなかった場合などがあります。
#include <stdio.h>
#include "atmi.h"
#include "rview1.h"
main(argc, argv)
int argc;
char * argv[];
{
char *rbuf; /* report buffer */
struct rview1 *rrbuf; /* report reply buffer */
long rlen, rrlen; /* buffer lengths of send and replybuffers for report */
if (tpinit((TPINIT *) tpinfo) == -1)fprintf(stderr, "%s: failed to join application\n", argv[0]);
if (rbuf = tpalloc("STRING", NULL, 0) == NULL) { /* allocate space for report */tpterm();
exit(1);
}/* allocate space for return buffer */
if (rrbuf = (struct rview1 *)tpalloc("VIEW", "rview1", sizeof(struct rview1)) \ == NULL{tpfree(rbuf);
tpterm();
exit(1);
}
(void)strcpy(rbuf, "REPORT=accrcv DBNAME=accounts FORMAT=rview1");
rlen = strlen(rbuf)+1; /* length of request *//* get report in rview1 struct */
if (tpcall("REPORT", rbuf, rlen, (char **)&rrbuf, &rrlen, TPNOCHANGE) == -1) {fprintf(stderr, "accounts receivable report failed in service call\n");
if (tperrno == TPEOTYPE)
fprintf(stderr, "report returned has wrong view type\n");
tpfree(rbuf);
tpfree(rrbuf);
tpterm();
exit(1);
}
(void)printf("Total accounts receivable %6d\n", rrbuf->total);
(void)printf("Largest three outstanding %-20s %6d\n", rrbuf->name1, rrbuf->amt1);
(void)printf("%-20s %6d\n", rrbuf->name2, rrbuf->amt2);
(void)printf("%-20s %6d\n", rrbuf->name3, rrbuf->amt3);
tpfree(rbuf);
tpfree(rrbuf);
tpterm();
}
この項で説明する非同期の処理は、ファンアウト並列処理と呼ばれます。クライアントのリクエストが複数のサービスに同時に分散(ファンアウト)されて処理が行われるからです。
このほかに、Oracle Tuxedoシステムでは、非同期処理としてパイプライン並列処理もサポートされています。この処理では、tpforward()関数を使用して1つのサービスから別のサービスに処理が渡されます(転送されます)。tpforward()
関数については、「サーバーのコーディング」を参照してください。
tpacall(3c)関数は、サービス・リクエストを送信し、直ちに制御を戻します。tpacall()
関数の呼出しには、次のシグネチャを使用します。
int
tpacall(char *svc
, char *data
, longlen
, long flags)
表6-2は、tpacall()
関数の引数を示しています。
リクエストのデータ部分のアドレスを含むポインタ。このポインタは、tpalloc()の以前の呼出しで割り当てられた型付きバッファを参照しなければなりません。
idata のtype (および指定されている場合はsubtype )は、サービス・ルーチンで使用できるtype (および指定されている場合はsubtype )と合致する必要があります。タイプが合致しない場合、tperrno にTPEITYPE が設定され、関数の呼出しが失敗します。
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フラグのオプション。論理演算子
OR を使用すると、複数のフラグをリストできます。この値にゼロを設定すると、デフォルトの方法で通信が行われます。有効なフラグとデフォルト値については、『Oracle Tuxedo ATMI C言語関数リファレンス』の「tpacall(3c)」を参照してください。
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tpacall()
関数は、svc
パラメータに指定されたサービスにリクエスト・メッセージを送信し、直ちに制御を戻します。呼出しが正常に終了すると、tpacall()
関数は整数値を返します。この値は、関連する要求に対する正しい応答にアクセスするための記述子として使用されます。tpacall()
がトランザクション・モードで実行されている場合(「グローバル・トランザクションのコーディング」を参照)、トランザクションのコミット時に未処理の応答が存在することはありません。つまり、あるトランザクションの範囲内では、リクエストごとにその応答が返されるので、最終的には対応する応答を必ず受信することになります。
flags
引数にTPNOREPLY
