次の項で、クラスタ用Oracle Grid Infrastructure環境に必要なネットワーク・ハードウェアおよびインターネット・プロトコル(IP)・アドレスがあるかを確認します。
この章の内容は次のとおりです。
関連項目: Oracle RAC環境でサポートされるネットワーク・プロトコルおよびハードウェアの最新情報は、My Oracle Supportの「動作保証」ページを参照してください。 |
次にネットワーク構成要件を示します。
各ノードには2つ以上のネットワーク・アダプタまたはネットワーク・インタフェース・カード(NIC)が必要です。パブリック・ネットワーク・インタフェース用とプライベート・ネットワーク・インタフェース(インターコネクト)用のネットワーク・アダプタです。
ノードをOracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2.0.2)以上にアップグレードする場合、アップグレードされたシステムは既存のネットワーク分類を使用します。
複数のパブリック・インタフェースを構成するには、ご使用のプラットフォーム用のサード・パーティ・テクノロジを使用して、インストールを開始する前に複数のパブリック・インタフェースを集約する必要があります。その後、結合されたインタフェースの単一のインタフェース名をパブリック・インタフェースとして選択します。Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、複数のパブリック・インタフェース名を指定しないことをお薦めします。集約テクノロジを使用せずに、2つのネットワーク・インタフェースをクラスタ内のパブリック・ネットワーク・インタフェースとして構成する場合、ノード上の1つのパブリック・インタフェースで発生した障害によって、もう1つのパブリック・インタフェースへの自動VIPフェイルオーバーが行われることはないことに注意してください。
プライベート・ネットワークに複数のインタフェースを使用するには、冗長インターコネクト機能を使用することをお薦めします。ただし、サード・パーティのテクノロジを使用しても、プライベート・ネットワークを冗長にすることは可能です。
注意: 冗長インターコネクトを使用する場合、完全なOracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseリリース2 (11.2.0.2)または上位のスタックが必要です。以前のOracle Databaseのリリースでは、この機能を利用できず、サード・パーティのNICボンディング技術を使用する必要がありました。異なるデータベース・リリースを1つのクラスタで統合し、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.2)より前のデータベースを使用する場合は、両方の技術が必要な場合があります。 |
パブリック・ネットワークの場合、各ネットワーク・アダプタではTCP/IPがサポートされている必要があります。
プライベート・ネットワークでは、インタフェースにTCP/IPをサポートする高速ネットワーク・アダプタおよびスイッチ(最低要件: 1ギガビット・イーサネット)を使用して、ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)がサポートされている必要があります。
注意: UDPは、Oracle RAC用およびOracle Clusterware用のデフォルトのインタフェース・プロトコルです。インターコネクト用のスイッチを使用する必要があります。専用のスイッチを使用することをお薦めします。インターコネクト用のトークン・リングまたはクロスオーバー・ケーブルはサポートされていません。 |
プライベート・ネットワークに単一のインタフェースを使用するクラスタの場合、各ノードのインターコネクト用のプライベート・インタフェースは同じサブネット上にある必要があり、そのサブネットはクラスタのすべてのノードに接続する必要があります。たとえば、プライベート・インタフェースのサブネット・マスクが255.255.255.0の場合、プライベート・ネットワークの範囲は192.168.0.0から192.168.0.255になり、プライベート・アドレスの範囲は192.168.0.[0-255]である必要があります。プライベート・インタフェースのサブネット・マスクが255.255.0.0の場合、プライベート・アドレスの範囲は192.168.[0-255].[0-255]になります。
冗長インターコネクトを使用するクラスタの場合、各プライベート・インタフェースは、異なるサブネット上にある必要があります。ただし、各クラスタ・メンバー・ノードは各プライベート・インターコネクト・サブネット上にインタフェースを持つ必要があり、これらのサブネットがクラスタのすべてのノードに接続されている必要があります。たとえば、プライベート・ネットワークがサブネット192.168.0および10.0.0上にある場合、各クラスタ・メンバー・ノードにはサブネット192.168.0および10.0.0に接続されているインタフェースが必要です。
プライベート・ネットワークでは、指定されているすべてのインターコネクト・インタフェースのエンドポイントがネットワークで確実にアクセス可能である必要があります。ノードはすべてのプライベート・ネットワーク・インタフェースに接続されている必要があります。ping
を使用して、インターコネクト・インタフェースが接続可能であるかどうかをテストできます。
冗長インターコネクトを使用すると、ボンディングなどのテクノロジを使用しなくても、複数のインタフェースを指定してクラスタ・プライベート・ネットワークに使用することができます。この機能は、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)以上で使用できます。Oracle Clusterwareの冗長インターコネクト機能を使用する場合は、インタフェースにIPv4アドレスを使用する必要があります。
複数のインタフェースを定義すると、Oracle Clusterwareは1つから4つの高可用性IP(HAIP)アドレスを作成します。Oracle RACおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)インスタンスはこれらのインタフェース・アドレスを使用して、ノード間でのロード・バランシングされた高可用性インタフェース通信を保証します。インストーラは、冗長インターコネクトを使用して、高可用性プライベート・ネットワークを提供します。
