21 HCMデータ・ローダーのロード後処理

この章の内容は次のとおりです。

データのロード後に実行するプロセス

データ移行または増分更新が正常に完了した後、一部のビジネス・オブジェクトの設定を完了するために、複数のプロセスを実行する必要があります。このトピックでは、これらのプロセスについて説明します。

次の表は、就業者オブジェクトをロードした後に実行するプロセスを示しています。また、次の表では、すべてのプロセスを手動で実行する場合の実行順序も示しています。デフォルトでは、次の2つのプロセスは、就業者オブジェクトのロードが完了したときに自動的に実行されます。

  • マネージャ階層のリフレッシュ

  • 個人検索キーワードの更新

これらのうちいずれかまたは両方のプロセスが自動的に実行されないようにするには、Worker.datファイルでSET命令を使用します。

プロセス 順序

個人レコードの同期化

1

マネージャ階層のリフレッシュ

2

個人検索キーワードの更新

3

個人検索キーワード索引の最適化

4

すべてのユーザーの自動プロビジョニング・ロール

5

待ち状態のLDAP要求の送信

6

LDAPへの複数ユーザーの個人データの送信

7

個人名への名前書式の適用

該当なし

これらのプロセスは、「スケジュール済プロセス」作業領域で実行します。「ナビゲータ」「ツール」「スケジュール済プロセス」を選択します。

プロセスの説明

個人名への名前書式の適用

名前書式を追加または更新するとき、「表示名」、「リスト名」、「氏名」または「順序名」の各書式を非正規化個人名データに適用します。オプションで、このプロセスは1つの国に対して実行できます。

すべてのユーザーの自動プロビジョニング・ロール

現在のロール・プロビジョニング・ルールに基づいてロールをプロビジョニングおよび削除する要求を生成します。

個人検索キーワード索引の最適化

PER_KEYWORDS表の索引を最適化して、検索パフォーマンスを向上させます。デフォルトでは、このプロセスは最大180分実行され、完全最適化を実行します。別の「最大最適化時間」を入力できます。「索引の再構築」オプションを選択すると、「最大最適化時間」の値が無視されます。索引の再構築には、時間がかかる可能性があります。

「個人検索キーワードの更新」を実行するたびに、このプロセスを実行してください。該当のプロセスが完了した後に実行します。

マネージャ階層のリフレッシュ

パフォーマンス上の理由により、各個人の完全なマネージャ階層が、アクティブなデータ表から抽出されます。この階層は、非正規化マネージャ階層と呼ばれる個別のマネージャ階層表(PER_MANAGER_HRCHY_DN)に格納されます。このアプローチにより、個人のマネージャ階層が、アクセスしやすくなると同時に、最新の状態に維持されます。「マネージャ階層のリフレッシュ」プロセスは、非正規化マネージャ階層表に、各データ・ロード後の最新情報を移入します。

このプロセスの自動実行が有効化されていない場合は、すべてのデータがロードされた後、手動で実行します。

待ち状態のLDAP要求の送信

ユーザー・アカウント要求およびロール・プロビジョニング要求をLDAPディレクトリに送信します。

LDAPへの複数ユーザーの個人データの送信

LDAPディレクトリに保持された個人データとOracle HCM Cloudで保持されたデータを一致させます。

個人レコードの同期化

使用するOracle Cloudアプリケーション(Oracle Fusion Trading Community Modelなど)に、最終データのロード以降の個人およびアサイメント詳細への変更を通知します。

1回のみロードする場合は、「バッチ・ロード後」パラメータを「はい」に設定してこのプロセスを送信します。「日付: 自」フィールドに、ロードの開始日を入力します。「日付: 至」フィールドに、ロードの終了日を入力します。個人レコードの日常的な変更を伴う継続的な更新の場合は、開始日と終了日を指定しないでプロセスをスケジュールします。

個人検索キーワードの更新

個人、雇用およびプロファイル・レコードの複数の属性が、個人検索キーワードとして使用されます。このプロセスは、インストールされているすべての言語のキーワード値を元のレコードからPER_KEYWORDS表にコピーし、索引を付けて検索パフォーマンスを向上させます。

「名前」フィールドで個人名を選択し、1人の就業者に対してこのプロセスを実行します。このフィールドを空白にすると、このプロセスがすべての就業者に対して実行されるため、時間がかかる可能性があります。パフォーマンスの問題を回避するには、このプロセスの「バッチ・ロード後」パラメータを「はい」に設定して送信します。この場合、このプロセスは、新しいレコードのキーワードを作成しますが、既存のレコードのキーワードは更新しません。「バッチID」フィールドは空白にします。

ツリーのロード後に実行する処理

部門ツリー・ノードまたは組織ツリー・ノードをロードした後、ツリー・バージョンをアクティブ化する必要があります。詳細は、『グローバル人事管理の実装』ガイドを参照してください。

