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Oracle® Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
12c (12.1.3)
E53006-03
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5 エンタープライズ・デプロイメント用のリソースの取得

Oracle SOA Suite参照用トポロジの構成を開始する前に、この章を使用して必要なハードウェア、ソフトウェアおよびネットワーク設定を取得します。

この章には次の項が含まれます:

5.1 エンタープライズ・デプロイメント・トポロジ用のハードウェアおよびソフトウェアの要件

この項の内容は、次のとおりです。

5.1.1 ハードウェア・ロード・バランサの要件

このエンタープライズ・トポロジは外部のロード・バランサを使用します。この外部ロード・バランサには、次の機能が必要です。

  • 仮想ホスト名を使用してトラフィックを実際のサーバーのプールにロード・バランシングする機能: クライアントは仮想ホスト名を使用してサービスにアクセスします(実際のホスト名は使用しない)。これにより、ロード・バランサは、プール内のサーバーに対するリクエストをロード・バランシングできます。

  • ポート変換構成が可能である必要があります。これによって、仮想ホスト名とポートにおける入力リクエストが、バックエンド・サーバーにある別のポートにリダイレクトされます。

  • プールにあるサーバーのポートを監視してサービスの可用性を判定する機能。

  • 仮想サーバーとポートの構成: 仮想サーバー名とポートを外部ロード・バランサ上で構成できる機能。仮想サーバー名とポートは次の要件を満たす必要があります。

    • ロード・バランサは複数の仮想サーバーの構成が可能である必要がある。各仮想サーバーに対して、ロード・バランサは複数のポート上でトラフィック管理の構成を行える必要があります。たとえば、Web層のOracle HTTP Serverの場合、ロード・バランサでは、HTTPとHTTPSのトラフィックに対して仮想サーバーとポートで構成されている必要があります。

    • 仮想サーバー名は、IPアドレスに関連付けられていて、DNSの一部であることが必要です。クライアントは仮想サーバー名を使用して外部ロード・バランサにアクセスできる必要があります。

  • ノード障害を検出し、障害が発生したノードへのトラフィックのルーティングを即座に停止する機能。

  • フォルト・トレラント・モード: ロード・バランサをフォルト・トラレント・モードに構成することを強くお薦めします。

  • トラフィックの転送先となるバックエンド・サービスが使用不可の場合に、即座にコール元クライアントに戻るようにロード・バランサの仮想サーバーを構成しておくことを強くお薦めします。これは、クライアント・マシンのTCP/IP設定に基づいてタイムアウト後にクライアント側で接続を切断するより望ましい方法です。

  • スティッキーなルーティング機能: コンポーネントに対してスティッキーな接続を維持できる機能です。この例には、Cookieベースの永続性やIPベースの永続性などが含まれています。

  • ロード・バランサはSSLリクエストをロード・バランサで終了して、同等の非SSLプロトコル(たとえば、HTTPSからHTTP)を使用してトラフィックを実際のバックエンド・サーバーに転送できる必要があります。

  • SSLアクセラレーション(これは推奨する機能ですが、エンタープライズ・トポロジに必須ではありません)。

5.1.2 ホスト・コンピュータのハードウェア要件

次の項では、Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・トポロジをサポートするように構成されるホスト・コンピュータの取得に役立つ情報を提供します。

5.1.2.1 エンタープライズ・デプロイメントのホスト・コンピュータに関する一般的な考慮事項

Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントを構成するプロセスを開始する前に、適切なキャパシティ・プランニングを実施して、ノードの数、特定のシステムへの負荷に応じてノードごとにおけるCPUとメモリーに関する要件、スループットとレスポンスに関する要件を決める必要がありますこれらの要件は、使用するアプリケーションやカスタムSOAシステムごとに異なります。

この章で提供する情報は、ホスト・コンピュータ要件を判断するために役立つ一般的なガイドラインおよび情報です。これにより、個別の本番環境に対するキャパシティ・プランニングを実行する必要がなくなるわけではありません。


ワークブックに関する注意:

この項でホスト・コンピュータを取得し確保したら、ホスト名とシステム特性をエンタープライズ・デプロイメント・ワークブックに記録してください。これらのアドレスは、後で各ホスト・コンピュータでIPアドレスを有効化するときに使用します。

