ブラウザベースのツールであるOracle Event Processingビジュアライザを使用すると、Oracle Event Processingアプリケーションの様々な状況において、表示、開発、構成および監視を行うことができます。Oracle Event Processingサーバーおよびドメインを管理することもできます。
この章の内容は次のとおりです。
ビジュアライザを使用して次のタスクを実行できます。
Oracle Event Processingドメインの構造の表示
セキュリティの管理
Oracle Event Processingサーバー・インスタンスの構成
アプリケーションのインストール、アンインストール、停止、再開および更新
Oracle CQLルールの表示、更新、作成および削除
アプリケーションに関連付けられたEPNの表示
アプリケーション・パラメータの調整とアプリケーション・ステータスのモニター
EPNの中を流れるイベントの記録および再生
診断プロファイルの作成によるアプリケーション・ステージの待機時間およびスループットの監視
問合せ計画を使用したCQLプロセッサに対する診断の監視および実行
HTTPパブリッシュ/サブスクライブ・チャネルおよびデータ・ソースなどのサーバー・ワイド・リソースの管理および作成
サーバーおよびアプリケーション・ロギングの動的オン/オフ
Oracle Coherenceクラスタおよびサーバー・インスタンスの管理
図1-1に示すように、Oracle Event Processingビジュアライザには、次のペインがあります。
図1-1は、NonClusteredServer
という単一サーバー・インスタンスを含むドメインを示します。サーバーには、com.bea.wlevs.dataservices
、cql
、fx
、およびsignalgeneration
という4つのデプロイされたアプリケーションが含まれます。ここで、cql
は、現在開かれているアプリケーションです。右ペインには、ダッシュボードがあります。com.bea.wlevs.dataservices
と呼ばれるアプリケーションは、Oracle Event Processingビジュアライザ自体と関連付けられており、Oracle Event Processingサーバー・インスタンスに常にデプロイされます。詳細は、「アプリケーションの管理」を参照してください。
このペインには、最も使用頻度の高いボタンが含まれます。
「ホーム」ボタンをクリックすると、メインOracle Event Processingビジュアライザ・ページに移動します。
「セキュリティ」ボタンをクリックすると、セキュリティ・ページに移動します。このページでは、ユーザーおよびユーザー・グループを追加または構成し、ユーザーをアプリケーション・ロールおよびタスク・ロールにマップできます。詳細は、「セキュリティ・タスク」を参照してください。
「ダッシュボード」ボタンをクリックすると、実行中のアプリケーションとそのステージのスループットおよび待機時間を監視するパフォーマンス管理画面に移動します。詳細は、「ビジュアライザ・ダッシュボード」を参照してください。
「ViewStream」ボタンをクリックすると、構成されたHTTPパブリッシュ/サブスクライブ・チャネル経由でストリーミングされるメッセージを監視できる画面が起動します。詳細は、「ストリーム・ビジュアライザ(ViewStream)パネル」を参照してください。
「全画面」ボタンをクリックすると、コンピュータ画面全体にOracle Event Processingビジュアライザ・ツールが表示されます。[Esc]キーを押すと、標準画面に戻ります。
「プリファレンス」ボタンをクリックすると、言語や開いているペインの最大数などのユーザー・プリファレンスおよび、開いているペインの最大数を1に制限したり、全画面モードを無効にしたりするアクセシビリティ設定を設定できるページへ移動します。
「ヘルプ」ボタンをクリックすると、Oracle Event Processingサーバーによってホストされるタスク指向のオンライン・ヘルプが表示されます。
このペインは、ドメインのドメイン・ツリーを表示します。これには、Oracle Event Processingサーバー・インスタンス、各サーバー・インスタンス内のデプロイされたアプリケーションやサービス、およびドメイン・レベルのセキュリティ構成などドメインに含まれるすべてのオブジェクトが含まれます。
ドメイン名は、Oracle Event Processingサーバーのconfig.xml
ファイルのdomain要素によって決定されます。たとえば、config.xml
ファイルが次のような場合、ドメイン・ツリーはmydomain
という名前になります。
<domain> <name>mydomain</name> </domain>
左ペインの下半分にある「アイテムを開く」ボックスには、現在開いているアイテムが一覧表示されるので、簡単に操作から離れたウィンドウに戻ったり、ウィンドウを閉じたりできます。リフレッシュが必要な開いているパネルは、オープン・アイテムリストで赤い「x」でマークされます。詳細は、「リフレッシュが必要なパネル」を参照してください。
このペインには複数のドキュメント・コンテナが含まれます。複数のドキュメントを開くと、それらは他のドキュメントの上に重なって表示されます。
