Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ソフトウェアを変更または削除する場合、特定の手順に従う必要があります。
rootcrs.bat -deconfig -force
を実行すると、それらのノードでOracle Clusterwareの構成を解除し、エラーの原因を修正してから、再度rootcrs.bat
を実行してOracle Clusterwareを再構成できます。deinstall
コマンドによって、Oracle ClusterwareおよびOracle ASMをサーバーから削除できます。 -paramfile
オプションを指定してdeinstallコマンドを実行すると、削除ツールではレスポンス・ファイルで指定した値が使用され、必要に応じて、不足している情報を入力するよう求められます。関連項目:
個々の製品を削除する場合は、要件および制限について製品固有のドキュメントを参照してください。Oracleソフトウェアを削除する必要のある特定の状況が存在します。
次のような場合に、インストールされたコンポーネントを削除します。
学習環境またはテスト環境のいずれかで、Oracle Clusterwareを正常にインストールした後、Oracle Clusterwareインストールを削除する必要がある場合。
Oracle Clusterwareのインストールまたはアップグレード中、またはその後にエラーが発生し、インストールを再試行する場合。
ハードウェア障害またはオペレーティング・システム障害のため、インストールまたはアップグレードが停止した場合。
Oracle Clusterwareを再インストールするようにOracleサポート・サービスからアドバイスされた場合。
Oracle Restart (スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureインストール)を使用するOracle Databaseインストールがある場合、そのサーバーをクラスタ・メンバー・ノードとして再構成できます。
Gridホームを移動するたびに、Oracle ClusterwareとOracle ASMを再構成する必要があります。
注意:
Gridホームを変更する前に、変更対象のGridホーム・ディレクトリで実行されるすべての実行可能ファイルを停止する必要があります。また、Oracle共有ライブラリを使用するすべてのアプリケーションも停止してください。インストール・エラーが発生したノードでrootcrs.bat -deconfig -force
を実行すると、それらのノードでOracle Clusterwareの構成を解除し、エラーの原因を修正してから、再度rootcrs.bat
を実行してOracle Clusterwareを再構成できます。
-deconfig -force
を指定してrootcrs.bat
コマンドを実行すると、インストールしたソフトウェアを削除しなくても、1つ以上のノードでOracle Clusterwareの構成を解除できます。この機能は、共有記憶域を誤って構成した場合など、インストール中に1つ以上のクラスタ・ノードでエラーが発生した場合に役に立ちます。Oracle Clusterwareの構成を解除する前に、次の手順を実行する必要があります。
インストールされ実行されているすべてのデータベース、サービスおよびリスナーを停止します。
ACFSファイル・システムをディスマウントします。
ADVMボリュームを無効にします。
注意:
この項で使用するコマンドでは、クラスタ全体のOracle Grid Infrastructureインストールが削除されます。個々のノードからインストールを削除するには、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。deinstall
コマンドによって、Oracle ClusterwareおよびOracle ASMをサーバーから削除できます。
注意:
Oracleソフトウェアを削除するには、同じリリースの削除ツールを使用する必要があります。以前のリリースのOracleソフトウェアを削除するとき、それより新しいリリースの削除ツールは使用しないでください。たとえば、既存の11.2.0.4OracleホームにあるOracleソフトウェアを削除するとき、12.1.0.1のインストール・メディアに収録されている削除ツールは実行しないでください。削除ツールは、Oracleソフトウェアを停止し、オペレーティング・システム上のOracleソフトウェアおよび構成ファイルを削除します。
Oracle Database 12c以上では、削除ツールがデータベース・インストール・メディアに統合されるようになりました。Oracle DatabaseまたはOracle Databaseクライアントのインストール・メディアのベース・ディレクトリから、setup.exe
コマンドに-deinstall
オプションと-home
オプションを使用して削除ツールを実行できます。
また、削除ツールは、インストール後にOracleホーム・ディレクトリで別のコマンド(deinstall.bat
)として使用することも可能です。これは、%ORACLE_HOME%\deinstall
ディレクトリに配置されます。
削除ツールによって、Oracleソフトウェアが停止され、特定のOracleホームのOracleソフトウェアおよびオペレーティング・システムの構成ファイルが削除されます。削除ツールを実行してWindowsインストール用のOracle Grid Infrastructureを削除する場合、適切なスクリプトが自動的に実行され、Oracle Grid Infrastructureまたはスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureが構成解除されます。