デフォルトでは、Oracle Grid InfrastructureソフトウェアはすべてのHAIPアドレスをプライベート・ネットワーク通信に使用して、プライベート・ネットワークとして指定した一連のインタフェースにロード・バランシングを提供します。プライベート・インターコネクト・インタフェースに障害が発生するか、または通信できなくなった場合、Oracle Clusterwareは、機能している残りのインタフェースのいずれかに対応するHAIPアドレスを透過的に移動します。
注意: インストール中、プライベート・ネットワークに最大4つのインタフェースを定義できます。インストール中に作成されるHAIPアドレスの数は、ネットワーク・アダプタに構成されている物理インタフェースと論理インタフェースによって異なります。インストール後、追加のインタフェースを定義できます。プライベート・ネットワーク・インタフェースとして5つ以上のインタフェースを定義した場合は、Oracle Clusterwareが一度にアクティブにするインタフェースは4つのみであることに注意してください。ただし、4つのアクティブなインタフェースのうちの1つに障害が発生した場合は、その障害が発生したインタフェースに構成されたHAIPアドレスを、一連の定義済プライベート・インタフェースのうちの予備インタフェースの1つに移します。 |
関連項目: HAIPアドレスの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
Oracle Grid InfrastructureとOracle RACは、RFC 2732で指定されている標準IPv6のアドレス表記法と、RFC 4193で定義されているグローバルおよびサイトローカルのIPv6アドレスをサポートしています。
クラスタ・メンバー・ノードのインタフェースは、IPv4、IPv6または両方のタイプのインターネット・プロトコル・アドレスを使用するように構成できます。ただし、次の点に注意してください。
パブリックVIPを構成する場合: インストール時に、特定のパブリック・ネットワークのVIPアドレスに、IPv4またはIPv6タイプを構成できます。IPv6クラスタを構成するには、クラスタのIPv6サブネットに解決されるVIPおよびSCAN名を選択して、インストール時にそのサブネットをパブリックとして選択します。インストール後は、IPv4アドレスとIPv6アドレスを組み合せてクラスタ・メンバー・ノードを構成することもできます。
IPv4クラスタに静的な仮想IP (VIP)アドレスを使用してインストールを行う場合、インストール時に指定したVIP名はIPv4アドレスのみに解決されます。静的なIPv6アドレスを使用してインストールを行う場合、インストール時に指定したVIP名はIPv6アドレスのみに解決されます。
インストール時、IPv4とIPv6の両方のアドレスに解決されるVIPおよびSCAN名を使用してクラスタは構成できません。たとえば、一部のクラスタ・メンバー・ノードのVIPおよびSCANSはIPv4アドレスに解決されるように構成して、他のクラスタ・メンバー・ノードのVIPおよびSCANはIPv6アドレスに解決されるようにはできません。この構成はサポートされていません。
プライベートIPインタフェース(インターコネクト)の構成: プライベート・ネットワークはIPv4ネットワークとして構成する必要があります。IPv6アドレスは、インターコネクトでサポートされません。
冗長ネットワーク・インタフェース: パブリックまたはVIPノード名で冗長ネットワーク・インタフェースを構成する場合、冗長ペアの両方のインタフェースを同じアドレス・プロトコルに構成します。また、プライベートIPインタフェースで同じIPプロトコルが使用されていることを確認します。Oracleでは、IPプロトコルが混在する冗長インタフェース構成を使用する名前がサポートされません。冗長ペアの両方のネットワーク・インタフェースは、同じIPプロトコルで構成する必要があります。
GNSまたはマルチクラスタのアドレス: Oracle Grid InfrastructureはIPv4 DHCPアドレス、およびRFC 2462に記載されているステートレス・アドレス自動設定プロトコルで構成されているIPv6アドレスをサポートします。
注意: RFC 1884で定義されているリンクローカルとサイトローカルのIPv6アドレスはサポートされません。 |
関連項目:
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小規模なクラスタの場合、IPアドレスは静的に構成できます。大規模なクラスタでは、必要なIPアドレスを多数手動で維持することは効率的ではありません。Oracle Grid Naming Serviceは、ネットワークの管理コストを削減するために、大規模なクラスタで使用されます。この項の内容は次のとおりです。
インストールを開始する前に、各ノードにインタフェースが2つ以上構成されている必要があります。1つはプライベートIPアドレス用、もう1つはパブリックIPアドレス用です。
IPアドレスは、次のいずれかのオプションで構成できます。
マルチクラスタまたは標準のOracle Grid Naming Service (GNS)を使用した動的IPアドレスの割当て。このオプションを選択した場合、ネットワーク管理者は、GNS (標準またはマルチクラスタ)によって解決されるようにサブドメインを委任します。GNSの要件は、GNSをゾーン委任を使用して構成するよう選択するか(ドメインの解決をGNSに委任)、ゾーン委任を使用せず構成するかによって異なります(ドメインを委任しないGNS仮想IPアドレス)。
IPv4の場合、クラスタが使用するパブリック・ネットワーク上で実行されているDHCPサービス。
IPv6の場合、クラスタが使用するパブリック・ネットワーク上で実行されている自動構成サービス。
DHCPサーバー上のアドレス(各ノードにIPアドレスを1つずつ、そしてクラスタの単一クライアント・アクセス名(SCAN)によって使用されるクラスタ用のIPアドレスを3つ提供するのに十分なアドレスが必要です)。
