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Oracle® Database Quality of Service Managementユーザーズ・ガイド
12cリリース1 (12.1)
B71294-06
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3 Oracle Database QoS Managementのインストールおよび有効化

この章では、システムにOracle Database QoS Managementをインストールして構成するために完了する必要のあるタスクについて説明します。この項の一部のタスクは、クラスタ管理者が実行する必要があります。

注意:

クラスタ管理者の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

Oracleデータベースのワークロードを管理するためのOracle Database QoS Managementの構成

Oracle Database QoS Managementと連動するためのクラスタ用Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACデータベースの構成には、次の一般的なタスクが含まれます。

  1. データベース管理者(DBA)は、データベースで使用するサーバー・プールへのアクセスをリクエストします。クラスタ管理者はDBA用のサーバー・プールを作成し、そのサーバー・プールへのアクセス権限をDBAに付与します。クラスタ管理者ユーザーがDBAユーザーと同じ場合は、DBCAでポリシー管理オプションを選択することにより、DBCAの実行時にサーバー・プールを作成できます。サーバー・プールは、インストール後にServer Control(SRVCTL)を使用して作成することもできます。

    このサーバー・プールの最小サイズはデータベース・インスタンス数です。サーバー・プールの最大サイズが最小サイズより大きい場合は、ピーク・ワークロードを処理するため、または拡張に対応するために、データベースに新しいインスタンスを追加できます。

  2. DBAは、DBCAでポリシー管理オプションを選択して、割り当てられたサーバー・プール内にOracle RACデータベースを作成します。
  3. DBAは、Oracle Clusterwareで管理されるデータベース・サービスを作成して、各サービスをサーバー・プールに割り当てます。アプリケーション・ユーザーは、それらのサービスを使用してデータベースに接続します。
  4. DBAは、Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、データベースでOracle Database QoS Managementを有効にします。

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成は、本書の対象外です。クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成の詳細は、ご使用のプラットフォーム向けの『Oracle Grid Infrastructureインストレーションおよびアップグレード・ガイド』を参照してください。

サーバー・プールの作成および構成

デフォルトでは、Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、空きプールと呼ばれるサーバー・プールが作成されます。Oracle RACデータベース用のサーバー・プールを作成するには、SRVCTLまたはOracle Enterprise Managerを使用できます。

DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成する場合は、データベースをポリシー管理することを選択し、データベース・インスタンスを実行するサーバー・プールを選択します。

関連項目:

  • サーバー・プールの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • SRVCTLを使用したサーバー・プールの作成の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • DBCAを使用したOracle RACデータベースの作成の詳細は、『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド for Linux and UNIX』を参照してください。

クラスタ管理者がデータベース管理者と異なる場合は、クラスタ管理者ユーザーのみがサーバー・プールを作成できます。クラスタ管理者は、インストールされたOracle RACを所有するオペレーティング・システム・ユーザーに、サーバー・プールに対する権限を付与します。詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

注意:

Oracle Database QoS Managementで使用するサーバー・プールを作成するときに、サーバー・プールのSERVER_NAMES属性(srvctl add svrpoolコマンドまたはsrvctl modify svrpoolコマンドの-serversオプション)を構成しないでください。Oracle Database QoS Managementでは、候補リストを使用するサーバー・プールはサポートされません。

Oracle RACデータベースの作成および構成

Oracle RACデータベースの作成および構成の手順は、本書の対象外です。サーバー・プールを使用するOracle RACデータベースの作成の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。データベースの作成時に、DBAはポリシー管理型データベースの作成を選択する必要があります。

データベースの作成後、次の手順を実行して、Oracle Database QoS Managementで使用するようにデータベースを構成します。

データベース初期化パラメータの変更

データベースがOracle Database QoS Managementで管理される場合、サーバー・プールで実行される各データベース・インスタンスのCPU_COUNTパラメータを同じ値に設定する必要があります。