このペインには、左ペインでクリックしたオブジェクトに関する情報が表示されます。情報の形式はオブジェクトに依存します。たとえば、左ペインのドメイン・ツリーでデプロイされたアプリケーションをクリックすると、右ペインにはアプリケーションに関する一般情報(「全般」タブ)およびアプリケーションのイベント処理ネットワークの各種ビジュアル表示(「イベント処理ネットワーク」タブ)が表示されます。ストリームやプロセッサなどのネットワークの特定のステージをクリックすると、右ペインにはそれらの全般情報と、プロセッサのルールなどステージ固有の情報が表示されます。詳細は、「イベント処理ネットワーク」を参照してください。
リフレッシュが必要な開いているパネルは、パネルのタイトルで赤い「x」でマークされます。詳細は、リフレッシュが必要なパネルを参照してください。
表1-1は、右ペインの右上隅にあるボタンについて説明しています。これらのボタンは、パネルの管理に使用できます。ただし、「開いているパネルの最大数」プリファレンスを1に設定した場合、これらのボタンは表示されません(「ユーザー・プリファレンスの管理」を参照してください)。
表1-1 パネル・コントロール
ボタン | 説明 |
---|---|
パネルを最小化します。 |
|
パネルをウィンドウ・サイズに最大化します。 |
|
パネルを最大化します。 |
|
すべてのパネルを閉じます。 |
|
パネルを閉じます。 |
図1-2は、Oracle Event Processingビジュアライザ・ダッシュボードを示します。これはパフォーマンス管理画面で、実行中のアプリケーションおよびそのステージのスループットと待機時間、または2つのステージ間のパスを監視するために使用できます。最上位ペインで「ダッシュボード」ボタンをクリックすると、ダッシュボードに移動します。
ダッシュボードには次の2つのメイン・セクションが含まれます。
「管理イベント」: ダッシュボードの上部にあるセクションで、受信監視イベントに関する情報および警告メッセージを表示します。「警告」バーをクリックすると、警告メッセージのリストが表示されます。「情報」バーをクリックすると、情報メッセージのリストが表示されます。
パフォーマンスの監視: 待機時間およびスループットのグラフで、1つのイベントが指定されたステージまたはEPNのパスを通過するのにかかる時間、または通過するイベント数をそれぞれ表示します。ステージまたはパスは診断プロファイルで定義されます。下部の表には、使用可能な診断プロファイルが一覧表示されます。特定のプロファイルをクリックすると、対応する待機時間およびスループット情報がグラフに表示されます。詳細は、「EPNステージまたはパスのスループットおよび待機時間の監視」を参照してください。
この監視機能の使用方法に関する詳細は、「EPNステージまたはパスのスループットおよび待機時間の監視」を参照してください。
ViewStreamパネルの主な目的は、ユーザーが所定のHTTPパブリッシュ/サブスクライブ・チャネルへパブリッシュされているイベントを追加作業なしに監視できるようにすることです。これは、アプリケーションのデバッグやEPNに流れ込むイベントの単なる監視に役立ちます。
Oracle Event Processingビジュアライザの最上位パネルにあるViewStreamボタンをクリックすると、図1-3で示すような「ストリーム・ビジュアライザ」パネルが表示されます。
図1-3 Oracle Event Processing Visualizer「ストリーム・ビジュアライザ」(ViewStream)
「パブリッシュ/サブスクライブ・サーバーURL」テキスト・ボックスには、Oracle Event Processingに含まれるHTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバーURLが表示されます。「クライアントの初期化」ボタンをクリックすると、プロセスが開始されます。このパネルで説明されたオプションを使用して、チャネルへのメッセージのサブスクライブまたはパブリッシュのいずれかを実行できます。
ユーザー/内部チャネルをサブスクライブし、チャネル上にイベントを表示したり、ユーザー/内部チャネルへパブリッシュできます。
詳細は、次を参照してください。
「イベント処理ネットワーク(EPN)」パネルの主な目的は、ユーザーがOracle Event Processingアプリケーション内のステージおよび生成/消費する各種イベント・タイプの全体を表示できるようにすることです。
左ペインでは、「アプリケーション」ノードに移動し、ノードを展開します。アプリケーションを選択し、右ペインでは、「イベント処理ネットワーク」タブをクリックすると、図1-4で示すようにEPNを表示できます。
イベント処理ネットワークの任意のステージを右クリックして、表1-2で説明されているイベント処理ネットワーク・コンテキスト・メニューからオプションを選択できます。
表1-2 イベント処理ネットワーク・コンテキスト・メニュー
|
アプリケーションのアンインストールや再デプロイなどの一部の操作では、開いているパネルをリフレッシュする必要があります。
Oracle Event Processingビジュアライザがアプリケーションの再デプロイメント通知を受信すると、開いているすべての影響を受けるパネルに伝達し、パネルのタイトルを赤い「x」でマークしてこのパネルが廃止されていることを示します。そのようなパネルをリフレッシュするには、パネルを閉じて、もう一度開きます。