既存のGNS構成の使用。Oracle Grid Infrastructure12cリリース1 (12.1)以上から、複数のクラスタで単一のGNSインスタンスを使用できるようになりました。複数のクラスタでGNSを使用する場合、DNS管理者は、GNSが使用するゾーンを委任している必要があります。また、ネットワーク上の任意の場所でGNSのインスタンスが起動され、GNSインスタンスがアクセス可能である(ファイアウォールでブロックされていない)必要があります。GNSインスタンスに登録されているすべてのノード名は一意である必要があります。
DNSまたはホスト・ファイルの解決を使用した静的IPアドレスの割当て。このオプションを選択すると、ネットワーク管理者は固定IPアドレスをクラスタの各物理ホスト名とOracle Clusterware管理VIPのIPに割り当てます。また、各ノードにドメイン・ネーム・サーバー(DNS)に基づいた静的名前解決が使用されるか、クラスタとクライアントの両方のホスト・ファイルを更新する必要があるため、SCAN機能は限定されます。このオプションを選択する場合は、クラスタの変更時にネットワーク管理の更新を依頼する必要があります。
ゾーン委任のないGNSの場合: クラスタのGNS仮想IPアドレス (VIP)を構成します。Oracle Flex Clusterを有効にするには、GNS仮想IPアドレスを1つ以上構成する必要があります。
注意: 静的ホスト名をVIP以外のすべてのサーバー・ノード・パブリック・ホスト名に使用することをお薦めします。パブリックIPアドレスと仮想IPアドレスは、同じサブネット内にある必要があります。 |
クラスタ名は大文字/小文字が区別され、組織全体で一意であり、長さは最短で1文字、最長で15文字であり、英数字を使用し、数字で開始されず、ハイフン(-)を含むことが可能です。アンダースコア文字(_)は許可されません。
標準クラスタを構成して標準インストールを選択する場合、SCANはクラスタの名前でもあります。この場合、SCANはクラスタ名の要件を満たす必要があります。SCANは、15文字以下にする必要があります。
拡張インストールでは、SCANとクラスタ名はインストール時に別のフィールドに入力するため、クラスタ名要件はSCANに使用される名前に適用されず、SCANの文字数を15文字より多くできます。SCAN名を使用しドメインに入り、ゾーン委任を使用するGNSを使用する場合、そのドメインはGNSドメインである必要があります。
注意: 名前は慎重に選択してください。インストールの完了後は、クラスタ名はOracle Grid Infrastructureを再インストールしないと変更できません。 |
グリッド・ネーミング・サービス(GNS)を有効にする場合、クラスタへの名前解決要求はGNSに委任され、GNSによってGNS仮想IPアドレスでリスニングされます。ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)は、クラスタ名(クラスタに委任されたサブドメイン内のすべての名前)の解決要求がGNSに委任されるように構成する必要があります。要求がドメインに届くと、GNSによってその要求が処理され、要求された名前に対する適切なアドレスとともに応答が返されます。GNSを使用するには、GNS VIPアドレスに対する静的IPアドレスを指定する必要があります。
マルチクラスタのGNSを使用する場合は、次の要件を確認します。
マルチクラスタのGNSの一般的要件は、標準のGNSの一般的要件に類似しています。マルチクラスタのGNSは、単一のクラスタにネットワーク・サービスを提供するのではなく、クラスタのセット全体で単一のネットワーク・サービスを提供する点が標準のGNSと異なります。
ネットワーク・サービスを提供するために、DHCPアドレスを使用してマルチクラスタのGNSが構成され、次のコンポーネントで名前の通知および解決が実行されます。
GNSサーバー・クラスタは、GNSクライアント・クラスタのアドレス解決を実行します。GNSサーバー・クラスタは、マルチクラスタのGNSが実行され、クラスタのセットに委任されるサブドメインの名前解決が実行されるクラスタです。
GNSクライアント・クラスタは、GNSサーバー・クラスタからアドレス解決を受け取ります。GNSクライアント・クラスタは、GNSサーバー・クラスタを使用してクラスタ・メンバー・ノード名を通知するクラスタです。
このオプションを使用するには、ネットワーク管理者により、解決するGNSにサブドメインが委任されている必要があります。
インストール前に、GNS VIPアドレスに対する静的IPアドレスを作成し、解決する静的GNS IPアドレスにDNSサーバーが委任するサブドメインを指定します。
GNSクライアント・クラスタを構成するには、次に示す要件がすべて満たされていることを確認します。
GNSサーバー・インスタンスがネットワーク上で稼働しており、アクセス可能である必要があります(たとえば、ファイアウォールでブロックされていないこと)。
GNSドメイン内のすべてのノード名が一意であり、アドレス範囲とクラスタ名がGNSサーバーおよびGNSクライアント・クラスタの両方で一意であることが必要です。
名前の解決をGNSサーバー・クラスタに委任するために必要な情報にGNSクライアント・クラスタがアクセスできるよう、GNSサーバー・クラスタにGNSクライアント・データ・ファイルを生成しておく必要があり、Oracle Grid Infrastructureインストールを実行しているGNSクライアント・クラスタ・メンバーに、そのファイルをコピーしておく必要があります。
GNSサーバー・クラスタ・メンバーで次のコマンドを実行します(path_to_fileは、作成するGNSクライアント・データ・ファイルの名前およびパスの場所)。
srvctl export gns -clientdata
path_to_file
次に例を示します。
$ srvctl export gns -clientdata /home/grid/gns_client_data
GNSクライアント・クラスタのインストールを実行するGNSクライアント・ノード上の安全なパスに、GNSクライアント・データ・ファイルをコピーします。Oracleインストール・ユーザーには、このファイルへのアクセス権限が必要です。他のユーザーにGNSクライアント・データ・ファイルへのアクセス権限を付与しないことをお薦めします。インストールの実行中、そのファイルへのパスを入力するように求めるメッセージが表示されます。