詳細は、第4章「エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用」を参照してください。


5.1.2.2 Oracle Fusion Middlewareシステム要件の確認

Oracle Fusion Middlewareのシステム要件および仕様を参照し、環境がインストールする製品の最小インストール要件を満たしていることを確認します。

要件および仕様のドキュメントには、Oracle Fusion Middlewareの一般的なハードウェアとソフトウェアの要件、ディスク領域とメモリーの最小要件、データベース・スキーマの要件、および必要なシステム・ライブラリおよびパッケージに関する情報が記載されています。

また、Oracle Fusion Middlewareデプロイメントのメモリー要件を見積るための一般的なガイドラインも記載されています。

5.1.2.3 Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントに必要な標準的なメモリー、ファイル・ディスクリプタおよびプロセス数

表5-1は、標準的なOracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントにおける管理サーバーおよび各管理対象サーバー・コンピュータに必要なメモリー、ファイル・ディスクリプタおよびプロセス数をまとめたものです。これらの値はあくまで例にすぎませんが、初期エンタープライズ・デプロイメントに最小限必要なメモリー量の見積りに使用できます。

表5-1の例は、第3.2項「プライマリOracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントのダイアグラム」の参照用トポロジに示されているSOAHOST1に必要な管理対象サーバーおよび他のサービスを構成するための最小要件を反映しています。

マシンの調達時には、各ホスト・コンピュータに搭載する必要がある物理メモリー量を判断するときの目安として、「概算最大メモリー」列の情報を使用してください。

ホスト・コンピュータ・ハードウェアを調達し、オペレーティング・システム要件を確認したら、ソフトウェア構成を調査して、オペレーティング・システムの設定が「ファイル・ディスクリプタ」列に記載されているオープン・ファイル数と「オペレーティング・システムのプロセスおよびタスク数」列に記載されているプロセス数に対応できるように構成されていることを確認します。

詳細は、第8.2.2項「UNIXシステムでのオープン・ファイル制限とプロセス数の設定」を参照してください。

表5-1 エンタープライズ・デプロイメント・ホストごとに必要な標準的なメモリー、ファイル・ディスクリプタおよびプロセス数

管理対象サーバー、ユーティリティまたはサービス 概算最大メモリー ファイル・ディスクリプタ数 オペレーティング・システムのプロセスおよびタスク数

管理サーバー

3.5GB

3500

165

WLS_WSM

3.0 GB

2000

130

WLS_SOA

4.0 GB

3100

240

WLS_OSB

4.0 GB

2200

180

WLS_ESS

3.5GB

1300

35

WLS_BAM

3.5GB

2300

210

WLST (ノード・マネージャへの接続)

1.5 GB

910

20

構成ウィザード

1.5 GB

700

20

ノード・マネージャ

1.0 GB

720

15

合計

27.0 GB脚注 1 

17000

1200


脚注 1 オペレーティング・システムとその他の追加メモリー要件を考慮した概算合計

5.1.2.4 Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントの標準的なディスク領域要件

Oracle SOA Suite製品を含むOracle Fusion Middleware 12c (12.1.3)製品の最新のディスク領域要件は、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様を確認してください。

また、表5-2は、Oracle SOA SuiteとOracle Service BusのOracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントに通常必要なディスク領域をまとめたものです。

この情報と第7章「エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備」の情報に基づいて、デプロイメントに必要なディスク領域を判断してください。

表5-2 Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメントの標準的なディスク領域要件

サーバー ディスク

データベース

nXm

n: ディスクの台数(台数は4台以上で、1台のディスクはストライプ)

m: ディスクの容量(30GB以上)

WEBHOSTn

10GB

SOAHOSTn (SOAのみ)

10GB脚注1

SOAHOSTn (SOAおよびOSB)

11GB脚注2


脚注 1 共有記憶域のミドルウェア・ホーム構成の場合、2つのインストールでは、スロット数と関係なく合計20GBになるようにすると十分です。

脚注2共有記憶域のミドルウェア・ホーム構成の場合、2つのインストールでは、スロット数と関係なく合計20GBになるようにすると十分です。  

5.1.3 エンタープライズ・デプロイメント・トポロジのオペレーティング・システム要件

このガイドで説明するOracle Fusion Middlewareソフトウェア製品およびコンポーネントは、Oracle Fusion Middlewareシステム要件と仕様に記載されている様々なオペレーティング・システムおよびプラットフォームで動作保証されています。