が設定されると、応答が必要ないことがtpacall()
に通知されます。このフラグが設定されている場合、tpacall()
の処理が正常に終了すると、応答記述子として0
が返されます。以降の処理で、この値がtpgetrply()関数に渡されると、この値は無効になります。プロセスがトランザクション・モードのときにこのフラグを正しく使用するためのガイドラインについては、「グローバル・トランザクションのコーディング」を参照してください。
エラーが発生した場合、tpacall()
は-1
を返し、tperrno(5)には発生したエラー条件が返されます。tpacall()
が返すエラー・コードの多くは、tpcall()が返すエラー・コードと同じです。これらの関数のエラー・コードは、一方が同期呼出し、もう一方が非同期呼出しに基づいているという点が異なります。これらのエラーについては、「エラーの管理」を参照してください。
リスト6-6は、tpacall()
でTPNOTRAN
とTPNOREPLY
フラグを使用する方法を示しています。このコードは、「例: TPNOTRANフラグを設定した同期メッセージの送信」のコードと同じです。ただし、この場合は、PRINTER
サービスからの応答は要求されていません。TPNOREPLY
フラグとTPNOREPLY
フラグの両方を設定することで、クライアントが応答を要求していないこと、およびPRINTER
サービスが現在のトランザクションに参加しないことを示します。詳細は、「エラーの管理」を参照してください。
#include <stdio.h>
#include "atmi.h"
main()
{
char *rbuf; /* report buffer */
long rlen, rrlen; /* buffer lengths of send, reply buffers for report */
join application
if (rbuf = tpalloc("STRING", NULL, 0) == NULL) /* allocate space for report */
error
(void)strcpy(rbuf, "REPORT=accrcv DBNAME=accounts");/* send parms of report */
rlen = strlen(rbuf)+1; /* length of request */
start transaction
if (tpcall("REPORT", rbuf, rlen, &rbuf, &rrlen, 0)
== -1) /* get report print stream */
error
if (tpacall("PRINTER", rbuf, rrlen, TPNOTRAN|TPNOREPLY)
== -1) /* send report to printer */
error
. . .
commit transaction
free buffer
leave application
}
以下のサンプル・コードは、銀行の総残高照会を行う非同期呼出しを示しています。銀行業務アプリケーションのデータは、複数のデータベース・サイトに分散されているので、各サイトに対してSQL問合せを実行する必要があります。その場合、データベース・サイトごとに支店番号が1つ選択され、そのサイトに対してABAL
またはTBAL
サービスが呼び出されます。支店番号は実際のSQL問合せでは使用されませんが、この番号によってOracle Tuxedoシステムが適切なサイトにリクエストを送ることができるようになります。次のコードでは、サイトごとにfor
ループがtpacall()
を一度呼び出しています。
audv->balance = 0.0;
(void)strcpy(audv->ermsg, "");
for (i=0; i<NSITE; i++) {
/* Prepare aud structure */
audv->b_id = sitelist[i]; /* routing done on this field */
/* Do tpacall */
if ((cd[i]=tpacall(sname, (char *)audv, sizeof(struct aud), 0))
== -1) {
(void)fprintf (stderr,
"%s: %s service request failed for site rep %ld\n",
pgmname, sname, sitelist[i]);
tpfree((char *)audv);
return(-1);
}
}
サービス呼出しに対する応答は、tpgetrply(3c)関数を呼び出すと非同期的に受信できます。tpgetrply()
関数は、tpacall()が以前に送信したリクエストに対する応答をキューから取り出します。
tpgetrply()
関数の呼出しには、次のシグネチャを使用します。
int
tpgetrply(int *cd
, char **data
, long *len
, longflags
)
表6-3は、tpgetrply()
関数の引数を示しています。
tpacall()が返す呼出し記述子を指すポインタ。
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フラグのオプション。論理演算子
OR を使用すると、複数のフラグをリストできます。この値にゼロを設定すると、デフォルトの方法で通信が行われます。有効なフラグとデフォルト値については、『Oracle Tuxedo ATMI C言語関数リファレンス』の「tpcall(3c)」を参照してください。
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デフォルトでは、この関数は、cd
