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Oracle® Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド
12c リリース1 (12.1)
B71322-07
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コンポーネント・レベルのデバッグ

rootユーザーとしてcrsctl set logおよびcrsctl set traceコマンドを使用して、様々なOracle Clusterwareモジュールの動的デバッグを有効にできます。

Oracle Clusterwareモジュールのデバッグの有効化

環境変数を設定するか、または次の構文を使用してcrsctl set logコマンドを実行することによって、Oracle Clusterwareモジュールおよびそれらのコンポーネントやリソースのデバッグを有効にできます。

crsctl set {log | trace} module_name "component:debugging_level
[,component:debugging_level][,...]"

crsctl setコマンドをrootユーザーとして実行し、次の情報を指定します。

  • module_name: 次のいずれかのモジュールの名前。

    • mdns: マルチキャスト・ドメイン・ネーム・サーバー
    • gpnp: グリッド・プラグ・アンド・プレイ・サービス
    • css: クラスタ同期サービス
    • crf: クラスタ状態モニター
    • crs: クラスタ・レディ・サービス
    • ctss: クラスタ時刻同期化サービス
    • evm: イベント・マネージャ
    • gipc: グリッド・プロセス間通信
  • component: いずれかのモジュールのコンポーネントの名前。すべてのコンポーネントのリストについては、表E-73を参照してください。

  • debugging_level: 1から5までの番号は、デバッグ・コマンドで戻す詳細レベルを示します。1は最小デバッグ出力、5は最も詳細なデバッグ出力を表します。デフォルトのデバッグ・レベルは2です。

次のコマンドでは、様々なモジュールに対してデバッグを有効にする方法の例を示します。

  • Oracle Clusterwareのデバッグを有効にする方法

    crsctl set log crs "CRSRTI:1,CRSCOMM:2"
    
  • OCRのデバッグを有効にする方法

    crsctl set log crs "CRSRTI:1,CRSCOMM:2,OCRSRV:4"
    
  • EVMのデバッグを有効にする方法

    crsctl set log evm "EVMCOMM:1"
    
  • リソースのデバッグを有効にする方法

    crsctl set log res "resname:1"
    

デバッグに使用可能なコンポーネントのリストを取得するには、次のようにcrsctl lsmodulesコマンドを実行します。

crsctl lsmodules {mdns | gpnp | css | crf | crs | ctss | evm | gipc}

注意:

crsctl lsmoduluesコマンドを実行するために、rootユーザーである必要はありません。

表E-73に、モジュールCRS、CSSおよびEVMのそれぞれのコンポーネントを示します。一部のコンポーネント名はCRS、EVMおよびCSSのデーモン間で共通であり、特定のデーモンで有効な場合があることに注意してください。たとえば、COMMNSはNSレイヤーで、NSレイヤーは各デーモンで使用されるため、いずれかのデーモンでこの特定のモジュール・コンポーネントを有効にして、特定のデバッグ情報を取得できます。

表E-73 CRS、CSSおよびEVMモジュールのコンポーネント

CRSコンポーネント(1) CSSコンポーネント(2) EVMコンポーネント(3)
CRSUI
CRSCOMM
CRSRTI
CRSMAIN
CRSPLACE
CRSAPP
CRSRES
CRSCOMM
CRSOCR
CRSTIMER
CRSEVT
CRSD
CLUCLS
CSSCLNT
COMMCRS
COMMNS
CSSD
COMMCRS
COMMNS
EVMD
EVMDMAIN
EVMCOMM
EVMEVT
EVMAPP
EVMAGENT
CRSOCR
CLUCLS
CSSCLNT
COMMCRS
COMMNS

