アセットの動作の偏差を追跡するための異常の使用

アセットの設定パラメータが通常のパターンに準拠していない場合は、異常が発生します。異常は、アセットに関する潜在的な問題の特定および解決に役立ちます。

異常を使用して、通常のアセットの動作からの偏差を検出し、早期にデバイスの問題を知らせて対処します。Oracle IoT Asset Monitoring Cloud Serviceでは、次のタイプのアセットの異常を定義できます。

  • 自動異常: 自動異常を使用して、センサーまたはメトリック(KPI)の値の偏差を自動的に探します。たとえば、自動異常は、オーバーヒートしているHVACデバイスを検出するのに役立ちます。

  • ユーザー定義の異常: ユーザー定義の異常を作成して、アセットによって生成されたセンサー・データまたはメトリック・データの兆候パターンを探します。たとえば、ユーザー定義の異常を作成して、フォークリフト・アセットの振動異常を探すことができます。ユーザー定義の異常は、許容可能なデータ・パターンまたは異常なデータ・パターンに基づいています。システムをトレーニングするには、許容可能なデータまたは異常なデータのサンプルを提供します。これらのサンプルには、センサー・データ、ユーザー定義パターンおよび外部システムに格納されているコンテキスト・データを使用できます。

    許容可能なデータについては、センサー・データまたはメトリック・データの許容可能なパターンを含む時間ウィンドウを指定します。時間ウィンドウは、アセットおよび関連するセンサーが正常に動作していた通常の操作の期間です。システムでは、それ自体をトレーニングするために選択したデータ・パターンが使用されます。日常的な操作のときに、指定した偏差率を超えているデータ・パターンの偏差がシステムによって認識され、異常としてフラグが設定されます。

    異常なデータについては、IoTセンサーまたはユーザー定義データを使用してパターンを指定できます。コンテキスト・データ・ソースを使用することもできます。たとえば、Database Cloud Service表にブレークダウン・イベント・データが格納されている場合、これらのイベントをセンサー・データのタイムラインにオーバーレイして、ブレークダウン・イベントの前後に発生する異常を定義できます。

検出されたすべての異常は、ダッシュボード「異常」タブに表示されます。個々のアセットに対して検出された異常は、アセットのアセット詳細ページの「異常」タブに表示されます。

自動異常の定義

自動異常を定義して、通常のパターンからの偏差を自動的に識別します。

  1. 「メニュー」「Menu」アイコンをクリックし、「構成」を選択します。
  2. 「異常」「異常」アイコンタブをクリックします。
  3. 「新規作成」(「新規作成」アイコン)アイコンをクリックします。
  4. 「名前」フィールドに異常の名前を入力します。
  5. (オプション)異常の説明テキストを指定します。
  6. 「検出ターゲット」で、異常の「アセット・タイプ」を選択します。

    異常は、選択したアセット・タイプのすべてのアセットに適用されます。

  7. 監視する使用可能な属性を選択します。
    属性のリストには、センサー属性および問合せタイプ(計算済)メトリックが含まれます。
  8. 「トレーニング・データ」で「自動」を選択します。

    自動異常を使用して、センサーまたはメトリック(KPI)の値の偏差を自動的に探します。たとえば、自動異常は、断続的にオーバーヒートしているHVACデバイスを検出するのに役立ちます。

  9. 異常検出のトレーニング・データを提供する標本アセットを選択します。

    選択したアセット・タイプを持つすべてのアセットのリストが表示されます。最もデータの多いアセットがデフォルトで選択されます。必要に応じて、別のアセットを選択できます。

  10. トレーニング・ウィンドウ期間を指定します。

    これは、異常検出用にシステムをトレーニングするために使用される履歴データの量です。

  11. 偏差しきい値を選択します。

    偏差しきい値は、平均値からの許容可能な標準偏差の倍数です。この値を超える属性値は、異常となります。

  12. 「保存」をクリックします。

ユーザー定義の異常の作成

ユーザー定義の異常を作成して、アセットによって生成されたセンサー・データのパターンを探します。

  1. 「メニュー」「Menu」アイコンをクリックし、「構成」を選択します。
  2. 「異常」「異常」アイコンタブをクリックします。
  3. 「新規作成」(「新規作成」アイコン)アイコンをクリックします。
  4. 「名前」フィールドに異常の名前を入力します。
  5. (オプション)異常の説明テキストを指定します。
  6. 「検出ターゲット」で、異常の「アセット・タイプ」を選択します。

    異常は、選択したアセット・タイプのすべてのアセットに適用されます。

  7. 監視する使用可能な属性を選択します。

    属性のリストには、センサー属性および問合せタイプ(計算済)メトリックが含まれます。たとえば、温度センサー・アセットには温度属性が含まれる場合があります。

  8. 「トレーニング・データ」で「ユーザー定義の異常」を選択します。

    ユーザー定義の異常を使用すると、センサーまたはメトリックに対して異常または通常のデータ・パターンを手動で指定できます。既存のセンサーまたはメトリックのデータからデータ・パターンを選択できます。または、異常の識別に使用する異常なデータ・パターンを手動でプロットすることもできます。

  9. 異常検出のデータ・パターンを提供する標本アセットを選択します。

    選択したアセット・タイプを持つすべてのアセットのリストが表示されます。最もデータの多いアセットがデフォルトで選択されます。必要に応じて、別のアセットを選択できます。

  10. 選択タイプを選択し、対応する手順を完了します。
    • 「異常データ」を選択して、既存のセンサー・データまたはメトリック・データから異常なデータ・パターンを選択します。