GNSクライアント・クラスタ・インストールの完了後、いずれかのGNSサーバー・クラスタ・メンバーで次のコマンドを実行してGNSサービスを起動する必要があります(path_to_fileは、GNSクライアント・データ・ファイルの名前およびパスの場所)。
srvctl add gns -clientdata
path_to_file
次に例を示します。
$ srvctl add gns -clientdata /home/grid/gns_client_data
関連項目: GNSサーバーおよびGNSクライアント管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
GNSを有効にしない場合は、インストールを開始する前に静的なクラスタ・ノード名とアドレスを構成する必要があります。
パブリックおよび仮想IP名は、英数字とハイフン("-")は使用できるがアンダースコア("_")は使用できないという、RFC 952標準に準拠している必要があります。
インストールのインタビュー時にプライベートとして指定したインタフェース上のプライベート・サブネットに含まれるプライベートIPアドレスが、Oracle Clusterwareによって管理されます。
クラスタの名前およびアドレスは、次のようにする必要があります。
次の特性がある、各ノードのパブリックIPアドレス:
静的IPアドレス
各ノードでインストール前に構成済で、インストール前にそのノードに対して解決可能
クラスタ内の他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある
次の特性がある、各ノードの仮想IPアドレス:
静的IPアドレス
各ノードでインストール前に構成済だが、現在は使用されていない
クラスタ内の他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある
次の特性がある、クラスタの単一クライアント・アクセス名(SCAN):
SCANとして指定された名前に3つの静的IPアドレスが関連付けられ、そのすべてのアドレスがランダムな順序でDNSによってリクエスタに返されるように、インストール前にドメイン・ネーム・サーバー(DNS)上で静的IPアドレスが3つ構成されている
現在使用されていないアドレスに解決されるためにDNSでインストール前に構成済
クラスタ内の他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にあるアドレスが指定される
先頭が数値以外であり、英数字とハイフン(-)は使用できるがアンダースコア(_)は使用できないという、RFC-952標準に準拠している名前が指定される
次の特性がある、各ノードのプライベートIPアドレス:
静的IPアドレス
インストール前に構成済だが、独自のサブネットを持つ別のプライベート・ネットワーク上では、他のクラスタ・メンバー・ノード以外が解決することはできない
SCANは、クラスタへのサービス・アクセスをクライアントに提供するために使用される名前です。SCANは、特定のノードではなくクラスタ全体に関連付けされているため、クライアントの再構成を必要とせずに、クラスタでノードを追加または削除することを可能にします。また、データベースに場所の独立性がもたらされるため、クライアント構成は特定のデータベースがどのノードで実行されているかに依存しません。クライアントは引き続き、以前のリリースと同じ方法でクラスタにアクセスできますが、クラスタにアクセスするクライアントではSCANの使用をお薦めします。
注意: 標準インストールでは、指定したSCANはクラスタの名前でもあるため、SCAN名はクラスタ名の要件を満たしている必要があります。拡張インストールでは、SCANとクラスタ名はインストール時に別のフィールドに入力するため、クラスタ名要件はSCAN名に適用されません。SCAN VIPアドレスの構成は、hostsファイルで行わないことを強くお薦めします。SCAN VIPにはDNS解決を使用します。hostsファイルを使用してSCANを解決する場合、SCANは1つのIPアドレスのみに解決できます。 サポートされているのは、DNSまたはホスト・ファイルでのSCANの構成のみです。SCANをNetwork Information Service(NIS)で構成することはできません。 |
DNSによってSCANが正しくアドレスに関連付けられていることを確認するには、nslookup
コマンドを使用します。次に例を示します。
root@node1]$ nslookup mycluster-scan Server: dns.example.com Address: 192.0.2.001 Name: mycluster-scan.example.com Address: 192.0.2.201 Name: mycluster-scan.example.com Address: 192.0.2.202 Name: mycluster-scan.example.com Address: 192.0.2.203
インストール後、クライアントがクラスタにリクエストを送信すると、Oracle ClusterwareのSCANリスナーはクライアント・リクエストをクラスタのサーバーにリダイレクトします。
注意: SCAN VIPアドレスの構成は、hostsファイルで行わないことを強くお薦めします。SCAN VIPにはDNS解決を使用します。hostsファイルを使用してSCANを解決する場合、SCANは1つのIPアドレスのみに解決できます。サポートされているのは、DNSまたはホスト・ファイルでのSCANの構成のみです。SCANをNetwork Information Service(NIS)で構成することはできません。 |
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)以上では、Oracle Flex Clusterインストールの一部として、Oracle Grid Infrastructure内にOracle ASMが構成され記憶域サービスを提供します。各Oracle Flex ASMクラスタには、エンタープライズ内でグローバルに一意である固有の名前があります。
