通常、OpenStack のインストールと構成は複数のシステムやノードをまたいで行います。シングルノード構成は、OpenStack を製品としてテストし、その機能を理解するために役立ちます。ただし、シングルノード構成は本番環境には適していません。
各クラウドに、1 つのダッシュボードインスタンス、1 つのイメージストア、および 1 つのアイデンティティーサービスのみが必要です。各クラウドでは任意の数のストレージとコンピュートインスタンスを使用できます。本番環境では、これらのサービスは複数のノード全体に構成します。特定のクラウドデプロイメントのニーズに関連して、各コンポーネントを評価し、そのコンポーネントを個別のノードにインストールすべきかどうか、およびそのタイプのノードをどのくらい必要とするかを決定します。
コントローラノード – ほとんどの共有 OpenStack サービスおよびその他のツールが実行されるノード。コントローラノードはクラウドに API、スケジュール、およびその他の共有サービスを提供します。コントローラノードには、ダッシュボード、イメージストア、およびアイデンティティーサービスがあります。さらに、Nova コンピュート管理サービスと Neutron サーバーもこのノードに構成されます。
コンピュートノード – VM インスタンス (Nova コンピュートインスタンス) がインストールされているノード。このノードは、これらの VM インスタンスを管理するコンピュートデーモンを実行します。
ストレージノード – データをホストするノード。
この章で説明するアーキテクチャーは次の 3 つのシステムにデプロイされています。
次の図に、この章で説明するアーキテクチャーの概要図を示します。
図 4-1 3 ノード構成のリファレンスアーキテクチャー
この例のアーキテクチャーでは、Swift オブジェクトストレージサービスを示していません。Swift の構成に関する一般的な情報については、OpenStack 構成参照などの OpenStack コミュニティサイトの情報を参照してください。Oracle Solaris システムで Swift サービスを構成する方法および、Oracle Solaris 上の OpenStack に関するほかの情報については、OpenStack for Oracle Solaris 11 に関するドキュメントを参照してください。
Oracle Solaris では、Elastic Virtual Switch (EVS) が OpenStack ネットワーキングのバックエンドを形成します。EVS は、VLAN または VXLAN 上の VM インスタンス間の通信を容易にします。VM インスタンスは、同じコンピュートノードまたは複数のコンピュートノードに配置できます。EVS の詳細については、Oracle Solaris 11.2 での仮想ネットワークとネットワークリソースの管理 の第 5 章エラスティック仮想スイッチについてを参照してください。
異なるノード同士が通信するには、コントローラノードにある evsuser、neutron、および root の SSH 公開鍵が、構成されたすべてのコンピュートノード内の evsuser の authorized_keys ファイルそれぞれに格納されている必要があります。SSH 公開鍵の配布を示す次のイメージを参照してください。このイメージでは、複数のコンピュートノードが構成されていると仮定しています。
Oracle Solaris システムへの OpenStack のデプロイメントに役立つ OpenStack 構成パラメータのリストについては、http://www.oracle.com/technetwork/articles/servers-storage-admin/getting-started-openstack-os11-2-2195380.html の OpenStack の一般的な構成パラメータに関するセクションを参照してください。
図 4-2 EVS コントローラの SSH 鍵の配布