削除ツールは、指定した情報と、ソフトウェア・ホームから収集した情報を使用して、レスポンス・ファイルを作成します。または、-checkonly
オプションと-o
オプションを使用して、deinstall.bat
コマンドによって以前に生成されたレスポンス・ファイルを指定することもできます。レスポンス・ファイル・テンプレートを編集して、レスポンス・ファイルを作成することもできます。
注意:
Oracleソフトウェアを削除するには、同じリリースの削除ツールを実行する必要があります。以前のリリースのOracleソフトウェアを削除するとき、それより新しいリリースの削除ツールは使用しないでください。たとえば、既存の11.2.0.4 OracleホームからOracleソフトウェアを削除する場合、Oracle Database 12.1のインストール・メディアから削除ツールを実行しないでください。Oracleホームのソフトウェアが実行されていない場合(インストール失敗の後など)、削除ツールは構成を確認できないため、対話的に、またはレスポンス・ファイルですべての構成の詳細を提供する必要があります。
削除ツールを使用して、Oracleソフトウェアを削除できます。このコマンドは、スタンドアロン・モードでの実行、Oracleホーム・ディレクトリからの実行、またはインストーラを介した実行が可能です。
用途
削除ツールは、Oracleソフトウェアを停止し、オペレーティング・システム上のOracleソフトウェアおよび構成ファイルを削除します。
ファイル・パス
%ORACLE_HOME%\deinstall\deinstall
前提条件
Oracle Grid Infrastructureインストール環境で削除ツールを実行する前に:
Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)をディスマウントし、Oracle Automatic Storage Management Dynamic Volume Manager (Oracle ADVM)を無効にします。
Grid Naming Service (GNS)が使用中の場合は、サブドメイン・エントリをDNSから削除することをDNS管理者に通知します。
deinstall.batプログラムを使用する場合の構文
deinstall.bat [-silent] [-checkonly] [-local] [-paramfile complete path of input response file] [-params name1=value [name2=value . . .]] [-o complete path of directory for saving files] [-tmpdir complete path of temporary directory to use] [-logdir complete path of log directory to use] [-help]
setup.exeプログラムを使用する場合の構文
setup.exe -deinstall -home complete path of Oracle home[-silent] [-checkonly] [-local] [-paramfile complete path of input response file] [-params name1=value [name2=value . . .]] [-o complete path of directory for saving files] [-tmpdir complete path of temporary directory to use] [-logdir complete path of log directory to use] [-help]
オプション
表9-1 削除ツールのオプション
コマンド・オプション | 説明 |
---|---|
home Oracleホームの完全パス |
このオプションを指定して、確認または削除するOracleホームのホーム・パスを示します。削除するOracleホームにある
|
silent |
このオプションを指定すると、非対話型モードで削除ツールが実行されます。このオプションを指定した場合は、次のいずれかが必要です。
|
checkonly |
このオプションを指定すると、Oracleソフトウェアのホーム構成の状態が確認されます。 レスポンス・ファイルを生成するために |
local |
複数ノード環境でこのオプションを指定すると、クラスタのOracleソフトウェアの構成が解除されます。 このオプションを指定して |
paramfile 入力レスポンス・ファイルの完全パス |
(オプション)このオプションを指定すると、デフォルト以外の場所にあるレスポンス・ファイルを使用して レスポンス・ファイルのデフォルトの場所は、削除ツールの場所によって異なります。
|
params name1=value[ name2=value name3=value...] |
このオプションをレスポンス・ファイルとともに使用すると、作成したレスポンス・ファイル内の、1つ以上の値を上書きできます。 |
o 保存するレスポンス・ファイルのディレクトリの完全パス |
このオプションを指定すると、デフォルト以外の場所に、レスポンス・ファイル( レスポンス・ファイルのデフォルトの場所は、削除ツールの呼出し方法によって異なります。
|