Oracle Flex ASMを使用すると、データベース・サーバーとは異なる物理サーバーでOracle ASMインスタンスを実行できます。多数のデータベース・クライアントをサポートするために、多くのOracle ASMインスタンスをクラスタ化できます。
すべての記憶域要件を単一のディスク・グループ・セットに統合できます。これらのディスク・グループはすべて、単一のOracle Flex Cluster内で実行されている小規模なOracle ASMインスタンス・セットによって管理されます。
すべてのOracle Flex ASMクラスタには、Oracle ASMインスタンスが実行される1つ以上のハブ・ノードがあります。
関連項目:
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Oracle Flex ASMでは、Oracle Clusterwareと同じプライベート・ネットワークか、独自の専用プライベート・ネットワークを使用できます。各ネットワークは、パブリック、ASMとプライベート、プライベート、ASMのいずれかに分類できます。
Oracle Flex ASMクラスタ・ネットワークには、次の要件と特性があります。
ASMネットワークは、インストール中に構成するか、インストール後に構成または変更できます。
クラスタ・ノードは次のように構成できます。
次の特性を持つOracle Flex ASMクラスタのハブ・ノード
ハブ・ノード役割で構成されているすべてのサーバーがピアであるため、以前のリリースのOracle Grid Infrastructureのクラスタ・メンバー・ノードに類似しています。
ASMディスクに直接接続します。
直接的なASMクライアント・プロセスを実行します。
ASMフィルタ・ドライバを実行すると、その機能の一部によってOracle Flex ASMのクラスタ・フェンシング・セキュリティが提供されます。
ハブ・ノードのみとしてASMディスクにアクセスします(これらは、その記憶域用のハブ・ノードとして指定されています)。
Oracle Flex ASMクラスタに構成されているグローバルASMリスナーを介して委任されるサービス要求に応答します(このクラスタでは、Oracle Flex ASMクラスタ・メンバーのハブ・ノード・リスナーのうちの3つがOracle Flex ASMクラスタのリモート・リスナーとして指定されます)。
次の特性を持つOracle Flex ASMクラスタのリーフ・ノード
ASMディスクへの間接的なアクセスを使用し、I/Oがハブ・ノード上のクライアントに対するサービスとして処理されます。
ASMネットワークを介してディスク・サービス要求を送信します。
関連項目: Oracle Flex ASMクラスタの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。 |
ブロードキャスト通信(ARPおよびUDP)は、Oracle Grid Infrastructureで使用するために構成されたすべてのパブリックおよびプライベート・インタフェース全体で適切に動作する必要があります。
ブロードキャストは、パブリックまたはプライベート・インタフェースによって使用されるものとして構成されたVLAN全体で動作する必要があります。
Oracle RAC用のパブリックおよびプライベートのネットワーク・インタフェースを構成するときは、ARPを有効にする必要があります。高可用性IP (HAIP)アドレスはパブリック・ネットワーク上のARPを必要としませんが、VIPフェイルオーバーを行うにはARPの有効化が必要になります。NOARPを構成しないでください。
各クラスタ・メンバー・ノードでは、Oracle mDNSデーモンがすべてのインタフェースでマルチキャスティングを使用して、クラスタの他のノードと通信します。マルチキャスティングは、プライベート・インターコネクトで必要です。このため、少なくとも次のクラスタでマルチキャスティングを有効にする必要があります。
プライベート・インターコネクトとして定義されたブロードキャスト・ドメイン全体
IPアドレス・サブネット範囲224.0.0.0/24(およびオプションで230.0.1.0/24)
ルーター全体でマルチキャスト通信を有効にする必要はありません。
標準のクラスタにグリッド・ネーミング・サービス(GNS)を構成する場合、Oracle Grid Infrastructureのインストール前に、GNSが提供するサブドメインに対するすべての名前解決要求がGNSへ送信されるよう、DNSを構成する必要があります。GNSが提供するサブドメインは、クラスタ・メンバー・ノードを表します。
GNSを実装するには、ネットワーク管理者がDNSを構成してクラスタのドメインを設定し、そのドメイン解決をGNS VIPに委譲する必要があります。別のドメインを使用するか、クラスタに既存のドメインのサブドメインを作成できます。サブドメイン名は、sales-cluster.rac.com
など、任意のサポート対象のDNS名にすることが可能です。
サブドメイン名は、企業のドメインとは区別できるものにすることをお薦めします。たとえば、企業ドメインがmycorp.example.com
の場合、GNSのサブドメインはrac-gns.mycorp.example.com
などにします。
サブドメインが区別できるものでない場合、それはGNSで専用に使用するものにします。たとえば、サブドメインmydomain.example.com
をGNSに委任する場合は、lab1.mydomain.example.com
のように、このサブドメインを他のドメインが共有しないようにします。
関連項目:
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委任されたドメインでグリッド・ネーミング・サービス(GNS)を使用する場合は、Oracle Grid Infrastructureのインストール前に、GNSが提供するサブドメイン(クラスタ・メンバー・ノード)に対する名前解決要求がGNSへ送信されるよう、ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を構成します。GNSのドメイン委任は、動的パブリック・ネットワーク(DHCP、自動構成)では必須です。GNSのドメイン委任は、静的パブリック・ネットワーク(静的アドレス、手動構成)では必要ありません。