たとえば、図1-5は、再デプロイされたアプリケーションの「イベント処理ネットワーク」タブを示します。
この項では、Oracle Event Processingビジュアライザを使用して実行できる主な管理タスクを説明します。これには次の内容が含まれます。
Oracle Event Processingビジュアライザを使用すると、開発しデプロイしたアプリケーション、およびcom.bea.wlevs.dataservices
アプリケーションなど、Oracle Event Processingサーバーによってデプロイされるアプリケーションを監視および構成できます。イベント処理ネットワーク(EPN)、アプリケーション・ライフサイクル、およびOracle CQLルールを監視して構成できます。
詳細は、次を参照してください。
com.bea.wlevs.dataservices
アプリケーション(略称はdataservices)は、Oracle Event Processingビジュアライザの内部にあり、Oracle Event Processingサーバー・インスタンスを起動するたびに自動的にデプロイされます。データサービス・アプリケーションはアンインストールできません。
このアプリケーションの目的は診断モニター・メトリック用のフィルタを提供することです。アプリケーション自身はアダプタ、ストリーム、およびプロセッサで構成されたOracle Event Processingアプリケーションです。
Oracle Event Processingビジュアライザを使用すると、Oracle Event Processingサーバー・インスタンスおよびその提供するサービス(JMXなど)、データ・ソース、Jetty Webサーバー、ワーク・マネージャ、永続イベント・ストア、イベント・タイプ・リポジトリ、HTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバーおよびログを管理できます。
詳細は、「サーバーおよびドメインのタスク」を参照してください。
Oracle Event Processingビジュアライザを使用すると、Oracle Event Processingサーバー、アプリケーション・セキュリティ(ユーザー、グループおよびロールなど)、SSLおよびHTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバー・アクセスを管理できます。
詳細は、「セキュリティ・タスク」を参照してください。
Oracle Event Processingサーバー・インスタンスおよびそのデプロイ済アプリケーションの構成の大半は更新できますが、更新できない一部のフィールドがあります。次のルールは、更新できるフィールドを決定します。
EPNアセンブリ・ファイルの情報は静的であるため読取り専用です。この種の情報の例としては、EPNのステージやそれらの接続のしくみなどがあります。
コンポーネントの構成ファイルの情報は変更可能ですが、一般に追加や削除は行いません。次の項目は、2つの例外を示します。この種の情報の例としては、最大サイズやストリームのスレッドなどがあります。
Oracle Event Processingビジュアライザ・ウィンドウでフィールドの更新が許可されるとき、「編集」、「保存」、「取消」という3つのボタンが表示されます。「編集」ボタンをクリックすると、フィールドを変更できます。「保存」をクリックすると、サーバーへの変更を確定し、「取消」をクリックするとキャンセルします。
プロセッサと関連付けられたOracle CQLルールと、HTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバーと関連付けられたチャネルは変更可能です。
Oracle Event Processingサーバーの構成ファイル(config.xml
)の大半は読取り専用ですが、一部の情報は変更できます。この種の情報の例には、ワーク・マネージャ、ロギング・サービス、およびHTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバーのユーザー定義チャネルの構成が含まれます。
注意:
HTTPパブリッシュ/サブスクライブ・サーバーの内部チャネルは変更も削除もしないでください。これらの内部チャネルを変更または削除した場合、Oracle Event Processingビジュアライザは正しく動作しません。
サーバー構成は、「編集」、「保存」、および「取消」の3つのボタンも更新します。
注意:
前述のルールは、対象の更新タスクを実行するために必要な認証資格証明を使用してOracle Event Processingビジュアライザにログインしたと想定しています。
詳細は、Oracle Event Processingの管理のサーバー構成を参照してください。
Oracle Event Processingビジュアライザは、重要なサービスを次のような様々なOracle Event Processingユーザーに提供します。