tmpdir 使用する一時ディレクトリの完全パス |
削除ツールが削除対象の一時ファイルを書き込むためのデフォルト以外の場所を指定します。 |
logdir 使用するログ・ディレクトリの完全パス |
削除ツールが削除対象のログ・ファイルを書き込むためのデフォルト以外の場所を指定します。 |
help |
-help オプションを指定すると、削除ツールのオプションに関する追加情報を取得できます。 |
削除ツールのログ・ファイルの場所
Oracleホームにあるdeinstall.bat
コマンドを使用した場合、ログ・ファイルはC:\Program Files\Oracle\Inventory\logs
ディレクトリに書き込まれます。
deinstall.bat
コマンドを使用して、サーバーに最後にインストールしたOracleホームを削除すると、ログ・ファイルは%TEMP%\deinstall<timestamp>\logs
に書き込まれます。
複数の方法で削除ツールを実行できます。
–checkonly
オプションと-o
オプションを使用して、deinstall.bat
コマンドによって以前に生成されたレスポンス・ファイルを指定することもできます。レスポンス・ファイル・テンプレートを編集して、レスポンス・ファイルを作成することもできます。-checkonly
オプションおよび-o
オプションを指定してdeinstall.bat
コマンドを実行すると、レスポンス・ファイルを生成できます。または、レスポンス・ファイル・テンプレートを使用し、このファイルを手動で編集してレスポンス・ファイルを作成することもできます。削除ツールはOracleホームまたはソフトウェア・インストール・メディアから実行できます。
例9-1 Oracleホーム内からのdeinstall.bat
の実行
削除ツールを実行する最も一般的な方法は、削除対象のOracleホームにインストールされているバージョンを使用することです。削除ツールはローカルのOracleホームのソフトウェア構成を確認し、各プロンプトでデフォルト値を提供します。デフォルト値を受け入れることも、別の値を優先することもできます。Oracleホームのソフトウェアが実行されていない場合(インストール失敗の後など)、削除ツールは構成を確認できないため、対話的に、またはレスポンス・ファイルですべての構成の詳細を提供する必要があります。Oracleホーム・ディレクトリにある削除ツールを使用するには、次のコマンドを実行します(C:\app\12.1.0\grid
はGridホームの場所)。
クラスタからOracle Grid Infrastructureインストールを削除するには、管理者グループのメンバーとしてログインして、次のコマンドを使用します。
C:\> app\12.1.0\grid\deinstall\deinstall.bat
プロンプトが表示されたら、さらに情報を入力します。
注意:
削除対象のOracleホーム以外の場所から削除ツールを使用する場合は、コマンドラインで-home
オプションを指定する必要があります。削除ツールはOracleホームまたはソフトウェア・インストール・メディアから実行できます。
-deinstall
オプションに続けて-home
オプションを指定して削除するOracleホームのパスを指定し、setup.exe
コマンドを使用します。例9-2 ソフトウェア・インストール・メディアからの削除ツールの実行
インストール・メディアのインストーラから削除ツールを実行する場合、実行されたdeinstall.bat
コマンドは、指定された情報を使用してシステム構成を決定し、各プロンプトのデフォルト値を提供します。デフォルト値を受け入れることも、別の値を優先することもできます。指定したOracleホームのソフトウェアが実行されていない場合(インストール試行に失敗した後など)、削除ツールは構成を確認できないため、対話的に、またはレスポンス・ファイルですべての構成の詳細を指定する必要があります。
次の例で、setup.exe
コマンドはパス/directory_path
にあります。directory_path
はインストール・メディアのdatabaseディレクトリへのパス、C:\app\12.1.0\grid
は削除するGridホームへのパスです。
クラスタからOracle Grid Infrastructureインストールを削除するには、管理者グループのメンバーとしてログインして、次のコマンドを使用します。
C:\> cd directory_path
C:\..database> setup.exe -deinstall -home C:\app\12.1.0\grid
プロンプトが表示されたら、さらに情報を入力します。
注意:
削除対象のOracleホーム以外の場所から削除ツールを使用する場合は、コマンドラインで-home
オプションを指定する必要があります。-paramfile
オプションを指定してdeinstallコマンドを実行すると、削除ツールではレスポンス・ファイルで指定した値が使用され、必要に応じて、不足している情報を入力するよう求められます。
例9-3 クラスタでの削除ツールのレスポンス・ファイルの例
次に、ノードnode1
およびnode2
のクラスタ用のレスポンス・ファイルの例を示します。この例では、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureがユーザーgridによってインストールされており、GridホームがC:\app\12.1.0\grid
、Oracleベース(Oracle ASMログ・ファイル、Oracle Clusterwareログおよびその他の管理ファイルを含む、Oracle Grid InfrastructureのOracleベース)がC:\app\grid\
