Oracle OnRampを使用したCRMデータのオンボーディング
Oracle OnRampアプリは、Oracle Data Cloudプラットフォームに搭載されているセルフサービス型の自動オフライン・データ取り込みソリューションです。CRMデータベース内のユーザーをセグメント化し、個人識別情報(PII)を含むオフライン・ファイルを安全にアップロードできます。OnRampでは、オフライン・ユーザーが照合され、ユーザー属性がプライベート・タクソノミ内の新規カテゴリに分類されます。それにより、複数のメディア実行プラットフォームにわたってオフライン・データをアクティブ化してターゲッティング、分析、モデリングおよび最適化に使用できるようになります。
Oracle OnRampを使用すると、次のメリットがあります。
- セルフサービス・オンボーディング: オンデマンドでオフライン・ファイルをアップロードしたり、新しいデータを取得するために新しい値を追加したり、タクソノミをカスタマイズします。インベントリが増加し始めると、照合率やセグメントごとの取り込まれたユーザー数が、OnRampのダッシュボードにほぼリアルタイムに表示されます。
- 自動化されたワークフローによる迅速なオンボーディング・プロセス: 自動化された迅速なワークフローを使用して、オフライン・オンボーディング・プロセスを削減します。OnRampをOracle Data Cloudとインテグレーションすることにより、データをオンボーディングするのに複数のプラットフォームや複数のチームをまたぐ作業が不要になります。
- マッチ率の最大化: カスタマ・ベースをさらにアクティブ化します。
このドキュメントでは、OnRampアプリを使用したデータのオンボーディングについて説明します。OnRampデータは、OnRamp APIを使用してプログラムで取り込むこともできます。
このトピックの内容
Oracle OnRampアプリのリクエスト
Oracle OnRampを使用するには、営業担当に連絡して、OnRampアプリにアクセスできるようにしてください。
オフライン・データの準備
オフラインのCRMオーディエンス・データがOnRampで適切に分類されるようにしてマッチ率を最大限に高めるには、次の点を考慮してデータの準備を行ってください。
データ要件とベスト・プラクティス
項目 | 説明 |
---|---|
データ形式 |
|
ファイル |
|
PII |
|
タクソノミ | 各列で使用できる一意の値の数は、プライベート・タクソノミに作成されたセグメントの数によって決まります。 |
重要: データのQAを行ってください。スプレッドシート・アプリケーションを使用してデータ・ファイルを準備する場合は、値の書式が正しいことを確認してください。たとえば、先頭に0が付いた郵便番号が切り捨てられていないことを確認します。
マッチ・キー
マッチ・キーとして選択したデータ・タイプを使用して、ファイル内のデータが既知のタイプに対して照合されます。たとえば、最小限、名前および住所データを使用する場合は、次のいずれかを選択する必要があります
- 名、姓、郵便番号
- 電子メール・アドレス
OnRampへのファイルの初回アップロード時には、ファイル内のリーチ列に次のいずれかのマッチ・キーを選択するよう求められます。
カテゴリ | マッチ・キー | 説明 |
---|---|---|
未加工 | Last Name | ハッシュ化されていない姓(PII) |
First Name | ハッシュ化されていない名(PII) | |
Address1 | ハッシュ化されていない住所の1行目(PII) | |
Address2 | ハッシュ化されていない住所の2行目(PII) | |
City | ハッシュ化されていない市町村 | |
State | ハッシュ化されていない米国の州 | |
Zip (5 digits) | ハッシュ化されていない郵便番号(PII) | |
Zip Extension (last 4 digits) | ハッシュ化されていない郵便番号拡張(PII) | |
ハッシュ化されていない電子メール・アドレス(PII) | ||
Phone Number | ハッシュ化されていない電話番号(PII) | |
SHA-1 | SHA-1でハッシュ化された電子メール・アドレス | |
SHA-256 | Last Name | SHA-256でハッシュ化された姓 |
First Name | SHA-256でハッシュ化された名 | |
Address1 | SHA-256でハッシュ化された住所の1行目 | |
Address2 | SHA-256でハッシュ化された住所の2行目 | |
City | SHA-256でハッシュ化された市町村 | |
State | SHA-256でハッシュ化された米国の州 | |
Zip (5 digits) | SHA-256でハッシュ化された郵便番号 | |
Zip Extension (last 4 digits) | SHA-256でハッシュ化された郵便番号拡張 | |
SHA-256でハッシュ化された電子メール・アドレス | ||
Phone Number | SHA-256でハッシュ化された電話番号 | |
MD5 | MD5でハッシュ化された電子メール・アドレス | |
顧客ID | Customer ID | 顧客ID |
セグメンテーション | Classification | 列内の一意の値ごとにセグメントを作成する場合に選択します。 |
カスタム・フィールド | Custom Field | この列内のデータを削除する場合に選択します。システムには格納されません。 |
オフライン・ファイルのアップロード
オフライン・ファイルをOracle OnRampにアップロードする手順は、次のとおりです。
- partner.bluekai.comにログオンし、「Manage」→「Oracle OnRamp」を選択します。
「Oracle OnRamp Audiences」ページが表示されます。ノート: 最新のFirefoxおよびSafariブラウザのバージョン(Firefox 69.0以降; Safari 13以降)を使用している場合、デフォルトのプライバシ設定では、OnRampの使用がブロックされます。回避策は、次のとおりです。
- 「Upload a New Audience」をクリックします。「Upload Audience」ページが表示されます。