パラメータが参照する値に対応した応答を待ちます。応答を待っている間に、ブロッキング・タイムアウトが発生する場合があります。タイムアウトが発生するのは、tpgetrply()
が失敗し、tperrno(5)にTPETIME
が設定された場合です。ただし、flags
パラメータにTPNOTIME
が設定されている場合は除きます。
2つのATMI呼び出し、tpsprio(3c)およびtpgprio(3c)を使用して、メッセージ要求の優先度を決定したり設定したりできます。この優先度に従って、サーバーがキューからリクエストを取り出します。つまり、最も優先度の高いリクエストが最初に取り出されます。
tpsprio(3c)関数を使用すると、メッセージ・リクエストの優先度を設定できます。
tpsprio()
関数で優先度を設定できるのは、1つのリクエストだけです。つまり、tpcall()またはtpacall()によって次に送信されるリクエスト、またはサービス・サブルーチンによって次に転送されるリクエストだけです。
tpsprio()
関数の呼出しには、次のシグネチャを使用します。
int
tpsprio(intprio
, longflags
);
表6-4は、tpsprio()
関数の引数を示しています。
以下のサンプル・コードは、TRANSFER
サービスから引用したものです。このコードでは、TRANSFER
サービスはクライアントとして動作し、tpcall()を使用してWITHDRAWAL
サービスに同期要求を送信しています。TRANSFER
はtpsprio()
を呼び出してWITHDRAWAL
に対するリクエスト・メッセージの優先度を上げます。また、TRANSFER
のキューを待機した後で、WITHDRAWAL
サービス(その後DEPOSIT
サービス)に対するリクエストがキューに格納されないようにします。
/* increase the priority of withdraw call */
if (tpsprio(PRIORITY, 0L) == -1)
(void)userlog("Unable to increase priority of withdraw\n");
if (tpcall("WITHDRAWAL", (char *)reqfb,0, (char **)&reqfb, (long *)
\
&reqlen,TPSIGRSTRT) == -1) {
(void)Fchg(transf, STATLIN, 0, "Cannot withdraw from debit account", \
(FLDLEN)0);
tpfree((char *)reqfb);
tpreturn(TPFAIL, 0,transb->data, 0L, 0);
}
tpgprio(3c)関数を使用すると、メッセージ・リクエストの優先度を取得できます。
tpgprio()
関数の呼出しには、次のシグネチャを使用します。
int
tpgprio();
リクエスタは、tpcall()
またはtpacall()関数を呼び出した後にtpgprio()関数を呼び出して、リクエスト・メッセージの優先度を取得できます。リクエスタが関数を呼び出したがリクエストが送信されていない場合、関数は失敗して-1
が返され、tperrno(5)にTPENOENT
が設定されます。tpgprio()
の処理が成功すると、1 - 100の範囲内の整数値が返されます。100が最も高い優先度です。
tpsprio()関数を使用して優先度が明示的に設定されていない場合、メッセージの優先順として、要求を処理するサービス・ルーチンの優先度が設定されます。アプリケーション内では、リクエストを処理するサービスの優先度にデフォルト値の50が設定されます。ただし、システム管理者が別の値を指定している場合は除きます。
次のサンプル・コードは、非同期呼出しによって送信されたメッセージの優先度を確認する方法を示しています。
#include <stdio.h>
#include "atmi.h"
main ()
{
int cd1, cd2; /* call descriptors */
int pr1, pr2; /* priorities to two calls */
char *buf1, *buf2; /* buffers */
long buf1len, buf2len; /* buffer lengths */
join application
if (buf1=tpalloc("FML", NULL, 0) == NULL)
error
if (buf2=tpalloc("FML", NULL, 0) == NULL)
error
populate FML buffers with send request
if ((cd1 = tpacall("service1", buf1, 0, 0)) == -1)
error
if ((pr1 = tpgprio()) == -1)
error
if ((cd2 = tpacall("service2", buf2, 0, 0)) == -1)
error
if ((pr2 = tpgprio()) == -1)\
error
if (pr1 >= pr2) { /* base the order of tpgetrplys on priority of calls */
if (tpgetrply(&cd1, &buf1, &buf1len, 0) == -1)
error
if (tpgetrply(&cd2, &buf2, &buf2len, 0) == -1)
error
}
else {
if (tpgetrply(&cd2, &buf2, &buf2len, 0) == -1)
error
if (tpgetrply(&cd1, &buf1, &buf1len, 0) == -1)
error
}
. . .
}