各サーバーで実行されるすべてのデータベース・インスタンスのCPU_COUNT値の合計を、物理CPU数以下にする必要があります。たとえば、8つのCPUを持つサーバーがあり、このサーバーで2つのデータベース・インスタンスが実行されている場合は、Oracle Database QoS Managementで管理するデータベースに対して、サーバー上のすべてのデータベース・インスタンスのCPU_COUNTパラメータ値の合計が8以下になるように各インスタンスのCPU_COUNTパラメータを設定する必要があります。たとえば、あるインスタンスでCPU_COUNT=3、もう一方のインスタンスでCPU_COUNT=4と設定するか、あるインスタンスでCPU_COUNT=6、もう一方のインスタンスでCPU_COUNT=2と設定します。

注意:

デフォルトでは、サーバーで起動される各データベースのCPU数は、そのサーバーにインストールされている物理CPU数に設定されます。

サーバー・プールで複数のデータベースを実行している場合、CPU_COUNTにデフォルト設定を使用すると、Oracle Database QoS Managementで違反がレポートされます。このエラーを回避するには、Oracle Enterprise ManagerまたはSQL*Plusを使用して、SPFILEのCPU_COUNT値を手動で構成する必要があります。

  • Oracle RACデータベースの全インスタンスのCPU_COUNTデータベース初期化パラメータを変更するには、SQL*Plusを使用します。
    ALTER SYSTEM SET cpu_count=n SCOPE=BOTH SID='*';
    

    このコマンドで、nは、データベース・インスタンスで使用する必要があるCPUの数です。

    CPU_COUNTは、デフォルトでは設定されない動的パラメータです。この値は、データベース・インスタンスが常に利用する最大CPU数に設定する必要があります。サーバー上のすべてのインスタンスのCPU_COUNT値の合計が、そのサーバーの物理CPU数を超えることはできません。CPU_COUNTには、最小値の2を使用することをお薦めします。

データベース・サービスの作成

アプリケーションおよびユーザーは、サービスを使用して、データベースに接続します。

Oracle RACデータベースのサービスの作成の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

Oracle Database QoS Management管理者のアカウントの作成

Oracle Database QoS Managementダッシュボード(ダッシュボード)にログインする前に、Oracle Database QoS Management管理ユーザーを作成する必要があります。この設定を初めて行うときは、このアカウントに関連付けられているオペレーティング・システム・ユーザーがクラスタ管理者である必要があります。

Oracle Database QoS Managementサーバーの管理ユーザーは、QoS Adminユーザーと呼ばれます。このユーザーは、QoS Adminユーザーのアカウント・パスワードのチェックや変更など、Oracle Database QoS Managementサーバーのすべての機能にアクセスできます。複数のQoS Adminユーザーを作成することもできます。

QoS Adminユーザー・アカウントを作成するには、次の手順を実行します。

  1. クラスタ管理者ユーザーとして、Oracle Database QoS Managementサーバーをホスティングしているノード(OC4Jコンテナ)にログインします。このノードは、Oracle Grid Infrastructureのホームで次のコマンドを使用して判断できます。
    srvctl status oc4j
    
  2. 次のコマンドを使用してOC4Jリソースを停止します。
    srvctl stop oc4j
    
  3. CRS管理者ユーザーとしてログオンし、次のコマンドを入力します。
    qosctl qosadmin -setpasswd qosadmin
    

    このコマンドを入力すると、デフォルトのQoS Adminユーザーのパスワードの入力を1回以上求められます。

    別のユーザー名を使用する場合、次のコマンドを入力します。

    qosctl qosadmin -adduser username
    

    たとえば、次のとおりです。

    • qosadminは、デフォルトのQoS Adminユーザーの名前です。

    • usernameは、作成するQoS Adminユーザーの名前です。このユーザーのパスワードの入力を求められます。

  4. 次のコマンドを使用してOC4Jリソースを再起動します。
    srvctl start oc4j
    

関連項目:

QOSCTLユーティリティおよびそのコマンドの詳細な説明は、「Oracle Database QoS Managementの管理ユーザーの作成」を参照してください