関連項目: GNSのオプション、委任およびパブリック・ネットワークの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
次に、ドメインを委任するために実行する必要のある手順の概要を示します。実際の手順はこの例と異なる場合があります。
委任を使用してGNS名前解決要求を送信するようにDNSを構成します。
DNSでGNS仮想IPアドレスのエントリを作成します(アドレスの書式は、gns-server
.clustername
.domainname
です)。たとえば、クラスタ名がmycluster
で、ドメイン名がexample.com
で、IPアドレスが192.0.2.1の場合、次のようなエントリを作成します。
mycluster-gns-vip.example.com A 192.0.2.1
指定したアドレスは、ルーティング可能である必要があります。
GNSでGNSサブドメインへのアドレスを解決できるように、GNS仮想IPアドレスへのGNSサブドメインの転送を設定します。これには、委任されたドメインに対して次のようなBIND構成エントリを作成します。cluster01.example.com
は、委任するサブドメインです。
cluster01.example.com NS mycluster-gns-vip.example.com
GNSを使用する場合、クラスタ内のノードのresolve.conf
(または解決情報を提供するシステムのファイル)を構成し、組織のDNSサーバーに解決可能なネーム・サーバーのエントリを追加する必要があります。オプションの試行回数(リトライ回数)とオプションのタイムアウト(指数バックオフ)を組み合わせた合計タイムアウト時間の構成は、30秒以下にすることをお薦めします。たとえば、xxx.xxx.xxx.42とxxx.xxx.xxx.15がネットワーク内で有効なネーム・サーバーのアドレスである場合、/etc/resolv.conf
に次のようなエントリを入力します。
options attempts: 2 options timeout: 1 search cluster01.example.com example.com nameserver xxx.xxx.xxx.42 nameserver xxx.xxx.xxx.15
/etc/nsswitch.conf
によって、ネーム・サービスの参照順序が制御されます。一部のシステム構成では、ネットワーク情報システム(NIS)によってSCANアドレス解決に問題が発生することがあります。nis
エントリは、検索リストの最後に配置することをお薦めします。次に例を示します。
/etc/nsswitch.conf hosts: files dns nis
注意: ホスト名およびユーザー名の解決が失敗する可能性があるため、NISを使用することがケーブルのプル・テストを実行するときの問題の原因になることがあることに注意してください。 |
Oracle Flex Clusterを構成する場合は、次の情報を確認します。
Oracle Flex Cluster構成の次の要件に注意してください。
Oracle Flex Clusterのデプロイメントではグリッド・ネーミング・サービス(GNS)を使用する必要があります。
ハブ・ノードの静的IPアドレスとして、GNS VIPを構成する必要があります。
マルチクラスタ構成では、リーフ・ノードのGNSクライアント・データ・ファイルの場所を指定する必要があります。GNSクライアントのデータ・ファイルは、GNSクライアント・クラスタの構成前にGNSサーバーからコピーされます。
ハブ・ノードとリーフ・ノードのすべてのパブリック・ネットワーク・アドレスは、割当てが手動か自動かにかかわらず、同じサブネット範囲内にある必要があります。
Oracle Flex Clusterのすべてのアドレスは静的IPアドレスか、GNSを介してクラスタに登録された、DHCPを介して割り当てられたDHCPアドレス(IPv4)、または自動構成サービスを介して割り当てられている自動構成アドレス(IPv6)である必要があります。
DHCP割当てのVIPを構成する場合は、インストール時に次のいずれかのオプションを使用して、ハブ・ノードとリーフ・ノードの両方にクラスタ・ノードVIP名を構成する必要があります。
手動の名前: DHCPを介してクラスタ・メンバー・ノードに委任され、DNSによって解決されるVIPアドレスに割り当てられる、各クラスタ・メンバー・ノードのノード名およびノードVIP名を入力します(linnode1、linnode1-vip、linnode2、linnode2-vipなど)。手動の名前は、英数字とハイフン("-")は使用できるがアンダースコア("_")は使用できないという、RFC 952標準に準拠している必要があります。
自動で割り当てられる名前: 「自動割当て」を選択すると、name#およびname#-vipのパターンを使用するDHCPを介して自動的に生成されるVIPアドレス名がインストーラによって割り当てられます(ここで、nameはクラスタ名で#は自動的に割り当てられた番号です)。アドレスはDHCPから割り当てられGNSによって解決されます。
手動割当てのVIPを構成する場合は、インストール時に次のオプションのいずれかを使用して、ハブ・ノードとリーフ・ノードのクラスタ・ノードVIP名を構成する必要があります。
手動の名前: 各ノードのホスト名と仮想IP名を手動で入力し、ハブ・ノードかリーフ・ノードかを選択します。入力する名前は、DNSで構成されているアドレスに解決される必要があります。名前は、英数字とハイフン("-")は使用できるがアンダースコア("_")は使用できないという、RFC 952標準に準拠している必要があります。
自動割当ての名前: DNSで構成したホスト名に対応する値の文字列変数を入力します。文字列変数を使用すると、インストール時に多数の名前を短時間で割り当てることができます。DNSで次の特性を持つアドレスを構成します。
ホスト名の接頭辞: クラスタ・メンバー・ノードが使用する、DNSで構成される各アドレスで使用される接頭辞の文字列。たとえば、mycloudです。
範囲: クラスタ・メンバー・ノードに割り当てられる番号の範囲で、開始ノード番号と終了ノード番号から構成され、範囲の終わりを指定します(例: 001および999)。