- アップロードするファイルをドラッグ・アンド・ドロップするか、「Select a file to upload」をクリックします。
- OnRampにファイル・アップロードのステータスが表示されます。アップロードが完了したら、データ・プレビュー表が表示されます。
- 列ヘッダーのドロップダウン・リストを使用して、名前、住所、郵便番号などのPIIを含むすべての列で正しいマッチ・キーを識別します。
- オプションで、次の項目を編集できます。
- オーディエンスの名前を変更する場合は、「Audience Name」ボックスに新しい名前を入力します。
- オフライン・ファイル内の列に複数のデリミタ文字が含まれている場合は、ファイル内でフィールドを区切るために使用されているデリミタ(カンマ、パイプ、タブ、セミコロンなど)をクリックします。通常は、OnRampにより正しいデリミタが検出されますが、ここで自分自身で指定することもできます。
- ファイルにヘッダー行が含まれていない場合は、「File contains a header row」チェック・ボックスの選択を解除します。そうしないと、データの先頭行がヘッダー行として使用されます。ヘッダー行はできるだけ含めることをお薦めしますが、必須ではありません。
- 列ヘッダーのドロップダウン・リストを使用して、PIIを含まない列でマッチ・キーを識別します。このようなデータのマッチ・キーを設定すると、関連するオーディエンスに対してセグメントが作成されるようになります。
- 「Save Audience」をクリックします。ファイルがアップロードされ、「Oracle OnRamp Audiences」ページに戻ります。
自動アップロード
データ・ファイルをアップロードできるSFTPの場所に関する情報はアカウント・マネージャから提供されます。アップロードしたデータ・ファイルは自動的に処理され、プライベート・タクソノミ内に収集されます。
重要:自動アップロードに使用するSFTPアカウントは、アカウント・マネージャを通して特別にリクエストする必要があります。これは、オフライン・オンボーディングやSDTによるデータ配信に使用するSFTPアカウントとは異なります。
Oracle OnRampに対する自動SFTPアップロードを設定する際には、事前に手動アップロード・プロセスを使用し、その結果として作成されるオーディエンスを公開する必要があります。 これにより、自動ファイル処理に必要なカテゴリおよびオーディエンスIDが作成されます。初期ファイルには少数のオーディエンス(10行から20行程度)を含めることもできますが、その場合は、同じ列形式で、同じ書式、同じファイル名、かつ、TXT拡張子を使用する必要があります。
新規ファイルに含まれているデータを既存のオーディエンス・データに追加するのか、あるいは、完全に置換するのかによって、次のいずれかのファイル命名規則を使用します。
- 追加:
onramp_audience_ID_append.txt
- 置換:
onramp_audience_ID_replace.txt
重要: 自動アップロードではTXTファイル形式のみがサポートされています。
OnRampへのアップロード・プロセスを自動化する手順は、次のとおりです。
- サンプル・データ・ファイルをOnRampに手動でアップロードします。
- オーディエンスのステータスが「Ready to Publish」になったら、「Publish」をクリックします。プライベート・タクソノミ内にカテゴリが作成され、オーディエンスIDがOnRampに表示されます。
- データ・ファイルをSFTPの場所にアップロードします。
- オーディエンスのOnRamp matchレポートを使用してアップロードを検証およびトラッキングします。
OnRampオーディエンスのモニターおよび公開
ファイルのアップロードが終了すると、ユーザー照合のためにファイルの処理が開始され、ステータスが「In Progress」として表示されます。
OnRampでファイルの処理とセグメントの作成が終了したら、ステータスが「Ready to Publish」に変わります。
オーディエンスを公開する手順は、次のとおりです。
- オーディエンスの横にあるメニュー・アイコン
をクリックして、「Publish」オプションを選択します。
- 確認画面で、「Publish」をクリックします。オーディエンスがその後の処理に送られ、セグメントごとにプライベート・タクソノミ内にカテゴリが作成されます。また、ステータスが「Publishing」に変更されます。処理が完了したら、ステータスが「Published」に更新されます。
ノート: オーディエンス・データの照合とプライベート・タクソノミへの公開が終了したら、Oracle OnRampはデータを保持しません。
オーディエンスに関するインサイトの取得
Matchレポートとオーディエンス・インサイトを表示するには、オーディエンスのメニュー・アイコンでそれぞれ該当するオプションを選択します。
Matchレポート
Matchレポートには、マッチしたレコード数、一意の個人、Oracle ID Graphに対する顧客のCRMファイルのマッチ率など、詳細な指標が表示されます。これらの照合に関する指標から、CRMファイルの中でオンラインで特定できてデジタル・ターゲッティングの対象にできる人物がどの程度いるかについてインサイトが得られます。
オーディエンスを公開すると、特定可能な合計リーチ(CookieおよびMAID)をオーディエンス・ビルダーに表示できるようになります。
オーディエンス・インサイト
Oracle OnRampでは、セグメントのデモグラフィック、地理的な場所、関心および属性をまとめたInsightsレポートを表示できます。オーディエンス・インサイトは、デフォルトでは、アップロードしたファイル内の全マッチ・レコードを対象としたものになります。セグメンテーションレベルのオーディエンス・インサイトが必要な場合は、初期ファイルを関連セグメントに分割する必要があります。アップロード済のオーディエンスに関するインサイトを得るには、再アップロードが必要になります。
OnRampカテゴリのアクティブ化
オフライン・ファイルのオンボーディングが終了したら、オーディエンスを作成し、オフライン・カテゴリを追加して、複数のメディア実行プラットフォーム全体にオーディエンスを配信します。OnRampカテゴリは、プライベート・タクソノミ内のSelf-Classificationノードにあります。