Oracle Database QoS Managementの有効化

2つの異なるレベルのOracle Database QoS Managementを有効にできます。

  • クラスタの管理

  • クラスタで実行される個々のデータベースの管理

同一クラスタ上で複数のデータベースが実行されている場合、どのデータベースをOracle QoS Managementで管理するかを決定できます。データベースを管理するには、同じサーバー・プールを使用するすべてのデータベースでOracle Database QoS Managementを有効にする必要があります。有効にしない場合、データベースのダッシュボードにアクセスしようとすると、違反が通知されます。

システムでOracle QoS Managementを有効にするには、次の手順を実行します。

  1. データベース・レベルでのOracle QoS Managementの有効化
  2. 初期ポリシー・セットの作成
  3. クラスタ・レベルでのOracle QoS Managementの有効化

データベース・レベルでのOracle QoS Managementの有効化

  1. Oracle Enterprise Manager Cloud Controlにデータベース管理者としてログインします。
  2. 「データベース・ターゲット」ページから、変更するデータベースを選択します。
  3. 「可用性」「サービスのクオリティ管理の有効化/無効化」の順に選択します。
  4. 「クラスタ資格証明」および「データベース資格証明」に入力し、「ログイン」をクリックします。

    注意:

    この手順を完了するには、SYSDBAとクラスタ管理者アカウント両方のログイン情報を指定する必要があります。

    「QoS管理を有功化/無効化」画面が表示されます。

  5. APPQOSSYSユーザーのパスワードの入力を求められます。選択したパスワードを「パスワード」フィールドおよび「パスワードの確認」フィールドに入力し、「OK」をクリックします。

    パスワードを入力すると、次の処理が行われます。

    • Oracle Database QoS Managementサーバーがデータベースに接続できるようにするAPPQOSSYSアカウントがロック解除され、新しいパスワードが設定されます。

    • Oracle Database QoS Managementがデータベースにログインできるようにするための資格証明が、Oracle Cluster Registryに格納されているOracle Walletに書き込まれます。

  6. アクティブに管理されているすべてのデータベースでAPPQOS_PLANがアクティブなOracle Database Resource Managerプランとして設定されているため、Oracle Database QoS Managementはパフォーマンス・クラスのCPUアクセスを調整できます。APPQOS_PLANは、すべてのパフォーマンス・クラスで「測定のみ」が選択されているデータベースでは不要です。

初期ポリシー・セットの作成

  1. Oracle Enterprise Manager Cloud Controlの「すべてのターゲット」ページで、Oracle Database QoS Managementが有効なクラスタ・データベースを実行しているクラスタを選択します。
  2. 「管理」「サービスのクオリティ管理」「ポリシー・セットの作成」の順に選択します。
  3. QoS Management管理者のパスワード(デフォルトのユーザー名はqosadmin)を使用して、Oracle Database QoS Managementサーバーにログインします。
  4. ポリシー・セットの作成ウィザードの最初のページで、データベースを表すサーバー・プールの横の「管理」ボックスを選択します。たとえば、onlinebackofficeなどです。「次」をクリックします。
  5. Oracle Database QoS Managementを開始するには、初期構成のデフォルトを受け入れ、ウィザードの各ページで「次へ」をクリックしてデフォルトのポリシー設定を使用します。5番目のステップでは、「ポリシーの設定」をクリックしてDefaultPolicyを「選択されたアクティブ・ポリシー」として設定し、「次へ」をクリックします。

    ポリシー・セットの作成ウィザードの最後のステップで、「ポリシー・セットの発行」をクリックします。

クラスタ・レベルでのOracle QoS Managementの有効化

  1. Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、「すべてのターゲット」ページでOracle Database QoS Managementが有効なクラスタ・データベースを実行しているクラスタを選択します。
  2. 「管理」「サービスのクオリティ管理」「ダッシュボード」の順に選択します。
  3. Oracle Database QoS Managementユーザー(qosadminなど)としてログインします。
  4. ダッシュボード・ページの「一般」セクションに、Oracle Database QoS Managementの現在のステータスが表示されます。新規システムでは、ステータスは「無効」です。ステータスの横にある「無効」リンクをクリックして、このクラスタでOracle Database QoS Managementを有効にします。