ノード名の接尾辞: パブリック・ノード名の範囲番号の後ろに追加される接尾辞。たとえば、ndです。
VIP名の接尾辞: 仮想IPノード名の後ろに追加される接尾辞。たとえば、-vipです。
英数字文字列を使用して手動のアドレスを作成できます。たとえば、mycloud001nd、mycloud046nd、mycloud046-vip、mycloud348nd、mycloud784-vipなどの文字列は、許容される名前の例です。
GNSを使用する場合は、GNSのVIPアドレスに静的IPアドレスを指定し、サブドメインをDNSで構成して、静的なGNSのIPアドレスにそのサブドメインの解決を委任する必要があります。
クラスタにノードが追加されると、組織のDHCPサーバーによって、これらのノードに動的にアドレスが提供されます。これらのアドレスは自動的にGNSに登録され、GNSによってサブドメイン内で、GNSに登録されたクラスタ・ノード・アドレスの解決が行われます。
アドレスの割当てと構成はGNSによって自動的に行われるため、これ以上の構成は必要ありません。Oracle Clusterwareによって、クラスタに対してノードが追加または削除されるときに、動的なネットワーク構成が行われます。参考までに例を示します。
2ノードのクラスタで、GNSのVIPが定義されている場合、インストール後に次のような構成を2ノードのクラスタに対して行いますが、クラスタ名はmycluster
、GNSの親ドメインはgns.example.com
、サブドメインはcluster01.example.com
です(IPアドレスの192.0.2の部分はクラスタのパブリックIPアドレスのサブドメインを表し、192.168はプライベートIPアドレス・サブドメインを表します)。
表5-1 グリッド・ネーミング・サービスのネットワーク例
ID | ホーム・ノード | ホスト・ノード | 指定された名前 | 種類 | アドレス | アドレスの割当て元 | 解決方法 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GNS VIP |
なし |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.1 |
ネットワーク管理者が固定 |
DNS |
ノード1パブリック |
ノード1 |
|
|
パブリック |
192.0.2.101 |
固定 |
GNS |
ノード1 VIP |
ノード1 |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.104 |
DHCP |
GNS |
ノード1プライベート |
ノード1 |
|
|
プライベート |
192.168.0.1 |
固定またはDHCP |
GNS |
ノード2パブリック |
ノード2 |
|
|
パブリック |
192.0.2.102 |
固定 |
GNS |
ノード2 VIP |
ノード2 |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.105 |
DHCP |
GNS |
ノード2プライベート |
ノード2 |
|
|
プライベート |
192.168.0.2 |
固定またはDHCP |
GNS |
SCAN VIP 1 |
なし |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.201 |
DHCP |
GNS |
SCAN VIP 2 |
なし |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.202 |
DHCP |
GNS |
SCAN VIP 3 |
なし |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.203 |
DHCP |
GNS |
脚注 1 ノードのホスト名が、ホスト上で使用されているVIPアドレスなど、複数のアドレスに解決される場合があります。
GNSを使用しない場合は、インストールの前に、パブリックIPアドレス、仮想IPアドレスおよびプライベートIPアドレスを構成する必要があります。また、ping
コマンドを実行し、デフォルトのゲートウェイにアクセスできることも確認してください。デフォルトのゲートウェイを検出するには、route
コマンドを使用します(オペレーティング・システムのヘルプを参照)。
たとえば、各ノードに1つのパブリック・インタフェースと1つのプライベート・インタフェースがある2ノードのクラスタの場合に、3つのIPアドレスのいずれかに解決されるSCANドメイン・アドレスがDNSに定義してあるとすると、ネットワーク・インタフェースには、次の表に示す構成が考えられます。
表5-2 手動によるネットワークの構成例
ID | ホーム・ノード | ホスト・ノード | 指定された名前 | 種類 | アドレス | アドレスの割当て元 | 解決方法 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ノード1パブリック |
ノード1 |
|
|
パブリック |
192.0.2.101 |
固定 |
DNS |
ノード1 VIP |
ノード1 |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.104 |
固定 |
DNSおよびhostsファイル |
ノード1プライベート |
ノード1 |
|
|
プライベート |
192.168.0.1 |
固定 |
DNSおよびhostsファイル、またはなし |
ノード2パブリック |
ノード2 |
|
|
パブリック |
192.0.2.102 |
固定 |
DNS |
ノード2 VIP |
ノード2 |
Oracle Clusterwareにより選択 |
|
仮想 |
192.0.2.105 |
固定 |
DNSおよびhostsファイル |
ノード2プライベート |
ノード2 |
|
|
プライベート |
192.168.0.2 |
固定 |
DNSおよびhostsファイル、またはなし |
SCAN VIP 1 |
なし |
Oracle Clusterwareにより選択 |
mycluster-scan |
仮想 |
192.0.2.201 |
固定 |
DNS |
SCAN VIP 2 |
なし |