このガイドの例について:

このガイドでは、Oracle Linuxシステムにおけるエンタープライズ・デプロイメント参照用トポロジの実装を中心に取り上げています。

このトポロジは、動作保証済でサポートされている任意のオペレーティング・システムで実装可能ですが、このガイドの例には、多くの場合、Oracle Linux上でbashシェルを使用して実行する必要があるコマンドと構成手順が示されています。


5.2 エンタープライズ・デプロイメント用の必須IPアドレスの予約

エンタープライズ・トポロジのインストールおよび構成を開始する前に、次の一連のIPアドレスを取得および予約する必要があります。

  • トポロジのために取得した各ホスト・コンピュータの物理IP (IP)アドレス

  • Oracle WebLogic Serverドメイン内の各管理対象サーバーの仮想IP (VIP)アドレス

  • 各VIPにマップされる一意の仮想ホスト名。

ネットワーク管理者と協力して、これらの必須VIPが、ご使用のDNSサーバーに定義されていることを確認できます。(非本番環境では、かわりに/etc/hostsファイルを使用してこれらの仮想ホストを定義できます)。

詳細は、次の各項を参照してください。

5.2.1 仮想IP (VIP)アドレスとは

仮想IPアドレスは、ホストの主要IPアドレスと同じサブネットに属する、未使用のIPアドレスです。これは、ホストに手動で割り当てられます。Oracle WebLogic Serverドメイン内の個々の管理対象サーバーは、このIPアドレスでリスニングするように構成されています。

5.2.2 仮想ホスト名と仮想IPアドレスを使用する理由

特にエンタープライズ・デプロイメントの場合、一連のVIPおよびそれらがマップされている仮想ホスト名を、社内ネットワーク上で予約して有効化することが重要です。

ホスト名は、様々なノードを通して伝播される適切な/etc/hostsファイルをかわりに使用して解決できます。

IPアドレスが割り当てられたホスト・コンピュータに障害が発生した場合は、割り当てられた管理対象サーバーの実行を新しいホストが引き継ぐことができるように、このIPアドレスは同じサブネット内の別のホスト・コンピュータに割り当てることができます。

管理対象サーバーの仮想IPアドレスの再割当ては、Oracle WebLogic Serverのサーバー移行機能を使用して自動的に実行できます。管理サーバーの仮想IPアドレスの再割当ては、手動で実行する必要があります。

サーバー移行の構成手順および管理サーバーのVIPの手動による再割当ての手順は、第19章で説明します。

5.2.3 エンタープライズ・トポロジで必要とされる物理IPアドレスと仮想IPアドレス

図5-1は、Oracle SOA SuiteとOracle Service Busのプライマリ・トポロジで管理サーバーと各管理対象サーバーに必要な物理IP (IP)と仮想IP (VIP)を示しています。

図5-2は、Oracle SOA SuiteとOracle BAMのトポロジで管理サーバーと各管理対象サーバーに必要なIPとVIPを示しています。

各図の注意事項:

  • IP1は、SOAHOST1の物理IPであり、WLS_WSM1 (Oracle Web Services Manager)管理対象サーバーによって使用されます。

  • IP2は、SOAHOST2の物理IPであり、WLS_WSM2管理対象サーバーによって使用されます。

エンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成を開始する前に、表5-3のVIPに対応する一連のホスト名およびIPアドレスを予約します。

VIPには任意の一意のホスト名を割り当てることができますが、このガイドでは、この表の推奨ホスト名を使用して各VIPを参照します。


ワークブックに関する注意:

この項でIPアドレスおよび対応する仮想ホスト名を取得および予約したら、それらのIPアドレスとホスト名の値をエンタープライズ・デプロイメント・ワークブックに記録してください。これらのアドレスは、後で各ホスト・コンピュータでIPアドレスを有効化するときに使用します。

詳細は、第4章「エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用」を参照してください。


図5-1 Oracle SOA SuiteとOracle Service BusのトポロジにおけるIPアドレスと仮想IPアドレス

図5-1の説明が続きます
「図5-1 Oracle SOA SuiteとOracle Service BusのトポロジにおけるIPアドレスと仮想IPアドレス」の説明