、中央Oracle InventoryホームがC:\Program Files\Oracle\Inventory
、仮想IPアドレス(VIP)が192.0.2.2と192.0.2.4、ローカル・ノード(deinstall.bat
コマンドを実行するノード)がnode1
です。#Copyright (c) 2005, 2009 Oracle Corporation. All rights reserved. VIP1_IP=192.0.2.2 LOCAL_NODE=node1 ORA_VD_DISKGROUPS=+DATA VIP1_IF=PublicNIC OCRID= ObaseCleanupPtrLoc=C:\Temp\OraDeinstall112010-02-11_10-14-30AM\utl\... HELPJAR_NAME=help4.jar local=false ORACLE_HOME=C:\app\12.1.0\grid ASM_HOME=C:\app\12.1.0\grid ASM_DISK_GROUPS= ASM_DISK_GROUP=DATA ORA_DBA_GROUP= ASM_DISCOVERY_STRING= NEW_HOST_NAME_LIST= PRIVATE_NAME_LIST= ASM_DISKS=\\.\ORCLDISKDATA0,\\.\ORCLDISKDATA1,\\.\ORCLDISKDATA2 ASM_DISKSTRING= CRS_HOME=true JLIBDIR=C:\app\12.1.0\grid\jlib OCRLOC= JEWTJAR_NAME=jewt4.jar EMBASEJAR_NAME=oemlt.jar CRS_STORAGE_OPTION=1 ASM_REDUNDANCY=EXTERNAL GPNPGCONFIGDIR=$ORACLE_HOME LANGUAGE_ID='AMERICAN_AMERICA.WE8MSWIN1252' CRS_NODEVIPS='node1-vip/255.255.252.0/PublicNIC,node2-vip/255.255.252.0/PublicNIC' ORACLE_OWNER=Administrator OLD_ACTIVE_ORACLE_HOME= GNS_ALLOW_NET_LIST= silent=false LOGDIR=C:\Temp\OraDeinstall112010-02-11_10-14-30AM\logs\ OCFS_CONFIG= NODE_NAME_LIST=node1,node2 GNS_DENY_ITF_LIST= ORA_CRS_HOME=C:\app\12.1.0\grid JREDIR=C:\app\12.1.0\grid\jdk\jre ASM_LOCAL_SID=+asm1 ORACLE_BASE=C:\app\oracle\ GNS_CONF=false NETCFGJAR_NAME=netcfg.jar ORACLE_BINARY_OK=true OCR_LOCATIONS=NO_VAL ASM_ORACLE_BASE=C:\app\oracle OLRLOC= GPNPCONFIGDIR=$ORACLE_HOME ORA_ASM_GROUP= GNS_DENY_NET_LIST= OLD_CRS_HOME= EWTJAR_NAME=ewt3.jar NEW_NODE_NAME_LIST= GNS_DOMAIN_LIST= ASM_UPGRADE=false NETCA_LISTENERS_REGISTERED_WITH_CRS=LISTENER CLUSTER_NODES=node1,node2 CLUSTER_GUID= NEW_PRIVATE_NAME_LIST= ASM_DIAGNOSTIC_DEST=C:\APP\ORACLE CLSCFG_MISSCOUNT= SCAN_PORT=1521 ASM_DROP_DISKGROUPS=true NETWORKS="PublicNIC"/192.0.2.1:public,"PrivateNIC"/10.0.0.1:cluster_interconnect OCR_VOTINGDISK_IN_ASM=true NODELIST=node1,node2 ASM_IN_HOME=true HOME_TYPE=CRS GNS_ADDR_LIST= CLUSTER_NAME=myrac-cluster SHAREJAR_NAME=share.jar VOTING_DISKS=NO_VAL SILENT=false VNDR_CLUSTER=false GPNP_PA= CSS_LEASEDURATION=400 REMOTE_NODES=node2 ASM_SPFILE= HOST_NAME_LIST=node1,node2 SCAN_NAME=myrac-scan VIP1_MASK=255.255.252.0 INVENTORY_LOCATION=C:\Program Files\Oracle\Inventory
注意:
次の場合以外は、このファイルの値の前後に引用符を使用しないでください。CRS_NODEVIPSパラメータのアドレスの前後:
CRS_NODEVIPS='node1-vip/255.255.252.0/PublicNIC,node2-vip/..'
NETWORKSパラメータのインタフェース名の前後:
NETWORKS="PublicNIC"/192.0.2.1:public,"PrivateNIC"/10.0.0.1 :cluster_interconnect