環境変数を設定するか、または次の構文を使用してcrsctl set log
コマンドを実行することによって、Oracle Clusterwareモジュールおよびそれらのコンポーネントやリソースのデバッグを有効にできます。
crsctl set {log | trace} module_name "component:debugging_level [,component:debugging_level][,...]"
crsctl set
コマンドをroot
ユーザーとして実行し、次の情報を指定します。
component
: いずれかのモジュールのコンポーネントの名前。すべてのコンポーネントのリストについては、表E-73を参照してください。
debugging_level
: 1
から5
までの番号は、デバッグ・コマンドで戻す詳細レベルを示します。1は最小デバッグ出力、5は最も詳細なデバッグ出力を表します。デフォルトのデバッグ・レベルは2です。
次のコマンドでは、様々なモジュールに対してデバッグを有効にする方法の例を示します。
Oracle Clusterwareのデバッグを有効にする方法
crsctl set log crs "CRSRTI:1,CRSCOMM:2"
OCRのデバッグを有効にする方法
crsctl set log crs "CRSRTI:1,CRSCOMM:2,OCRSRV:4"
EVMのデバッグを有効にする方法
crsctl set log evm "EVMCOMM:1"
リソースのデバッグを有効にする方法
crsctl set log res "resname:1"
デバッグに使用可能なコンポーネントのリストを取得するには、次のようにcrsctl lsmodules
コマンドを実行します。
crsctl lsmodules {mdns | gpnp | css | crf | crs | ctss | evm | gipc}
注意:
crsctl lsmodulues
コマンドを実行するために、root
ユーザーである必要はありません。
表E-73に、モジュールCRS、CSSおよびEVMのそれぞれのコンポーネントを示します。一部のコンポーネント名はCRS、EVMおよびCSSのデーモン間で共通であり、特定のデーモンで有効な場合があることに注意してください。たとえば、COMMNS
はNSレイヤーで、NSレイヤーは各デーモンで使用されるため、いずれかのデーモンでこの特定のモジュール・コンポーネントを有効にして、特定のデバッグ情報を取得できます。
表E-73 CRS、CSSおよびEVMモジュールのコンポーネント
CRSコンポーネント(1) | CSSコンポーネント(2) | EVMコンポーネント(3) |
---|---|---|
CRSUI CRSCOMM CRSRTI CRSMAIN CRSPLACE CRSAPP CRSRES CRSCOMM CRSOCR CRSTIMER CRSEVT CRSD CLUCLS CSSCLNT COMMCRS COMMNS |
CSSD COMMCRS COMMNS |
EVMD EVMDMAIN EVMCOMM EVMEVT EVMAPP EVMAGENT CRSOCR CLUCLS CSSCLNT COMMCRS COMMNS |
脚注1: crsctl lsmodules crsコマンドを使用して、CRSコンポーネントのリストを取得します。
脚注2: crsctl lsmodules cssコマンドを使用して、CSSコンポーネントのリストを取得します。
脚注3: crsctl lsmodules evmコマンドを使用して、EVMコンポーネントのリストを取得します。
たとえば、次のコマンドを使用して、特定のクラスタ・ノードにデバッグ・レベルを設定するには、-nodelist
キーワードおよびノードの名前を次のように含めます。
crsctl set log crs "CRSRTI:1,CRSCOMM:2" -nodelist node1,node2
表E-74に、クラスタ同期サービス・モジュールを示します。
表E-74 クラスタ同期サービス(CSS)・モジュールおよびその機能
モジュール | 説明 |
---|---|
CSS |
CSSクライアント・コンポーネント |
CSSD |
CSSデーモン・コンポーネント |
表E-75に、各通信(COMM)モジュールを示します。
表E-75 通信(COMM)モジュールおよびその機能
モジュール | 説明 |
---|---|
COMMCRS |
Clusterware通信レイヤー |
COMMNS |
NS通信レイヤー |
表E-76に、各CRSモジュールで実行される機能を示します。
表E-76 Oracle Clusterware (CRS)モジュールおよびその機能
モジュール | 説明 |
---|---|
CRSUI |
ユーザー・インタフェース・モジュール |
CRSCOMM |
通信モジュール |
CRSRTI |
リソース管理モジュール |
CRSMAIN |
メイン・モジュール/ドライバ |