ロード後処理の実行: 考慮する点

このトピックでは、一部のロード後処理の追加ガイダンスについて説明します。特に、プロセスが必須の場合とオプションの場合について説明します。

待ち状態のLDAP要求の送信

就業者レコードをロードした後は常に、「待ち状態のLDAP要求の送信」を実行する必要があります。「待ち状態のLDAP要求の送信」の実行すると、次のようになります。

  • 新規就業者のユーザー・アカウントが作成されます。

  • ロールは、現在のロール・マッピングでの指定に従って、ユーザー・アカウントにプロビジョニングされます。

新しい就業者をロードするときに適切なロール・マッピングが存在しない場合、ユーザー・アカウントは作成されますが、ロールはプロビジョニングされません。ロールが指定されていないユーザー・アカウントは、「待ち状態のLDAP要求の送信」が完了するときに自動的に停止されます。また、停止されたユーザー・アカウントに対する後続のロール・プロビジョニング要求は、処理が遅くなる場合があります。このシナリオを回避するには、次のようにします。

  1. 就業者レコードをロードする前に、ロール・マッピングを作成して、現在のそれぞれの就業者に少なくとも1つのロール(従業員など)をプロビジョニングします。

  2. 退職済就業者のユーザー・アカウントが作成されないようにします。「設定および保守」作業領域の「企業HCM情報の管理」タスクを使用して、「退職済就業者のユーザー・アカウント作成」オプションを「いいえ」に設定します。

  3. 就業者レコードをロードします。

注意: 就業者をロードする前に、常に、ロード対象の就業者に対するロール・マッピングを作成します。このロール・プロビジョニング・ルールを適切に設定することで、新規ユーザー・アカウントが不必要に停止されないようにします。

すべてのユーザーの自動プロビジョニング・ロール

就業者をロードする前にロールを自動プロビジョニングするロール・マッピングを作成した場合、就業者レコードの初期ロードまたは就業者レコードのみのロードの後、このプロセスを実行する必要はありません。ただし、ロール・マッピングを作成する前に就業者をロードする場合、このプロセスを実行した後、ロードした就業者に対して「待ち状態のLDAP要求の送信」を実行する必要があります。

増分更新後にこのプロセスを実行する必要はありません。ただし、自動プロビジョニング・ルールを変更するたびに、このプロセスを実行することをお薦めします。

LDAPへの複数ユーザーの個人データの送信

このプロセスは、就業者レコードの初期ロードまたは就業者レコードのみのロードの後に実行します。増分ロードの後は、次の場合に、このプロセスを実行します。

  • 変更したユーザーのみが対象になっていた場合

  • 就業者をそのマネージャとは別にロードする場合

  • SQLスクリプトを使用して個人データを更新した場合

ロード・データの検証: 説明

HCMデータ・ローダーによりデータが正常にロードされたら、ロードされたオブジェクトが期待どおりに表示されることを検証することをお薦めします。このトピックでは、ロードされたデータを検証できる方法をいくつか説明します。これらには次を使用します。

  • 手動テスト

  • Oracle Transactional Business Intelligence (OTBI)レポート

  • HCM抽出

手動テストの使用方法

次のことができます。

  • 代表的なサンプルを検索して、データを対話形式で検証します。たとえば、「ディレクトリ」または「個人の管理」作業領域で就業者を検索できます。また、就業者がマネージャの場合は、マネージャ階層も検索できます。

  • ワーク・ストラクチャを検索して検証します。たとえば、「ジョブの管理」ページでジョブを検索したり、「事業所の管理」ページで事業所を検索することができます。または、これらが選択可能であることをテストできます。たとえば、就業者のアサイメントを更新して、別のジョブまたは事業所を選択できます。

Oracle Transactional Business Intelligenceレポートの使用方法

事前定義済のOTBIレポートを使用して、アップロードされたデータを検証できます。これらのレポートを実行するには、次のようにします。

  1. 「レポートおよび分析」作業領域を開きます。

  2. 作業領域の「コンテンツ」ペインで、フォルダを開きます(「共有フォルダ」「人材管理」)。「人材管理」フォルダの多くのサブフォルダには、トランザクション分析サンプル・フォルダ(事前定義済レポートを含む)が格納されています。

領域の事前定義済レポートをリストするには、「コンテンツ」ペインの関連するトランザクション分析サンプル・フォルダを選択し、「カタログの参照」アイコンをクリックします。「ワークフォース管理」など、選択した領域の事前定義済レポートのリストが作業領域に表示されます。たとえば、「ジョブ詳細」レポートを実行してアクティブなジョブをリストしたり、「事業所詳細」レポートを実行してアクティブな事業所をリストすることができます。

また、Oracle BI Publisherを使用して、独自のレポートを設計できます。Oracle BI Publisherを開くには、「レポートおよび分析」作業領域の「コンテンツ」ペインで、「作成」「レポート」を選択します。

HCM抽出の使用方法

HCM抽出を使用して、Oracle HCM Cloudからデータを抽出し、様々な形式で提供できます。これらの形式は、CSV、XML、Microsoft Excel、HTML、RTFおよびPDFです。