図5-2 Oracle SOA SuiteとOracle BAMのトポロジにおけるIPアドレスと仮想IPアドレス

図5-2の説明が続きます
「図5-2 Oracle SOA SuiteとOracle BAMのトポロジにおけるIPアドレスと仮想IPアドレス」の説明

表5-3 Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・トポロジに必要な仮想IPアドレスのサマリー

仮想IP VIPのマップ先 説明

VIP1

ADMINVHN

ADMINVHNは、管理サーバーのリスニング・アドレスとして使用される仮想ホスト名であり、管理サーバーの手動フェイルオーバーによりフェイルオーバーします。管理サーバー・プロセスが実行されているノード(デフォルトはSOAHOST1)で有効化されます。

VIP2

SOAHOST1VHN1

SOAHOST1VHN1は、WLS_SOA1のリスニング・アドレスにマップする仮想ホスト名であり、この管理対象サーバーのサーバー全体の移行によりフェイルオーバーします。これは、WLS_SOA1プロセスが実行されているノード(デフォルトはSOAHOST1)で有効化されます。

VIP3

SOAHOST2VHN1

SOAHOST2VHN1は、WLS_SOA2のリスニング・アドレスにマップする仮想ホスト名であり、この管理対象サーバーのサーバー全体の移行によりフェイルオーバーします。これは、WLS_SOA2プロセスが実行されているノード(デフォルトはSOAHOST2)で有効化されます。

VIP4

SOAHOST1VHN2

SOAHOST1VHN2は、Oracle Service Busが構成されているトポロジでのみ必要です。WLS_OSB1管理対象サーバーのリスニング・アドレスにマップする仮想ホスト名であり、このサーバーのサーバー全体の移行によりフェイルオーバーします。

これは、WLS_OSB1プロセスが実行されているノード(プライマリ・トポロジではSOAHOST1)で有効化されます。

VIP5

SOAHOST2VHN2

SOAHOST2VHN2は、Oracle Service Busが構成されているトポロジでのみ必要です。WLS_OSB2管理対象サーバーのリスニング・アドレスにマップする仮想ホスト名であり、このサーバーのサーバー全体の移行によりフェイルオーバーします。

これは、WLS_OSB2プロセスが実行されているノード(プライマリ・トポロジではSOAHOST1)で有効化されます。


5.3 エンタープライズ・デプロイメント用のソフトウェア・ダウンロードの特定と取得

エンタープライズ・トポロジのインストールおよび構成を開始する前に、トポロジの実装に必要なソフトウェア・ディストリビューションを見つけてダウンロードする必要があります。

表5-4に、入手する必要があるダウンロードの一覧を示します。

Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの入手方法の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』の製品ディストリビューションの理解と入手に関する項を参照してください。

Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.3) SOA SuiteおよびOracle Business Process ManagementソフトウェアをOracle Technology Network (OTN)からダウンロードするには、次のURLにアクセスしてください。

http://www.oracle.com/technetwork/middleware/soasuite/downloads/index.html

Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの入手先とダウンロードの詳細は、OTNでOracle Fusion Middlewareダウンロード、インストール、構成のReadmeファイルを参照してください。

表5-4 Oracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジ用に入手するディストリビューション

ディストリビューション 説明

Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.3.0.0) Infrastructure

このディストリビューションをダウンロードしてOracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールします。これには、Oracle WebLogic ServerおよびOracle Fusion Middleware製品に必要なJava Required Filesソフトウェアが含まれています。

このディストリビューションによってリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)もインストールされます。これは、以前のOracle Fusion Middlewareリリースでは独自のディストリビューションにパッケージされていました。

Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.3.0.0) SOA SuiteおよびBusiness Process Management

このディストリビューションをダウンロードしてSOA FoundationとBPMソフトウェアをインストールします。これには、Oracle Business Activity Monitoring (BAM)およびOracle Enterprise Scheduler (ESS)が含まれています。

Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.3.0.0) Service Bus

Oracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジの一部としてOracle Service Busをインストールおよび構成する場合は、このディストリビューションをダウンロードします。

Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.3.0.0) B2BおよびHealthcare

Oracle SOA Suiteエンタープライズ・トポロジの一部としてOracle B2BまたはOracle B2B Healthcareをインストールおよび構成する場合は、このディストリビューションをダウンロードします。