      1. (オプション)必要に応じて、チャートのデータ終了時間を変更します。現在の日時が自動的に移入されます。

      2. (オプション)コンテキスト・データ接続に格納されているイベント・データを使用してコンテキスト注釈を表示する場合は、「コンテキスト注釈の表示」を選択します。

        たとえば、Database Cloud Service表にブレークダウン・イベントとそのタイムスタンプが格納されている場合、このデータをセンサー・データのタイムラインにオーバーレイして、ブレークダウン・イベントの前に発生するパターン異常を定義できます。詳細は、パターン異常でのコンテキスト注釈の使用方法を参照してください。

      3. 「チャートの生成」をクリックして、選択した属性およびアセットのセンサー・データまたはメトリック・データを表示します。

        選択したアセット属性のデータ・プロットが表示されます。

      4. マウスを使用して、データ・プロットの異常パターンを選択します。


        異常の選択

        データ・プロット領域ではズーム・インおよびズーム・アウトできます。「次」および「前」ボタンを使用して時間軸に沿って移動することもできます。

        選択したパターンを変更する場合は、データ・プロットで別のパターンを選択すると、最初のパターンの選択を解除できます。

      5. 「保存」をクリックして異常を保存します。

      6. 「公開」をクリックして異常をデプロイします。

    • 「許容可能なデータ」を選択して、既存のセンサー・データまたはメトリック・データから、許容可能なデータまたは異常でないデータを選択します。

      1. 偏差率を選択します。

        これは、異常をトリガーするために必要な偏差の割合です。

      2. チャートをプロットするデータ開始時間およびデータ終了時間を指定します。

        これは、許容可能な属性データ、または異常でない属性データを含む広範な期間です。

      3. 「チャートの生成」をクリックして、選択した属性および期間のセンサー・データまたはメトリック・データを表示します。

        選択したアセット属性のデータ・プロットが表示されます。

      4. 左半分のチャート内をクリックして開始時間を選択します。

        これにより、許容可能なデータまたは異常でないデータの開始がマークされます。

      5. 右半分のチャート内をクリックして終了時間を選択します。

        これにより、サンプル(許容可能な)データの終了がマークされます。


        許容可能なデータの選択。

      6. 「保存」をクリックして異常を保存します。

      7. 「公開」をクリックして異常をデプロイします。

    • 「ユーザー定義データ」を選択して、異常なデータ・パターンを手動でプロットします。

      1. イベント頻度を入力します。

        イベント頻度によって、2つのデータ・ポイント間の時間間隔(ミリ秒単位)が指定されます。

      2. プロットする必要があるポイント数を指定します。

      3. 「スケール」フィールドに、センサー属性の上限と下限を入力します。

      4. 「チャートの生成」をクリックします。

        指定したスケール、頻度およびデータ・ポイントの数に基づいて空のチャートが作成されます。

      5. データ・プロット領域の様々なポイントをクリックして、異常パターンを作成します。

      6. 「保存」をクリックして異常を保存します。

      7. 「公開」をクリックして異常をデプロイします。

異常を作成して公開したら、アセット詳細ページからアセットの異常データにアクセスできます。

パターン異常でのコンテキスト注釈の使用方法

パターンに基づく異常を手動で作成するときに、データ接続にコンテキスト・データが格納されている場合は、データ・プロットにコンテキスト注釈を追加できます。これにより、センサー・データ・プロットのブレークダウンなどのイベントを識別できます。

たとえば、Database Cloud Service表にブレークダウン・イベントとそのタイムスタンプが格納されている場合、このデータをセンサー・データのタイムラインにオーバーレイして、ブレークダウン・イベントの前に発生するパターン異常を定義できます。
  1. ユーザー定義の異常の作成の説明に従って、手動の異常を作成します。
  2. 「コンテキスト注釈の表示」を選択してコンテキスト注釈を追加します。
  3. データ・ソースを選択します。

    データ・ソースのコンテキスト・リンクは、Database Cloud ServiceまたはOracle NoSQL Database Cloud Serviceのコンテキスト・データ接続の名前です。

  4. 「重要なイベント・フィールド」に対応するコンテキスト・データ表の列を指定します。
    この列には、アセットに関連するイベントの情報が含まれている必要があります。
  5. イベントの「タイムスタンプ・フィールド」に対応するコンテキスト・データ表の列を指定します。
    この列には、格納されているイベントのタイムスタンプ情報が含まれている必要があります。
  6. 「チャートの生成」をクリックして、センサー・データまたはメトリック・データをコンテキスト注釈とともに表示します。

異常の編集

異常を編集して、異常の設定を変更します。

  1. 「メニュー」「Menu」アイコンをクリックし、「構成」を選択します。
  2. 「異常」「異常」アイコンタブをクリックします。
  3. 「異常」リストから異常を選択します。
  4. 「Edit」(「Edit」アイコン)アイコンをクリックします。
  5. 異常の設定を編集します。
  6. 「保存」をクリックします。

異常の複製

異常を複製して、既存の異常の設定を新規の異常に迅速にコピーします。

  1. 「メニュー」「Menu」アイコンをクリックし、「構成」を選択します。
  2. 「異常」「異常」アイコンタブをクリックします。
  3. 「異常」リストから異常を選択します。
  4. 「Duplicate」(「Duplicate」アイコン)アイコンをクリックします。
  5. 「異常名」フィールドに異常の名前を入力します。
  6. (オプション)残りの異常の設定を編集します。
  7. 「保存」をクリックします。

異常の削除

不要になった異常を削除します。

  1. 「メニュー」「Menu」アイコンをクリックし、「構成」を選択します。
  2. 「異常」「異常」アイコンタブをクリックします。
  3. 「異常」リストから異常を選択します。
  4. 「Delete」(「Delete」アイコン)アイコンをクリックします。
  5. 「Yes」をクリックします。