CRSPLACE |
CRS配置モジュール |
CRSAPP |
CRSアプリケーション |
CRSRES |
CRSリソース |
CRSOCR |
Oracle Cluster Registryインタフェース |
CRSTIMER |
CRSに関連する様々なタイマー |
CRSEVT |
CRS EVM/イベント・インタフェース・モジュール |
CRSD |
CRSデーモン |
crsctl set log crs
コマンドを使用して、表E-77にリストされているOCRコンポーネントをデバッグできます。表E-77にリストされているコンポーネントは、OCRMASおよびOCRASMを除くOracle Local Registry (OLR)にも使用できます。また、OCRMASおよびOCRSRVを除くOCRクライアントおよびOLRクライアントにも使用できます。一部のOCRクライアントおよびOLRクライアントにはOCRCONFIG、OCRDUMPなどがあります。
表E-77 Oracle Cluster Registry (OCR)コンポーネント名
モジュール | 説明 |
---|---|
OCRAPI |
OCR抽象化コンポーネント |
OCRCLI |
OCRクライアント・コンポーネント |
OCRSRV |
OCRサーバー・コンポーネント |
OCRMAS |
OCRマスター・スレッド・コンポーネント |
OCRMSG |
OCRメッセージ・コンポーネント |
OCRCAC |
OCRキャッシュ・コンポーネント |
OCRRAW |
OCR RAWデバイス・コンポーネント |
OCRUTL |
OCRユーティリティ・コンポーネント |
OCROSD |
OCRオペレーティング・システム固有(OSD)レイヤー |
OCRASM |
OCR ASMコンポーネント |
表E-78に、OCRツール・モジュールを示します。
表E-78 OCRCONFIGモジュールおよびその機能
モジュール | 説明 |
---|---|
OCRCONFIG |
OCRを構成するためのOCRCONFIGコンポーネント |
OCRDUMP |
Oracle Cluster Registryの内容を表示するOCRDUMPコンポーネント |
OCRCHECK |
すべての構成済OCRを検証するOCRCHECKコンポーネント |
次の構文を使用してcrsctl set log
コマンドを実行することによって、Oracle Clusterwareのリソースのデバッグを有効にできます。
crsctl set log res "resource_name=debugging_level
"
crsctl set log
コマンドをroot
ユーザーとして実行し、次の情報を指定します。
debugging_level
: 1
から5
までの番号は、デバッグ・コマンドで戻す詳細レベルを示します。1は最小デバッグ出力、5は最も詳細なデバッグ出力を表します。デフォルトのデバッグ・レベルは2です。
デバッグに使用可能なリソースのリストを取得するには、crsctl status resource
コマンドを実行します。
例
node1
上のVIPリソースのデバッグ・ログを生成するには、次のコマンドを発行します。
crsctl set log res "ora.node1.vip:1"
My Oracle Supportから、追加情報を取得するトレースを有効にするように要求されることがあります。この項で説明する手順は、パフォーマンスに影響を及ぼすことがあるため、必ずMy Oracle Supportの支援のもとで実行してください。
次の構文を使用してcrsctl set trace
コマンドを実行することによって、Oracle Clusterwareのリソースのトレースを有効にできます。
crsctl set trace module_name "component_name=tracing_level
,..."
crsctl set trace
コマンドをroot
ユーザーとして実行し、次の情報を指定します。
module_name
: 次のいずれかのモジュールの名前。
mdns
: マルチキャスト・ドメイン・ネーム・サーバーgpnp
: グリッド・プラグ・アンド・プレイ・サービスcss
: クラスタ同期サービスcrf
: クラスタ状態モニターcrs
: クラスタ・レディ・サービスctss
: クラスタ時刻同期化サービスevm
: イベント・マネージャgipc
: グリッド・プロセス間通信component_name
: いずれかのモジュールのコンポーネントの名前。コンポーネントのリストについては、表E-73を参照してください。
tracing_level
: 1
から5
までの番号は、トレース・コマンドで戻す詳細レベルを示し、1は最小トレース出力、5は最も詳細なトレース出力を表します。
たとえば、次のコマンドを使用して、クラスタ同期サービスのトレース・ファイルを生成できます。
crsctl set trace "css=3"