Oracle Clusterwareにより選択 |
mycluster-scan |
仮想 |
192.0.2.202 |
固定 |
DNS |
SCAN VIP 3 |
なし |
Oracle Clusterwareにより選択 |
mycluster-scan |
仮想 |
192.0.2.203 |
固定 |
DNS |
脚注 1 ノード・ホスト名が、複数のアドレスに解決される場合があります。
インターコネクト用にプライベート名を指定する必要はありません。インターコネクト用に名前解決が必要な場合は、hostsファイルかDNSでプライベートIP名を構成できます。ただしOracle Clusterwareでは、インストール中にプライベート・インタフェースとして定義されたインタフェース(eth1
など)と、プライベート・サブネットに使用されるサブネットに、インターコネクト・アドレスが割り当てられます。
SCANが解決されるアドレスはOracle Clusterwareによって割り当てられるため、特定のノードには固定されません。VIPのフェイルオーバーが有効になるように、前述の表で示した構成では、SCANアドレスと、両方のノードのパブリック・アドレスおよびVIPアドレスが同一のサブネット(192.0.2)上に定義されています。
注意: すべてのホスト名はRFC 952標準(英数字を許可)に準拠している必要があります。ホスト名にアンダースコア(_)は使用できません。 |
インストール時に、Oracle Universal Installer(OUI)がクラスタ・ノードで検出するネットワーク・アダプタ(ネットワーク・インタフェース)ごとに計画された使用方法を指定するように求められます。各NICは、次のいずれかの役割を1つのみ実行するよう構成します。
パブリック
プライベート
使用しない
Oracle ClusterwareとOracle RACの両方には、同じプライベート・アダプタを使用する必要があります。選択する正確なネットワーク構成は、構成するクラスタのサイズおよび使用方法と、必要な可用性のレベルによって異なります。ネットワーク・インタフェースは1GbE以上である必要があり、推奨は10GbEです。かわりに、インターコネクトにInfiniBandを使用することもできます。
動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)をOracle RAC用に使用し、このストレージにイーサネットベースのネットワークを介して接続する場合は、NAS I/O用に3つ目のネットワーク・インタフェースが必要です。この場合、3つの別々のインタフェースを使用しないと、負荷によってパフォーマンスと安定性の問題が発生します。
冗長インターコネクトを使用しても、パブリックな通信で使用されるネットワーク・アダプタを保護することはできません。パブリック・アダプタに高可用性またはロード・バランシングが必要な場合は、サードパーティのソリューションを使用します。通常、これにはボンディング、トランキングなどのテクノロジが使用できます。
プライベート・アダプタとして使用する複数のネットワーク・アダプタを選択すると、プライベート・ネットワークで冗長インターコネクトを使用できます。複数のネットワーク・アダプタをプライベートとして指定する場合は、冗長インターコネクトを使用することで冗長なインターコネクトが作成されます。
Oracle Linuxのカーネル2.6.31(Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 2.6.32を含む)では、戻り経路フィルタのバグが修正されています。この修正の結果、プライベート・インターコネクトに複数のNICを使用するOracle RACシステムでは、現在、rp_filter
パラメータに固有の設定が必要です。この要件は、Linuxカーネル2.6.32以上を実行しているすべてのExadataシステムにも適用されます。rp_filter
パラメータにこれらの設定を行わないと、インターコネクト・パケットが遮断または破棄される可能性があります。
rp_filter
の値で、戻り経路フィルタがフィルタなし(0
)、厳密なフィルタ(1
)または緩いフィルタ(2
)に設定されます。プライベート・インターコネクトの場合は、rp_filter
の値を0
または2
に設定します。プライベート・インターコネクトNICを1
に設定すると、プライベート・インターコネクトで接続の問題が発生する可能性があります。プライベート・インターコネクトは、分離されたプライベートのネットワーク上にあるはずなので、このフィルタを無効または解放することは危険だとは考えられていません。
たとえば、eth1
およびeth2
がプライベート・インターコネクトNICで、eth0
がパブリック・ネットワークNICの場合、/etc/sysctl.conf
で次のエントリを使用して、プライベート・アドレスのrp_filter
を2
(緩いフィルタ)に設定し、パブリック・アドレスを1
(厳密なフィルタ)に設定します。
net.ipv4.conf.eth2.rp_filter = 2 net.ipv4.conf.eth1.rp_filter = 2 net.ipv4.conf.eth0.rp_filter = 1
Oracle Linux 5.6(Oracle Linux 5 Update 6)にはinitscripts-8.45.33-1.0.4.el5.i386.rpm
を使用した修正が含まれ、これによって、カーネル・パラメータnet.ipv4.conf.default.rp_filter
が2
(解放モード)に設定されます。そのため、Unbreakable Linux KernelをOracle Linux 5.6の最上位に適用した後、すべてのNICのrp_filter
値が2
に設定されているため、手動での変更が不要になる場合があります。パブリック・ネットワークでより厳密な戻り経路フィルタが必要な場合は、パブリックNICのrp_filter
を1
に設定します。
関連項目: 次のURLで、My Oracle Support Note 1286796.1の複数のプライベート・インターコネクトおよびLinux Kernel 2.6.32以上でのrp_filterの説明を参照してください。
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