Oracle Event Processingビジュアライザを使用してOracle Event Processingサーバー・インスタンスに接続する管理者は、ロールベースの認可を使用してアクセス権を取得します。Oracle Event Processingビジュアライザの使用時に認証が成功したユーザーには、グループ・メンバーシップに基づいてロールが割り当てられ、ユーザーが保持するロールに応じてそれ以降の管理機能へのアクセスが制限されます。匿名ユーザー(認証されていないユーザー)は、Oracle Event Processingビジュアライザへのアクセス権を持ちません。
管理者が「構成ウィザード」を使用して新規ドメインを作成するとき、wlevsAdministrators
グループの一部となる管理者ユーザーを入力します。デフォルトでは、この情報はファイルベースのプロバイダ・のファイルストア内に格納されます。パスワードは、SHA-256アルゴリズムを使用してハッシュされます。ドメインが作成されると、管理者はOracle Event Processingビジュアライザを使用して新規グループを作成し、ロールをグループに割り当てた後、新規ユーザーを作成してユーザーをグループに割り当てます。
詳細は、「ユーザー、グループ、およびロールの管理」を参照してください。
注意:
Oracle Event Processingビジュアライザのセキュリティ機能は、Oracle Event Processingサーバーに対してセキュリティを有効化している場合のみ機能します。Oracle Event Processingサーバーのセキュリティを無効化する場合は、次のように機能します。
Oracle Event Processing Visualizerは、デフォルトのユーザー、グループ、およびロールを提供しません。
新規ユーザー、グループ、およびロールは作成できません。
最初にOracle Event Processingビジュアライザにアクセスするときのログイン・ページはありますが、ユーザーおよびパスワードに何でも入力できます。
匿名のユーザーはOracle Event Processingビジュアライザにアクセスできます。
詳細は、Oracle Event Processingの管理のユーザー、グループおよびロールを参照してください。
開発者は、Oracle Event Processingビジュアライザを使用し、サーバー・リソース(データ・ソースなど)を表示したり、イベント・レコードやイベント再生を実行したり、待機時間およびスループット統計を有効にすることによって、パフォーマンス問題のトラブルシューティングを実行したりできます。
Oracle Event Processingビジュアライザは、Javaローカリゼーションを監視し、すべての構成ファイルおよびOracle Event Processingビジュアライザ・テキスト入力フィールドでのダブルバイト文字の使用をサポートします。
この項では、ダブルバイト・ロケールでOracle Event Processingビジュアライザを使用するときの注意事項を説明します。これには次の内容が含まれます。「構成ファイルのエンコーディング: UTF-8」
注意:
Oracle Event Processingビジュアライザは、Oracle Event Processingビジュアライザ・ユーザー・インタフェースに表示されるすべてのテキストが含まれる英語のリソース・バンドルをデフォルトで提供します。
Oracle Event Processingサーバーは、すべての構成XMLファイルをUTF-8エンコーディング方式でエンコードします。このエンコーディングは、すべてのOracle Event Processing構成XMLファイルのヘッダーで指定されます。次の例では、config.xml
ファイルに指定されたエンコーディングを示します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <n1:config xsi:schemaLocation="http://www.bea.com/ns/wlevs/config/server wlevs_server_config.xsd" xmlns:n1="http://www.bea.com/ns/wlevs/config/server" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"> <domain> <name>WLEventServerDomain</name> </domain> <netio> <name>NetIO</name> <port>9002</port> </netio> ... </config>
手動でOracle Event Processing構成XMLファイルを編集するとき、必ずファイルをUTF-8エンコーディング方式で保存します。一部のエディタは、構成XMLファイルをencoding
属性に基づいて自動的に正しいエンコーディング方式で保存します。ただし、エディタの中には、正しいエンコーディング方式で自動的に構成XMLファイルを保存しないものもあります。この場合、Oracle Event Processing構成XMLファイルを保存するとき、UTF-8エンコーディング方式を選択していることを確認する必要があります。
任意のOracle Event Processingビジュアライザ・テキスト入力フィールドには、ダブルバイト文字を入力できます。Oracle Event ProcessingビジュアライザおよびOracle Event Processingサーバーは、構成XMLファイルを正しいUTF-8エンコーディングで常に書き込みます。