脚注1: crsctl lsmodules crsコマンドを使用して、CRSコンポーネントのリストを取得します。

脚注2: crsctl lsmodules cssコマンドを使用して、CSSコンポーネントのリストを取得します。

脚注3: crsctl lsmodules evmコマンドを使用して、EVMコンポーネントのリストを取得します。

たとえば、次のコマンドを使用して、特定のクラスタ・ノードにデバッグ・レベルを設定するには、-nodelistキーワードおよびノードの名前を次のように含めます。

crsctl set log crs "CRSRTI:1,CRSCOMM:2" -nodelist node1,node2

表E-74に、クラスタ同期サービス・モジュールを示します。

表E-74 クラスタ同期サービス(CSS)・モジュールおよびその機能

モジュール 説明

CSS

CSSクライアント・コンポーネント

CSSD

CSSデーモン・コンポーネント

表E-75に、各通信(COMM)モジュールを示します。

表E-75 通信(COMM)モジュールおよびその機能

モジュール 説明

COMMCRS

Clusterware通信レイヤー

COMMNS

NS通信レイヤー

表E-76に、各CRSモジュールで実行される機能を示します。

表E-76 Oracle Clusterware (CRS)モジュールおよびその機能

モジュール 説明

CRSUI

ユーザー・インタフェース・モジュール

CRSCOMM

通信モジュール

CRSRTI

リソース管理モジュール

CRSMAIN

メイン・モジュール/ドライバ

CRSPLACE

CRS配置モジュール

CRSAPP

CRSアプリケーション

CRSRES

CRSリソース

CRSOCR

Oracle Cluster Registryインタフェース

CRSTIMER

CRSに関連する様々なタイマー

CRSEVT

CRS EVM/イベント・インタフェース・モジュール

CRSD

CRSデーモン

crsctl set log crsコマンドを使用して、表E-77にリストされているOCRコンポーネントをデバッグできます。表E-77にリストされているコンポーネントは、OCRMASおよびOCRASMを除くOracle Local Registry (OLR)にも使用できます。また、OCRMASおよびOCRSRVを除くOCRクライアントおよびOLRクライアントにも使用できます。一部のOCRクライアントおよびOLRクライアントにはOCRCONFIG、OCRDUMPなどがあります。

表E-77 Oracle Cluster Registry (OCR)コンポーネント名

モジュール 説明

OCRAPI

OCR抽象化コンポーネント

OCRCLI

OCRクライアント・コンポーネント

OCRSRV

OCRサーバー・コンポーネント

OCRMAS

OCRマスター・スレッド・コンポーネント

OCRMSG

OCRメッセージ・コンポーネント

OCRCAC

OCRキャッシュ・コンポーネント

OCRRAW

OCR RAWデバイス・コンポーネント

OCRUTL

OCRユーティリティ・コンポーネント

OCROSD

OCRオペレーティング・システム固有(OSD)レイヤー

OCRASM

OCR ASMコンポーネント

表E-78に、OCRツール・モジュールを示します。

表E-78 OCRCONFIGモジュールおよびその機能

モジュール 説明

OCRCONFIG

OCRを構成するためのOCRCONFIGコンポーネント

OCRDUMP

Oracle Cluster Registryの内容を表示するOCRDUMPコンポーネント

OCRCHECK

すべての構成済OCRを検証するOCRCHECKコンポーネント

Oracle Clusterwareリソースのデバッグの有効化

次の構文を使用してcrsctl set logコマンドを実行することによって、Oracle Clusterwareのリソースのデバッグを有効にできます。

crsctl set log res "resource_name=debugging_level"

crsctl set logコマンドをrootユーザーとして実行し、次の情報を指定します。

  • resource_name: デバッグするリソースの名前。

  • debugging_level: 1から5までの番号は、デバッグ・コマンドで戻す詳細レベルを示します。1は最小デバッグ出力、5は最も詳細なデバッグ出力を表します。デフォルトのデバッグ・レベルは2です。

デバッグに使用可能なリソースのリストを取得するには、crsctl status resourceコマンドを実行します。

node1上のVIPリソースのデバッグ・ログを生成するには、次のコマンドを発行します。

crsctl set log res "ora.node1.vip:1"

Oracle Clusterwareコンポーネントのための追加トレースの有効化

My Oracle Supportから、追加情報を取得するトレースを有効にするように要求されることがあります。この項で説明する手順は、パフォーマンスに影響を及ぼすことがあるため、必ずMy Oracle Supportの支援のもとで実行してください。

次の構文を使用してcrsctl set traceコマンドを実行することによって、Oracle Clusterwareのリソースのトレースを有効にできます。

crsctl set trace module_name "component_name=tracing_level,..."

crsctl set traceコマンドをrootユーザーとして実行し、次の情報を指定します。

  • module_name: 次のいずれかのモジュールの名前。

    • mdns: マルチキャスト・ドメイン・ネーム・サーバー
    • gpnp: グリッド・プラグ・アンド・プレイ・サービス
    • css: クラスタ同期サービス
    • crf: クラスタ状態モニター
    • crs: クラスタ・レディ・サービス
    • ctss: クラスタ時刻同期化サービス
    • evm: イベント・マネージャ
    • gipc: グリッド・プロセス間通信
  • component_name: いずれかのモジュールのコンポーネントの名前。コンポーネントのリストについては、表E-73を参照してください。

  • tracing_level: 1から5までの番号は、トレース・コマンドで戻す詳細レベルを示し、1は最小トレース出力、5は最も詳細なトレース出力を表します。

たとえば、次のコマンドを使用して、クラスタ同期サービスのトレース・ファイルを生成できます。

crsctl set trace "css=3"